Word(ワード)で文章を編集していると、「改行をカンマに変えたい」「連続した改行を1つにまとめたい」など、改行を操作したい場面がありますよね。
そんなときに便利なのが、「置換」機能です。Wordでは改行記号も文字として認識できるため、検索・置換の対象にすることが可能です。
この記事では、改行を扱う置換のやり方や、実務で使える応用テクニックを詳しくご紹介します。
この機能をマスターすれば、文書の整理作業が驚くほど効率的になります。
改行置換の基本知識

Wordの改行記号について
段落記号(^p)
通常の改行で使われる記号です。Enterキーを押したときに挿入されます。
改行記号(^l)
行送り記号とも呼ばれ、Shift + Enterで挿入される改行です。
使い分けの目安
段落記号(^p) 一般的な文章の段落分けで使用
改行記号(^l) 同じ段落内での改行で使用
改行が見える表示設定
編集記号を表示する方法
- 「ホーム」タブをクリック
- 「段落」グループの「編集記号の表示/非表示」ボタン(¶)をクリック
表示される記号
段落記号 ¶(段落記号)で表示
改行記号 ↓(下向き矢印)で表示
その他の記号 スペース(·)、タブ(→)なども表示されます
基本的な置換操作方法
置換ダイアログを開く
方法1:ショートカットキー
Ctrl + Hを押すと置換ダイアログが開きます。
方法2:メニューから操作
- 「ホーム」タブをクリック
- 「編集」グループの「置換」をクリック
方法3:検索から移行
- Ctrl + Fで検索ダイアログを開く
- 「置換」タブをクリック
基本的な入力方法
改行を検索対象にする
「検索する文字列」欄に ^p
を入力
置換後の文字を指定
「置換後の文字列」欄に希望する文字を入力
実行方法
「すべて置換」または「置換」ボタンをクリック
よくある置換パターンと実例
改行をカンマに変える
使用場面
リスト形式のデータを横並びにしたいとき
設定内容
項目 | 入力内容 |
---|---|
検索する文字列 | ^p |
置換後の文字列 | 、 |
実際の例
変換前
りんご
みかん
ばなな
変換後
りんご、みかん、ばなな
連続した改行を1つにまとめる
使用場面
空行が多すぎる文書を整理したいとき
設定内容
項目 | 入力内容 |
---|---|
検索する文字列 | ^p^p |
置換後の文字列 | ^p |
実際の例
変換前
第1章
第2章
第3章
変換後
第1章
第2章
第3章
改行をスペースに変える
使用場面
段落を1行に連結したいとき
設定内容
項目 | 入力内容 |
---|---|
検索する文字列 | ^p |
置換後の文字列 | (スペース) |
実際の例
変換前
今日は
良い天気
です
変換後
今日は 良い天気 です
改行をタブに置換する
使用場面
データを表形式で整理したいとき
設定内容
項目 | 入力内容 |
---|---|
検索する文字列 | ^p |
置換後の文字列 | ^t |
実際の例
変換前
商品A
価格100円
商品B
価格200円
変換後
商品A 価格100円
商品B 価格200円
より高度な置換テクニック

特定のパターンの改行だけを置換
数字の後の改行を置換
検索する文字列:([0-9])^p
置換後の文字列:\1.
これにより、数字の後の改行が「. 」に変わります。
複数の連続改行を一括処理
3つ以上の連続改行を2つにする
検索する文字列:^p^p^p
置換後の文字列:^p^p
必要に応じて繰り返し実行します。
ワイルドカードを使った高度な置換
ワイルドカード機能を有効にする
- 置換ダイアログで「オプション」をクリック
- 「ワイルドカードを使用する」にチェック
パターンマッチングの例
特定の文字の前の改行を削除
- 検索:
^p([あ-ん])
- 置換:
\1
実務でよく使うパターン
メールアドレスリストの整理
改行区切りから カンマ区切りへ
元データ
tanaka@example.com
suzuki@example.com
yamada@example.com
置換設定
- 検索:
^p
- 置換:
;
結果
tanaka@example.com; suzuki@example.com; yamada@example.com
CSV形式への変換準備
項目ごとの改行をタブに変換
データ整理の流れ
- 改行をタブに置換(
^p
→^t
) - 必要に応じてタブをカンマに置換(
^t
→,
)
文章の構成変更
章見出しの前に空行を追加
検索する文字列:第([0-9]+)章
置換後の文字列:^p第\1章
レポートの書式統一
連続するスペースを改行に変換
検索する文字列:(スペース2つ) 置換後の文字列:^p
注意点とトラブル回避
よくある間違いと対処法
^pと^lの混同
問題 思った通りに置換されない
解決法 文書内の改行がどちらの記号か事前に確認する
範囲指定の忘れ
問題 文書全体が変換されてしまう
解決法 特定の範囲だけを置換したい場合は事前に範囲選択する
置換の取り消し不能
問題 大量の置換を実行してから間違いに気づく
解決法 事前にファイルをコピーしてバックアップを作成する
安全な作業手順
置換前の準備
- ファイルの保存またはコピー
- 編集記号の表示でレイアウト確認
- 小さな範囲でテスト実行
段階的な実行
- 「次を検索」で対象を確認
- 「置換」で1つずつ確認しながら実行
- 問題なければ「すべて置換」を実行
特殊な記号一覧

よく使う置換記号
記号 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|
^p | 段落記号(改行) | 通常の改行 |
^l | 改行記号(行送り) | Shift+Enterの改行 |
^t | タブ文字 | データの区切り |
^s | スペース | 空白文字 |
^m | 手動改ページ | ページ区切り |
^n | 段区切り | 段組みの境界 |
検索専用の記号
記号 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|
^w | 空白文字(スペース、タブなど) | 不要な空白の検索 |
^? | 任意の1文字 | パターン検索 |
^# | 任意の数字 | 数値の検索 |
^$ | 任意の文字 | 英字の検索 |
トラブルシューティング
置換がうまくいかない場合
記号が認識されない
原因と対処法
- 全角文字で入力していないか確認
- ^は半角で入力する
- pやlも半角で入力する
一部だけ置換される
原因と対処法
- 文書内に異なる種類の改行が混在している
- ^pと^lの両方を試してみる
- 編集記号を表示して確認する
置換結果が期待と違う
原因と対処法
- ワイルドカード設定を確認
- 大文字と小文字の区別設定を確認
- 置換する範囲を確認
複雑な置換の実行
複数段階での置換
複雑な変換は一度に行わず、段階的に実行することをおすすめします。
正規表現の活用
高度なパターンマッチングには、ワイルドカード機能を活用しましょう。
よくある質問
改行以外の文字も一緒に置換できますか?
はい、可能です。例えば「。^p」で「句点の後の改行」だけを対象にできます。
置換した後に元に戻す方法はありますか?
Ctrl + Z(元に戻す)で直前の操作を取り消せます。ただし、大量の置換を行った場合は完全に戻らない場合があります。
Excel から コピーしたデータの改行を整理したいのですが?
Excelからコピーしたデータには特殊な改行が含まれる場合があります。^pと^lの両方を試してみてください。
ワイルドカードを使うとどんなことができますか?
特定のパターンにマッチする文字列を検索・置換できます。例えば、数字の後の改行だけを対象にすることなどが可能です。
まとめ
Wordでの「改行の置換」は、文章の構造を整理したり、データを整形する際に非常に便利なテクニックです。
主要なポイント
- ^pを活用して改行を文字や記号に置換
- 連続した空行を整理して読みやすさアップ
- タブやスペースに変換して整形も可能
- 段階的な置換で安全に作業
活用シーン
データ整理 外部からコピーしてきた資料の整形
文書構成の変更 章立ての調整や書式統一
リスト処理 項目の区切り文字変更
レポート作成 大量のテキストデータの整理
効率的な使い方
事前準備
- バックアップの作成
- 編集記号の表示
- 小範囲でのテスト
段階的実行
- パターンの確認
- 部分的な置換
- 全体への適用
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