- 「Excelでプルダウンリストを作ったけど、あとから選択肢を変えたい」
- 「新しい項目を追加したいけど、どうやるの?」
- 「不要な選択肢を削除したいのに方法がわからない」
- 「複数のセルに設定したプルダウンを一括で変更したい」
こんな悩みを持っていませんか?
Excelのプルダウンリスト(ドロップダウンリスト)はとても便利ですが、作った後に内容を変える方法が分からず困る人が多い機能でもあります。
実際の業務では、状況に応じて選択肢を追加・削除・変更する必要が頻繁に発生します。例えば、プロジェクトの進捗管理で新しいステータスが必要になったり、商品リストに新商品を追加したりする場面です。
この記事では、Excelのプルダウンリストをあとから編集する方法を、初心者でもわかるよう段階別に詳しく解説します。
まず確認:プルダウンの作成方法を把握しよう

プルダウンリストの3つの作成パターン
Excelのプルダウンリストは、主に以下の3つの方法で作成されます。編集方法が異なるため、まずはどの方法で作られているかを確認することが重要です。
作成方法 | 特徴 | 編集の難易度 | 用途 |
---|---|---|---|
直接入力タイプ | カンマ区切りで直接入力<br>例:未処理,処理中,完了 | ⭐⭐⭐ 簡単 | 少ない選択肢<br>固定的なリスト |
別シート参照タイプ | 別シートのセル範囲を参照<br>例:=リスト!$A$1:$A$3 | ⭐⭐ 普通 | 中〜大量の選択肢<br>頻繁に変更 |
名前定義タイプ | 名前を定義して参照<br>例:=ステータス一覧 | ⭐ 最も楽 | 複数箇所で使用<br>管理しやすさ重視 |
現在の設定を確認する方法
手順:
- プルダウンが設定されているセルをクリック
- **「データ」タブ → 「データの入力規則」**をクリック
- 「元の値」欄を確認
表示内容による判別:
// 直接入力タイプ
赤,青,黄,緑
// 別シート参照タイプ
=Sheet2!$A$1:$A$4
=リスト!$A$1:$A$10
// 名前定義タイプ
=色リスト
=商品マスタ
自分のプルダウンがどのタイプかを確認したら、対応する編集方法に進みましょう。
パターン1:直接入力タイプの編集方法
基本的な編集手順
ステップ1:データの入力規則を開く
- 編集したいプルダウンセルをクリック
- **「データ」タブ → 「データの入力規則」**をクリック
ステップ2:選択肢を編集
- 「元の値」欄に表示されているテキストを編集
- 項目はカンマ(,)で区切る
編集例:
Before(元の設定):
未処理,処理中,完了
After(編集後):
未処理,処理中,完了,キャンセル,保留
ステップ3:設定を保存
- 「OK」ボタンをクリック
- プルダウンリストが即座に更新される
実用的な編集パターン
選択肢を追加する
既存: A,B,C
追加後: A,B,C,D,E
// 元の値欄で編集
A,B,C,D,E
選択肢を削除する
既存: 赤,青,黄,緑,紫
削除後: 赤,青,緑
(黄と紫を削除)
// 元の値欄で編集
赤,青,緑
選択肢を変更する
既存: 低,中,高
変更後: 低優先度,中優先度,高優先度
// 元の値欄で編集
低優先度,中優先度,高優先度
順序を変更する
既存: 完了,処理中,未処理
変更後: 未処理,処理中,完了
(論理的な順序に)
// 元の値欄で編集
未処理,処理中,完了
複数セルに同じプルダウンがある場合
問題: 直接入力タイプでは、各セルが独立しているため、一つ一つ編集する必要があります。
効率的な対処法:
方法1:セル範囲を選択して一括設定
- 編集したいプルダウンセルをすべて選択(Ctrl+クリックで複数選択)
- 「データ」→「データの入力規則」
- 新しい選択肢を入力
- **「OK」**で一括適用
方法2:コピー&ペーストで複製
- 編集済みのプルダウンセルをコピー(Ctrl+C)
- 他のプルダウンセルを選択
- 「ホーム」→「貼り付け」→「形式を選択して貼り付け」
- 「入力規則」にチェック→「OK」
パターン2:別シート参照タイプの編集方法
より柔軟で効率的な編集
別シートでリストを管理している場合は、そのシートを直接編集するだけでプルダウンが自動更新されます。
基本的な編集手順
ステップ1:参照先シートを開く
- プルダウンの設定を確認(例:
=リスト!$A$1:$A$5
) - 「リスト」シートを開く
ステップ2:リストを編集
選択肢を追加する場合:
// 元のリスト(A1:A3)
A1: 未処理
A2: 処理中
A3: 完了
// 追加後(A1:A5)
A1: 未処理
A2: 処理中
A3: 完了
A4: キャンセル ← 新規追加
A5: 保留 ← 新規追加
ステップ3:参照範囲を拡張(必要な場合)
- 元のプルダウンセルに戻る
- 「データ」→「データの入力規則」
- 「元の値」を
=リスト!$A$1:$A$5
に変更 - 「OK」で確定
自動で範囲が拡張される設定
動的範囲の作成(Excel 365/2021):
// OFFSET関数を使用
=リスト!$A$1:OFFSET(リスト!$A$1,COUNTA(リスト!$A:$A)-1,0)
// Excel 365のスピル範囲
=リスト!$A$1#
従来バージョンでの対処法:
// あらかじめ大きめの範囲を設定
=リスト!$A$1:$A$100
// ただし、空白行がプルダウンに表示される問題があります
よく使う実用例
プロジェクト管理での活用
リストシートの構成例:
A列:ステータス
A1: 計画中
A2: 実行中
A3: レビュー中
A4: 完了
A5: 中断
B列:優先度
B1: 高
B2: 中
B3: 低
C列:担当部署
C1: 営業部
C2: 開発部
C3: 企画部
プルダウン設定:
- ステータス:
=リスト!$A$1:$A$5
- 優先度:
=リスト!$B$1:$B$3
- 担当部署:
=リスト!$C$1:$C$3
商品管理での活用
カテゴリ別商品リスト:
A列:カテゴリ
A1: 家電
A2: 服飾
A3: 食品
A4: 書籍
B列:家電商品
B1: テレビ
B2: 冷蔵庫
B3: 洗濯機
C列:服飾商品
C1: シャツ
C2: パンツ
C3: 靴
パターン3:名前定義タイプの編集方法

最も管理しやすい方法
名前定義を使用している場合は、名前の管理から範囲を変更するだけで、全ての関連プルダウンが自動更新されます。
名前定義の確認と編集
ステップ1:名前の管理を開く
- **「数式」タブ → 「名前の管理」**をクリック
- 定義されている名前の一覧を確認
ステップ2:範囲を編集
- 編集したい名前を選択
- 「編集」ボタンをクリック
- 「参照範囲」を変更
編集例:
// 元の設定
名前:ステータス一覧
参照範囲:=リスト!$A$1:$A$3
// 編集後
名前:ステータス一覧
参照範囲:=リスト!$A$1:$A$6
ステップ3:変更を適用
- 「OK」をクリック
- 「閉じる」で名前の管理を終了
- 全ての関連プルダウンが自動更新される
動的な名前定義の作成
OFFSET関数を使った自動拡張:
// 名前:動的ステータス
// 参照範囲:
=OFFSET(リスト!$A$1,0,0,COUNTA(リスト!$A:$A),1)
この設定の効果:
- リストシートにデータを追加すると自動で範囲拡張
- 手動での範囲変更が不要
- 空白行は自動的に除外
テーブル機能との組み合わせ
ステップ1:リストをテーブル化
- リストデータを選択
- 「挿入」→「テーブル」
- テーブル名を設定(例:商品マスタ)
ステップ2:テーブル列を参照
// プルダウンの元の値
=商品マスタ[商品名]
メリット:
- テーブルにデータを追加すると自動でプルダウンに反映
- 重複データの自動除去
- 並び替えやフィルター機能との連携
高度な編集テクニック
条件付きプルダウン(連動リスト)
2段階のプルダウン例:
1段階目:カテゴリ選択
元の値:=カテゴリ一覧
2段階目:商品選択(カテゴリに応じて変化)
元の値:=INDIRECT(A2&"商品")
設定の詳細:
// 名前定義
家電商品:=商品!$B$1:$B$10
服飾商品:=商品!$C$1:$C$8
食品商品:=商品!$D$1:$D$15
// A2が"家電"なら"家電商品"の範囲を参照
重複除去と並び替え
UNIQUE関数を使った重複除去(Excel 365):
=UNIQUE(SORT(リスト!$A$2:$A$100))
従来バージョンでの対処:
- データ範囲を選択
- 「データ」→「重複の削除」
- 「データ」→「並び替え」
検索可能なプルダウン
Excel 365での設定:
- プルダウンセルを選択
- 「データ」→「データの入力規則」
- 「ドロップダウンリストから選択する」にチェック
- 「ユーザーが入力時に候補を検索できるようにする」をオン
よくある問題と解決方法
問題1:エラーメッセージが表示される
エラー例:
- “この値は、このセルに定義されているデータ入力規則の制限を満たしていません”
原因と解決策:
原因A:参照先シートが削除・移動された
解決策:
1. 新しい正しい参照範囲を設定
2. または、シート名を元に戻す
原因B:セル内に無効な値が残っている
解決策:
1. セル内容を削除
2. プルダウンから正しい値を選択
3. または、エラーメッセージを無効化
問題2:プルダウンに空白行が表示される
原因: 参照範囲に空白セルが含まれている
解決策:
// 空白を除外する数式
=FILTER(リスト!$A$1:$A$100,リスト!$A$1:$A$100<>"")
// または、範囲を縮小
=リスト!$A$1:$A$5 // 必要な分だけに限定
問題3:大量のデータで動作が重い
原因: 過度に大きな参照範囲や複雑な数式
対処法:
1. 参照範囲を必要最小限に限定
2. 計算方法を「手動」に設定
3. 複雑な動的範囲を避け、固定範囲を使用
4. テーブル機能を活用
問題4:他のユーザーがリストを勝手に変更してしまう
対処法:
1. リストシートを非表示にする
2. シートに保護を設定
3. セルにロックを設定
4. 編集権限を制限
効率的な管理のベストプラクティス

1. 一元管理の徹底
リスト専用シートの作成:
シート名:マスタデータ
A列:ステータス一覧
B列:部署一覧
C列:商品カテゴリ
D列:優先度一覧
メリット:
- 全てのプルダウンを一箇所で管理
- 重複や不整合の防止
- 更新作業の効率化
2. 命名規則の統一
名前定義の例:
lst_Status // ステータス一覧
lst_Department // 部署一覧
lst_Priority // 優先度一覧
lst_Category // カテゴリ一覧
3. ドキュメント化
管理表の作成例:
プルダウン名 | 設置場所 | 参照範囲 | 最終更新 | 更新者 |
---|---|---|---|---|
ステータス | A列 | マスタ!A1:A5 | 2024/12/15 | 田中 |
部署 | B列 | マスタ!B1:B8 | 2024/12/10 | 佐藤 |
4. 定期的なメンテナンス
チェック項目:
- [ ] 不要な選択肢の削除
- [ ] 新しい選択肢の追加検討
- [ ] 重複データの確認
- [ ] リンク切れの確認
- [ ] パフォーマンスの確認
まとめ:用途に応じた最適な編集方法を選ぼう
Excelのプルダウンリスト編集は、作成方法によってアプローチが大きく異なります。
編集方法の選択指針
直接入力タイプ:
- ✅ 小規模で固定的なリスト
- ✅ 簡単な設定で済む
- ❌ 大量のプルダウンがあると管理が大変
別シート参照タイプ:
- ✅ 中〜大規模なリスト
- ✅ 頻繁な更新が必要
- ✅ データの一元管理
名前定義タイプ:
- ✅ 複数箇所で同じリストを使用
- ✅ 最も管理しやすい
- ✅ 高度な機能との組み合わせ
効率的な運用のコツ
計画段階:
- 将来の拡張性を考慮して作成方法を選択
- チーム内でのルールを事前に決定
- 管理者と更新頻度を明確化
運用段階:
- 定期的なレビューと最適化
- ユーザーからのフィードバック収集
- トラブル時の対応手順を整備
メンテナンス:
- 不要な選択肢の削除
- 新規追加の検討
- データ品質の維持
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