アンケート結果や売上構成を見やすくまとめるときに便利なのが円グラフ。
でも「Excelで円グラフってどうやって作るの?」と迷ったことはありませんか?
この記事では、Excelで円グラフを作る手順を図解なしでもわかるように丁寧に解説します。さらに、グラフを見やすくするポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
円グラフとは?いつ使うべき?

円グラフの特徴
円グラフは、全体に対する各部分の割合を視覚的に表現するのに最適なグラフです。
特徴 | 説明 | 効果 |
---|---|---|
全体の把握 | 100%の内訳を一目で理解 | 構成比の直感的理解 |
比較 | 各要素の大きさを比較 | 優劣や重要度の把握 |
簡潔性 | シンプルで理解しやすい | プレゼンテーションに最適 |
円グラフが適している場面
適している場面
- 売上構成:商品別、地域別の売上比率
- アンケート結果:満足度、選択肢の回答分布
- 予算配分:費用項目別の予算割合
- 市場シェア:競合他社との比較
- 時間配分:1日の活動時間の内訳
適していない場面
- 時系列データ:売上の月別推移など
- 多数の項目:10個以上の分類
- 負の値:マイナスの数値を含むデータ
- 正確な数値比較:細かい差を比較したい場合
データの準備
基本的なデータ形式
円グラフに適したデータの準備方法:
例1:商品別売上構成
項目 | 金額
--------|--------
商品A | 400万円
商品B | 300万円
商品C | 200万円
商品D | 100万円
例2:アンケート結果
回答 | 人数
---------|------
満足 | 45
やや満足 | 30
普通 | 15
やや不満 | 8
不満 | 2
データ準備のポイント
1. 適切な項目数
- 推奨:3〜7項目程度
- 8項目以上:「その他」でまとめることを検討
2. 数値の確認
- 正の値のみ:負の値は円グラフに適さない
- 合計値の意味:全体が100%になることを確認
- 0や空白:これらの値は除外または適切に処理
3. 項目名の工夫
- 簡潔で明確:長すぎる項目名は避ける
- 統一性:命名規則を統一
- 略語:必要に応じて説明を追加
Excel円グラフの基本的な作成手順
対応Excelバージョン
この記事では以下のバージョンを対象としています:
- Excel 2016以降(Office 365含む)
- Excel 2019
- Excel for Mac
- Excel Online
ステップ1:データの準備と選択
データの配置
A | B
-----------|--------
商品A | 40
商品B | 30
商品C | 20
商品D | 10
選択範囲の決定
- 見出し込み:A1:B5(項目名と数値の両方)
- データのみ:A2:B5(数値のみ)
重要:見出し込みで選択すると、自動的にラベルが設定されます。
ステップ2:グラフの挿入
操作手順
- データ範囲を選択
- ドラッグして範囲指定
- Ctrl+Aで全体選択も可能
- 挿入タブをクリック
- リボンメニューの「挿入」タブ
- グラフグループから円グラフを選択
- 「円グラフ」アイコンをクリック
- ドロップダウンから希望のスタイルを選択
円グラフの種類
種類 | 説明 | 適用場面 |
---|---|---|
2D円 | 標準的な平面円グラフ | 一般的な用途、正確な比較 |
3D円 | 立体的な円グラフ | 見栄えを重視する場合 |
ドーナツ | 中央に穴がある円グラフ | 複数系列の比較 |
円(補助縦棒) | 小さい項目を別グラフで表示 | 多数の小項目がある場合 |
ステップ3:基本設定の確認
自動生成される要素
- グラフタイトル:「グラフタイトル」として表示
- 凡例:右側に項目名が表示
- データ系列:各項目が異なる色で表示
円グラフの詳細カスタマイズ
データラベルの追加と設定
基本的な追加方法
- グラフを選択
- 「+」マーク(グラフ要素)をクリック
- 「データラベル」にチェック
詳細設定
右クリック → 「データラベルの書式設定」で以下を調整:
設定項目 | 選択肢 | 効果 |
---|---|---|
表示内容 | 値、パーセンテージ、項目名 | 表示する情報の種類 |
位置 | 中央、内側、外側 | ラベルの配置 |
書式 | フォント、色、サイズ | 見た目の調整 |
推奨設定
✓ パーセンテージ
✓ 項目名
○ 値(必要に応じて)
位置:外側(読みやすさ重視)
グラフタイトルの編集
基本的な変更
- タイトル部分をクリック
- 直接テキストを入力
- Enterで確定
高度な書式設定
右クリック → 「タイトルの書式設定」で:
- フォント:種類、サイズ、色
- 配置:中央、左、右
- 効果:影、光彩、3D効果
色とデザインの調整
配色の変更
- グラフを選択
- 「グラフのデザイン」タブ
- 「色の変更」から配色を選択
個別の色設定
- 変更したいスライス(扇形)をクリック
- 右クリック → 「データポイントの書式設定」
- 「塗りつぶし」から色を選択
推奨配色
- ビジネス用途:青系統のグラデーション
- プレゼンテーション:コントラストの高い色
- 印刷用:グレースケールでも判別可能な色
凡例の調整
位置の変更
- 凡例を選択
- 「+」マーク → 「凡例」の矢印
- 希望の位置を選択
凡例の削除
データラベルに項目名を含める場合、凡例は不要になることがあります:
- 凡例を選択してDeleteキー
- または「+」マーク → 「凡例」のチェックを外す
高度なカスタマイズテクニック

扇形の分離(爆発)
全体の分離
- グラフを選択
- 右クリック → 「データ系列の書式設定」
- 「系列のオプション」→ 「扇形の分離」
- スライダーで分離度を調整
特定の扇形のみ分離
- 分離したい扇形を選択
- マウスでドラッグして移動
開始角度の調整
操作手順
- グラフを選択
- 右クリック → 「データ系列の書式設定」
- 「系列のオプション」→ 「最初の扇形の開始角度」
- 角度を調整(0°〜360°)
推奨角度
- 0°:12時方向から開始(標準)
- 90°:3時方向から開始
- 270°:9時方向から開始
複数系列の円グラフ(ドーナツグラフ)
作成方法
- 複数列のデータを選択
- 「挿入」→ 「ドーナツグラフ」
- 内側と外側で異なる系列を表示
活用例
A | B | C
----------|-----|----
商品A | 40 | 45
商品B | 30 | 35
商品C | 20 | 15
商品D | 10 | 5
内側:前年、外側:今年
動的円グラフ(データ更新対応)
名前の定義を使用
- 数式タブ → 「名前の定義」
- 参照範囲を動的に設定
=OFFSET(Sheet1!$A$1,0,0,COUNTA(Sheet1!$A:$A),2)
テーブル機能の活用
- データ範囲を選択
- 「挿入」→ 「テーブル」
- テーブルからグラフを作成
実用的な活用例
ビジネスシーンでの活用
売上分析
四半期別売上構成
Q1: 25%
Q2: 30%
Q3: 28%
Q4: 17%
顧客満足度調査
満足度調査結果
大変満足: 35%
満足: 40%
普通: 20%
不満: 5%
費用配分
月間経費内訳
人件費: 50%
家賃: 20%
光熱費: 10%
その他: 20%
プレゼンテーション用の調整
効果的な見せ方
- 重要な項目を強調
- 分離や特別な色を使用
- 最大の項目を12時方向に配置
- シンプルな配色
- 3〜4色程度に抑制
- 企業カラーを活用
- 読みやすいフォント
- データラベルは12pt以上
- 明朝体よりもゴシック体
印刷時の注意点
印刷最適化
- グレースケール対応
- 色だけでなくパターンも使用
- 白黒印刷でも判別可能な設定
- サイズ調整
- 印刷サイズに応じたフォントサイズ
- 余白の調整
- 解像度
- 高解像度での出力設定
- ベクター形式での保存
よくある問題と解決方法

データが正しく表示されない
問題1:数値が文字として認識されている
症状:グラフが作成されない、または奇妙な表示 解決法:
- 数値列を選択
- 「データ」タブ → 「区切り位置」
- 「完了」をクリックして数値に変換
問題2:0や空白セルがある
症状:不自然な項目や空白項目が表示 解決法:
- データを事前にフィルタリング
- 0の項目を削除または「その他」に統合
問題3:項目数が多すぎる
症状:見づらい、色が区別しにくい 解決法:
- 小さい項目を「その他」にまとめる
- 上位5〜7項目のみ表示
- 別のグラフタイプを検討
グラフの見た目の問題
問題1:文字が重なる
症状:データラベルが重複表示 解決法:
- データラベルを選択
- 「外側」位置に変更
- フォントサイズを調整
問題2:色が区別しにくい
症状:似た色で判別困難 解決法:
- 高コントラストの配色に変更
- カラーユニバーサルデザインを考慮
- パターンや線の種類を併用
問題3:3Dグラフが見づらい
症状:立体効果で比率が分からない 解決法:
- 2D円グラフに変更
- 3D効果を最小限に調整
- 正確性を重視する場合は平面グラフを使用
データ分析での活用
効果的な分析手法
比較分析
- 時系列比較
- 複数の円グラフを並べて変化を表示
- ドーナツグラフで過去と現在を比較
- カテゴリー分析
- 部門別、地域別の構成比較
- 複数のシートで異なる観点から分析
仮説検証
- 予想との比較
- 予測値と実績値の円グラフ
- 差異の分析と要因調査
- 業界標準との比較
- 自社と業界平均の比較
- ベンチマークとしての活用
統計的な考慮事項
サンプルサイズ
- 小さすぎる:信頼性が低い
- 適切なサイズ:統計的に意味のある結果
母集団の代表性
- 偏りのないサンプリング
- 全体を代表する構成
他のOfficeアプリケーションとの連携
PowerPointでの活用
グラフのコピー
- Excelでグラフを選択
- Ctrl+C でコピー
- PowerPointで Ctrl+V で貼り付け
貼り付けオプション
- 図として貼り付け:編集不可、軽量
- Excelグラフオブジェクト:編集可能、重い
- リンク貼り付け:元データと連動
Wordでの活用
文書内でのグラフ
- 「挿入」→ 「グラフ」
- 円グラフを選択
- データを直接入力
レポート作成
- 図表番号:「図1 売上構成比」
- 説明文:グラフの解釈と分析
- 参照:本文中でのグラフ参照
最新機能とトレンド

Excel 365の新機能
動的配列
=SORT(A1:B10,2,-1) // 数値の大きい順に並べ替え
新しいグラフタイプ
- ファネルグラフ:プロセスの各段階
- サンバーストグラフ:階層データの表示
アクセシビリティの改善
代替テキスト
- グラフを右クリック
- 「代替テキストの編集」
- グラフの内容を説明
高コントラスト対応
- アクセシビリティチェック機能の活用
- 色覚特性への配慮
よくある質問(FAQ)
基本操作について
Q. 円グラフがうまく表示されないのはなぜ?
A. 以下を確認してください:
- 数値の合計が0でない
- 空白セルが含まれていない
- 数値が文字として認識されていない
- 負の値が含まれていない
Q. 割合を自動計算させたい
A. 計算列を追加します:
=B2/SUM($B$2:$B$5)
セル書式を「パーセンテージ」に設定
Q. 円グラフを3Dにしたい
A. 挿入時に「3D円」を選択します。ただし:
- 見た目は派手になる
- 比率が分かりにくくなる可能性
- 正確性を重視する場合は2Dを推奨
カスタマイズについて
Q. 特定の項目だけ色を変えたい
A. 個別設定が可能です:
- 変更したい扇形をクリック
- 右クリック → 「データポイントの書式設定」
- 「塗りつぶし」から色を選択
Q. データラベルに項目名とパーセンテージを両方表示したい
A. データラベルの書式設定で:
- 「項目名」と「パーセンテージ」両方にチェック
- 「区切り文字」で表示方法を調整
Q. 小さい項目をまとめて「その他」にしたい
A. データを事前に加工します:
- 5%未満の項目を特定
- 合計値を計算
- 「その他」として1行にまとめる
応用・活用について
Q. 複数の円グラフを比較したい
A. 複数の方法があります:
- 複数グラフ:並べて配置
- ドーナツグラフ:同心円で比較
- 複合グラフ:時系列での変化表示
Q. データが更新されたら自動でグラフも更新したい
A. 以下の方法があります:
- テーブル機能:データをテーブル化
- 名前の定義:動的範囲の設定
- ピボットグラフ:大量データの場合
Q. 印刷時に色が正しく出ない
A. 印刷設定を確認します:
- カラープリンターの設定
- 高品質印刷モード
- 必要に応じてグレースケール対応
まとめ
Excelで円グラフを作成することは、データの可視化において非常に有効な手段です。
基本的な作成手順(再確認)
- データの準備:適切な形式での数値と項目名
- 範囲選択:見出しを含む範囲の選択
- グラフ挿入:「挿入」→「円グラフ」
- カスタマイズ:ラベル、色、タイトルの調整
効果的な円グラフの特徴
- 項目数:3〜7項目程度
- 明確なラベル:パーセンテージと項目名
- 適切な配色:判別しやすい色の組み合わせ
- シンプルなデザイン:情報を正確に伝える
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