「Macで”ディスクをマウントする”ってどういう意味?」
「USBメモリや外付けHDDを認識しないけど、マウントってどうやるの?」
そんな疑問を持っていませんか?
Mac(macOS)では、ディスクやネットワークドライブを認識して使える状態にすることを**「マウント(mount)」**と呼びます。
逆に切り離すことは「アンマウント(unmount)」です。
この記事では:
- Macでのマウントの基本概念と仕組み
- USB・外付けHDD・SDカードのマウント方法
- マウントできないときの詳細な対処法
- ネットワークドライブのマウント設定
- 自動マウント設定とセキュリティ対策
をわかりやすく解説します。これを読めば、Macでのマウント操作にもう迷いません!
Macにおける「マウント」の基本概念

マウントとは何か?
マウント(Mount)の定義 macOSでは、外部ストレージデバイスやネットワークドライブをシステムに認識させ、Finderやアプリケーションからアクセスできる状態にすることを「マウント」と呼びます。
マウントされる対象
- USBメモリ・フラッシュドライブ
- 外付けハードディスク(HDD/SSD)
- SDカード・microSDカード
- CD/DVD/Blu-rayディスク
- ネットワークドライブ(NAS、SMB共有等)
- ディスクイメージファイル(.dmg、.iso等)
マウントのプロセス
自動マウントの流れ
- デバイス接続:USBやThunderboltで物理的に接続
- デバイス認識:macOSがハードウェアを検出
- ファイルシステム確認:対応形式かどうか判定
- マウントポイント作成:
/Volumes/
以下にディレクトリ作成 - Finder表示:サイドバーやデスクトップに表示
マウントポイントについて
/Volumes/MyUSB/ # USBドライブの例
/Volumes/External HD/ # 外付けHDDの例
/Volumes/Photo SD/ # SDカードの例
アンマウント(取り出し)について
アンマウント(Unmount/Eject)の重要性
- データの整合性を保つ
- ファイルシステムの破損を防ぐ
- 安全な取り外しを可能にする
アンマウントの方法
- Finderサイドバーの⏏ボタンをクリック
- デスクトップのアイコンをゴミ箱にドラッグ
- 右クリックメニューから「”デバイス名”を取り出す」
基本的なマウント操作

自動マウントの仕組み
標準的な動作
Macは以下のファイルシステムを自動的にマウントします:
完全対応(読み書き可能)
- HFS+(Mac OS拡張)
- APFS(Apple File System)
- FAT32(MS-DOS)
- exFAT(Extended FAT)
読み取り専用対応
- NTFS(Windows標準)
自動マウント設定の確認
Finder環境設定での確認
- Finder → 環境設定(⌘ + ,)
- 「一般」タブで以下を確認:
- 「外部ディスク」にチェック
- 「CD、DVD、iPod」にチェック
- 「接続されたサーバ」にチェック
サイドバー設定の確認
- Finder → 環境設定 → 「サイドバー」タブ
- 「場所」セクションで以下を確認:
- 「外部ディスク」にチェック
- 「CD、DVD、iPod」にチェック
手動マウント操作
ディスクユーティリティを使用
基本的な手順
- アプリケーション → ユーティリティ → ディスクユーティリティを開く
- 左側のデバイス一覧を確認
- グレーアウトしているデバイスを選択
- 上部の「マウント」ボタンをクリック
詳細情報の確認
- デバイス名、容量、ファイルシステム
- マウント状態(マウント済み/未マウント)
- パーティション情報
ターミナルでの操作
接続デバイスの確認
diskutil list
出力例
/dev/disk0 (internal):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: GUID_partition_scheme *1.0 TB disk0
1: EFI EFI 314.6 MB disk0s1
2: Apple_APFS Container disk1 1.0 TB disk0s2
/dev/disk2 (external, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: FDisk_partition_scheme *32.0 GB disk2
1: Windows_FAT_32 MY USB 32.0 GB disk2s1
手動マウント
# 特定のパーティションをマウント
sudo diskutil mount /dev/disk2s1
# ディスク全体をマウント
sudo diskutil mountDisk /dev/disk2
マウント状態の確認
mount | grep /dev/disk2
マウントできないときのトラブルシューティング

よくある問題と対処法
問題1:ディスクが全く認識されない
考えられる原因
- ケーブルの不良
- ポートの問題
- デバイスの電力不足
- ハードウェア故障
対処手順
- 異なるポートで試す
- 別のUSB/Thunderboltポートに接続
- USBハブを使用している場合は直接接続
- システム情報で確認
- Appleメニュー → このMacについて → システムレポート
- 「USB」または「Thunderbolt」でデバイスを確認
- 電力供給の確認
- 外付けHDDは専用電源アダプターを使用
- USBハブは電源付きのものを使用
問題2:認識されるがマウントされない
First Aid(応急処置)の実行
- ディスクユーティリティを開く
- 問題のあるディスクを選択
- 「First Aid」ボタンをクリック
- 「実行」で修復を開始
ターミナルでの強制マウント
# ファイルシステムチェック
sudo fsck_hfs /dev/disk2s1
# 読み取り専用でマウント
sudo diskutil mount readOnly /dev/disk2s1
問題3:NTFS ドライブが読み取り専用
NTFS-3Gの使用
# Homebrewでインストール
brew install ntfs-3g
# 手動マウント(読み書き可能)
sudo mkdir /Volumes/NTFS_Drive
sudo /usr/local/bin/ntfs-3g /dev/disk2s1 /Volumes/NTFS_Drive -olocal -oallow_other
商用ソフトウェアの選択肢
- Paragon NTFS for Mac
- Tuxera NTFS for Mac
- Microsoft NTFS for Mac by Paragon Software
高度なトラブルシューティング
ディスクの完全性チェック
S.M.A.R.T.状態の確認
diskutil info /dev/disk2 | grep SMART
詳細なディスク情報
diskutil info /dev/disk2s1
ログファイルの確認
システムログの確認
log show --predicate 'process CONTAINS "diskutil"' --last 1h
Console.appでの確認
- アプリケーション → ユーティリティ → Console
- 検索窓で「disk」「mount」「usb」を検索
- エラーメッセージを確認
ネットワークドライブのマウント

SMB/CIFS共有のマウント
Finderからの接続
基本的な手順
- Finder → 移動 → サーバへ接続(⌘ + K)
- サーバアドレスを入力:
smb://192.168.1.100/sharedsmb://server.local/documentssmb://domain.com/public
- 認証情報を入力
- 共有フォルダを選択
ターミナルからの接続
手動マウント
# マウントポイント作成
sudo mkdir /Volumes/NetworkDrive
# SMB共有をマウント
sudo mount -t smbfs //username:password@192.168.1.100/shared /Volumes/NetworkDrive
自動マウント設定(/etc/fstab)
# セキュリティ上、認証情報は別ファイルに保存推奨
//server.local/shared /Volumes/NetworkDrive smbfs rw,noauto 0 0
AFP(Apple Filing Protocol)のマウント
AFP接続(レガシー)
afp://192.168.1.100/shared
afp://server.local/documents
注意:macOS 10.15以降、AFPは非推奨でSMBが推奨されています。
FTPマウント
専用アプリケーションの使用
- Transmit
- Cyberduck
- FileZilla
ターミナルでのFTPアクセス
# curlでのFTPアクセス例
curl -u username:password ftp://ftp.example.com/file.txt
自動マウント設定とセキュリティ

自動マウントの詳細設定
システム環境設定での調整
セキュリティとプライバシー設定
- システム環境設定 → セキュリティとプライバシー
- 「一般」タブで以下を確認:
- 「自動ログイン」の設定
- 「ファイアウォール」の設定
省エネルギー設定
- システム環境設定 → 省エネルギー
- 「ハードディスクをスリープさせる」の設定を調整
起動時の自動マウント
ログイン項目での設定
- システム環境設定 → ユーザとグループ
- 現在のユーザを選択
- 「ログイン項目」タブ
- 「+」ボタンでネットワークドライブを追加
シェルスクリプトでの自動化
#!/bin/bash
# ~/.bash_profile や ~/.zshrc に追加
# ネットワークドライブの自動マウント
if [ ! -d "/Volumes/NetworkDrive" ]; then
mkdir /Volumes/NetworkDrive
mount -t smbfs //user:pass@server/share /Volumes/NetworkDrive
fi
セキュリティ上の注意点
認証情報の管理
キーチェーンの活用
- パスワードは macOS キーチェーンに保存
- スクリプトに平文でパスワードを記載しない
- 必要最小限の権限でアクセス
ネットワークセキュリティ
- VPN経由でのアクセスを推奨
- 公共Wi-Fiでの機密データアクセス禁止
- SSL/TLS暗号化の確認
アクセス制御
ファイル権限の確認
# マウント済みドライブの権限確認
ls -la /Volumes/
安全なアンマウント
# すべてのプロセスが終了してからアンマウント
sudo diskutil unmount /Volumes/ExternalDrive
高度なマウント操作

ディスクイメージのマウント
.dmgファイルのマウント
GUI操作
- ダブルクリックで自動マウント
- ディスクユーティリティで「イメージ」→「開く」
ターミナル操作
# ディスクイメージをマウント
hdiutil mount /path/to/image.dmg
# 読み取り専用でマウント
hdiutil mount -readonly /path/to/image.dmg
# マウント情報の確認
hdiutil info
.isoファイルのマウント
# ISOイメージのマウント
hdiutil mount /path/to/image.iso
暗号化ドライブのマウント
FileVault暗号化ディスク
# 暗号化ディスクのアンロックとマウント
diskutil coreStorage unlockVolume [UUID] -passphrase
第三者暗号化ソフトウェア
- VeraCrypt
- AxCrypt
- Disk Utility(macOS標準)
パフォーマンス最適化
マウントオプションの調整
高速アクセス用設定
# キャッシュサイズの調整
mount -o cache=loose,rsize=32768,wsize=32768 //server/share /Volumes/FastAccess
省電力設定
# スリープ抑制の設定
sudo pmset -a disksleep 0
トラブル事例と解決策

よくあるエラーメッセージ
「操作を完了できませんでした」
原因と対処
- ファイルシステムの破損 → First Aid実行
- 権限の問題 →
sudo
での実行 - ディスク容量不足 → 空き容量の確保
「リソースがビジー」エラー
対処手順
# 使用中のプロセスを確認
sudo lsof /Volumes/BusyDrive
# プロセスの強制終了
sudo kill -9 [PID]
# 強制アンマウント
sudo diskutil unmount force /Volumes/BusyDrive
パフォーマンス問題
転送速度が遅い場合
USB接続の最適化
- USB 3.0/3.1ポートの使用
- 高品質なケーブルの使用
- USBハブの見直し
ネットワーク接続の最適化
- 有線LAN接続の使用
- ジャンボフレームの設定
- QoS設定の調整
まとめ
Macでのマウント操作は、適切な知識があれば複雑な問題も効率的に解決できます。重要なポイントを整理すると:
基本的な理解
- マウント:ディスクをシステムに認識させること
- アンマウント:安全にディスクを取り外すこと
- マウントポイント:
/Volumes/
以下のアクセス点
日常的な操作
- 自動マウント:ほとんどの場合で自動実行
- Finder設定:表示オプションの適切な設定
- 安全な取り外し:必ずアンマウント後に物理的な取り外し
トラブル対処の流れ
- Finder環境設定の確認
- ディスクユーティリティでの状態確認
- First Aidによる修復試行
- ターミナルでの手動操作
- ログ確認による原因特定
高度な活用
- ネットワークドライブ:SMB/AFP/FTP接続
- 自動マウント設定:起動時やログイン時の自動化
- セキュリティ設定:暗号化とアクセス制御
- パフォーマンス調整:最適な設定での高速化
セキュリティ注意点
- 認証情報の保護:キーチェーン活用
- ネットワークセキュリティ:VPN使用推奨
- 権限管理:最小権限の原則
- 定期的なメンテナンス:ディスクの健康状態確認
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