「レポートや論文で注釈を入れたい」
「補足説明を本文とは別に表示したい」
「引用元をきちんと明記したい」
そんなときに便利なのが、Wordの脚注機能です。脚注を使えば、本文をすっきり保ちながら、詳細情報や引用元をページ下に表示できます。
学術論文、レポート、ビジネス文書など、様々な場面で重要な機能ですが、「使い方がよくわからない」「設定が複雑そう」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事でわかること
- 脚注の基本的な入れ方と操作手順
- 脚注と文末脚注の違いと使い分け
- 番号形式や表示位置のカスタマイズ方法
- 実際の文書での効果的な活用例
- よくあるトラブルとその解決方法
初心者の方でも迷わず使えるよう、画面操作の手順まで詳しく解説します。
脚注とは?

脚注の基本概念
脚注とは、本文の一部に番号を付けて、ページ下に補足情報を表示する機能です。読者が本文を読む流れを止めることなく、必要に応じて詳細情報を確認できる仕組みです。
脚注の主な用途
学術文書での使用
- 用語の定義や詳細説明
- 出典や参考文献の明示
- 翻訳や原文の注記
- 統計データの詳細情報
ビジネス文書での使用
- 専門用語の解説
- 注意事項や免責事項
- 関連資料の案内
- 法的根拠の明示
その他の用途
- 著者のコメントや見解
- 歴史的背景の説明
- 計算式や根拠の詳細
脚注を使うメリット
読みやすさの向上
本文がすっきりする
- 長い説明文を本文から分離
- 重要なポイントが際立つ
- 読む流れが途切れない
情報の階層化
- 必須情報と補足情報を明確に分離
- 読者が必要に応じて詳細を確認可能
- 文書の構造が整理される
信頼性の向上
出典の明示
- 情報の出所が明確
- 学術的な信頼性が向上
- 著作権への配慮
Wordで脚注を入れる基本手順
基本的な挿入方法
手順1:挿入位置を決める
- 脚注を入れたい語句や文の後にカーソルを置く
- 通常は句読点の直後、または単語の直後に配置
手順2:脚注を挿入する
Windows・Mac共通の手順
- 「参考資料」タブをクリック
- 「脚注」グループの「脚注の挿入」をクリック
- 自動的に以下が実行される:
- 本文に上付き数字(¹)が挿入
- ページ下部に区切り線と入力欄が表示
- カーソルが脚注入力欄に移動
手順3:脚注内容を入力する
- ページ下部の入力欄に脚注の内容を入力
- 通常の文字入力と同様に編集可能
- 太字、斜体、色付けなどの書式設定も可能
手順4:本文に戻る
本文への戻り方
- 本文部分をクリック
- または脚注番号をダブルクリック
- Page Up キーで本文に戻る
自動番号付けの仕組み
連続番号の自動管理
Wordの自動機能
- 脚注を追加すると自動的に連番が付与
- 途中に脚注を挿入すると、以降の番号が自動調整
- 脚注を削除すると、番号が自動的に詰められる
番号の表示形式
- デフォルト:1, 2, 3, 4…
- その他:ⅰ, ⅱ, ⅲ… / *, †, ‡, § など
脚注の詳細設定とカスタマイズ
脚注ダイアログの開き方
設定画面へのアクセス
- 「参考資料」タブをクリック
- 「脚注」グループの右下にある小さな矢印をクリック
- 「脚注と文末脚注」ダイアログボックスが開く
番号形式の変更
利用可能な番号形式
数字系
- アラビア数字:1, 2, 3…
- ローマ数字(小文字):ⅰ, ⅱ, ⅲ…
- ローマ数字(大文字):Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ…
記号系
- アスタリスク系:*, **, ***…
- 記号系:*, †, ‡, §, ¶…
アルファベット系
- 小文字:a, b, c…
- 大文字:A, B, C…
設定変更の手順
- 脚注ダイアログで「番号書式」ドロップダウンをクリック
- 希望の形式を選択
- 「適用」または「OK」をクリック
開始番号の設定
カスタム開始番号
設定方法
- 「開始番号」欄に任意の数字を入力
- 例:「5」と入力すると5, 6, 7…と続く
活用例
- 章ごとに番号を続ける場合
- 既存文書に脚注を追加する場合
- 特定の番号から開始したい場合
脚注の配置設定
配置場所の選択
ページ下部(推奨)
- 各ページの最下部に表示
- 読みやすく、一般的な形式
- 本文との関連が明確
文書の最後
- 文書全体の末尾に一括表示
- 長い文書での一覧性が良い
- 印刷時のレイアウト調整に便利
連続性の設定
連続して番号を付ける
- 文書全体で1, 2, 3…と連続
- 長い文書や論文に適している
セクションごとに再開
- 各セクション・章で1から開始
- 章立ての文書に便利
- 複数著者の文書に適している
脚注と文末脚注の違いと使い分け

機能比較
項目 | 脚注 | 文末脚注 |
---|---|---|
表示場所 | ページ下部 | 文書の最後 |
主な用途 | 簡単な補足・注釈 | 書籍風の出典リスト |
読みやすさ | すぐに確認可能 | 一覧性が良い |
印刷時 | ページごとに分散 | 最後にまとめて表示 |
脚注が適している場面
短い補足説明
例:専門用語の説明
AIアルゴリズム¹を活用した分析を行った。
¹ Artificial Intelligence(人工知能)の略称
即座に確認したい情報
例:統計データの出典
失業率は3.2%²と報告されている。
² 厚生労働省「労働力調査」2024年3月
文末脚注が適している場面
長い参考文献リスト
学術論文での使用例
- 多数の文献を参照する場合
- 詳細な書誌情報を含む場合
- 読者が後で一括確認したい場合
複数の関連情報
報告書での使用例
- 複数のデータソース
- 詳細な計算過程
- 関連資料の一覧
相互変換の方法
脚注から文末脚注への変換
- 変換したい脚注を右クリック
- 「文末脚注に変換」を選択
- または脚注ダイアログで「変換」ボタンを使用
一括変換の手順
- 「参考資料」タブ→脚注ダイアログを開く
- 「変換」ボタンをクリック
- 変換方向を選択して「OK」
実際の活用例
学術論文での使用例
研究論文のサンプル
本文
近年の研究¹によると、リモートワークの普及率²は急速に増加している。
特にIT業界では、従来の働き方³とは大きく異なる変化が見られる。
脚注
¹ 田中太郎「デジタル時代の労働形態」労働研究ジャーナル, 2024年, p.45-67
² 総務省「テレワーク実施状況調査」2024年2月
³ 9時-17時の定時勤務制度を指す
ビジネス報告書での使用例
市場分析レポートのサンプル
本文
当社の市場シェア¹は前年比15%増加し、業界平均²を大きく上回る結果となった。
この成長は主力商品Xの好調³によるものと分析される。
脚注
¹ 2024年3月期決算資料より
² 業界団体A「年次市場調査」平均成長率8.5%
³ 売上構成比60%、前年比25%増
マニュアル・手順書での使用例
操作マニュアルのサンプル
本文
設定画面¹でパスワードを変更する際は、強度の高いパスワード²を設定してください。
変更後は必ずテスト³を実行してください。
脚注
¹ メニュー「設定」→「アカウント管理」→「パスワード変更」
² 8文字以上、英数字記号を含む組み合わせ
³ 一度ログアウトして再ログインを試行
効果的な脚注の書き方
内容の原則
簡潔性を保つ
良い例
¹ 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2024年
避けるべき例
¹ 厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査の2024年版の結果によると...(長すぎる)
必要十分な情報
出典情報の基本要素
- 著者名
- 文献タイトル
- 出版社・発行機関
- 発行年
- ページ数(必要に応じて)
書式の統一
学術分野での標準
APA形式の例
¹ Smith, J. (2024). Research Methods in Digital Age. Academic Press, p.123.
MLA形式の例
¹ Smith, John. "Digital Research Methods." Academic Journal, vol. 15, 2024, pp. 120-125.
企業・組織での標準
社内資料の場合
¹ 営業部「月次売上報告書」2024年3月
² 人事部「従業員満足度調査」2024年2月実施
よくあるトラブルと解決方法

脚注の番号がずれる・重複する
原因と対処法
原因1:手動で番号を入力している
- 脚注機能を使わず、手動で上付き数字を入力
- 解決法:手動の番号を削除し、正しい脚注機能を使用
原因2:コピー&ペーストの問題
- 他の文書からコピーした際に番号が重複
- 解決法:脚注を一度削除して再挿入
番号のリセット方法
- 全ての脚注を選択
- 脚注ダイアログで「すべて削除」
- 改めて正しい順序で脚注を挿入
脚注が本文から離れすぎる
レイアウト調整
ページ設定での調整
- 「レイアウト」タブ→「ページ設定」
- 「その他」タブで脚注の設定を確認
- 余白設定を調整
脚注エリアのサイズ調整
- 脚注エリアの境界線をドラッグ
- 適切な高さに調整
脚注の文字が小さすぎる・大きすぎる
フォントサイズの調整
個別調整
- 脚注部分を選択
- 「ホーム」タブでフォントサイズを変更
スタイルでの一括調整
- 「ホーム」タブ→「スタイル」
- 「脚注文字」スタイルを右クリック
- 「変更」でフォント設定を調整
印刷時に脚注が切れる
印刷レイアウトの確認
プリント プレビューでの確認
- Ctrl + P で印刷プレビューを表示
- 脚注が正しく表示されているか確認
- 必要に応じてページ設定を調整
余白の調整
- 下余白を大きくして脚注のスペースを確保
- 本文と脚注のバランスを調整
応用テクニック
脚注内での書式設定
リンクの挿入
外部リンクの追加
- 脚注内でリンクを設定したい文字を選択
- Ctrl + K でリンクの挿入
- URLや社内文書へのパスを指定
図表の挿入
小さな図やグラフの挿入
- 脚注内に簡単な図表を挿入可能
- ただし、サイズに注意が必要
脚注の検索と管理
脚注の一括検索
- Ctrl + F で検索ダイアログを開く
- 「オプション」→「書式」→「脚注記号」
- 文書内の全脚注を検索可能
脚注の一覧表示
ナビゲーションウィンドウの活用
- 「表示」タブ→「ナビゲーションウィンドウ」
- 脚注がある箇所を効率的に確認
複数文書での脚注管理
マスター文書での統合
大きなプロジェクトでの管理
- 各章を別文書で作成
- マスター文書で統合時に脚注番号を調整
- 一貫した番号付けを維持
まとめ
Wordの脚注機能は、情報量の多い文書をすっきり整理しつつ、重要な補足も伝えるためにとても便利な機能です。
重要なポイント
- 「参考資料」タブ→「脚注の挿入」で簡単に追加
- 番号や位置は柔軟にカスタマイズ可能
- 脚注と文末脚注を用途に応じて使い分け
- 出典情報は統一された形式で記載
効果的な活用のコツ
- 本文の読みやすさを最優先に考える
- 脚注は簡潔で必要十分な情報に留める
- 文書の種類に応じて表示形式を選択
- 定期的にレイアウトを確認・調整
今すぐできること
- 手持ちの文書で脚注機能を試してみる
- 番号形式や配置設定を変更して違いを確認
- 脚注と文末脚注の使い分けを練習
- よく使う設定をテンプレートとして保存
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