Windows 11でタスクバーを結合しない設定はできる?レジストリでカスタマイズする方法と注意点

Windows

「Windows 10ではタスクバーのボタンを結合しない設定があったのに、Windows 11では見当たらない…」

そんなふうに悩んでいませんか?

Windows 11への移行で多くのユーザーが困惑しているのが、以下のような変更点です。

  • タスクバーの「ボタンを結合しない」設定が削除された
  • 複数ウィンドウを開いても個別にボタンが表示されない
  • ワークフローが変わってしまい作業効率が下がった
  • 従来の操作感を取り戻したい
  • レジストリで解決できるのか知りたい

Windows 11では標準の設定画面から「タスクバーのボタンを結合しない」オプションが完全に削除されました。

しかし、レジストリ編集、サードパーティツール、代替手段を組み合わせることで、近い動作を実現する方法があります。

この記事では、以下の内容を詳しく解説します。

  • Windows 10とWindows 11のタスクバー仕様の違い
  • レジストリでの設定可能項目と限界
  • 確実に「結合しない」を実現するツールの紹介
  • 各方法の詳細手順と安全な実施方法
  • トラブル時の復旧方法と注意点

これを読めば、Windows 11でも自分好みのタスクバー環境を構築できるようになります。

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Windows 10とWindows 11のタスクバー仕様の違い

Windows 10の「結合しない」機能

基本的な動作 Windows 10では、タスクバーの設定で以下の3つのオプションが選択できました。

  1. 常に結合、ラベルを非表示(デフォルト)
  2. タスクバーがいっぱいの場合に結合
  3. 結合しない

「結合しない」の具体的な表示

結合する場合:
[Chrome] (3つのタブが1つのボタンにまとまる)

結合しない場合:
[Gmail - Chrome][YouTube - Chrome][Wikipedia - Chrome]
(それぞれ個別のボタンで表示)

作業効率への影響

  • 視認性向上:開いているウィンドウが一目でわかる
  • クリック効率:目的のウィンドウに直接アクセス可能
  • マルチタスク:複数のドキュメントや資料を同時に扱いやすい

Windows 11での変更点

削除された機能

  • 「結合しない」設定の完全削除
  • タスクバーの位置変更(上下左右への移動)
  • タスクバーのサイズ調整(小・中・大)
  • コンテキストメニューの簡素化

Microsoft の公式見解

  • デザイン統一:シンプルで一貫したユーザーエクスペリエンス
  • タッチ操作:タブレットでの使いやすさを重視
  • 性能最適化:システムリソースの効率的な使用

ユーザーからの批判

  • 生産性の低下
  • 学習コストの増加
  • カスタマイズ性の制限
  • 企業環境での移行障壁

レジストリでの設定可能項目と限界

Windows 10で有効だったレジストリ設定

旧来の設定方法

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced]
"TaskbarGlomLevel"=dword:00000002

TaskbarGlomLevel の値

  • 0:常に結合、ラベルを非表示
  • 1:タスクバーがいっぱいの場合に結合
  • 2:結合しない

Windows 11での現状

レジストリ変更の無効化

Windows 11では、上記のレジストリ値を設定しても効果がありません。
新しいタスクバーシステムでは、この設定が読み取られない仕様になっています。

検証結果

# 以下の設定を試しても変化なし
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced]
"TaskbarGlomLevel"=dword:00000002
"TaskbarSmallIcons"=dword:00000001
"TaskbarCombine"=dword:00000000

Windows 11で変更可能なレジストリ項目

タスクバーサイズの変更

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced]
"TaskbarSi"=dword:00000000

TaskbarSi の値

  • 0:小(コンパクト表示)
  • 1:中(デフォルト)
  • 2:大(拡大表示)

タスクバー位置の調整(部分的)

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\StuckRects3]

※ 完全な位置変更は不可、微調整のみ

検索ボックスの表示制御

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Search]
"SearchboxTaskbarMode"=dword:00000000
  • 0:非表示
  • 1:検索アイコンのみ
  • 2:検索ボックス表示

ウィジェットボタンの非表示

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced]
"TaskbarDa"=dword:00000000

レジストリ編集の実行手順

安全な編集方法

  1. システムバックアップの作成 # コマンドプロンプト(管理者)で実行 reg export HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer backup_explorer.reg
  2. レジストリエディターの起動 Windowsキー + R → regedit と入力 → Enter
  3. 該当キーの移動 HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced
  4. 値の作成・編集
    • 右クリック → 「新規」 → 「DWORD (32ビット) 値」
    • 名前を設定(例:TaskbarSi)
    • ダブルクリックして値を入力
  5. システム再起動 変更を反映させるため、必ず再起動してください。

サードパーティツールでの解決方法

ExplorerPatcher(無料・推奨)

特徴

  • Windows 11を Windows 10風のタスクバーに戻すツール
  • 完全無料でオープンソース
  • 「結合しない」設定を完全再現
  • アクティブな開発とサポート

インストール手順

  1. 公式サイトからダウンロード GitHub: valinet/ExplorerPatcher 直接リンク: https://github.com/valinet/ExplorerPatcher/releases
  2. インストール実行 ダウンロードしたep_setup.exeを右クリック → 「管理者として実行」 → インストール完了後、自動で再起動
  3. 設定の調整 タスクバーを右クリック → 「プロパティ」 → 「結合しない」を選択 → 「適用」→「OK」

詳細設定オプション

タスクバーとナビゲーション プロパティ:
- タスクバーのボタン: 結合しない
- タスクバーボタンのラベル: 表示する
- タスクバーのサイズ: 小・中・大から選択
- スタートボタンの形状: Windows 10風/11風

StartAllBack(有料・高機能)

特徴

  • 約5ドルの有料ツール
  • 非常に安定した動作
  • 豊富なカスタマイズオプション
  • 企業向けライセンス対応

主な機能

  • タスクバーの完全カスタマイズ
  • スタートメニューの置き換え
  • エクスプローラーの改善
  • 細かい視覚効果の調整

インストール手順

  1. 公式サイトでライセンス購入 startallback.com で購入 30日間の無料試用版もあり
  2. インストールと有効化 ダウンロード → インストール → ライセンスキー入力 → 設定画面で「結合しない」を選択

TaskbarX(無料・ビジュアル重視)

特徴

  • タスクバーアイコンの中央配置
  • 透明効果やアニメーション
  • 軽量で動作が軽い

制限事項

  • 「結合しない」機能は限定的
  • 主に見た目の改善が目的
  • 上級者向けの設定が多い

各方法の比較と推奨環境

機能比較表

方法結合しない安定性費用設定難易度推奨度
レジストリのみ⭐⭐⭐⭐⭐無料⭐⭐
ExplorerPatcher⭐⭐⭐⭐無料⭐⭐⭐⭐⭐
StartAllBack⭐⭐⭐⭐⭐有料⭐⭐⭐⭐
TaskbarX部分的⭐⭐⭐無料⭐⭐⭐

用途別推奨

一般ユーザー

  • 推奨:ExplorerPatcher
  • 理由:無料で簡単、十分な機能

企業環境

  • 推奨:StartAllBack
  • 理由:有料サポート、安定性重視

上級者・カスタマイズ重視

  • 推奨:ExplorerPatcher + レジストリ調整
  • 理由:柔軟な設定、細かい調整可能

詳細なインストールと設定手順

ExplorerPatcherの詳細設定

基本設定の完了後

  1. 詳細オプションの調整 設定アプリ → ExplorerPatcher または システムトレイのアイコン右クリック → Settings
  2. タスクバー設定
    Taskbar:
    - Taskbar style: Windows 10
    - Combine taskbar buttons: Never
    - Show labels on taskbar buttons: Always
    - Taskbar size: Small/Medium/Large
  3. スタートメニュー設定
    Start menu:
    - Start menu style: Windows 10
    - Replace start menu: はい
    - Show user picture: お好みで
  4. システムトレイ設定
    System tray:
    - Hide system tray icons: 調整
    - Show clock on all monitors: はい(マルチモニター)

レジストリでの微調整

追加のカスタマイズ設定

# タスクバーの透明度調整
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced]
"UseOLEDTaskbarTransparency"=dword:00000001

# タスクバーの自動非表示設定
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\StuckRects3]
# バイナリデータの編集が必要(上級者向け)

# アニメーション効果の無効化
[HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop\WindowMetrics]
"MinAnimate"="0"

レジストリ変更のバッチファイル

@echo off
echo Windows 11タスクバーカスタマイズ適用中...

REM タスクバーサイズを小に変更
reg add "HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced" /v TaskbarSi /t REG_DWORD /d 0 /f

REM 検索ボックスを非表示
reg add "HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Search" /v SearchboxTaskbarMode /t REG_DWORD /d 0 /f

REM ウィジェットボタンを非表示
reg add "HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced" /v TaskbarDa /t REG_DWORD /d 0 /f

echo 設定完了。再起動してください。
pause

トラブルシューティングと復旧方法

よくある問題と対処法

問題1:ExplorerPatcherが動作しない

症状

  • インストール後もタスクバーが変わらない
  • 設定画面が開かない
  • システムが不安定になる

対処法

# ExplorerPatcherの再インストール
1. 現在のバージョンをアンインストール
2. 最新版をダウンロード
3. 管理者権限でインストール
4. Windows Updateの確認

# コマンドでの強制修復
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth

問題2:レジストリ変更が反映されない

確認事項

  • 管理者権限での実行
  • 正確なパス入力
  • データ型の確認(DWORD vs REG_SZ)
  • システム再起動の実行

修復手順

# レジストリの復元
reg import backup_explorer.reg

# エクスプローラーの再起動
taskkill /f /im explorer.exe
start explorer.exe

問題3:システムの動作が不安定

緊急復旧手順

  1. セーフモードでの起動 Windowsキー + R → msconfig → ブート → セーフブート → 再起動
  2. システムの復元 コントロールパネル → システム → システムの保護 → システムの復元
  3. ツールのアンインストール 設定 → アプリ → ExplorerPatcher → アンインストール または コントロールパネル → プログラムの追加と削除

予防策とベストプラクティス

事前準備

# システム復元ポイントの作成
powershell "Checkpoint-Computer -Description 'タスクバーカスタマイズ前'"

# レジストリのバックアップ
reg export HKLM\SOFTWARE backup_hklm.reg
reg export HKCU\SOFTWARE backup_hkcu.reg

安全な実施方法

  1. 段階的な変更:一度にすべてを変更せず、一つずつ確認
  2. テスト環境:可能であれば仮想環境で事前テスト
  3. 定期バックアップ:重要なデータの事前バックアップ
  4. 公式サポート:企業環境では公式サポートの確認

代替ワークフローの提案

タスクバーの効率的な使い方

Alt + Tab の活用

Alt + Tab: アプリ間の切り替え
Ctrl + Alt + Tab: 切り替え画面の固定表示
Windows + Tab: タスクビューの表示

仮想デスクトップの活用

Windows + Ctrl + D: 新しいデスクトップ作成
Windows + Ctrl + 左右矢印: デスクトップ切り替え
Windows + Ctrl + F4: 現在のデスクトップを閉じる

ピン留め機能の最大活用

  • よく使うアプリをタスクバーにピン留め
  • ショートカットキーの設定(Windows + 数字)
  • ジャンプリストの活用

サードパーティ製ランチャーの活用

PowerToys の Run機能

Alt + Space: PowerToys Runの起動
アプリ名の一部入力で高速起動
計算機、単位変換なども統合

Everything(ファイル検索)

瞬時のファイル検索
正規表現対応
タスクバーからの独立操作

まとめ:Windows 11でも理想的なタスクバー環境を構築しよう

Windows 11でタスクバーの「結合しない」設定を実現するには、複数のアプローチがあります。

現状の整理

  • レジストリのみ:完全な「結合しない」は不可能
  • サードパーティツール:ExplorerPatcherが最も確実で無料
  • 有料ツール:StartAllBackは安定性とサポートが優秀
  • 代替手段:ワークフローの見直しで効率化も可能

推奨アプローチ

  1. まずExplorerPatcherを試用:無料で安全、機能十分
  2. 企業環境ならStartAllBack:有料サポートで安心
  3. レジストリ調整で微調整:細かい設定の最適化
  4. 代替ワークフロー:根本的な作業方法の見直し

実施時の注意点

  • 必ずバックアップを作成してから実行
  • 段階的に変更して問題の早期発見
  • 公式アップデートでの互換性確認
  • セキュリティソフトとの競合に注意

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