「最近パソコンの動きが遅い」
「エラーがよく出る」
そんなときに試したいのが、Windowsのリセットです。
リセットを行うとWindowsを初期状態に近い形に戻せるので、多くのトラブルをまとめて解消できます。でも「データは消えるの?」「難しいんじゃない?」と不安に感じる方も多いはず。
この記事では、Windowsをリセットする基本的な方法や、リセット前にやっておきたい大事なポイントをわかりやすく解説します。
Windowsのリセットとは?基本を理解しよう

リセット機能の概要
Windowsリセットの基本概念
Windowsリセット パソコンを買ったときのような初期状態に戻す機能のことです。長年使ったパソコンに溜まった不要なファイルや設定をきれいにして、新品のような動作を取り戻せます。
なぜリセットが効果的なの?
パソコンが重くなる原因
- 不要なアプリやファイルの蓄積
- レジストリの肥大化と断片化
- 一時ファイルやキャッシュの蓄積
- ドライバーの競合やエラー
リセットで解決できる問題
- 動作が遅い、重い
- よくフリーズする
- エラーメッセージが頻繁に出る
- 謎の動作やバグが発生する
身近な例で理解する
部屋の大掃除に例えると
- 普段の掃除:不要なファイルの削除
- 大掃除:リセット(全部出して整理し直し)
- 新築への引っ越し:新しいPCの購入
リセット機能の種類
Windows 10/11の標準機能
このPCをリセットする Windows 10と11に標準搭載されている機能で、設定画面から簡単に実行できます。
新たに開始 より徹底的なリセットが可能で、Windowsを完全にクリーンインストールします。
メーカー固有のリカバリー機能
工場出荷時復元
- NECのReCreate
- 富士通のハードディスクデータ消去
- DELLのFactory Image Restore
リセットの2つのパターン
個人用ファイルを保持してリセット
保持されるもの
- ドキュメント、写真、音楽、動画
- デスクトップのファイル
- ダウンロードフォルダの内容
- ユーザーアカウント
削除されるもの
- インストールしたアプリケーション
- システム設定の変更
- ドライバーの設定
- レジストリの変更
すべて削除してリセット
完全に削除されるもの
- すべてのファイル
- すべてのアプリケーション
- ユーザーアカウント
- システム設定
残るもの
- Windows OS本体
- 標準アプリケーション
どちらを選ぶべき?
個人用ファイル保持を選ぶ場合
- 大切なファイルが多い
- 軽度のトラブル解決が目的
- 設定のやり直しを最小限にしたい
すべて削除を選ぶ場合
- PCを他人に譲渡する
- 重大なウイルス感染が疑われる
- 完全に新しい環境から始めたい
リセット前に必ず確認すべきこと
データバックアップの重要性
バックアップが必要な理由
予期しないトラブル
- リセット中の電源トラブル
- 「保持する」を選んでもデータが消える可能性
- 設定ミスによる予期しない結果
バックアップすべきデータ
重要なファイル
ドキュメント:
- Word、Excel、PowerPointファイル
- PDFドキュメント
- 仕事の資料
メディアファイル:
- 写真(家族の思い出、旅行写真)
- 動画(ホームビデオ、ダウンロード動画)
- 音楽ファイル
その他:
- デスクトップのファイル
- ダウンロードフォルダ
- お気に入り・ブックマーク
バックアップ方法の種類
外付けハードディスク
メリット:
- 大容量で安価
- 高速転送
- オフライン保存
注意点:
- 物理的な故障リスク
- 持ち運び時の注意が必要
クラウドストレージ
OneDrive:
- Microsoft アカウントで5GB無料
- Office 365契約者は1TB
Google Drive:
- Googleアカウントで15GB無料
- 有料プランで容量拡張
Dropbox:
- 2GB無料
- 同期が高速
USBメモリ
メリット:
- 手軽で安価
- 持ち運びやすい
制限:
- 容量が限定的
- 耐久性に注意
アプリケーションとライセンス情報
インストール済みアプリの確認
アプリ一覧の作成方法
- 設定 → アプリ → アプリと機能
- インストール済みアプリを確認
- 必要なアプリをメモまたはスクリーンショット
重要なアプリケーション
Microsoft Office:
- プロダクトキー
- インストーラーファイル
- アクティベーション情報
Adobe製品:
- Creative Cloudアカウント
- ライセンス情報
- 設定ファイル
その他業務ソフト:
- 会計ソフト
- CADソフト
- 画像編集ソフト
ライセンス情報の確認方法
Microsoft Officeのプロダクトキー
PowerShellで確認:
(Get-WmiObject -query 'select * from SoftwareLicensingService').OA3xOriginalProductKey
または購入時の:
- メール受信記録
- パッケージやシール
- Microsoftアカウントのライセンス情報
Windows プロダクトキー
コマンドプロンプトで確認:
wmic path softwarelicensingservice get OA3xOriginalProductKey
ネットワーク設定の記録
Wi-Fi接続情報
記録すべき情報
ネットワーク名(SSID):家のWi-Fi名
パスワード:接続用のパスワード
セキュリティの種類:WPA2、WPA3など
IPアドレス設定:自動取得か固定IP
確認方法
- 設定 → ネットワークとインターネット → Wi-Fi
- 接続中のネットワーク名をクリック
- 詳細情報を確認
プリンター設定
記録すべき設定
- プリンター名と型番
- 接続方法(USB、Wi-Fi、有線LAN)
- IPアドレス(ネットワークプリンターの場合)
- ドライバーファイルの場所
Windowsリセットの詳細手順

設定画面からのリセット
Windows 11での手順
基本手順
- スタートボタンをクリック
- 「設定」(歯車アイコン)を選択
- 左メニューから「システム」をクリック
- 右側を下にスクロールして「回復」をクリック
- 「このPCをリセットする」の「PCをリセットする」ボタンをクリック
選択画面での判断
「個人用ファイルを保持する」:
→ データを残してWindowsのみリセット
「すべて削除する」:
→ 完全に初期化(工場出荷状態)
Windows 10での手順
基本手順
- スタートボタンをクリック
- 「設定」(歯車アイコン)を選択
- 「更新とセキュリティ」をクリック
- 左メニューから「回復」をクリック
- 「このPCをリセットする」の「開始する」ボタンをクリック
高度なスタートアップオプション
システムが起動しない場合
アクセス方法1:強制シャットダウン
- 電源ボタンを長押しして強制終了
- 電源を入れる
- Windowsロゴが出たら再度強制終了
- これを3回繰り返す
- 4回目に自動修復メニューが表示される
アクセス方法2:Shiftキー + 再起動
- サインイン画面で電源ボタンをクリック
- Shiftキーを押しながら「再起動」をクリック
- 「オプションの選択」画面が表示される
高度なオプションからのリセット
手順
- 「トラブルシューティング」をクリック
- 「このPCをリセットする」を選択
- 通常の設定画面と同じ選択肢が表示される
リセット処理中の注意点
所要時間の目安
処理時間の要因
PC性能:
- CPU性能
- ストレージ速度(SSD vs HDD)
- メモリ容量
データ量:
- 保持するファイルの量
- インストール済みアプリの数
選択オプション:
- 個人ファイル保持:1-3時間
- 完全削除:2-5時間
処理中の注意事項
絶対にやってはいけないこと
- 電源を切る
- ケーブルを抜く
- 強制終了する
推奨環境
- AC電源に接続(ノートPCの場合)
- 安定したインターネット接続
- 他の作業は行わない
リセット後のセットアップ
初期設定の流れ
Windows初期設定
アカウント設定
- 地域と言語の選択
- キーボードレイアウトの確認
- ネットワーク接続の設定
- Microsoftアカウントまたはローカルアカウントの設定
- プライバシー設定の選択
重要な設定項目
- Cortanaの有効/無効
- 位置情報の使用許可
- 診断データの送信レベル
- 広告IDの使用許可
セキュリティ設定
Windows Defender
- 自動的に有効化される
- リアルタイム保護の確認
- 定義ファイルの更新
Windows Update
- 設定 → 更新とセキュリティ → Windows Update
- 「更新プログラムのチェック」をクリック
- すべての更新を適用
- 必要に応じて再起動
アプリケーションの再インストール
優先順位の高いアプリ
第1優先:セキュリティと基本ツール
セキュリティソフト:
- Windows Defender(標準)
- Norton、ウイルスバスター等
ブラウザ:
- Google Chrome
- Mozilla Firefox
- Microsoft Edge(標準)
基本ツール:
- 7-Zip(圧縮・解凍)
- Adobe Reader(PDF閲覧)
第2優先:業務・作業ツール
Microsoft Office:
- Word、Excel、PowerPoint
- Outlookメール設定
通信ツール:
- Zoom、Teams
- LINE、Skype
画像・動画:
- フォトビューアー
- 動画再生ソフト
ドライバーのインストール
自動インストール
- Windows Updateで大部分は自動取得
- ネットワーク、音声、グラフィックは優先的に更新
手動インストールが必要な場合
プリンター:
- メーカーサイトからダウンロード
- 付属CDからインストール
特殊デバイス:
- ペンタブレット
- ゲームコントローラー
- Webカメラ
データの復元
バックアップからの復元
- 外付けHDDやUSBメモリを接続
- 必要なファイルをコピー
- ドキュメント、写真、音楽フォルダに配置
クラウドからの同期
- OneDrive、Google Drive等に再ログイン
- 自動同期の開始を確認
- 必要に応じて同期フォルダを設定
トラブルシューティング

リセットできない場合の対処法
エラーメッセージ別の対処
「PCをリセットする際に問題が発生しました」
原因:
- システムファイルの破損
- ハードディスクのエラー
- 不適切なドライバー
対処法:
1. システムファイルチェッカーを実行
sfc /scannow
2. DISMツールでシステム修復
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
3. メモリ診断の実行
「リセットの準備中に問題が発生しました」
対処法:
1. セーフモードで起動
2. 最近インストールしたソフトをアンインストール
3. Windows Updateを最新にする
4. 再度リセットを実行
代替手段
新たに開始機能
- 設定 → 更新とセキュリティ → 回復
- 「新たに開始」の「開始する」をクリック
- よりクリーンなWindowsインストール
メディア作成ツール
- Microsoft公式サイトからツールをダウンロード
- USBメモリにWindowsインストールメディアを作成
- クリーンインストールを実行
リセット後のトラブル
ドライバーが認識されない
症状
- 音が出ない
- インターネットに接続できない
- 画面の解像度がおかしい
対処法
デバイスマネージャーで確認:
1. 右クリック → デバイスマネージャー
2. 黄色い警告マークのデバイスを確認
3. 右クリック → ドライバーの更新
メーカーサイトからダウンロード:
- PCメーカーのサポートページ
- パーツメーカーの公式サイト
アプリが正常に動作しない
互換性の問題
互換モードでの実行:
1. アプリを右クリック → プロパティ
2. 「互換性」タブ
3. 「互換モードでこのプログラムを実行する」をチェック
4. 適切なWindowsバージョンを選択
管理者権限の問題
管理者として実行:
1. アプリを右クリック
2. 「管理者として実行」を選択
データが見つからない
隠しファイルの確認
- エクスプローラーを開く
- 「表示」タブ → 「隠しファイル」にチェック
- 隠されていたファイルが表示される
バックアップの再確認
- 外付けドライブの接続確認
- クラウドストレージのログイン状況
- バックアップ時期と場所の再確認
予防策とメンテナンス
定期的なメンテナンス
システムの健康状態チェック
月1回のチェック項目
ディスククリーンアップ:
1. エクスプローラー → Cドライブ右クリック
2. プロパティ → ディスクのクリーンアップ
3. 不要ファイルを削除
システムファイルチェック:
1. コマンドプロンプトを管理者として実行
2. sfc /scannow を実行
3. エラーがないか確認
レジストリクリーナー:
- CCleanerなど信頼できるツールを使用
- 事前にバックアップを作成
バックアップの習慣化
自動バックアップの設定
ファイル履歴(Windows標準):
1. 設定 → 更新とセキュリティ → バックアップ
2. 「ファイル履歴を使用してバックアップ」をオン
3. 外付けドライブを指定
システムイメージバックアップ:
1. コントロールパネル → システムとセキュリティ
2. バックアップと復元 → システムイメージの作成
3. 定期的なスケジュール設定
トラブル予防
ソフトウェアの管理
安全なソフトインストール
- 公式サイトからのダウンロード
- 評判の確認
- インストール時の注意深い選択
アップデートの管理
- Windows Updateの自動適用
- アプリケーションの定期更新
- ドライバーの最新化
セキュリティ対策
マルウェア対策
- リアルタイム保護の有効化
- 定期的なフルスキャン
- 怪しいファイルのダウンロード回避
データ保護
- 重要ファイルの複数箇所バックアップ
- クラウドサービスの活用
- 外部メディアへの定期保存
まとめ
Windowsのリセット機能は、パソコンのトラブルを根本的に解決する強力なツールです。
リセット機能の種類と選び方
- 個人ファイル保持:データを残してシステムのみリセット
- 完全削除:工場出荷状態への完全初期化
- 用途に応じた適切な選択が重要
リセット前の必須準備
- 重要データの確実なバックアップ
- アプリケーションとライセンス情報の記録
- ネットワーク設定の控え
リセット後のセットアップ
- Windows Updateの適用
- 必要なアプリケーションの再インストール
- セキュリティ設定の確認
トラブル予防のポイント
- 定期的なメンテナンス
- 自動バックアップの設定
- 安全なソフトウェア管理
効果的な活用場面
- パソコンの動作が重い・遅い
- 頻繁なエラーやフリーズ
- ウイルス感染の疑い
- システムの大きな変更後のトラブル
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