「Excelの白背景がまぶしくて、目が疲れる…」「夜間作業に優しい画面にしたい」
そんな悩みを持つ方におすすめなのがダークモードです。近年多くのアプリで採用されているダークモードは、Excelでも設定でき、作業環境を快適にしてくれます。
この記事では、Excelをダークモードに切り替える方法と注意点、そして背景色を自由にカスタマイズするテクニックも紹介します。
急いでいる人は、「ファイル」→「オプション」→「全般」→「Office テーマ」から「黒」を選択してください。これだけでダークモードになります。
ダークモードの基本概念

ダークモードとは何か
基本的な定義
ダークモードとは、画面の背景を黒やグレーにして、文字を明るく表示する配色スタイルのことです。従来の白背景とは反対の配色で、現代のデジタル機器で広く採用されています。
ダークモードの特徴
視覚的な特徴:
- 背景色:黒、濃いグレー、濃い青など
- 文字色:白、薄いグレー、明るい色
- アクセント色:高い彩度の色で強調
- コントラスト:適度な明暗差で視認性を確保
ダークモードが注目される理由
現代的な作業環境への対応
デジタル疲労の軽減:
- 長時間のPC作業による目の疲れ
- 夜間作業での画面のまぶしさ
- 複数モニター環境での統一感
技術的な進歩
表示技術の向上:
- OLED ディスプレイでの省電力効果
- 高解像度画面での視認性向上
- カラーマネジメントの精度向上
Excelでダークモードを設定する方法
対応バージョンの確認
サポートされているバージョン
ダークモード対応バージョン:
- Microsoft 365(旧 Office 365)
- Excel 2019以降
- Excel for Mac(バージョン16.17以降)
バージョン確認方法
確認手順:
- 「ファイル」→「アカウント」
- **「Excel について」**でバージョン確認
- 必要に応じてアップデートを実行
基本的な設定手順
Windows版での設定
詳細手順:
- Excelを開いた状態で「ファイル」をクリック
- 左下の「オプション」を選択
- 「全般」タブを確認
- 「Microsoft Office のユーザー設定」セクション
- 「Office テーマ」から希望のテーマを選択
- 「OK」をクリックして適用
選択可能なテーマオプション
テーマの種類と特徴:
テーマ名 | 背景色 | 特徴 | 適用場面 |
---|---|---|---|
カラフル | 白 | 標準の明るいテーマ | 一般的な作業 |
白 | 明るいグレー | より明るいバージョン | 高照度環境 |
濃い灰色 | 中程度のグレー | 適度なダークモード | 初心者向け |
黒 | 濃い黒/グレー | 完全なダークモード | 夜間作業 |
Mac版での設定
Mac特有の手順:
- 「Excel」メニュー→「環境設定」
- 「全般」カテゴリを選択
- 「テーマ」から希望のオプションを選択
- 変更が即座に反映される
システム設定との連携
Windows 10/11のダークモード連携
システムテーマとの同期:
- Windows設定→「個人用設定」→「色」
- 「既定のアプリモードを選択してください」
- 「ダーク」を選択
- Office アプリも自動的にダークモードに変更
macOSのダークモード連携
システム設定との同期:
- システム環境設定→「一般」
- 「外観」で「ダーク」を選択
- Excel も自動的に追従
ダークモードの制限と注意点
Excel のダークモード適用範囲
対象となる部分
ダークモードが適用される領域:
- リボンメニュー:タブやボタン
- タスクバー:ファイル名表示エリア
- サイドパネル:ナビゲーションやプロパティ
- ダイアログボックス:設定画面など
対象とならない部分
白背景のまま残る領域:
- ワークシート領域:セルの背景
- 数式バー:数式入力エリア
- ステータスバー:下部の情報表示
シート背景が白い理由
設計思想の違い
なぜシートは白いままなのか:
- データの視認性優先:数値や文字の読みやすさ
- 印刷との一貫性:紙への出力を想定
- 互換性の確保:他のユーザーとの共有
- 従来の慣習:表計算ソフトの伝統
Microsoft の方針
Office チームの設計理念:
- 作業領域とインターフェースを分離
- コンテンツの中立性を保持
- ユーザビリティを最優先
シート背景を暗くする応用テクニック
方法1:全セル背景色の変更
基本的な手順
全セル背景変更の詳細:
- 左上の「全セル選択」ボタン(△マーク)をクリック
- 「ホーム」タブ→「塗りつぶしの色」
- 濃いグレー(RGB: 64,64,64)または黒を選択
- 「フォントの色」で白または薄いグレーに変更
より詳細な色設定
カスタム色の作成:
- 「その他の色」を選択
- 「ユーザー設定」タブ
- RGB値を直接指定:
- 背景:R:32, G:32, B:32
- 文字:R:240, G:240, B:240
注意点と制限
この方法の問題点:
- 印刷時に黒背景が出力される
- ファイル共有時に他の人に影響
- セルの書式として保存される
- パフォーマンスへの軽微な影響
方法2:条件付き書式を活用
動的な背景色設定
条件付き書式での背景制御:
- 全セルを選択
- 「ホーム」→「条件付き書式」→「新しいルール」
- 「数式を使用してセルを書式設定」
- 数式:
=TRUE
(常に適用) - 背景色と文字色を設定
メリットとデメリット
条件付き書式の特徴:
- 印刷時に除外しやすい
- 後から一括変更が可能
- 計算処理に若干の負荷
- 複雑な条件との組み合わせ可能
方法3:背景画像を使用
画像背景の設定
背景画像での疑似ダークモード:
- 「ページ レイアウト」タブ→「背景」
- 濃いグレーの単色画像を選択
- または、グラデーション画像を使用
背景画像の作成
効果的な背景画像の特徴:
- 低彩度の色:目に優しい
- 適度なテクスチャ:完全な単色は避ける
- 小さなファイルサイズ:パフォーマンス重視
- タイル対応:繰り返し表示に適した設計
制限事項
背景画像方式の注意点:
- 印刷されない(基本設定では)
- パフォーマンスへの影響
- 他の背景設定との競合
- ファイルサイズの増加
方法4:テーマ色のカスタマイズ
ブックのテーマ変更
テーマレベルでの色調整:
- 「ページ レイアウト」→「テーマ」
- 「色」→「色のカスタマイズ」
- 「背景 1」を暗い色に変更
- 「テキスト 1」を明るい色に変更
効果的なカスタムテーマ
ダークテーマの推奨設定:
- 背景 1:RGB(45,45,45)
- テキスト 1:RGB(225,225,225)
- アクセント色:控えめな彩度
- ハイパーリンク:明るいブルー
ダークモードのメリット・デメリット
メリットの詳細分析
健康・快適性への効果
目の疲れ軽減:
- ブルーライトの軽減効果
- まぶしさの軽減による疲労軽減
- 夜間作業での睡眠への影響軽減
- 長時間作業での集中力維持
科学的根拠:
- 眼科学研究でのエビデンス
- デジタル疲労症候群の予防効果
- サーカディアンリズムへの配慮
技術的なメリット
バッテリー効率の向上:
- OLED ディスプレイ:最大30%の省電力
- LCD ディスプレイ:バックライト負荷軽減
- モバイル環境での作業時間延長
パフォーマンス面:
- GPU 負荷の軽減
- 熱発生の抑制
- ファン音の軽減
作業効率への影響
集中力の向上:
- 視覚的ノイズの軽減
- コントラストによる重要部分の強調
- 現代的なUIによる心理的効果
デメリットと対策
視認性に関する問題
読みやすさの課題:
- 低コントラスト環境での見づらさ
- 細かい文字の識別困難
- カラーチャートの判別問題
対策方法:
- フォントサイズの調整
- コントラスト比の最適化
- アクセシビリティ機能の活用
互換性の問題
ファイル共有時の課題:
- 印刷結果の差異
- 他のユーザーとの見た目の違い
- プレゼンテーションでの表示問題
解決策:
- 用途別の使い分け
- 共有前の確認作業
- 標準設定への切り替え手順の習得
慣れるまでの期間
適応期間の考慮:
- 初期の違和感:1-2週間程度
- 作業効率の一時的低下
- 設定の試行錯誤期間
高度なカスタマイズテクニック

VBA を使った自動切り替え
時間帯による自動切り替え
VBA コード例:
Sub AutoDarkMode()
Dim currentHour As Integer
currentHour = Hour(Now)
If currentHour >= 18 Or currentHour <= 6 Then
' ダークモードに設定
Application.Theme = "Dark Gray"
Else
' ライトモードに設定
Application.Theme = "Colorful"
End If
End Sub
作業内容による切り替え
ワークブック種類による自動判定:
Sub WorkbookTypeTheme()
If InStr(ActiveWorkbook.Name, "night") > 0 Then
Application.Theme = "Black"
End If
End Sub
アドインによる拡張
サードパーティツールの活用
おすすめアドイン:
- Dark Mode for Office:より高度な制御
- Custom UI Editor:リボンのカスタマイズ
- Office Theme Editor:詳細なテーマ編集
自作アドインの開発
アドイン開発のポイント:
- 設定の永続化
- 複数ワークブック対応
- パフォーマンス最適化
企業・組織での展開
組織レベルでの標準化
グループポリシーでの設定:
- レジストリ設定による一括展開
- ユーザー設定の統一
- セキュリティへの配慮
ユーザーサポート
導入支援の方法:
- 設定手順書の作成
- トレーニングの実施
- FAQの整備
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
問題1:ダークモードに切り替わらない
原因と対処法:
- バージョン確認:対応バージョンかチェック
- Office 更新:最新版へのアップデート
- 再起動:Excel の完全再起動
問題2:一部の機能で表示が崩れる
対処方法:
- キャッシュクリア:Office のキャッシュ削除
- アドイン無効化:競合するアドインの確認
- 設定リセット:Office 設定の初期化
問題3:印刷時に意図しない結果
解決策:
- 印刷プレビューでの事前確認
- 背景色除外の設定
- 専用印刷設定の作成
パフォーマンスの最適化
動作速度の改善
高速化のテクニック:
- 不要な視覚効果の無効化
- ハードウェアアクセラレーションの調整
- メモリ使用量の最適化
大容量ファイルでの対応
重いファイルでの注意点:
- 背景色設定によるサイズ増加
- 条件付き書式の処理負荷
- 代替手段の検討
まとめ
Excelのダークモードは、作業の快適さを大きく左右する設定のひとつです。適切に設定することで、目の疲れ軽減とともに作業効率の向上が期待できます。
主要なポイント
基本的な設定方法:
- 「ファイル」→「オプション」→「全般」
- **「Office テーマ」から「黒」または「濃い灰色」**を選択
- システム設定との連携も可能
シート背景のカスタマイズ:
- 全セル背景色の一括変更
- 条件付き書式を活用した動的制御
- 背景画像による疑似ダークモード
- テーマ色のカスタマイズ
効果的な活用のコツ:
- 用途に応じた使い分け
- 健康への配慮を重視
- パフォーマンスとのバランス
- 共有時の注意を怠らない
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