「Word文書の最後に余計な空白ページがあって削除できない…」
「Deleteキーを押しても、なぜか残ってしまう…」
Wordでページを削除しようとしても、うまくいかないことがあります。特に最後に残る空白ページは、初心者にとって”消えない謎の存在”のように感じられます。
実際、この問題は多くのWordユーザーが経験する、非常によくあるトラブルです。しかし、原因がわかれば解決は意外と簡単です。
この記事でわかること
- Wordでページが削除できない根本的な理由
- 原因別の具体的な対処方法
- 空白ページを確実に削除する手順
- 今後同じ問題を防ぐための予防策
- よくあるトラブルパターンとその解決法
削除できないページの「正体」を理解して、確実に解決できるようになりましょう。
なぜWordでページが削除できないのか?

Wordのページ削除の基本原理
重要な概念:「ページ」は削除できない
Wordでは「ページ」という単位で直接削除する機能はありません。これが混乱の最大の原因です。
Wordの仕組み
- ページは「内容の入れ物」として自動生成される
- 内容(文字、改行、改ページなど)を削除すればページも消える
- 中身(文字・記号・改ページ)を削除することでページが消える仕組み
見えない「隠れた要素」が原因
削除できないページには、通常以下のような「見えない要素」が残っています:
主な隠れた要素
- 段落記号(¶)
- 改ページ記号
- セクション区切り
- 空のテキストボックス
- 透明な図形
これらを特定して削除することが解決の鍵です。
編集記号を表示して原因を特定する
編集記号表示の重要性
削除できないページの原因を特定するには、まず「編集記号」を表示することが必須です。
編集記号を表示する方法
方法1:リボンから
- 「ホーム」タブをクリック
- 「段落」グループの「¶」(編集記号の表示/非表示)ボタンをクリック
方法2:キーボードショートカット
- Ctrl + Shift + 8 を押す
表示される記号の意味
よく見る記号
- ¶:段落記号(改行)
- →:タブ記号
- ・:スペース記号
- 改ページ:手動で挿入された改ページ
- セクション区切り:セクションの境界
原因別の対処法
原因1:段落記号や改ページが残っている
症状の特徴
- ページ内に文字は見えない
- Deleteキーを押しても消えない
- 編集記号を表示すると「¶」や「改ページ」が見える
対処法
手順1:編集記号を表示
- Ctrl + Shift + 8 を押す
- 空白ページの内容を確認
手順2:不要な記号を削除
- 空白ページにある「¶」(段落記号)をクリックして選択
- Deleteキーで削除
- 「改ページ」記号がある場合も同様に削除
手順3:結果を確認
- 空白ページが消えていることを確認
- 編集記号を非表示に戻す(Ctrl + Shift + 8)
具体的な削除方法
段落記号の削除
- ¶マークの直前にカーソルを置く
- Deleteキーを押す
- または¶マークの直後にカーソルを置いてBackspaceキーを押す
原因2:表や画像の後に強制改ページが入っている
症状の特徴
- 文書の最後に表や画像がある
- その後に空白ページが表示される
- 表や画像を移動しても空白ページが残る
なぜこの問題が起きるのか
Wordの仕様
- 表の後には必ず段落記号(¶)が自動挿入される
- ページの最下部に表がある場合、段落記号が次ページに送られる
- この段落記号が削除できない場合がある
対処法1:段落記号を削除
手順
- 表のすぐ下にカーソルを置く
- 編集記号を表示(Ctrl + Shift + 8)
- 表の後の段落記号(¶)を確認
- この段落記号を選択してDeleteキーで削除
対処法2:段落のサイズを最小化
段落記号が削除できない場合の代替手段:
手順
- 表の後の段落を選択
- 「ホーム」タブ→「フォント」で以下を設定:
- フォントサイズ:1pt
- 行間:「段落」→「行と文字間隔」→「固定値」1pt
- 段落の前後の間隔も0ptに設定
結果 段落記号が見えないほど小さくなり、実質的に空白ページが消える
対処法3:表のレイアウト調整
表のプロパティで調整
- 表を右クリック→「表のプロパティ」
- 「表」タブで「文字列の折り返し」を「なし」に設定
- 「位置」で表の配置を調整
原因3:セクション区切りの影響
セクション区切りとは
セクションの役割
- 文書の一部分を区切る機能
- 各セクションで異なるページ設定が可能
- ヘッダー・フッター、ページ番号なども独立設定
症状の特徴
- 特定のページが削除できない
- ページ設定やヘッダー・フッターが途中で変わっている
- 編集記号で「セクション区切り」が表示される
セクション区切りの種類
主な種類
- 次のページから開始:新しいページでセクション開始
- 現在の位置から開始:同じページでセクション開始
- 偶数ページから開始:偶数ページでセクション開始
- 奇数ページから開始:奇数ページでセクション開始
対処法
手順1:セクション区切りを特定
- 編集記号を表示(Ctrl + Shift + 8)
- 「セクション区切り(次のページから開始)」などの表示を探す
手順2:セクション区切りを削除
- セクション区切りの文字をクリックして選択
- Deleteキーで削除
手順3:設定の確認 削除後、以下を確認:
- ページレイアウトが崩れていないか
- ヘッダー・フッターが正しく表示されているか
- ページ番号が連続しているか
注意点
セクション区切り削除の影響
- 前後のセクションが統合される
- ページ設定が変更される可能性
- ヘッダー・フッターの設定が変わる場合
対策
- 削除前にページ設定をメモしておく
- 必要に応じて削除後に設定を調整
原因4:テキストボックスや隠し要素がある
症状の特徴
- 画面上では何も見えない
- 編集記号を表示しても明確な原因が見つからない
- ページが削除できない
よくある隠し要素
透明な要素
- 白色のテキストボックス
- 透明度100%の図形
- 非表示設定の画像
- 余白に配置された図形
対処法
手順1:すべてのオブジェクトを表示
- 「ホーム」タブ→「編集」→「選択」→「オブジェクトの選択と表示」
- 「選択と表示」ウィンドウが開く
- ページ上のすべてのオブジェクトが一覧表示される
手順2:不要なオブジェクトを削除
- 一覧で不要と思われるオブジェクトを選択
- 「Delete」キーで削除
- または右クリック→「削除」
手順3:隠れたテキストボックスを探す
- Ctrl + A でページ全体を選択
- 選択範囲に含まれるオブジェクトを確認
- 不要なテキストボックスや図形を削除
図形の検索と削除
検索機能を活用
- Ctrl + F で検索ダイアログを開く
- 「オプション」→「書式」→「図形」
- 該当する図形を検索して削除
特殊なケースと対処法

ヘッダー・フッターの要素が原因の場合
症状
- 本文には何もないのにページが残る
- ヘッダーやフッターに内容がある
対処法
手順
- ヘッダー・フッター領域をダブルクリック
- 不要な内容を削除
- 「ヘッダーとフッターを閉じる」をクリック
改行の重複が原因の場合
症状
- 大量の改行(¶)が連続している
- 一つずつ削除するのが大変
対処法
一括削除の方法
- Ctrl + H で「検索と置換」を開く
- 「検索する文字列」に「^p^p」(改行2つ)を入力
- 「置換後の文字列」に「^p」(改行1つ)を入力
- 「すべて置換」を数回実行
ページ余白の設定が原因の場合
症状
- 内容は削除したが、余白設定により空白ページが残る
対処法
余白の調整
- 「レイアウト」タブ→「余白」
- 「ユーザー設定の余白」を選択
- 上下の余白を小さく設定
- 「OK」をクリック
よくあるトラブルと解決方法
削除後にレイアウトが崩れる
問題
セクション区切りや改ページを削除した後、文書のレイアウトが大きく変わってしまう
対処法
事前準備
- 削除前に文書全体をコピーしてバックアップ
- ページ設定をメモしておく
復旧方法
- Ctrl + Z で削除を取り消し
- より慎重な方法で削除を実行
- または手動でレイアウトを修正
一部のページだけ削除できない
原因
- 文書保護が設定されている
- セクション保護が有効になっている
対処法
保護の確認
- 「校閲」タブ→「文書の保護」
- 保護設定を解除
- 削除を実行後、必要に応じて保護を再設定
印刷時に空白ページが出る
問題
画面上では空白ページが消えているが、印刷すると空白ページが出力される
対処法
印刷プレビューで確認
- Ctrl + P で印刷プレビューを表示
- 空白ページがあるかチェック
- ある場合は前述の方法で削除
印刷設定の調整
- 「印刷」→「設定」
- 「空白のページを印刷しない」オプションを確認
予防策
今後同じ問題を防ぐために
良い文書作成習慣
改ページの使い方
- 必要以上に改行(Enter)を使わない
- 改ページは「挿入」→「ページ区切り」を使用
- セクション区切りは本当に必要な時のみ使用
表の扱い方
- 表を文書の最後に配置する場合は注意
- 表の後に必要な段落があるかチェック
- テーブルスタイルを活用して見た目を整える
定期的なチェック
編集記号の表示習慣
- 作業中は定期的に編集記号を表示
- 不要な改行や改ページがないかチェック
- 保存前に全体を確認
テンプレートの活用
標準的なテンプレートの作成
- よく使う文書形式でテンプレートを作成
- 適切なページ設定とセクション構成
- 問題の起きにくい構造で保存
上級者向けのテクニック

マクロを使った自動削除
VBAコードの例
Sub DeleteBlankPages()
Dim i As Integer
For i = ActiveDocument.Range.Information(wdNumberOfPagesInDocument) To 1 Step -1
Selection.GoTo What:=wdGoToPage, Which:=wdGoToAbsolute, Count:=i
If Len(Trim(Selection.Range.Text)) = 1 Then
Selection.Range.Delete
End If
Next i
End Sub
使用上の注意
- VBAマクロの使用はリスクを伴う
- 事前に文書のバックアップを作成
- テストファイルで動作確認してから本番使用
検索と置換の活用
高度な検索パターン
複数の段落記号を一括削除
- 検索:^p^p^p(3つの改行)
- 置換:^p(1つの改行)
空の段落を検索
- 検索:^p{2,}(2つ以上の連続改行)
- 置換:^p(1つの改行)
まとめ
Wordでページが削除できない原因は、目に見えない「編集記号」や「改ページ」、「セクション区切り」の存在にあります。
解決の基本ステップ
- 編集記号を表示して原因を特定(Ctrl + Shift + 8)
- 不要な段落記号・改ページ・セクション区切りを削除
- 表や図形の下に残る段落にも注意
- 必要に応じてレイアウトを調整
重要なポイント
- Wordは「ページ」ではなく「内容」を削除する仕組み
- 編集記号の表示は問題解決の第一歩
- セクション区切りの削除は慎重に行う
- 削除前のバックアップが重要
今すぐできること
- 現在の文書で編集記号を表示してみる
- 不要な改行や改ページがないかチェック
- 簡単な削除から練習を始める
- よく使う解決手順をメモしておく
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