「Excelのプルダウン(ドロップダウンリスト)を設定して入力を統一したい」 「さらに選んだ内容によってセルの色を自動で変えたい」
こんなことを思ったことはありませんか?
よくある課題
Excel作業でこんな困った状況に遭遇することがあります:
- 進捗管理表で「未着手」「進行中」「完了」の表記がバラバラ
- 在庫管理で「充分」「少ない」「不足」の統一ができない
- 勤怠管理で「出勤」「遅刻」「欠勤」の入力ミスが多発
- 品質管理で「合格」「要確認」「不合格」の色分けができていない
プルダウン+色付けで解決できること
プルダウンリストと色付けを組み合わせることで:
入力の統一化
- 決められた選択肢からしか選べないため、表記ゆれがなくなる
- 入力ミスを大幅に削減できる
視覚的な管理
- 「未処理」なら赤:緊急度が高い
- 「処理中」なら黄色:注意が必要
- 「完了」なら緑:安心して進められる
この記事で実現できること
この記事では、以下について手順を追って詳しく解説します:
- Excelでプルダウンリスト(データの入力規則)を設定する方法
- 選んだ内容ごとに自動で色を付ける方法(条件付き書式)
- 行全体を色付けする応用テクニック
- 実際の業務で使える具体的な活用例
最後まで読めば、見やすくて使いやすいExcel管理表を作成できるようになります。
プルダウン(ドロップダウンリスト)の基本設定

プルダウンリストとは?
プルダウンリストは、あらかじめ設定した選択肢の中から値を選べる機能です。セルをクリックすると▼マークが表示され、リストから選択できます。
基本的な設定手順
手順1:設定対象のセルを選択
- プルダウンを設定したいセルをクリック
- 複数セルに設定する場合は範囲選択
- 例:B2からB10まで選択
手順2:データの入力規則を開く
- リボンメニューの「データ」タブをクリック
- 「データの入力規則」をクリック
- または「データツール」グループ内の「データの入力規則」
手順3:リスト設定
- 「設定」タブを確認
- 「入力値の種類」で「リスト」を選択
- 「元の値」欄に選択肢を入力
入力例
未処理,処理中,完了
または改行区切りで:
未処理
処理中
完了
手順4:オプション設定
推奨設定
- ☑ 「ドロップダウンリストから選択する」:チェックを入れる
- ☑ 「空白を無視する」:空白セルを許可する場合
- ☐ 「無効なデータでエラーメッセージを表示する」:厳密な制御が必要な場合
手順5:設定完了
- 「OK」ボタンをクリック
- 設定したセルをクリックして動作確認
- セルの右側に▼マークが表示される
- ▼をクリックするとリストが表示される
別シートの範囲を参照する方法
より管理しやすい設定
選択肢が多い場合や、後で変更する可能性がある場合は、別シートに選択肢を作成することをおすすめします。
手順
- 新しいシート(例:「選択肢」)を作成
- A列に選択肢を縦に入力
A1: 未処理 A2: 処理中 A3: 完了
- 元のシートでデータの入力規則を設定
- 「元の値」欄に以下を入力
選択肢!$A$1:$A$3
この方法のメリット
- 選択肢の管理が簡単:「選択肢」シートで一括管理
- 複数箇所で共有可能:同じ選択肢を複数の場所で使用
- 動的な更新:選択肢を追加すると自動で反映
名前定義を使った高度な設定
さらに効率的な管理方法
「名前の管理」機能を使うと、より柔軟な設定が可能です。
手順
- 選択肢の範囲を選択(例:A1:A3)
- 数式バーの左側の名前ボックスに名前を入力
- 例:「ステータス」
- Enter キーで確定
- データの入力規則の「元の値」に以下を入力
=ステータス
選択内容による自動色付け設定
条件付き書式の基本概念
条件付き書式は、セルの内容に応じて自動的に書式(色、フォント等)を変更する機能です。プルダウンの選択内容に応じて色を変えることができます。
基本的な色付け設定
手順1:色付け対象の選択
- 色を付けたい範囲を選択
- プルダウンを設定したセル範囲(例:B2:B10)
手順2:条件付き書式を開く
- 「ホーム」タブをクリック
- 「条件付き書式」をクリック
- 「新しいルール」を選択
手順3:ルールの種類を選択
- 「指定の値を含むセルだけを書式設定」を選択
- 条件を「次の文字列」「次と等しい」に設定
- テキストボックスに「未処理」と入力
手順4:書式設定
- 「書式」ボタンをクリック
- 「塗りつぶし」タブを選択
- 赤色を選択
- 「OK」で確定
手順5:他の条件も設定
「処理中」を黄色に設定
- 同様の手順で新しいルールを作成
- 条件:「処理中」
- 色:黄色
「完了」を緑色に設定
- 同様の手順で新しいルールを作成
- 条件:「完了」
- 色:緑色
複数の条件を一度に設定する方法
より効率的な設定手順
複数の条件を設定する場合、「ルールの管理」を活用すると効率的です。
手順
- 条件付き書式 → ルールの管理
- 「新規ルール」で最初の条件を設定
- 「新規ルール」で2番目の条件を設定
- ルール一覧で優先順位を確認・調整
数式を使った高度な条件設定
より柔軟な条件指定
「数式を使用してセルを書式設定」を選択すると、より複雑な条件を設定できます。
例:大文字小文字を区別しない設定
=UPPER($B2)="未処理"
例:部分一致での条件設定
=ISNUMBER(FIND("処理",$B2))
「処理」を含む文字列(「未処理」「処理中」等)に色を付ける。
行全体を色付けする応用テクニック

行全体のハイライト
特定の列の値に応じて、行全体に色を付ける方法です。
設定手順
- 色を付けたい行範囲を選択
- 例:A2:E10(A列からE列、2行目から10行目)
- 条件付き書式 → 新しいルール
- 「数式を使用してセルを書式設定」を選択
- 数式を入力
=$B2="未処理"
- 書式で赤色を設定
数式の解説
- $B2:B列(プルダウンのある列)を参照
- $マーク:列固定(行は相対参照のまま)
- =”未処理”:条件(B列が「未処理」と等しい)
複数条件での行ハイライト
処理中の行を黄色に
=$B2="処理中"
完了の行を緑色に
=$B2="完了"
交互の色付け(縞模様)との組み合わせ
見やすい表の作成
行全体の色付けと交互の色付けを組み合わせると、より見やすい表になります。
設定手順
- まず交互の色付けを設定
- ホーム → テーブルとして書式設定
- または 条件付き書式 → 新しいルール
- その後に状況別の色付けを設定
- 優先順位で状況別を上位に設定
実際の業務での活用例
プロジェクト進捗管理表
基本構成
プロジェクト名 | 担当者 | ステータス | 期限 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Webサイト更新 | 田中 | [プルダウン] | 2024/03/31 | |
システム改修 | 佐藤 | [プルダウン] | 2024/04/15 |
プルダウン設定
選択肢:未着手,計画中,実行中,レビュー中,完了,保留
色付け設定
ステータス | 色 | 意味 |
---|---|---|
未着手 | 赤 | 緊急対応が必要 |
計画中 | オレンジ | 計画策定中 |
実行中 | 黄 | 作業進行中 |
レビュー中 | 青 | 確認・承認待ち |
完了 | 緑 | 完了済み |
保留 | グレー | 一時停止 |
在庫管理表
基本構成
商品名 | 現在庫数 | 在庫状況 | 発注日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
商品A | 50 | [プルダウン] | ||
商品B | 5 | [プルダウン] |
プルダウン設定
選択肢:充足,やや不足,不足,緊急発注
数式による自動判定
在庫数に応じて自動的にステータスを設定:
=IF(B2>=50,"充足",IF(B2>=20,"やや不足",IF(B2>=10,"不足","緊急発注")))
顧客対応状況管理
基本構成
顧客名 | 問い合わせ内容 | 対応状況 | 担当者 | 期限 |
---|---|---|---|---|
A社 | システム不具合 | [プルダウン] | 田中 | 2024/03/25 |
B社 | 仕様変更依頼 | [プルダウン] | 佐藤 | 2024/03/30 |
プルダウン設定
選択肢:受付,調査中,対応中,顧客確認待ち,完了,エスカレーション
期限との組み合わせ
期限が近い(3日以内)で未完了の場合は、より強い色でハイライト:
=AND($C2<>"完了",TODAY()>$E2-3)
品質管理チェックリスト
基本構成
検査項目 | 基準値 | 実測値 | 判定 | 備考 |
---|---|---|---|---|
寸法 | 100±2mm | 101.5mm | [プルダウン] | |
重量 | 500±10g | 495g | [プルダウン] |
プルダウン設定
選択肢:合格,要注意,不合格,再検査
自動判定の組み込み
実測値と基準値を比較して自動判定:
=IF(ABS(C2-B2)<=2,"合格",IF(ABS(C2-B2)<=5,"要注意","不合格"))
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
Q. プルダウンが表示されない
原因1:データの入力規則が正しく設定されていない
確認方法
- 対象セルを選択
- データ → データの入力規則で設定を確認
- 「入力値の種類」が「リスト」になっているか確認
原因2:シートが保護されている
解決方法
- 校閲 → シートの保護を解除
- または保護設定でセルの編集を許可
Q. 色が変わらない
原因1:条件付き書式の条件が間違っている
確認方法
- ホーム → 条件付き書式 → ルールの管理
- 条件の文字列が完全に一致しているか確認
- 全角・半角、大文字・小文字の違いに注意
原因2:条件付き書式の優先順位
解決方法
- ルールの管理で優先順位を確認
- より具体的な条件を上位に配置
Q. プルダウンの選択肢を変更したい
方法1:直接編集
- データ → データの入力規則
- 「元の値」を修正
方法2:参照範囲の変更
- 参照先のセル範囲で選択肢を修正
- 自動的に反映される
エラーメッセージへの対処
「この値は、セルに定義されたデータ入力規則の制限に適合しません」
原因:プルダウンの選択肢以外の値を入力しようとした
解決方法
- プルダウンから正しい値を選択
- または入力規則を修正して該当値を追加
条件付き書式が適用されない
原因:数式にエラーがある
確認方法
- 条件の数式を別セルで試す
- TRUEまたはFALSEが返されるか確認
- セル参照が正しいか確認
効率化のコツとベストプラクティス

テンプレート化
標準フォーマットの作成
よく使うパターンをテンプレートとして保存:
- プルダウンと色付けを設定した表を作成
- 「名前を付けて保存」でテンプレートとして保存
- 新しいプロジェクトで再利用
選択肢の標準化
組織内で使用する選択肢を統一:
- ステータス:未着手,計画中,実行中,完了,保留
- 優先度:高,中,低
- 評価:A,B,C,D
保守性の向上
選択肢の一元管理
- 「マスタ」シートを作成
- すべての選択肢を一箇所で管理
- 各表は参照で設定
名前定義の活用
ステータス_選択肢 = マスタ!$A$1:$A$6
優先度_選択肢 = マスタ!$B$1:$B$3
チーム作業での注意点
ファイル共有時の考慮事項
- 条件付き書式の互換性:古いExcelバージョンとの互換性
- 色の統一:チーム内でのルール統一
- 権限設定:プルダウン設定の変更権限
操作方法の共有
- 設定手順書の作成
- 色の意味の明記
- 操作研修の実施
より高度な活用方法
VBAを使った自動化
自動色付けマクロ
Private Sub Worksheet_Change(ByVal Target As Range)
If Target.Column = 2 Then ' B列の変更を監視
Select Case Target.Value
Case "未処理"
Target.Interior.Color = RGB(255, 200, 200) ' 赤系
Case "処理中"
Target.Interior.Color = RGB(255, 255, 200) ' 黄系
Case "完了"
Target.Interior.Color = RGB(200, 255, 200) ' 緑系
End Select
End If
End Sub
条件付き書式の数式活用
複雑な条件の組み合わせ
期限切れで未完了の項目を強調
=AND($C2<>"完了",$D2<TODAY())
担当者別の色分け
=AND($B2="田中",$C2="実行中")
データの可視化
グラフとの連携
プルダウンの集計結果をグラフで表示:
- COUNTIF関数でステータス別の集計
=COUNTIF($C$2:$C$10,"完了")
- 円グラフで進捗状況を可視化
まとめ
Excelでプルダウン設定と色付けを行う方法について、重要なポイントをまとめます:
基本的な設定手順
- プルダウンリスト設定
- データ → データの入力規則 → リスト
- 選択肢をカンマ区切りまたは範囲参照で指定
- 自動色付け設定
- ホーム → 条件付き書式 → 新しいルール
- 「指定の値を含むセルだけを書式設定」で条件と色を指定
効果的な活用方法
業務での活用場面
- プロジェクト進捗管理
- 在庫状況の可視化
- 顧客対応状況の追跡
- 品質管理チェック
設定のコツ
- 選択肢は分かりやすく統一する
- 色は直感的な意味に合わせる(赤=注意、緑=安全等)
- 参照範囲を使って保守性を向上させる
トラブル回避のポイント
- 文字列の完全一致:全角・半角、大文字・小文字に注意
- 条件の優先順位:より具体的な条件を上位に配置
- 範囲の確認:プルダウンと条件付き書式の対象範囲を一致させる
効率化のテクニック
- テンプレート化で再利用性を向上
- 名前定義で管理を簡素化
- VBAでさらなる自動化
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