パソコンを使っていて、「あれ?時計がずれてる」と感じたことはありませんか?時計のずれは、ただ不便なだけでなく、ファイルの保存順序が混乱したり、セキュリティ証明書のエラーが起きたりする原因にもなります。
Windowsには時刻を自動で正確に合わせる機能がありますが、設定が間違っていたり、うまく動作しなかったりすることがあります。
この記事では、Windows の時刻同期を正しく設定する方法から、トラブルが起きたときの対処法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
Windows時刻同期の基本知識

時刻同期とは
時刻同期とは、パソコンの内蔵時計を、インターネット上の正確な時刻サーバーと合わせる機能です。Windowsでは「NTP(Network Time Protocol)」という仕組みを使って、自動的に時刻を調整します。
時刻同期が重要な理由
- ファイルやフォルダの作成・更新日時が正確になる
- メールの送受信時刻が正しく記録される
- セキュリティ証明書の有効期限チェックが正常に動作
- ネットワーク接続やリモートワークでの認証が正確になる
- スケジュール管理ソフトやタスクが予定通りに実行される
よくある時刻ずれの原因
ハードウェア的な原因
- CMOS電池の消耗(パソコンの電源を切っても時計を動かす電池)
- マザーボードの不具合
ソフトウェア的な原因
- Windowsの時刻同期設定が無効になっている
- 時刻サーバーとの通信エラー
- ファイアウォールが時刻同期を阻止している
- Windows Timeサービスの停止
環境的な原因
- インターネット接続が不安定
- 企業ネットワークでの制限
- 海外での利用時のタイムゾーン設定ミス
自動時刻同期の設定方法

Windows 10での設定手順
手順
- 設定アプリを開く
- 「スタート」ボタンをクリック
- 「設定」(歯車のアイコン)をクリック
- 時刻と言語の設定を開く
- 「時刻と言語」をクリック
- 左側メニューから「日付と時刻」を選択
- 自動設定を有効にする
- 「時刻を自動的に設定する」をオンにする
- 「タイムゾーンを自動的に設定する」をオンにする(推奨)
- 今すぐ同期を実行
- 画面を下にスクロール
- 「今すぐ同期」ボタンをクリック
- 「最終同期日時」が更新されることを確認
Windows 11での設定手順
Windows 11では、設定画面のデザインが少し変わっています。
手順
- 設定アプリを開く
- 「スタート」ボタンをクリック
- 「設定」をクリック
- 日時の設定を開く
- 左側メニューから「時刻と言語」をクリック
- 「日付と時刻」をクリック
- 自動設定を有効にする
- 「時刻を自動的に設定する」のスイッチをオンにする
- 「タイムゾーンを自動的に設定する」のスイッチをオンにする
- 手動同期を実行
- 「今すぐ同期」ボタンをクリック
- 同期が成功したことを確認
設定確認のポイント
正常に動作している場合
- 「最終同期日時」が最近の日時になっている
- エラーメッセージが表示されていない
- パソコンの時計が正確な時刻を示している
設定に問題がある場合
- 「時刻を自動的に設定する」がオフになっている
- 同期ボタンを押してもエラーが表示される
- 何日も同期されていない
手動で時刻サーバーを変更する方法

自動設定でうまくいかない場合や、特定の時刻サーバーを使いたい場合は、手動で設定できます。
コントロールパネルからの設定
手順
- コントロールパネルを開く
- 「スタート」ボタンを右クリック
- 「ファイル名を指定して実行」をクリック
- 「timedate.cpl」と入力してEnterキーを押す
- インターネット時刻の設定
- 「インターネット時刻」タブをクリック
- 「設定の変更」ボタンをクリック
- 時刻サーバーの設定
- 「インターネット時刻サーバーと同期する」にチェックを入れる
- サーバー欄に希望のサーバーアドレスを入力
- 「今すぐ更新」ボタンをクリック
おすすめの時刻サーバー
日本国内のサーバー
- ntp.nict.jp:情報通信研究機構(NICT)が提供する高精度サーバー
- ntp.jst.mfeed.ad.jp:インターネットマルチフィード提供のサーバー
海外のサーバー
- time.windows.com:Microsoft公式サーバー(デフォルト)
- pool.ntp.org:世界中のボランティアサーバーの集合
- time.google.com:Google提供の高精度サーバー
サーバー選択のコツ
- 地理的に近いサーバーを選ぶと安定性が向上
- 複数のサーバーを試して最も安定するものを選択
- 企業環境では、社内のNTPサーバーがある場合もある
よくあるトラブルと解決方法

時刻同期エラーが表示される
エラーメッセージの例
- 「時刻サーバーからの応答がありませんでした」
- 「時刻の同期中にエラーが発生しました」
- 「タイムアウトが発生しました」
解決方法
1. 別の時刻サーバーを試す
ntp.nict.jp → time.windows.com に変更
2. ファイアウォールの確認
- Windows Defenderファイアウォールで「NTP Client」が許可されているか確認
- 企業環境では、ネットワーク管理者に相談
3. インターネット接続の確認
- 他のウェブサイトが正常に開けるかテスト
- DNS設定に問題がないか確認
同期ボタンが無効になっている
原因 管理者権限が必要な操作のため、標準ユーザーではボタンが使用できません。
解決方法
- 管理者として実行
- コントロールパネルを右クリック
- 「管理者として実行」を選択
- ユーザーアカウント制御で「はい」をクリック
- 管理者アカウントでログイン
- 管理者権限を持つアカウントでWindowsにログイン
- 時刻同期の設定を実行
何度設定してもすぐに時計がずれる
考えられる原因
- CMOS電池の劣化
- Windows Timeサービスの不具合
- マルウェア感染
- ハードウェアの故障
段階的な解決方法
1. Windows Timeサービスの再起動
- 「スタート」ボタンを右クリック
- 「Windows PowerShell(管理者)」をクリック
- 以下のコマンドを実行:
net stop w32time
net start w32time
w32tm /resync
2. CMOS電池の交換
- デスクトップPC:マザーボード上のボタン電池を交換
- ノートPC:メーカーサポートに相談
3. システムの詳細チェック
- ウイルススキャンの実行
- システムファイルチェック:
sfc /scannow
- メモリテストの実行
コマンドプロンプトを使った時刻同期

上級者向けですが、コマンドプロンプトからも時刻同期を操作できます。
基本的なコマンド
現在の時刻同期状況確認
w32tm /query /status
手動で時刻を同期
w32tm /resync
時刻サーバーの変更
w32tm /config /manualpeerlist:"ntp.nict.jp" /syncfromflags:manual
Windows Timeサービスの再起動
net stop w32time
net start w32time
コマンド実行時の注意点
管理者権限が必要
- コマンドプロンプトは「管理者として実行」で開く
- ユーザーアカウント制御の確認で「はい」をクリック
企業環境での制限
- グループポリシーで制限されている場合がある
- ネットワーク管理者に確認が必要
企業・組織での時刻同期管理
Active Directory環境での時刻同期
基本的な仕組み
- ドメインコントローラーが時刻サーバーの役割
- クライアントPCは自動的にドメインコントローラーと同期
- 管理者がグループポリシーで一括設定可能
設定の確認方法
- コマンドプロンプトで以下を実行:
w32tm /query /source
- ドメインコントローラーのアドレスが表示されることを確認
グループポリシーでの一括設定
設定項目
- 時刻サーバーの指定
- 同期間隔の設定
- ユーザーによる変更の禁止
設定場所
コンピューターの構成 → 管理用テンプレート → システム → Windows Time Service
トラブル予防のためのメンテナンス

定期的なチェック項目
月1回の確認
- 時刻が正確かどうかの目視確認
- 最終同期日時のチェック
- エラーメッセージの有無確認
年1回の点検
- CMOS電池の電圧チェック(デスクトップPCの場合)
- システム全体のヘルスチェック
- 時刻サーバーの応答速度テスト
ログの確認方法
イベントビューアでの確認
- 「スタート」→「イベント ビューア」
- 「Windows ログ」→「システム」
- ソースが「Time-Service」のイベントを確認
よくあるログメッセージ
- 成功:「時刻サービスが開始されました」
- 警告:「時刻サーバーからの応答がありません」
- エラー:「時刻同期に失敗しました」
設定比較表
設定方法 | 難易度 | 推奨度 | 用途 |
---|---|---|---|
設定アプリでの自動設定 | 簡単 | 高 | 一般ユーザー |
コントロールパネルでの手動設定 | 普通 | 中 | カスタマイズしたい場合 |
コマンドプロンプト | 難しい | 低 | トラブルシューティング |
グループポリシー | 難しい | 高 | 企業環境での一括管理 |
よくある質問

Q: 時刻同期はど のくらいの頻度で行われますか?
A: 通常は1週間に1回自動で実行されます。ただし、設定や環境によって変わる場合があります。
Q: 海外旅行先でパソコンを使うときの注意点は?
A: 「タイムゾーンを自動的に設定する」をオンにしておけば、現地時刻に自動調整されます。
Q: 時刻同期を無効にするとどうなりますか?
A: 時計が少しずつずれていき、ファイルのタイムスタンプやセキュリティ認証に問題が生じる可能性があります。
Q: 複数のパソコンで同じ時刻サーバーを使って大丈夫ですか?
A: 一般的な使用量であれば問題ありません。ただし、大量のパソコンで同一サーバーを使う場合は分散することをおすすめします。
まとめ
Windowsの時刻同期を正しく設定することで、パソコンの時計を常に正確に保つことができます。
重要なポイント
- 自動設定を有効にする:「時刻を自動的に設定する」をオンに
- 定期的な確認:月1回は同期状況をチェック
- トラブル時の対応:別のサーバーやコマンドを試す
- 企業環境での配慮:グループポリシーや社内サーバーの確認
推奨設定
- 一般ユーザー:設定アプリでの自動同期
- 上級ユーザー:コントロールパネルでのカスタマイズ
- 企業環境:グループポリシーでの一括管理
トラブル予防
- 定期的な時刻確認
- CMOS電池の状態チェック
- システムアップデートの適用
コメント