Wordを使っていると、「名前を変更したい」という場面がいくつか出てきます。
でも、「どの”名前”を変えるのか?」によって、操作方法が異なります。
この記事では、Wordで変更できる3種類の「名前」について、目的別に詳しく解説します。それぞれの変更方法を理解することで、文書管理や共有作業がより効率的になります。
急いでいる人は、以下を確認してください:
- ファイル名変更:エクスプローラーで右クリック→「名前の変更」
- 著者名変更:「ファイル」→「情報」→「プロパティ」
- ユーザー名変更:「ファイル」→「オプション」→「ユーザー設定」
Wordで変更できる「名前」の種類

3つの「名前」を理解しよう
Wordには変更できる**3種類の「名前」**があります:
ファイル名(文書の保存名)
- ファイルそのものの名前
- エクスプローラーやフォルダで表示される名前
- **「売上報告書.docx」「議事録_2024年3月.docx」**など
著者名(文書プロパティの作成者)
- 文書ファイルの内部情報として保存される名前
- ファイルのプロパティで確認できる
- 印刷時のヘッダー・フッターに表示される場合もある
ユーザー名(コメント・変更履歴の投稿者名)
- コメントや校正機能で表示される名前
- 変更履歴の作成者として記録される名前
- 共同編集時の識別に使用される
どの名前を変更すべき?目的別ガイド
ファイル管理を整理したい場合
→ ファイル名の変更
文書の作成者情報を修正したい場合
→ 著者名の変更
共同編集やコメント機能で表示される名前を変えたい場合
→ ユーザー名の変更
ファイル名を変更する方法(文書の保存名)
基本的な変更手順
エクスプローラーでの変更
手順:
- Wordを閉じる(編集中は変更できません)
- エクスプローラーでファイルがある場所を開く
- 対象のWordファイルを右クリック
- 「名前の変更」をクリック
- 新しい名前を入力
- 「Enter」キーで完了
ショートカットキーでの変更
より素早い方法:
- ファイルを選択
- F2キーを押す
- 新しい名前を入力
- 「Enter」キーで確定
ファイル名変更時の注意点
拡張子の保護
重要な注意事項:
- ファイル拡張子「.docx」や「.doc」は削除しない
- 拡張子を削除するとファイルが開けなくなる
- Windowsの設定で拡張子が非表示の場合は問題なし
使用できない文字
ファイル名で使用禁止の文字:
\ / : * ? " < > |
これらの文字はシステムで予約されているため、ファイル名には使用できません。
長さの制限
- Windows:259文字まで(パスを含む)
- 実用的な長さ:50文字程度に収めるのが推奨
効果的なファイル名の付け方
命名規則のベストプラクティス
推奨する命名パターン:
[日付]_[文書種類]_[内容]_[バージョン]
例:
2024-03-15_議事録_営業会議_v1.docx
2024-03-20_提案書_新商品企画_最終版.docx
2024-03-25_報告書_月次売上_確定.docx
組織での統一ルール
チームでの統一例:
- 日付形式:YYYY-MM-DD(並び替えが容易)
- 部門コード:SAL(営業)、DEV(開発)など
- ステータス:草案、確認中、最終版
Word文書の「著者名」を変更する方法
著者名とは
文書プロパティでの著者名
著者名の役割:
- 文書の作成者情報として保存
- 印刷時のヘッダー・フッターに表示可能
- 文書の権利関係を示す情報
- バージョン管理での作成者識別
初期設定での著者名
デフォルトの設定:
- Windowsのユーザー名が自動設定
- Microsoft アカウント名が使用される場合もある
- 初回Word起動時に設定された名前
著者名の変更手順
個別文書での著者名変更
詳細手順:
- 対象の文書を開く
- 「ファイル」タブをクリック
- 「情報」を選択
- 右側の「プロパティ」を確認
- 「プロパティの詳細表示」をクリック
- 「作成者」欄の名前をクリック
- 新しい名前を入力
- 他の欄も必要に応じて修正
- 文書を保存
変更可能なプロパティ
編集できる項目:
- 作成者:文書の作成者名
- タイトル:文書のタイトル
- 件名:文書の主題
- キーワード:検索用のキーワード
- 分類:文書の分類
- コメント:文書の説明
新規文書の既定著者名変更
ユーザー情報の変更
今後作成する文書の著者名を一括変更:
- 「ファイル」→「オプション」
- 「ユーザー設定」を選択
- 「ユーザー名」を変更
- 「頭文字」も必要に応じて変更
- 「OK」で保存
この設定により、新規作成する文書の著者名が変更されます。
著者名の活用方法
印刷での活用
ヘッダー・フッターでの表示:
- 「挿入」→「ヘッダーとフッター」
- 「文書情報」→「作成者」
- 自動的に著者名が挿入
テンプレートでの活用
会社テンプレートでの設定:
- 標準的な著者名を設定
- 部門名や会社名を著者として設定
- 複数作成者の場合の表記ルール
コメント・変更履歴の「ユーザー名」変更方法

ユーザー名の役割
共同編集での識別
ユーザー名が表示される場所:
- コメント機能の投稿者名
- 変更履歴(修正・削除・追加)の作成者
- 共同編集時のカーソル表示名
- バージョン履歴での編集者名
色分けとの関係
自動色分け機能:
- ユーザーごとに異なる色が自動割り当て
- 同じユーザー名は同じ色で表示
- 視覚的な識別が容易
ユーザー名の変更手順
Wordでのユーザー情報変更
詳細手順:
- 「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」を選択
- 「ユーザー設定」(または「全般」)をクリック
- 「ユーザー名」欄を編集
- 「頭文字」欄も必要に応じて変更
- 「OK」ボタンで保存
Microsoft アカウントとの連携
アカウント情報の影響:
- Microsoft 365使用時はアカウント名が優先される場合がある
- サインアウト状態では設定したユーザー名が使用される
- 企業アカウントでは管理者設定が優先される場合がある
既存コメント・履歴の扱い
既存データの変更制限
重要な仕様:
- すでに記録されたコメントの著者名は変更されない
- 過去の変更履歴も元の名前のまま保持
- 新しい設定は今後の操作にのみ適用
既存コメントを変更したい場合
手動での対応方法:
- 既存コメントを削除
- 新しいユーザー名で再度コメント追加
- または、コメント内容をテキストとしてコピー・再作成
組織でのユーザー名管理
統一ルールの策定
推奨する命名規則:
- 「姓 名」形式:田中 太郎
- 「部署_姓名」形式:営業_田中太郎
- 「姓名(部署)」形式:田中太郎(営業部)
匿名化の必要性
匿名化が必要な場面:
- 外部への文書提供時
- プライバシー保護が必要な場合
- 組織横断的なプロジェクトでの作業
高度な名前管理テクニック
文書の匿名化
個人情報の完全除去
文書の個人情報削除手順:
- 「ファイル」→「情報」
- 「問題のチェック」→「ドキュメント検査」
- 「検査」ボタンをクリック
- 検出された個人情報を「すべて削除」
検査される情報
自動検出される項目:
- コメント、修正、バージョン情報
- 文書プロパティと個人情報
- ヘッダー、フッター、透かし
- 非表示のテキスト
複数文書の一括変更
バッチ処理での効率化
PowerShellを使用した一括変更:
# ファイル名の一括変更例
Get-ChildItem *.docx | Rename-Item -NewName {$_.Name -replace "古い名前", "新しい名前"}
VBAマクロでの自動化
著者名の一括変更マクロ例:
Sub ChangeAuthor()
ActiveDocument.BuiltInDocumentProperties("Author") = "新しい著者名"
ActiveDocument.Save
End Sub
セキュリティとプライバシー
機密情報の保護
注意すべきポイント:
- 変更履歴には個人情報が残る可能性
- 削除したテキストも履歴に保存される
- 完全な匿名化には専用ツールが必要
企業での管理方針
組織レベルでの対策:
- 文書作成ガイドラインの策定
- テンプレートでの標準化
- 定期的な設定確認の実施
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
問題1:ファイル名が変更できない
原因と対処法:
ファイルが使用中:
- 解決法:Wordやその他のアプリを完全に終了
読み取り専用ファイル:
- 解決法:ファイルを右クリック→「プロパティ」→「読み取り専用」のチェックを外す
ファイルがロックされている:
- 解決法:ネットワーク共有の場合は管理者に確認
問題2:著者名の変更が反映されない
原因と対処法:
Microsoft アカウントでサインイン中:
- 解決法:アカウント情報が優先されるため、アカウント設定を変更
テンプレートに固定設定:
- 解決法:使用しているテンプレートの設定を確認・変更
文書が保護されている:
- 解決法:保護を解除してから変更を実行
問題3:ユーザー名変更後も古い名前が表示される
原因と対処法:
既存のコメント・履歴:
- 解決法:新しい名前は今後の操作にのみ適用されることを理解
Wordの再起動が必要:
- 解決法:設定変更後にWordを一度終了・再起動
キャッシュの影響:
- 解決法:Windowsからサインアウト・サインインで解決する場合がある
設定の確認方法
現在の設定状況の確認
ユーザー情報の確認:
- 「ファイル」→「アカウント」
- 「ユーザー情報」でサインイン状況を確認
- **「ファイル」→「オプション」→「ユーザー設定」**で詳細確認
文書プロパティの確認:
- 「ファイル」→「情報」
- 「プロパティ」で現在の設定を確認
まとめ
Wordの名前変更と一言で言っても、「ファイル名」「著者名」「ユーザー名」と複数の対象があります。それぞれの目的に応じた操作を行うことで、文書の管理や共有がスムーズになります。
主要なポイント
3つの名前変更方法:
- ファイル名を変えたい:エクスプローラーで右クリック→「名前の変更」
- 著者名を変えたい:「ファイル」→「情報」→「プロパティ」から変更
- コメント名を変えたい:「ファイル」→「オプション」→「ユーザー設定」で変更
使い分けのガイドライン:
- ファイル管理:ファイル名の変更
- 文書プロパティ:著者名の変更
- 共同編集・コメント:ユーザー名の変更
注意すべきポイント:
- 既存のコメント・履歴は新しい設定では変更されない
- ファイル拡張子は削除しないよう注意
- 組織での統一ルールがあれば事前確認が必要
効率的な活用のために
計画的なアプローチ:
- 文書作成前に適切な設定を確認
- 組織のルールに従った命名規則の採用
- 定期的な設定見直しで一貫性を保持
セキュリティへの配慮:
- 外部共有前の個人情報チェック
- 機密文書での匿名化処理
- バックアップ作成の習慣化
継続的な改善:
- 新機能の積極的な活用
- 効率的なワークフローの構築
- チーム内での知識共有
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