Wordで図形やテキストボックスに色を付けて「よし、これで完成!」と思ったのに、印刷してみると塗りつぶしが消えている…そんな経験はありませんか?
画面上ではしっかり色が付いているのに、プリントすると無色になるこの現象には、いくつかの原因があります。
この記事では、Wordで塗りつぶしが印刷されない理由と、それを確実に印刷するための設定方法を丁寧に解説します。
急いでいる人は、「ファイル」→「オプション」→「表示」→「背景の色とイメージを印刷する」にチェックを入れてみてください。多くの場合、これで解決できます。
塗りつぶしが印刷されない現象の概要

よくある症状
画面と印刷結果の違い
典型的な症状パターン:
- 画面表示:図形やテキストボックスが綺麗に色付きで表示
- 印刷結果:色が全く出ない、または薄すぎて見えない
- 印刷プレビュー:画面表示と異なる場合がある
影響を受けやすい要素
問題が発生しやすいオブジェクト:
- 図形の塗りつぶし:四角形、円、矢印など
- テキストボックスの背景:カラーボックス
- 表のセル背景:カラー設定されたセル
- ページ背景色:文書全体の背景
問題が起きる根本的な理由
設計思想の違い
Wordの初期設定の考え方:
- インク節約:コスト削減を重視
- 読みやすさ優先:本文の可読性を最重要視
- 汎用性確保:どんなプリンターでも基本機能が動作
Microsoft の設計方針
背景色印刷が初期無効の理由:
- 一般的な文書では背景色が不要
- プリンターインクの消費量削減
- 印刷速度の向上
- 印刷コストの抑制
主な原因と詳細な解決方法
原因1:Word側の印刷設定
背景色印刷設定の確認
Word設定の詳細手順:
- 「ファイル」メニューをクリック
- 「オプション」を選択
- 左メニューから「表示」をクリック
- 「印刷オプション」セクションを確認
- 「背景の色とイメージを印刷する」にチェック
- 「OK」をクリックして設定を保存
設定項目の詳細説明
印刷オプションの各項目:
設定項目 | 効果 | 推奨設定 |
---|---|---|
背景の色とイメージを印刷する | 背景色と画像の印刷制御 | ✓チェック |
文書のプロパティを印刷する | ファイル情報の印刷 | 用途に応じて |
隠し文字を印刷する | 非表示テキストの印刷 | 通常は無効 |
図面オブジェクトを印刷する | 図形・画像の印刷 | ✓チェック |
文書ごとの設定確認
個別文書での設定確認:
- 「ファイル」→「印刷」
- 「設定」の下部にある「ページ設定」
- 「その他」タブで背景印刷の設定確認
原因2:プリンターの設定問題
プリンタードライバーの設定確認
プリンター側設定の詳細手順:
- 「ファイル」→「印刷」
- 「プリンターのプロパティ」をクリック
- 「詳細設定」または「印刷設定」タブ
- 色・品質に関する設定を確認
よくあるプリンター設定項目
確認すべき設定項目:
カラー設定:
- カラー印刷:有効に設定
- グレースケール:無効に設定
- 白黒印刷:無効に設定
品質設定:
- エコモード/節約モード:無効に設定
- 高速印刷:無効に設定(品質重視)
- 印刷品質:「高品質」または「最高品質」
インク設定:
- インク節約:無効に設定
- 薄い色の調整:標準または濃く設定
メーカー別の設定画面
主要プリンターメーカーでの設定場所:
Canon(キヤノン):
- 「メイン」タブ→「色/濃度」→「カラー印刷」
- 「詳細設定」→「色補正」→「背景色印刷」
EPSON(エプソン):
- 「メイン」タブ→「色補正」→「カラー」
- 「ユーティリティ」→「拡張設定」→「背景色」
HP(ヒューレット・パッカード):
- 「カラー」タブ→「カラー印刷」
- 「詳細」→「印刷品質オプション」
Brother(ブラザー):
- 「基本設定」→「カラー設定」
- 「詳細設定」→「色/画質」
原因3:塗りつぶし色の問題
色の濃度と可視性
印刷に適した色の選択:
- 濃度が十分な色:薄すぎる色は印刷で見えない
- RGB値の確認:各色が50以上推奨
- CMYK対応:印刷用カラーモードでの確認
透明度の設定
透明度による印刷への影響:
- 図形を選択
- 「図形の書式」→「図形の塗りつぶし」
- 「その他の塗りつぶしの色」→「透明度」
- 透明度を0%(完全不透明)に設定
パターンと単色の違い
印刷しやすい塗りつぶしの種類:
推奨:単色(ソリッドカラー):
- 確実に印刷される
- 色の再現性が高い
- プリンターへの負荷が少ない
注意:パターン・グラデーション:
- 印刷されない場合がある
- 解像度依存で品質が変わる
- 印刷時間が長くなる
原因4:文書の表示モード
表示モードの影響
適切な表示モードの確認:
- 「表示」タブをクリック
- 「印刷レイアウト」を選択
- 「下書き」や「Webレイアウト」では正確に表示されない
印刷プレビューでの確認
印刷前の最終確認手順:
- 「ファイル」→「印刷」
- 印刷プレビューで色の表示を確認
- プレビューで色が表示されていれば印刷される
高度なトラブルシューティング
PDF化での確認
PDF出力テスト
PDF変換による印刷確認:
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPS の作成」
- 「オプション」で「背景の色とイメージ」をチェック
- PDFで色が表示されれば印刷設定の問題
PDF印刷の活用
確実な色印刷の方法:
- PDF化してから印刷:設定問題を回避
- Adobe Reader等:より安定した印刷
- 印刷会社での出力:業務用途での活用
プリンタードライバーの問題
ドライバーの更新
最新ドライバーの確認方法:
- プリンターメーカーのWebサイトにアクセス
- 機種名で最新ドライバーを検索
- ダウンロードしてインストール
- Windowsの再起動
別のプリンターでのテスト
問題の切り分け方法:
- 別のプリンターでの印刷テスト
- 同僚のPCからの印刷確認
- 印刷会社での出力テスト
システム固有の問題
Windows の印刷設定
システムレベルの設定確認:
- 「設定」→「デバイス」→「プリンターとスキャナー」
- 対象プリンターを選択
- 「管理」→「印刷設定」
- 既定の印刷設定を確認・変更
macOS での設定
Mac環境での設定確認:
- 「システム環境設定」→「プリンタとスキャナ」
- プリンターを選択
- 「オプションとサプライ」→「ドライバ」
- カラー設定を確認
効果的な予防策

文書作成時の注意点
色選択のベストプラクティス
印刷に適した色の選び方:
- 濃い目の色:薄い色は避ける
- 標準カラーパレット:カスタム色より安全
- コントラスト重視:背景との明暗差を確保
テスト印刷の実施
事前確認の手順:
- 小さなテスト文書での印刷確認
- 重要な文書の前に必ずテスト
- 設定変更後の動作確認
設定の標準化
組織での統一設定
企業・チームでの対応:
- 標準印刷設定の文書化
- 新人研修での設定方法教育
- IT部門による設定支援
テンプレートの活用
効率的な色使用:
- 印刷確認済みのテンプレート作成
- 色見本の作成と共有
- 推奨色パレットの策定
特殊なケースと対応
ネットワークプリンターでの問題
共有プリンターの設定
ネットワーク環境での注意点:
- プリンターサーバーの設定確認
- ユーザー権限の確認
- プリンタープール設定の影響
リモートワークでの対応
在宅勤務環境での課題:
- VPN接続での印刷品質
- 個人プリンターの設定差異
- クラウド印刷サービスの活用
大量印刷での考慮事項
コスト管理
効率的な色印刷の管理:
- 必要最小限の色使用
- 印刷プレビューでの事前確認
- 両面印刷でのコスト削減
環境への配慮
持続可能な印刷の実践:
- 電子配布の優先
- 必要時のみの色印刷
- リサイクル対応用紙の使用
まとめ
Wordで塗りつぶしが印刷されないときは、**「Word側の設定」「プリンター側の設定」「色の選択」**の3点を順序立ててチェックするのがポイントです。
解決手順の優先順位
まず確認すべき項目:
- Word設定:「背景の色とイメージを印刷する」
- 印刷プレビュー:色が表示されているか確認
- プリンター設定:カラー印刷・高品質モード
それでも解決しない場合:
- 色の濃度確認:薄すぎる色の変更
- 透明度設定:0%(不透明)に調整
- PDF化テスト:印刷経路の問題切り分け
予防策の重要性
問題を未然に防ぐために:
- テスト印刷の習慣化
- 印刷に適した色選択
- 設定の文書化と共有
- 定期的な設定確認
長期的な解決策
継続的な改善のために:
- 組織での標準化:統一した設定とルール
- 教育と研修:正しい操作方法の共有
- 技術更新:最新ドライバーとソフトウェア
- 環境整備:適切なハードウェア選択
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