Windows モジュール インストーラー(TrustedInstaller.exe)は、Windowsパソコンの中で働く重要なプログラムです。このプログラムは、パソコンの安全性と安定性を保つために、システムの更新やファイルの管理を自動で行ってくれます。
普段は見えないところで働いているため、多くの人は存在を知らないかもしれません。しかし、パソコンを安全に使い続けるためには、なくてはならない存在なのです。
Windows モジュール インストーラーが行う仕事

Windows Updateの管理
セキュリティ更新の適用 ウイルスやハッカーからパソコンを守るための最新のセキュリティ対策を自動でインストールします。
機能の追加と改善 Windowsの新しい機能を追加したり、既存の機能をより使いやすくしたりする更新を行います。
バグの修正 システムの不具合や問題を解決するための修正プログラムをインストールします。
システムファイルの保護
重要なファイルの監視 Windowsが正常に動作するために必要なファイルを常に監視して、勝手に変更されないよう保護します。
破損したファイルの修復 システムファイルが何らかの理由で破損した場合、自動で正しいファイルに復元します。
コンポーネントストアの管理
システム部品の整理 Windowsの様々な機能を構成する部品(コンポーネント)を整理して、無駄な容量を削減します。
古いファイルのクリーンアップ 使われなくなった古い更新ファイルを削除して、ハードディスクの容量を節約します。
Windows モジュール インストーラーが動作するタイミング
自動起動の場面
Windows Update実行時 月例のWindows Updateや緊急のセキュリティ更新がある時に自動で起動します。
システム起動時 パソコンを立ち上げた時に、必要に応じて起動して保留中の作業を完了させます。
定期メンテナンス時 Windowsが自動で行う定期的なメンテナンス作業の際に起動します。
手動で確認が必要な場合
パソコンの動作が重い時や、Windows Updateで問題が発生した時は、このサービスの状態を確認することがあります。
サービスの確認と操作方法
サービスの確認手順
ステップ1:サービス管理画面を開く キーボードの「Windows」キー + 「R」キーを同時に押して、「ファイル名を指定して実行」を開きます。テキストボックスに「services.msc」と入力して「OK」をクリックします。
ステップ2:Windows モジュール インストーラーを探す サービスの一覧が表示されたら、「Windows モジュール インストーラー」または「Windows Modules Installer Worker」を探します。
ステップ3:状態を確認 サービスの状態が「実行中」になっているか確認します。「停止」になっている場合は、何らかの問題が発生している可能性があります。
手動でサービスを開始する方法
通常は自動で起動しますが、何らかの理由で停止している場合の手動起動方法をご説明します:
サービス一覧から操作 「Windows モジュール インストーラー」を右クリックして、「開始」を選択します。
管理者権限での実行 サービスの開始には管理者権限が必要です。「管理者として実行」で操作を行ってください。
CPUやメモリ使用量が高い時の対処法

Windows モジュール インストーラーが動作中に、パソコンの動作が重くなることがあります。これは正常な動作ですが、長時間続く場合の対処法をご紹介します。
正常な動作パターン
更新作業中の高負荷 Windows Updateのダウンロードやインストール中は、CPUやディスクの使用率が一時的に高くなります。
大型アップデートの場合 Windows 11への更新や大型の機能更新の場合、数時間かかることもあります。
異常な動作の見分け方
長時間の高負荷 更新作業が完了しているにも関わらず、数日間にわたって高負荷が続く場合は異常です。
エラーメッセージの表示 Windows Updateでエラーが表示される場合は、トラブルが発生している可能性があります。
対処法の手順
ステップ1:しばらく待つ まずは1〜2時間程度待ってみましょう。更新作業が完了すれば、自然に負荷は下がります。
ステップ2:パソコンを再起動 長時間続く場合は、一度パソコンを再起動してみてください。多くの場合、これで問題が解決します。
ステップ3:Windows Updateトラブルシューティング Windowsの設定から「更新とセキュリティ」→「トラブルシューティング」→「Windows Update」を実行します。
ステップ4:システムファイルチェッカーの実行 コマンドプロンプトを管理者として開き、「sfc /scannow」コマンドを実行してシステムファイルをチェックします。
よくある問題と解決方法
Windows Updateが進まない
症状 更新プログラムのダウンロードやインストールが途中で止まってしまう。
解決方法 Windows Updateのキャッシュをクリアして、サービスを再起動します。「設定」→「更新とセキュリティ」→「トラブルシューティング」から自動修復を試してください。
エラーコードが表示される
症状 Windows Update実行時に特定のエラーコードが表示される。
解決方法 表示されたエラーコードをメモして、マイクロソフトの公式サポートページで解決方法を確認してください。
ディスク容量不足
症状 更新プログラムをインストールするための容量が足りない。
解決方法 ディスククリーンアップを実行して、不要なファイルを削除します。古い更新ファイルも削除できます。
サービスを停止する時の注意点
停止が推奨されない理由
セキュリティリスクの増大 Windows モジュール インストーラーを停止すると、セキュリティ更新が適用されなくなり、ウイルスやマルウェアの被害を受けるリスクが高まります。
システムの不安定化 重要なシステムファイルの保護機能が働かなくなり、パソコンが不安定になる可能性があります。
Windows Updateの機能停止 更新プログラムのインストールができなくなり、新しい機能や修正を受け取れなくなります。
やむを得ず停止する場合
どうしても一時的に停止する必要がある場合は、以下の点にご注意ください:
作業後の再開 停止した作業が完了したら、必ずサービスを再開してください。
自己責任での実行 停止による問題はすべて自己責任となります。十分に理解した上で実行してください。
代替セキュリティ対策 停止中は他のセキュリティ対策を強化して、リスクを最小限に抑えてください。
システムの健全性を保つためのベストプラクティス

定期的なメンテナンス
月1回のフルスキャン ウイルス対策ソフトでパソコン全体をスキャンして、マルウェアの感染がないか確認します。
ディスククリーンアップ 不要なファイルを定期的に削除して、ディスク容量を確保します。
自動更新の有効化 Windows Updateの自動更新を有効にして、常に最新の状態を保ちます。
トラブル予防
十分な空き容量の確保 システムドライブ(通常はCドライブ)に15GB以上の空き容量を確保しておきます。
バックアップの作成 重要なデータは定期的にバックアップを取って、万一の時に備えます。
電源設定の最適化 Windows Updateが途中で中断されないよう、電源設定を適切に調整します。
まとめ
Windows モジュール インストーラーは、パソコンの安全性と安定性を維持するために欠かせない重要なサービスです。普段は意識することなく動作していますが、この仕組みがあるからこそ、私たちは安心してパソコンを使うことができます。
時々パソコンが重くなることがあっても、それは大切な更新作業を行っているからです。無理に停止せず、システムの健全性を保つために適切に管理していきましょう。
もし問題が発生した場合は、まずは基本的なトラブルシューティングを試して、それでも解決しない場合は専門家に相談することをおすすめします。定期的なメンテナンスを心がけることで、長期にわたって快適にパソコンを使用できます。
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