Word単体でも「生年月日から年齢を自動で計算」することは可能です。
Excelほど簡単ではありませんが、フィールドコードを使った方法で実現できます。
この記事では、Wordで年齢を自動計算する具体的な方法と、実用的な活用例をわかりやすく解説します。
この機能をマスターすれば、履歴書や申請書などで年齢が自動更新される便利な文書を作成できます。
フィールドコードとは

基本的な概念
フィールドコードとは、Wordが自動で計算や更新を行う特殊な命令文のことです。
日付、時刻、計算結果などを自動で表示・更新できます。
フィールドコードの特徴
自動更新 文書を開くたびに最新の情報に更新される
計算機能 数式を使った計算が可能
動的表示 入力した内容に応じて表示が変わる
再利用性 一度作成すれば何度でも使える
なぜフィールドコードを使うのか
常に正確な年齢 文書を開くたびに自動で年齢が更新される
手動計算の不要 誕生日を迎えるたびに手動で修正する必要がない
ミスの防止 計算間違いがなくなる
年齢計算の基本的な方法
必要な情報
年齢を計算するには以下の情報が必要です:
生年月日
- 年(例:1990)
- 月(例:6)
- 日(例:15)
現在の日付 フィールドコードが自動で取得
基本的な計算式
年齢は以下の計算で求められます:
現在の年 – 生まれた年 = 基本年数
誕生日前後の調整 まだ誕生日を迎えていない場合は1歳引く
フィールドコードの作成手順
基本的な操作方法
フィールドコードを挿入する
- 年齢を表示したい場所にカーソルを置く
- Ctrl + F9 を押す
- { } が表示される
注意点
手動で{ }を入力してはいけません 必ずCtrl + F9で挿入する
フィールドコード専用の括弧 通常の括弧とは異なる特殊な括弧
年齢計算のフィールドコード例
1990年6月15日生まれの場合
{ = INT({ DATE \@ "yyyy" } + { DATE \@ "M" }/12 + { DATE \@ "d" }/365.25 - 1990 - 6/12 - 15/365.25) }
コードの構成要素
{ DATE @ “yyyy” } 現在の年を取得
{ DATE @ “M” } 現在の月を取得
{ DATE @ “d” } 現在の日を取得
1990, 6, 15 生年月日の年、月、日
INT関数 小数点以下を切り捨てて整数にする
より簡単な計算式
シンプルなバージョン
基本的な年齢計算であれば、以下のような簡単な式も使えます:
{ = { DATE \@ "yyyy" } - 1990 }
ただし、この方法では誕生日前後の調整ができません。
正確な満年齢の計算
詳細なコード
誕生日を考慮した正確な満年齢を計算する場合:
{ = INT(({ DATE \@ "yyyyMMdd" } - 19900615) / 10000) }
この方法では、日付を8桁の数値として比較し、より正確な計算ができます。
実際の設定手順(詳細版)
例:1985年3月22日生まれの場合
ステップ1:カーソルの配置
- 文書内の年齢を表示したい場所をクリック
- 「年齢:」などの文字の後にカーソルを置く
ステップ2:フィールドコードの挿入
- Ctrl + F9 を押す
- グレーの背景で { } が表示される
ステップ3:計算式の入力
{ } の中に以下を入力
= INT({ DATE \@ "yyyy" } + { DATE \@ "M" }/12 + { DATE \@ "d" }/365.25 - 1985 - 3/12 - 22/365.25)
ステップ4:結果の表示
- フィールド全体を選択
- F9キー を押す
- 計算結果(年齢)が表示される
生年月日の変更方法
他の生年月日への変更
1992年12月5日生まれの場合
- 1985 → 1992
- 3 → 12
- 22 → 5
変更後のコード
= INT({ DATE \@ "yyyy" } + { DATE \@ "M" }/12 + { DATE \@ "d" }/365.25 - 1992 - 12/12 - 5/365.25)
フィールドの更新と管理

手動での更新方法
特定のフィールドを更新
- フィールドを右クリック
- 「フィールドの更新」を選択
文書全体のフィールドを更新
- Ctrl + A で全文選択
- F9キー を押す
自動更新の設定
文書を開いたときの自動更新
- 「ファイル」→「オプション」→「表示」
- 「印刷前にフィールドを更新する」にチェック
印刷時の自動更新
この設定により、印刷時に自動でフィールドが更新されます。
実用的な活用例
履歴書での活用
テンプレート例
氏名:田中太郎
生年月日:1990年6月15日(満{ フィールドコード }歳)
メリット
常に正確 履歴書を使うたびに年齢が自動更新
手間の削減 誕生日後に手動で修正する必要がない
申請書や契約書での活用
年齢確認が必要な文書
保険申請書 年齢による保険料計算
会員登録書 年齢制限の確認
各種手続き書類 年齢要件のチェック
会社の人事資料での活用
社員名簿
従業員情報
- 氏名
- 生年月日
- 現在の年齢(自動計算)
定年管理 定年まであと何年かの自動計算
より高度な使い方
複数人の年齢を管理
テーブル形式での活用
氏名 | 生年月日 | 年齢 |
---|---|---|
田中太郎 | 1990/6/15 | {フィールド1} |
佐藤花子 | 1985/3/22 | {フィールド2} |
それぞれに異なる生年月日のフィールドコードを設定
フォーム入力での活用
ASKフィールドの使用
{ ASK birth "生年月日を入力してください(例:1990)" }
{ = { DATE \@ "yyyy" } - { birth } }
この方法では、文書を開くたびに生年月日の入力を求められます。
条件付きの表示
IF文の組み合わせ
{ IF { = { DATE \@ "yyyy" } - 1990 } >= 20 "成人" "未成年" }
年齢によって表示内容を変える応用例
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
フィールドコードが表示されない
原因 フィールドの表示設定がオフになっている
解決法
- Alt + F9 を押す
- フィールドコードと結果表示を切り替え
計算結果が正しくない
原因 生年月日の入力ミスまたは構文エラー
解決法
- フィールドコードを再確認
- 数値と記号の入力を確認
- 括弧の対応を確認
フィールドが更新されない
原因 手動更新が必要な状態
解決法
- フィールドを選択してF9キーを押す
- 文書全体を選択してF9キーを押す
エラーメッセージの対処
“Error! 構文エラー”
原因 フィールドコードの構文が間違っている
対処法 括弧や記号、スペースを確認して修正
“Error! ブックマークが定義されていません”
原因 参照するブックマークやフィールドが見つからない
対処法 フィールド名やブックマーク名を確認
便利なコツとテクニック

コードのコピーと再利用
テンプレート化
- 一度作成したフィールドコードをコピー
- 生年月日の数値部分だけを変更
- 複数の文書で再利用
見やすい表示の工夫
年齢の後に「歳」を追加
{ = INT({ DATE \@ "yyyy" } + { DATE \@ "M" }/12 + { DATE \@ "d" }/365.25 - 1990 - 6/12 - 15/365.25) }歳
条件付きの表示
満{ フィールドコード }歳({ DATE \@ "yyyy年M月d日" }現在)
他の方法との比較
Excelとの違い
Excelでの年齢計算
DATEDIF関数
=DATEDIF(A1,TODAY(),"Y")
メリット
- 簡単で直感的
- 豊富な日付関数
デメリット
- Excelが必要
- Word文書に埋め込みにくい
Wordのフィールドコード
メリット
- Word単体で完結
- 文書に直接埋め込める
- 印刷時も反映される
デメリット
- 構文が複雑
- エラーが起きやすい
よくある質問
フィールドコードを隠すことはできますか?
はい、Alt + F9 を押すことで、フィールドコードと結果表示を切り替えできます。通常は結果のみを表示して使用します。
生年月日を後から変更できますか?
はい、フィールドコード内の数値を変更することで、いつでも生年月日を修正できます。
複数の年齢を一度に更新できますか?
はい、Ctrl + A で文書全体を選択してからF9キーを押すと、すべてのフィールドが一括更新されます。
印刷時に年齢が更新されますか?
設定により可能です。「ファイル」→「オプション」→「表示」で「印刷前にフィールドを更新する」にチェックを入れてください。
エラーが出た場合はどうすればよいですか?
フィールドコードの構文を確認し、括弧や数値の入力ミスがないかチェックしてください。それでも解決しない場合は、コードを削除して再入力してみてください。
まとめ
Word単体でも**フィールドコード(Ctrl + F9)**を使って年齢計算が可能です。
重要なポイント
- 生年月日を固定すれば、比較的シンプルな構文で実現可能
- 文書を開いたときにF9で更新すれば、常に最新の年齢を表示
- 履歴書や申請書など実用的な場面で活躍
- 一度作成すれば何度でも再利用可能
活用のメリット
正確性 計算ミスがなくなり、常に正確な年齢を表示
効率性 手動での年齢更新作業が不要
プロフェッショナル 自動更新される文書は信頼性が高い
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