「毎回手で$
マークを入れるのが面倒…」
「数式をコピーすると、参照セルがずれてしまう」
そんな悩みを一瞬で解決するのが、Excelの「F4キー」による絶対参照ショートカットです。
セル参照に$
記号をつけることで、セルの位置を固定できますが、キーボード操作で効率よく指定する方法を知っておけば、作業が格段に早くなります。
この記事では、絶対参照のショートカットの使い方と注意点を実例付きで解説します。
絶対参照が必要な場面

よくある業務例
- 税率計算での税率セル固定
- 単価表での価格セル固定
- 係数計算での定数セル固定
- 参照テーブルでの検索範囲固定
絶対参照を使わないと起こる問題
- 数式コピー時に参照先がずれる
- 計算結果が意図と異なる
- エラーや#REF!が発生
- 表全体の数式を修正する手間
絶対参照の基本おさらい
Excelのセル参照には3種類あります:
種類 | 書き方 | 説明 |
---|---|---|
相対参照 | A1 | コピー時に行・列どちらも変わる |
絶対参照 | $A$1 | コピーしても行も列も固定される |
複合参照 | $A1 or A$1 | 行だけ or 列だけを固定 |
各参照の動作例
相対参照(A1)
元のセル | コピー先 | 参照の変化 |
---|---|---|
B2 | C3 | A1 → B2 |
B2 | D4 | A1 → C3 |
絶対参照($A$1)
元のセル | コピー先 | 参照の変化 |
---|---|---|
B2 | C3 | $A$1 → $A$1 |
B2 | D4 | $A$1 → $A$1 |
複合参照($A1 / A$1)
**列固定($A1)**の場合:
元のセル | コピー先 | 参照の変化 |
---|---|---|
B2 | C3 | $A1 → $A2 |
B2 | D4 | $A1 → $A3 |
F4ショートカットの使い方
基本操作
操作方法(Windows)
- 数式バーでセル参照を入力(例:
=A1*B1
) - A1などの参照を選択状態にする
- F4キーを押す
- 押すたびに参照形式が順番に変わる
変化のパターン
A1 → $A$1 → A$1 → $A1 → A1(戻る)
- 1回目:
A1
→$A$1
(絶対参照) - 2回目:
$A$1
→A$1
(行固定) - 3回目:
A$1
→$A1
(列固定) - 4回目:
$A1
→A1
(相対参照に戻る)
Mac版での操作
基本ショートカット
Command + T(または Fn + F4)
環境によって異なる場合があります:
- Excel for Mac 2016以降:
Command + T
- 一部の環境:
Fn + F4
- Touch Bar搭載Mac: 画面のF4ボタン
Macでの注意点
- システム環境設定でF4の機能を確認
- 必要に応じてFnキーと組み合わせ
- Excelの設定で確認
実践例:税率セルを固定したいとき
基本設定
A列 | B列 | C列 | D列 | E列 |
---|---|---|---|---|
商品名 | 価格 | 税込価格 | 税率 | |
商品A | 1000 | =B2*$E$1 | 1.1 | |
商品B | 1500 | =B3*$E$1 | ||
商品C | 2000 | =B4*$E$1 |
設定手順
- C2セルに
=B2*E1
と入力 - 数式バー内の
E1
部分を選択 - F4キーを押して
$E$1
に変換 - Enterで確定
- C2セルをコピーしてC3:C4に貼り付け
結果
すべての行で税率セル(E1)が正しく参照され、税込価格が正確に計算されます。
より高度な活用例

VLOOKUP関数での活用
=VLOOKUP(A2,$F$2:$H$10,3,FALSE)
- 検索値: A2(相対参照で行ごとに変化)
- 検索範囲: $F$2:$H$10(絶対参照で固定)
- 列番号: 3(固定値)
複合参照の実践例
九九表の作成
A列 | B列 | C列 | D列 |
---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | |
1 | =$A2*B$1 | =$A2*C$1 | =$A2*D$1 |
2 | =$A3*B$1 | =$A3*C$1 | =$A3*D$1 |
- $A2: 列Aは固定、行は変化
- B$1: 行1は固定、列は変化
参照テーブルでの活用
単価マスターからの価格取得
=INDEX($G$2:$G$20,MATCH(A2,$F$2:$F$20,0))
- 配列: $G$2:$G$20(絶対参照)
- 検索配列: $F$2:$F$20(絶対参照)
- 検索値: A2(相対参照)
よくある質問とトラブル対処
F4を押しても反応しません
原因と対策
ノートPCでの問題
- Fnキーとの同時押しが必要(例:
Fn + F4
) - BIOS設定でファンクションキーの動作を確認
Macでの問題
- Command + Tを試す
- システム環境設定 → キーボードで設定確認
Excel設定の問題
- Excelの言語設定を確認
- アドインの干渉をチェック
複数の参照を同時にF4で変えられますか?
基本的な制限
一度に変更できるのは1つの参照のみ
効率的な方法
- 最初の参照を選択してF4
- 次の参照を選択してF4
- 順次処理
置換機能の活用
大量の参照を変更する場合:
- Ctrl + H(置換)
- 検索:
A1
- 置換:
$A$1
- すべて置換
数式バーで選択がうまくいかない
選択のコツ
- 参照部分を正確に選択
- A1など、完全なセル参照を選択
- 範囲参照の場合は全体を選択
代替方法
- セル参照を手動で編集
- 数式の再入力
- コピー&ペーストでの修正
効率的な絶対参照の使い方

作業前の計画
固定すべき参照を事前に特定
- マスターデータの範囲
- 計算で使用する定数
- 参照テーブルの位置
テンプレート化
- よく使う数式パターンを保存
- 標準的な参照形式を決定
- チーム内での統一ルール作成
大量データでの効率化
範囲名の活用
=A2*税率
範囲名を使えば絶対参照と同じ効果が得られます。
テーブル機能の活用
=[@価格]*税率表[税率]
テーブル機能で構造化参照を使用。
パフォーマンスと保守性
計算速度への影響
絶対参照の利点
- 参照先が明確
- 計算エラーの軽減
- 保守性の向上
注意点
- 過度な絶対参照は可読性を下げる
- 必要な箇所にのみ使用
メンテナンス性の向上
分かりやすい構造
- 絶対参照を使う理由を明確に
- コメントでの説明追加
- 一貫した参照スタイル
まとめ
絶対参照は、関数や表計算を正確に行うための基本機能です。
F4ショートカットの効果
- 手作業での$入力が不要
- 作業時間の大幅短縮
- ミスの軽減
- 効率的な数式作成
活用のポイント
- F4キーで瞬時に参照形式を切り替え
- 相対・絶対・複合参照を使い分け
- 大量データでは範囲名やテーブル機能も活用
- チーム作業では統一ルールを設定
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