「Wordの縦書き文書で英単語や略語を使うと、文字の向きがバラバラになる」 「アルファベットが読みづらくて資料が見づらい…」
和文文書で英語を使いたい場面は多いですが、Wordの縦書きではアルファベットの扱いにコツが必要です。向きが縦になってしまったり、間隔が不自然だったりして見栄えが悪くなることも。
この記事では、Word縦書き中のアルファベットの表示方法と整え方、読みやすいレイアウトにするための設定を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 縦書きでのアルファベット表示の基本知識
- 3つの主要な表示調整方法
- 読みやすくするための具体的なコツ
- よくあるトラブルと解決策
Wordの縦書き中にアルファベットを入力するとどうなる?

標準の動作
縦書き状態でアルファベットを入力すると、1文字ずつ90度回転した縦並びになります。
表示例
入力: ENGLISH
結果: E、N、G、L、I、S、Hが縦に1文字ずつ並ぶ
E
N
G
L
I
S
H
よくある問題点
この標準動作が自然に見えるケースもありますが、英語の略語や企業名などは横向きの方が読みやすいことが多いです。
困る場面の具体例
- 会社名:SONY、Panasonic、Microsoftなど
- 略語:IT、AI、DX、IoTなど
- 製品名:iPhone、Windows、Officeなど
- 英単語の引用:ビジネス用語や専門用語
- URL:ウェブサイトアドレス
なぜ読みにくくなるのか?
- 視線の移動:縦読みと横読みが混在して読みにくい
- 認識の困難:1文字ずつ縦に並ぶと単語として認識しにくい
- レイアウトの不統一:文書全体の見た目が不自然
アルファベットを横向きで表示する方法
文字の向きを変更する(基本方法)
操作手順
- 対象のアルファベットを選択:変更したい英語部分をドラッグして選択
- 右クリックメニューを開く:選択部分で右クリック
- 「文字の向き」を選択:メニューから選択
- 「横書き」を選択:または「文字の向きを変更しない」を選択
- 「OK」ボタンを押す:設定を確定
設定後の結果
アルファベットがそのまま横向きで、1行の中に横並びになります。
この方法のメリット
- 操作が簡単:右クリックだけで設定可能
- 文書構造を保持:本文の一部として扱われる
- 編集が容易:後から文字を変更しやすい
注意すべきポイント
- 周りの和文とのバランスを確認する
- 長い英単語の場合は改行位置に注意する
- 行間の調整が必要になる場合がある
テキストボックスを使用する方法
詳細な操作手順
ステップ1:テキストボックスの挿入
- 「挿入」タブをクリック:画面上部のタブ
- 「テキストボックス」を選択:リボン内のボタン
- 「描画テキストボックス」をクリック:ドロップダウンから選択
- 任意の場所にボックスを描画:マウスでドラッグして作成
ステップ2:アルファベットの入力
- テキストボックス内をクリック:カーソルを表示
- 英語を入力:例)ABC、SONY、iPhoneなど
- フォントや色を調整:必要に応じて書式設定
ステップ3:向きの設定
- 「図形の書式」タブをクリック:テキストボックス選択時に表示
- 「文字列の方向」を選択:リボン内のボタン
- 「横書き」を選択:ドロップダウンから選択
ステップ4:外観の調整
- テキストボックスの枠線を削除:「図形の書式」→「図形の枠線」→「線なし」
- 背景色を透明に:「図形の塗りつぶし」→「塗りつぶしなし」
- 位置を微調整:ドラッグして適切な位置に配置
この方法のメリット
- 縦書きの中に自然に横向きの英単語やロゴが表示できる
- 位置やサイズを自由に調整できる
- 周りの文字との間隔をコントロールしやすい
- 複数行の英文にも対応可能
デメリットと対策
- 設定が少し複雑:手順が多い
- 印刷時にずれる可能性:プレビューで事前確認が必要
- 文書の構造が複雑化:テキストボックスが増えすぎないよう注意
特殊機能を使用する方法
フィールドコードによる回転
上級者向けの方法として、フィールドコードを使用してより細かい制御が可能です。
操作手順
- Ctrl + F9:フィールドコードブラケットを挿入
- コード入力:
{ EQ \r(英単語) }
と入力 - F9キーで更新:フィールドコードを実行
フィールドコードの応用
{ EQ \r(COMPANY) } # 単純な回転
{ EQ \r(iPhone) \f(,10) } # フォントサイズも指定
この方法の特徴
- より細かい制御が可能
- プログラム的な処理ができる
- 上級者向け:初心者には難しい
読みやすく整えるための具体的なコツ
文字間隔の調整
間隔調整の手順
- 「ホーム」タブをクリック
- 「文字間隔」ボタンを選択:フォントグループ内
- 「標準」「狭くする」「広くする」から選択
- 「その他の間隔」で細かく調整
効果的な使い方
- 英語部分が間延びしないようきれいに整う
- 特に略語や短い英単語に効果的
- 周りの和文とのバランスを考慮
フォントの工夫
斜体(Italic)の活用
設定方法:
- 英単語を選択
- 「ホーム」→「斜体」ボタンまたはCtrl + I
効果:
- 英単語を斜体にすると縦文中でも視認性が向上
- 和文との差別化が図れる
- より洗練された印象を与える
フォントサイズの調整
おすすめ設定:
- 英語部分を周りの和文より少し小さくする
- 90〜95%程度がバランス良い
- 読みやすさを最優先に調整
フォント種類の選択
縦書きに適した英文フォント:
- Times New Roman:クラシックで読みやすい
- Arial:シンプルで現代的
- Calibri:Office標準で統一感がある
レイアウトの調整テクニック
行頭・行末の回避
英語が行の始まりや終わりに来ないよう調整します。
問題のある例:
...というもんだいがあります。IT
技術の進歩によって...
改善例:
...という問題があります。
IT技術の進歩によって...
改行位置の工夫
- 英語の前後で改行を入れる
- 意味のまとまりで段落を区切る
- 読みの流れを重視した配置
段落の分割と調整
- 必要に応じて段落を分ける
- スペースで微調整
- インデントを活用した配置
句読点とのバランス調整
英語の後に句読点が来る場合
基本ルール:
- 英語と句読点の間にスペースを入れない
- 句読点も含めて英語部分として一括処理
- 自然な読み流れを意識
設定例:
IT技術、AI技術、DX推進
↓
「IT技術」「AI技術」「DX推進」として一括設定
よくある活用場面での実践例

企業名や製品名を自然に表示
対象
SONY、iPhone、Microsoft、Google、Amazon など
問題点
そのまま縦になると違和感が強い
解決方法
- 企業名を選択
- 右クリック→「文字の向き」
- 「横書き」を選択
設定のコツ
- ブランド名は基本的に横向きがおすすめ
- 周りの文章とのバランスを確認
- 統一性を保つため同じ処理を適用
英文の引用や専門用語を挿入
対象
“Quality first”、”Think different”、専門用語など
問題点
長い英文が縦並びになって極めて読みにくい
解決方法
テキストボックスを使用した処理:
- テキストボックスを作成
- 英文を入力
- フォントサイズと間隔を調整
- 引用符のスタイルを統一
おすすめの書式設定
- フォントサイズ:本文より1〜2ポイント小さく
- 斜体:英文引用であることを明示
- インデント:引用部分を明確に区別
略語や専門用語の効果的な表示
対象
AI、IT、DX、IoT、ICT、SNS など
問題点
1文字ずつ縦に並んで意味が伝わりにくい
解決方法
文字の向きを変更:
- 略語全体を選択
- 右クリック→「文字の向き」→「横書き」
- 必要に応じて括弧で囲む
効果的な使い方のコツ
- 略語は基本的に横向きがおすすめ
- 初出時に括弧で説明を付ける
- 文書内で一貫した処理を行う
例:
人工知能(AI)技術の発達により...
数字とアルファベットの組み合わせ
対象
Office365、Windows11、iPhone14、COVID-19 など
問題点
数字とアルファベットの向きがそろわない
解決方法
- 数字とアルファベット全体を選択
- 文字の向きを横書きに設定
- 間隔を調整
注意点
- 全体を1つのまとまりとして扱う
- 分割して設定しない
- 統一感を重視
注意点とトラブル対策
よくある問題と解決策
問題1:設定が反映されない
症状:
- 文字の向きを変更しても変わらない
- 設定画面が見つからない
原因:
- 選択範囲が正しくない
- 保護された文書になっている
- フォントの制限がある
解決方法:
- もう一度正確に選択し直す
- 文書の保護設定を確認
- フォントを変更してみる
問題2:レイアウトが崩れる
症状:
- 行間がおかしくなる
- 文字が重なる
- ページからはみ出る
原因:
- 長すぎる英単語
- 不適切な改行位置
- 余白設定の問題
解決方法:
- 段落を分ける
- テキストボックスを使用
- フォントサイズを調整
- ページ設定を見直す
問題3:印刷時にずれる
症状:
- 画面表示と印刷結果が異なる
- テキストボックスの位置がずれる
原因:
- プリンタードライバーの問題
- 印刷設定の違い
- PDF変換時の設定
解決方法:
- 印刷プレビューで事前確認
- 位置を再調整
- PDF化してから印刷
- プリンター設定を確認
ベストプラクティス
統一性を保つ原則
- 同じ種類の英語は同じ方式で処理
- 文書全体でスタイルを統一
- 読み手の立場で確認
シンプルさを重視
- 複雑な設定よりもシンプルな方法を選ぶ
- メンテナンスしやすい方法を優先
- 他の人でも理解できる設定にする
事前チェックの重要性
- 印刷前に必ずプレビューで確認
- 複数のプリンターで確認
- PDF変換して最終確認
応用テクニック

ルビ機能との併用
英語に読み仮名を付ける場合の方法:
操作手順
- 英語を選択
- 「ホーム」→「ルビ」
- 読み方を入力
活用場面
- 専門用語の説明
- 初出の英語略語
- 読者に配慮した表記
スタイルの登録
よく使う英語表示をスタイルとして保存:
登録方法
- 理想的な書式を設定
- 「ホーム」→「スタイル」→「新しいスタイル」
- 名前を付けて保存
活用効果
- 一括適用が可能
- 統一性が保てる
- 作業効率が向上
マクロによる自動化
同じ作業を繰り返す場合の自動化:
マクロの作成
- 「表示」→「マクロ」→「マクロの記録」
- 操作を実行
- 記録を停止
活用場面
- 大量の英語処理
- 定型文書の作成
- テンプレート化
まとめ
Wordの縦書き中にアルファベットを使う際は、文字の向きや配置に気を配ることで見やすく整った文書に仕上がります。
重要なポイント
- 略語や固有名詞は横向き表示がおすすめ
- テキストボックスを使うとより自由なレイアウトが可能
- 文字間隔やフォントにも注意を払う
- 読み手の立場に立って見やすさを優先
方法の使い分け
- 簡単な英語:文字の向き変更
- 複雑なレイアウト:テキストボックス
- 高度な制御:フィールドコード
効果的な文書作成のために
- 統一性を保つ
- シンプルな方法を選ぶ
- 事前チェックを怠らない
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