Macを使っていて、外付けHDDやUSBメモリを接続したり、NASなどのネットワークドライブにアクセスするときによく出てくるのが「マウント」という言葉です。
こんな場面で必要になります
- 外付けHDDやUSBメモリを安全に取り外したい
- NASやネットワークドライブに接続したい
- 手動でディスクの接続を制御したい
- ディスク容量やマウント状況を詳しく確認したい
- Time Machineの設定でマウント状況を把握したい
でも「マウントって具体的に何?」「どこにマウントされているか確認したい」「手動でマウント・アンマウントしたい」など、初心者には少しわかりにくい部分もあります。
この記事では、Macでのマウントの基本的な意味から、実際にターミナルやFinderを使って確認・操作する方法を初心者にもわかりやすく解説します。
これを読めば、Macでのストレージ管理がずっと安全で効率的になりますよ!
そもそもマウントとは?

基本概念
マウントとは簡単に言えば、Macのファイルシステムに外部のストレージ(HDDやUSBメモリ、ネットワークドライブ)を接続して、使えるようにすることです。
身近な例で説明すると
- 本棚に本を並べる:本(ディスク)を本棚(ファイルシステム)の特定の場所に置く
- 家に部屋を増築:新しい部屋(外付けディスク)を家(Mac)に追加して使えるようにする
- 駐車場に車を停める:車(ストレージ)を駐車場(マウントポイント)の特定の場所に配置
マウントとアンマウント
マウント(Mount)
- 外部ストレージをMacで使えるようにする
- ファイルシステムの特定の場所(マウントポイント)に接続
- Finderで表示され、ファイルの読み書きが可能
アンマウント(Unmount)
- 外部ストレージの接続を安全に解除する
- 進行中の書き込み処理を完了してから切断
- アンマウントせずに取り外すとデータ破損のリスク
Macでのマウントの特徴
自動マウント
- USBメモリや外付けHDDは接続すると自動的にマウント
/Volumes
ディレクトリ下にマウントポイントが作成- Finderのサイドバーに表示
マウントポイント
- 通常は
/Volumes/[ディスク名]
- 例:
/Volumes/USB Drive
、/Volumes/Backup HDD
Finderでのマウント確認・操作
マウントされたディスクの確認
Finderサイドバーで確認
- Finderを開く
- サイドバーの「場所」セクションを確認
- 接続されているディスクが表示される
Volumesフォルダで確認
- Finder → 移動 → フォルダへ移動(⌘+⇧+G)
/Volumes
と入力- 移動をクリック
- マウントされているすべてのディスクが表示される
Finderでのアンマウント操作
方法1:サイドバーからアンマウント
- Finderサイドバーでディスクを確認
- ディスク名の右側の取り出しアイコンをクリック
方法2:右クリックメニュー
- デスクトップまたはFinderでディスクアイコンを右クリック
- **「”[ディスク名]”を取り出す」**を選択
方法3:ディスクをゴミ箱にドラッグ
- ディスクアイコンをゴミ箱にドラッグ
- ゴミ箱アイコンが取り出しアイコンに変化
Finderでのネットワークドライブ接続
SMB/CIFS接続(Windows共有、NAS)
- Finder → 移動 → サーバへ接続(⌘+K)
- サーバアドレスを入力
smb://192.168.1.100smb://nas.localsmb://server.company.com
- 接続をクリック
- ユーザー名とパスワードを入力
- 共有フォルダを選択
AFP接続(古いMac共有)
afp://192.168.1.100
FTP接続
ftp://ftp.example.com
ターミナルでマウント確認

dfコマンドでディスク使用状況確認
基本的なディスク情報表示
df -h
出力例
Filesystem Size Used Avail Capacity iused ifree %iused Mounted on
/dev/disk3s1s1 466Gi 15Gi 423Gi 4% 553234 4293867005 0% /
/dev/disk3s6 466Gi 27Gi 423Gi 7% 1 4294420238 0% /System/Volumes/VM
/dev/disk3s2 466Gi 408Mi 423Gi 1% 2026 4294418213 0% /System/Volumes/Preboot
/dev/disk3s4 466Gi 14Mi 423Gi 1% 49 4294420190 0% /System/Volumes/Update
/dev/disk1s2 500Mi 6.0Mi 479Mi 2% 1 4888549 0% /System/Volumes/xarts
/dev/disk1s1 500Mi 6.2Mi 479Mi 2% 25 4888525 0% /System/Volumes/iSCPreboot
/dev/disk1s3 500Mi 516Ki 479Mi 1% 69 4888481 0% /System/Volumes/Hardware
/dev/disk2s1 1.0Ti 100Gi 900Gi 11% 50000 450000000 0% /Volumes/External HDD
重要な項目の説明
- Filesystem:デバイス名
- Size:総容量
- Used:使用済み容量
- Avail:利用可能容量
- Mounted on:マウントポイント
外付けディスクのみ表示
df -h | grep "/Volumes"
mountコマンドで詳細確認
全マウント情報の表示
mount
出力例
/dev/disk3s1s1 on / (apfs, local, read-only, journaled)
/dev/disk2s1 on /Volumes/External HDD (exfat, local, nodev, nosuid, read-write)
//user@192.168.1.100/share on /Volumes/NAS (smbfs, nodev, nosuid, mounted by user)
特定のファイルシステムのみ表示
# 外付けディスクのみ
mount | grep "/Volumes"
# ネットワークドライブのみ
mount | grep "smbfs\|nfs\|afp"
system_profilerでハードウェア情報確認
接続されているストレージ情報
system_profiler SPStorageDataType
USB接続デバイス情報
system_profiler SPUSBDataType
diskutilを使った手動操作

diskutilの基本
diskutil
はMacのディスク管理用コマンドラインツールです。GUIの「ディスクユーティリティ」のコマンド版です。
ディスクの一覧表示
接続されているディスクの確認
diskutil list
出力例
/dev/disk0 (internal, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: GUID_partition_scheme *500.3 GB disk0
1: Apple_APFS_ISC Container disk1 524.3 MB disk0s1
2: Apple_APFS Container disk3 499.8 GB disk0s2
/dev/disk2 (external, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: FDisk_partition_scheme *1.0 TB disk2
1: DOS_FAT_32 EXTERNAL HDD 1.0 TB disk2s1
特定ディスクの詳細情報
diskutil info disk2s1
手動マウント・アンマウント
手動マウント
# 基本的なマウント
diskutil mount disk2s1
# 特定の場所にマウント
diskutil mount disk2s1 -mountPoint /Volumes/MyDrive
アンマウント
# 通常のアンマウント
diskutil unmount disk2s1
# 強制アンマウント(使用中のファイルがある場合)
diskutil unmount force disk2s1
# ディスク全体をアンマウント
diskutil unmountDisk disk2
マウント・アンマウントの確認
# マウント後の確認
ls /Volumes
# 特定ディスクのマウント状況確認
diskutil info disk2s1 | grep "Mounted"
ディスクの管理操作
ディスクの修復
# ファイルシステムの検証
diskutil verifyVolume disk2s1
# ファイルシステムの修復
diskutil repairVolume disk2s1
ディスクの暗号化(FileVault)
# 暗号化の有効化
diskutil apfs enableFileVault disk2s1
# 暗号化状況の確認
diskutil apfs listCryptoUsers disk2s1
ネットワークドライブのマウント
SMB/CIFS(Windows共有、NAS)
基本的なSMBマウント
# マウントポイントの作成
sudo mkdir -p /Volumes/NetworkShare
# SMBマウント
mount_smbfs //username@server.local/share /Volumes/NetworkShare
認証情報の指定
# パスワードを対話的に入力
mount_smbfs //username@192.168.1.100/share /Volumes/NetworkShare
# 認証情報をファイルから読み込み
mount_smbfs -f ~/.smbcredentials //server/share /Volumes/NetworkShare
認証情報ファイルの作成
# ~/.smbcredentials ファイルを作成
echo "username=myuser" > ~/.smbcredentials
echo "password=mypassword" >> ~/.smbcredentials
chmod 600 ~/.smbcredentials
NFS(Unix/Linux共有)
NFSマウント
# マウントポイントの作成
sudo mkdir -p /Volumes/NFSShare
# NFSマウント
sudo mount_nfs -o resvport server.local:/export/share /Volumes/NFSShare
NFSマウントオプション
# 読み取り専用でマウント
sudo mount_nfs -o ro,resvport server:/export /Volumes/NFSShare
# 特定のNFSバージョンを指定
sudo mount_nfs -o nfsvers=4,resvport server:/export /Volumes/NFSShare
ネットワークマウントの確認
現在のネットワークマウント確認
mount | grep -E "smbfs|nfs|afp"
ネットワーク接続の状況確認
# SMB接続の確認
smbutil statshares -a
# ネットワーク接続全般
netstat -rn
自動マウントの設定

ログイン時の自動マウント(GUI)
システム環境設定での設定
- システム環境設定 → ユーザとグループ
- ログイン項目タブを選択
- 「+」ボタンをクリック
- ネットワークサーバーを選択
- サーバーアドレスを入力
Automatorを使った自動化
Automator アプリケーションの作成
- Automatorを起動
- アプリケーションを選択
- 「サーバに接続」アクションを追加
- サーバー情報を設定
- アプリケーションとして保存
- ログイン項目に追加
launchdを使った高度な自動化
plistファイルの作成
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE plist PUBLIC "-//Apple//DTD PLIST 1.0//EN" "http://www.apple.com/DTDs/PropertyList-1.0.dtd">
<plist version="1.0">
<dict>
<key>Label</key>
<string>com.user.automount</string>
<key>ProgramArguments</key>
<array>
<string>/usr/bin/osascript</string>
<string>-e</string>
<string>mount volume "smb://server.local/share"</string>
</array>
<key>RunAtLoad</key>
<true/>
</dict>
</plist>
launchdエージェントの登録
# plistファイルを配置
cp com.user.automount.plist ~/Library/LaunchAgents/
# エージェントの読み込み
launchctl load ~/Library/LaunchAgents/com.user.automount.plist
トラブルシューティング

よくある問題と対処法
Q:外付けディスクが認識されない
A:以下を順番に確認してください
# ハードウェアの確認
system_profiler SPUSBDataType
# ディスクの確認
diskutil list
# 修復を試行
diskutil repairDisk disk2
Q:アンマウントできない(使用中エラー)
A:使用中のプロセスを確認して終了させてください
# ディスクを使用中のプロセス確認
sudo lsof +D /Volumes/DiskName
# 強制アンマウント
diskutil unmount force /Volumes/DiskName
Q:ネットワークドライブに接続できない
A:接続性とプロトコルを確認してください
# ネットワーク疎通確認
ping server.local
# SMBサービスの確認
smbutil lookup server.local
# マウント試行(詳細エラー表示)
mount_smbfs -v //user@server/share /Volumes/test
Q:Time Machineのディスクがマウントされない
A:Time Machine設定を確認してください
# Time Machine状況確認
tmutil status
# Time Machineディスクの確認
tmutil destinationinfo
セキュリティとパフォーマンス
安全なアンマウント
# 同期処理の完了を待つ
sync
# アンマウント前の確認
diskutil info disk2s1 | grep "Volume Free Space"
ネットワークマウントのセキュリティ
# 暗号化接続の確認
mount | grep smbfs | grep encrypt
# 認証情報の安全な保存
security add-internet-password -s server.local -a username -w password
パフォーマンス最適化

マウントオプションの調整
高速化オプション
# SMBマウントの高速化
mount_smbfs -o soft,intr //server/share /Volumes/share
# NFSマウントの最適化
mount_nfs -o rsize=65536,wsize=65536 server:/export /Volumes/nfs
信頼性重視オプション
# データ整合性を重視
mount_smbfs -o sync //server/share /Volumes/share
キャッシュの管理
ファイルシステムキャッシュのクリア
# ディスクキャッシュの同期
sync
# システムキャッシュのクリア
sudo purge
よくある質問

Q:Windowsで作成したディスクがMacで読み込めません
A:ファイルシステムの互換性を確認してください
- NTFS:読み取り専用(書き込みには別途ソフトが必要)
- exFAT:読み書き可能
- FAT32:読み書き可能(4GB以上のファイル不可)
Q:Time Machineバックアップ用ディスクのマウント・アンマウント
A:Time Machine専用のコマンドを使用してください
# Time Machineディスクのマウント
tmutil mountbackup
# Time Machineディスクのアンマウント
tmutil unmountbackup
Q:外付けSSDの最適な設定は?
A:以下の設定を推奨します
# TRIMサポートの有効化(可能な場合)
sudo trimforce enable
# Spotlightインデックスの無効化(必要に応じて)
mdutil -i off /Volumes/SSDName
Q:複数のネットワークドライブを一括管理したい
A:スクリプトで自動化できます
#!/bin/bash
# 複数ネットワークドライブの一括マウント
servers=("server1.local/share1" "server2.local/share2")
username="your_username"
for server in "${servers[@]}"; do
mount_point="/Volumes/$(basename $server)"
mkdir -p "$mount_point"
mount_smbfs "//${username}@${server}" "$mount_point"
done
まとめ:Macのマウント操作をマスターしよう
この記事のポイント
操作 | GUI方法 | ターミナル方法 |
---|---|---|
マウント確認 | Finder → /Volumes | df -h または mount |
アンマウント | 取り出しアイコンクリック | diskutil unmount |
ネットワーク接続 | サーバへ接続 | mount_smbfs |
ディスク管理 | ディスクユーティリティ | diskutil |
安全な使用のために
- 必ずアンマウントしてから外付けディスクを取り外す
- ネットワークドライブは不要時にアンマウントしてセキュリティ向上
- 定期的な健康チェックでディスク状態を確認
- バックアップは複数の場所に保存
効率化のコツ
- よく使うネットワークドライブは自動マウント設定
- diskutilコマンドをマスターして高度な管理
- エイリアス作成で頻繁な操作を簡素化
- スクリプト化で複数ディスクの一括操作
トラブル予防
- 容量監視で空き容量不足を防ぐ
- ファイルシステムの定期チェック
- ネットワーク接続の安定性確認
Macでのマウント操作をマスターすれば、外付けディスクやネットワークストレージをファイルシステムに組み込むこと、Finderの/Volumes
で確認、ターミナルのdf
やmount
で詳細を把握、diskutil
で手動マウント・アンマウントも可能になり、USBを安全に取り外したり、NASへ確実に接続することができ、データ管理のトラブルを避けられます。
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