この記事では、Microsoft Word(ワード)でアルファベットを縦書きで表示する方法を詳しく解説します。
日本語の縦書き文書でアルファベットや数字を美しく配置するテクニックをご紹介します。
縦書きの基本知識

日本語とアルファベットの組み合わせ方
日本語の縦書き文書では、アルファベットの扱い方にいくつかの選択肢があります:
1. 縦向きに配置
- アルファベットを90度回転させて縦に並べる
- 英単語が短い場合に適している
2. 横向きのまま配置(縦中横)
- アルファベットを横向きのまま縦書き文中に埋め込む
- 読みやすさを重視する場合に使用
3. テキストボックスで独立配置
- アルファベット部分を別のテキストボックスに配置
- デザイン性を重視する場合に最適
方法1:縦書きテキストボックスを使う(推奨)
最も自由度が高く、美しい仕上がりになる方法です。
基本的な作成手順
- 「挿入」タブを開く
- Wordの上部メニューバーで「挿入」をクリック
- テキストボックスを選択
- 「テキスト」グループの「テキストボックス」をクリック
- ドロップダウンメニューが表示される
- 縦書きテキストボックスを作成
- 「縦書きテキストボックス」を選択
- マウスでドラッグして適当なサイズのボックスを作成
- アルファベットを入力
- テキストボックス内にアルファベットを入力
- 自動的に縦書きで表示される
詳細なカスタマイズ方法
サイズと位置の調整
- テキストボックスの枠をクリック
- 四隅と四辺に調整ハンドルが表示される
- サイズを調整
- 角のハンドルをドラッグして全体サイズを変更
- Shiftキーを押しながらドラッグで縦横比を保持
- 位置を移動
- テキストボックスの枠をドラッグして移動
- 矢印キーで微調整が可能
フォントと書式の設定
- 文字を選択
- テキストボックス内の文字をドラッグして選択
- フォントを変更
- 「ホーム」タブでフォント、サイズ、色を調整
- 縦書きに適したフォントを選択
- 行間の調整
- 「段落」グループで行間を調整
- 文字間隔も「フォント」ダイアログで調整可能
枠線と背景の設定
- テキストボックスを選択
- 枠をクリックして選択状態にする
- 「図形の書式」タブで調整
- 「図形の枠線」:枠線の色、太さ、種類を設定
- 「図形の塗りつぶし」:背景色の設定
- 透明にしたい場合は「塗りつぶしなし」を選択
この方法のメリット
- 自由な配置:文書内の任意の場所に配置可能
- 独立性:本文の改行や編集に影響されない
- デザイン性:枠線や背景色でデザインをカスタマイズ
- 保持性:レイアウトが崩れにくい
方法2:文字列の方向を縦書きに変更

既存の文書を縦書きにしたい場合や、本文と一体化したい場合に適した方法です。
全体を縦書きに変更する手順
- 「レイアウト」タブを開く
- 上部メニューバーの「レイアウト」をクリック
- 文字列の方向を変更
- 「ページ設定」グループの「文字列の方向」をクリック
- 「縦書き」を選択
- アルファベットの確認
- アルファベットが90度回転して縦に表示される
- 必要に応じて個別に調整
特定の段落のみ縦書きにする方法
- 対象の段落を選択
- 縦書きにしたい段落をドラッグして選択
- 段落の設定を開く
- 選択した部分を右クリック
- 「段落」を選択
- 文字方向を設定
- 「インデントと行間隔」タブの「文字の方向」で「縦書き」を選択
表やセル内での縦書き
表のセル内で縦書きにする方法
- 対象のセルを選択
- 「レイアウト」タブ(表ツール)をクリック
- 「文字列の方向」から「縦書き」を選択
この方法の注意点
- レイアウトの変化:文書全体のレイアウトが大きく変わる
- アルファベットの見た目:90度回転するため読みにくい場合がある
- スペースの扱い:空白文字もそのまま縦に配置される
方法3:縦中横(たてちゅうよこ)機能を使う
縦書き文書の中でアルファベットを横向きのまま表示したい場合の方法です。
縦中横の設定手順
- アルファベット部分を選択
- 縦中横にしたいアルファベットや数字をドラッグして選択
- フォントダイアログを開く
- 選択した文字を右クリック
- 「フォント」を選択
- 縦中横を設定
- 「詳細設定」タブをクリック
- 「縦中横」にチェックを入れる
- 「OK」をクリック
縦中横の活用場面
適している場面
- 英語の略語(USA、PDFなど)
- 数字の組み合わせ(2024年、100%など)
- 短い英単語(IT、PCなど)
注意が必要な場面
- 長い英単語(読みにくくなる可能性)
- 文字数が多い場合(レイアウトが崩れる可能性)
用途別の使い分け

デザイン重視の文書
テキストボックス方式がおすすめ
- 自由な配置とデザインが可能
- 視覚的なインパクトを重視
- パンフレットやポスターに最適
設定のコツ
- フォントサイズを大きめに設定
- 背景色や枠線でアクセントを付ける
- 影やグラデーション効果の活用
学術論文や報告書
縦中横機能がおすすめ
- 本文との一体感を保持
- 読みやすさを重視
- 専門用語や略語の表記に最適
設定のコツ
- 本文と同じフォントファミリーを使用
- 文字サイズは本文よりもやや小さめ
- 過度な装飾は避ける
小説や文芸作品
文字列方向変更がおすすめ
- 伝統的な縦書きスタイル
- 読書体験を重視
- 和洋の文字が自然に混在
設定のコツ
- 読みやすいフォントを選択
- 行間を適切に調整
- ページ全体のバランスを考慮
フォント選択のポイント
縦書きに適したフォント
日本語フォント
- 游明朝:縦書きでの読みやすさに優れる
- ヒラギノ明朝:美しい縦書き表示
- MS明朝:標準的で安定した表示
アルファベット部分
- Times New Roman:伝統的で読みやすい
- Arial:シンプルで現代的
- Meiryo:日本語との相性が良い
フォントサイズの調整
基本的な考え方
- 本文:10.5〜12pt
- アルファベット:本文より1〜2pt小さく
- 見出し:本文の1.2〜1.5倍
バランスの取り方
- 日本語とアルファベットの太さを合わせる
- 行の高さを統一する
- 全体の調和を重視
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法
アルファベットが横向きになってしまう
原因:縦書き設定が正しく適用されていない 解決方法:
- 対象の文字を再選択
- 「レイアウト」→「文字列の方向」→「縦書き」を再設定
- テキストボックスの場合は「縦書きテキストボックス」を使用
文字が重なって表示される
原因:行間設定が狭すぎる 解決方法:
- 対象の段落を選択
- 「ホーム」→「段落」ダイアログを開く
- 「行間」を「1.5行」または「倍数」で適切な値に設定
テキストボックスの位置がずれる
原因:文字列の折り返し設定の問題 解決方法:
- テキストボックスを選択
- 「レイアウト」→「文字列の折り返し」
- 「前面」または「背面」を選択
印刷時の注意点
プレビューでの確認
- 印刷前に必ずプレビューで確認
- 文字の重なりや位置ずれをチェック
- ページの余白設定も確認
フォントの互換性
- 印刷環境でフォントが利用できるか確認
- 標準的なフォントの使用を推奨
- 必要に応じてPDF化を検討
よくある質問
アルファベットと数字を混在させたい場合はどうすればよいですか?
縦中横機能を使用するのがおすすめです:
- アルファベットと数字を一緒に選択
- 右クリック→「フォント」→「詳細設定」
- 「縦中横」にチェックを入れる
英語の長い単語を縦書きで美しく表示したい場合は?
テキストボックスを使用し、以下の工夫を行ってください:
- 文字間隔を調整(「フォント」→「詳細設定」→「文字幅と間隔」)
- 必要に応じて改行を入れる
- フォントサイズを調整してバランスを取る
縦書きと横書きを同じ文書で混在させることはできますか?
はい、可能です:
- セクション分け:「レイアウト」→「区切り」→「次のページから開始」
- テキストボックス:縦書き文書内に横書きテキストボックスを配置
- 表の活用:表のセルごとに文字方向を設定
スマートフォンやタブレットでも同じように表示されますか?
基本的には同じように表示されますが、以下の点に注意してください:
- フォントの互換性
- 画面サイズによるレイアウトの変化
- Wordアプリの機能制限
応用テクニック
段組みでの縦書き
2段組みの縦書き設定
- 「レイアウト」→「段組み」→「2段」
- 「文字列の方向」→「縦書き」
- 新聞のようなレイアウトが作成される
ヘッダー・フッターでの縦書き
縦書き文書のヘッダー設定
- 「挿入」→「ヘッダー」
- ヘッダー領域で「レイアウト」→「文字列の方向」→「縦書き」
- タイトルや章番号を縦書きで配置
ワードアートとの組み合わせ
装飾的なアルファベット表示
- 「挿入」→「ワードアート」
- デザインを選択してアルファベットを入力
- 「図形の書式」で縦書き風に回転・配置
まとめ
Wordでアルファベットを縦書きにする方法は、用途に応じて最適な手法を選択することが重要です。
方法別まとめ
方法 | 適用場面 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
テキストボックス | デザイン重視 | 自由度が高い | 位置調整が必要 |
文字列方向変更 | 文書全体の縦書き | 本文と一体化 | レイアウト変更が大きい |
縦中横 | 部分的な横表示 | 読みやすい | 長い単語には不向き |
重要なポイント
- 目的に応じた手法選択:デザイン性か読みやすさか
- フォントの選択:縦書きに適したフォントを使用
- レイアウトの調整:全体のバランスを重視
- 印刷時の確認:プレビューでの最終チェック
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