「パスワードを何回か間違えたら、アカウントがロックされてしまった!」
「Windowsにログインできず、仕事や作業が止まって困っている…」
こうした経験は意外と多いものです。
これはセキュリティを守るための仕組みですが、いざ自分がロックアウトされると慌ててしまいますよね。
この記事では、Windowsでロックアウトされた場合にどうやって解除するのか、さらに二度とロックアウトしないための予防策まで分かりやすく解説します。
ロックアウトってどういう状態?

ロックアウトとは
Windowsでは、一定回数パスワードを間違えると、セキュリティ対策としてアカウントが一時的にロックされる設定があります。このことを「アカウントロックアウト」と呼びます。
セキュリティの仕組み
- 不正アクセスを防ぐための保護機能
- パスワード総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)を防ぐ
- 一定回数の失敗で自動的に発動
- 時間経過または管理者操作で解除可能
どんなときに起きる?
よくある原因
パスワード入力ミス
- 新しいパスワードに変更したが、古いものを覚えている
- 大文字・小文字の入力間違い
- NumLockの状態でテンキーの数字が入力できない
- 日本語入力モードになっている
自動接続の失敗
- 共有フォルダに保存された古いパスワードで接続を試みる
- メールソフトが古いパスワードで認証を試行
- VPN接続で古い設定が残っている
- 同期ソフト(OneDrive、Dropboxなど)の認証エラー
複数デバイスからの接続
- スマホのアプリが古いパスワードを記憶
- 別のパソコンから同じアカウントにアクセス
- タブレットやその他の機器からの失敗
ロックアウトの種類
ローカルアカウント
家庭用PCで多い形式:
- 基本的にはその場でやり直し可能
- PINやWindows Helloがロックされることはある
- 重大なセキュリティ違反でのみ完全ロック
ドメインアカウント(Active Directory)
職場や学校で多い形式:
- サーバー側でロックアウト設定が管理される
- 一定時間または管理者による解除が必要
- より厳格なセキュリティポリシー
Microsoft アカウント
クラウドで管理される形式:
- オンラインでのロックアウト管理
- セキュリティコードや別の認証方法で解除
- 複数デバイスでの同期に影響
この章のまとめ
ロックアウトはセキュリティを守る大切な仕組みです。原因を理解することで、適切な対処法を選ぶことができます。次は具体的な解除方法を見ていきましょう。
Windowsでロックアウトを解除する方法
少し時間を置いて待つ(最も基本的な方法)
自動解除の仕組み
多くのWindows環境(特にActive Directoryで管理されている職場PC)では、一定時間が経つと自動で解除されます。
一般的な設定例:
- 15分後に自動解除
- 30分後に自動解除
- 60分後に自動解除
待っている間にできること
- 正しいパスワードを確認
- 他のデバイスでの自動接続を停止
- ネットワーク接続を確認
- 管理者への連絡準備
注意点
- 追加の失敗をするとロック時間が延長される場合がある
- 何度も試すのは逆効果
- 焦らず冷静に待つことが重要
ネットワーク接続を確認する
なぜネットワークが重要?
会社のドメインPCでは、**ネットワーク(LANやVPN)**につながっていないとロック解除のポリシーが適用されないことがあります。
確認手順
- 有線LANのケーブルが抜けていないか確認
- Wi-Fiが正しく接続されているか確認
- VPNが必要な場合は接続状態を確認
- インターネットにアクセスできるかテスト
よくある問題と対処法
Wi-Fiが切れている場合:
- ネットワーク一覧から再接続
- ルーターの再起動を試す
- 別のWi-Fiがあれば試す
VPNが必要な場合:
- VPN接続を先に確立
- 会社のIT部門に接続方法を確認
- モバイル回線での接続も検討
管理者に解除してもらう
職場や学校の場合
IT管理者に頼むのが最も確実です。管理者はサーバー側でアカウントを解除できます。
連絡時に伝える情報
- ユーザー名(ログインID)
- ロックアウトが発生した時刻
- エラーメッセージの内容
- 使用していたパソコンの名前や場所
管理者側の解除方法
Active Directoryの場合:
- **「Active Directory Users and Computers」**を開く
- 該当ユーザーを右クリック
- **「プロパティ」**を選択
- **「アカウント」タブで「アカウントのロックアウトを解除する」**をチェック
- **「OK」**で解除完了
PowerShellコマンド:
Unlock-ADAccount -Identity "ユーザー名"
サインインオプションを試す
PINやWindows Helloがロックされた場合
家庭用PCではパスワード以外の認証方法がロックされることがあります。
代替サインイン方法
- ログイン画面で**「サインインオプション」**をクリック
- 以下の方法を試す:
- パスワード
- PIN
- 指紋認証
- 顔認証
- セキュリティキー
具体的な手順
PIN がロックされた場合:
- **「PIN」の下の「サインインオプション」**をクリック
- **「パスワード」**アイコンを選択
- Microsoft アカウントまたはローカルアカウントのパスワードを入力
Windows Hello がロックされた場合:
- 認証に数回失敗すると代替方法が表示される
- **「PIN を使用」または「パスワードを使用」**を選択
- 正しい認証情報を入力
Microsoft アカウントの場合
オンラインでの解除
Microsoft アカウントでロックされた場合は、別のデバイスからオンラインで解除できることがあります。
手順
- 別のデバイスでMicrosoft アカウントのサインインページにアクセス
- **「アカウントにアクセスできない場合」**をクリック
- セキュリティコードを受け取る方法を選択:
- SMS
- メール
- 認証アプリ
- 受け取ったコードを入力してアカウントを回復
二段階認証の活用
- 認証アプリ(Microsoft Authenticator など)
- SMSによる認証コード
- バックアップコード
緊急時のアクセス方法
セーフモードでの起動
Windows が起動しない場合:
- 電源ボタンを長押しして強制終了
- 再起動時にF8キーまたはShift + F8キーを連打
- **「セーフモード」**を選択
- 管理者アカウントでログイン
システム復元
最近の変更が原因の場合:
- セーフモードで起動
- **「システムの復元」**を実行
- 問題が起きる前の日付に復元
パスワードリセットディスク
事前に作成していた場合:
- ログイン画面で**「パスワードのリセット」**をクリック
- リセットディスクを挿入
- 新しいパスワードを設定
この章のまとめ
ロックアウトの解除方法は環境によって異なります。まずは時間を置くことから始めて、ネットワーク確認、管理者への依頼、代替サインイン方法の順で試してみましょう。
ロックアウトを防ぐための対策

パスワード管理の改善
安全で確実な管理方法
パスワード管理ソフトの活用:
- 1Password:多機能で使いやすい
- Bitwarden:無料版も充実
- LastPass:ブラウザ連携が便利
- Keeper:ビジネス向け機能が豊富
パスワード作成のコツ
強いパスワードの条件:
- 12文字以上の長さ
- 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせ
- 辞書にない文字列
- 個人情報を含まない
覚えやすい作成方法:
- 文章の頭文字を使用(例:「私は毎朝7時に起きる」→「WwM7jio」)
- 置き換えを活用(例:「password」→「p@ssw0rd」)
- 段階的な変更(例:「mypassword2024」→「mypassword2025」)
古いパスワード情報のクリーンアップ
保存されたパスワードの確認場所
Windows資格情報マネージャー:
- **「コントロールパネル」**を開く
- **「資格情報マネージャー」**をクリック
- **「Windows資格情報」と「Web資格情報」**をチェック
- 古い情報を削除
ブラウザの保存パスワード:
- Chrome:設定 → 自動入力 → パスワード
- Edge:設定 → プロファイル → パスワード
- Firefox:設定 → プライバシーとセキュリティ → ログインとパスワード
共有フォルダの接続情報
ネットワークドライブ:
- **「エクスプローラー」**を開く
- **「PC」**を右クリック
- **「ネットワークドライブの割り当て」**で設定確認
- 古い接続を削除して再設定
デバイス間での同期設定
スマートフォンの設定見直し
よくある問題箇所:
- メールアプリの認証情報
- OneDriveやGoogleドライブの同期設定
- VPNアプリの保存情報
- リモートデスクトップアプリ
更新手順
- 各アプリの設定を開く
- アカウント情報を確認
- 古いパスワードがあれば新しいものに更新
- 同期テストを実行
セキュリティ設定の調整
アカウントロックアウトポリシーの確認
企業環境の場合:
- IT部門にポリシー内容を確認
- 失敗回数の上限を把握
- ロック時間を確認
- 例外設定があるか確認
二段階認証の設定
Microsoft アカウント:
- アカウント設定にアクセス
- **「セキュリティ」**タブを選択
- **「2段階認証」**を有効化
- 認証アプリまたはSMSを設定
メリット:
- パスワード単体での不正アクセスを防ぐ
- 複数の認証方法でリスク分散
- セキュリティ向上
定期的なメンテナンス
月次チェックリスト
- [ ] 保存パスワードの見直し
- [ ] 未使用アプリの削除
- [ ] ネットワーク設定の確認
- [ ] セキュリティ更新の適用
パスワード変更のタイミング
推奨される変更頻度:
- 重要なアカウント:3~6ヶ月
- 一般的なアカウント:6~12ヶ月
- 侵害の疑いがある場合:即座に変更
この章のまとめ
予防策をしっかりと実施することで、ロックアウトのリスクを大幅に減らすことができます。特に古いパスワード情報の削除と適切な管理ツールの使用が重要です。
環境別の詳細対処法
家庭用PC(ローカルアカウント)
特徴
- ロックアウトポリシーが緩い
- その場での復旧が可能な場合が多い
- PINやWindows Helloのロックが主な問題
対処法
PIN ロック解除:
- **「PIN を忘れた場合」**をクリック
- Microsoft アカウントのパスワードを入力
- 新しい PINを設定
パスワードヒント活用:
- ログイン画面で**「パスワードヒント」**をクリック
- 設定したヒントを確認
- 思い出したパスワードを入力
職場PC(Active Directory)
特徴
- 厳格なセキュリティポリシー
- 管理者による集中管理
- 自動解除時間が設定されている
詳細な解除手順
管理者向けコマンド:
# 特定ユーザーのロックアウト状態確認
Get-ADUser -Identity "username" -Properties LockedOut
# ロックアウト解除
Unlock-ADAccount -Identity "username"
# ロックアウト履歴確認
Search-ADAccount -LockedOut
ユーザー側でできること:
- ネットワーク接続の確認
- VPN接続の確立
- 別の認証方法の試行(可能な場合)
リモートワーク環境
特有の問題
- VPN経由でのアクセス
- 家庭のネットワークからの接続
- 会社リソースへの間接アクセス
対処法
VPN 接続の確認:
- VPN クライアントを起動
- 接続状態を確認
- 再接続を試行
- IT 部門に接続設定を確認
リモートデスクトップの場合:
- ローカル PCでのロックアウト解除
- リモート先への再接続
- 代替接続方法の使用
クラウド環境(Microsoft 365)
オンライン管理
管理者ポータル:
- Microsoft 365 管理センターにアクセス
- 「ユーザー」→「アクティブなユーザー」
- 該当ユーザーを選択
- **「サインインをブロック」**の設定を確認
PowerShell での管理:
# Azure AD PowerShell モジュールを使用
Set-AzureADUser -ObjectId "user@domain.com" -AccountEnabled $true
トラブルシューティング

よくあるエラーメッセージ
「アカウントがロックアウトされています」
原因:
- パスワード入力の失敗
- 自動認証の失敗
- セキュリティポリシーの発動
対処法:
- 時間を置いて待つ
- 管理者に連絡
- ネットワーク接続を確認
「資格情報が正しくありません」
原因:
- パスワードの入力ミス
- アカウント情報の変更
- キーボード設定の問題
対処法:
- Caps Lockの状態確認
- NumLockの状態確認
- 日本語入力モードの確認
- 別のキーボードでの入力
緊急時の対応
重要な作業が止まっている場合
優先順位:
- 管理者への即座の連絡
- 代替アカウントの使用(可能な場合)
- 別のデバイスからのアクセス
- オフライン作業への切り替え
データ損失を防ぐために
- 定期的なバックアップ
- クラウド同期の活用
- 複数デバイスでの作業環境準備
予防的な対策
システム管理者向け
ポリシー設定の最適化:
- 適切なロックアウト閾値設定
- 自動解除時間の調整
- 例外アカウントの準備
- 監視とアラートの設定
エンドユーザー向け
日常的な注意点:
- パスワードの確実な記録
- 定期的な動作確認
- 複数認証方法の準備
- IT部門との連携
まとめ
Windowsのロックアウトはセキュリティのための大切な仕組みですが、いざ自分がロックされると焦ってしまいます。
解除方法の優先順位
- 自動解除を待つ(15~30分程度)
- ネットワーク接続を確認する
- 管理者に解除依頼する
- 代替サインイン方法を試す
- Microsoft アカウントをオンラインで回復
予防策のポイント
- パスワード管理ツールの活用
- 古い認証情報の定期的な削除
- 複数認証方法の設定
- 定期的なメンテナンス
環境別の重要ポイント
家庭用PC:
- PINやWindows Helloの代替方法準備
- パスワードリセットディスクの作成
職場PC:
- IT部門との連携体制構築
- VPN接続の安定化
リモートワーク:
- 複数の接続経路確保
- ローカル・リモート両方での認証準備
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