Ubuntuを使っていると、「今使っているバージョンは何だろう?」と思うことがよくあります。
実は、バージョンを知っておくことはとても重要です。
バージョン確認が必要な場面
- 新しいソフトを入れるとき(対応バージョンの確認)
- システムをアップデートするかどうか判断するとき
- 不具合が起きて、インターネットで解決方法を探すとき
- 開発作業で動作環境を確認するとき
この記事では、パソコン初心者の方でも簡単にできる、Ubuntuのバージョン確認方法を分かりやすく説明します。
画面操作(GUI)とコマンド入力の両方の方法を紹介するので、自分に合った方法を選んでください。
画面操作でバージョンを確認する方法
まずは、マウス操作だけでできる確認方法から説明します。
コマンドが苦手な方や、Ubuntu初心者の方におすすめです。
設定画面からの確認方法
手順
- 画面左下の「アクティビティ」をクリック
- 検索ボックスに「設定」と入力
- 「設定」アプリケーションをクリックして開く
- 左側のメニューから「詳細」または「情報」を選択
- 画面に表示される情報を確認
表示される情報の例
- OS名:Ubuntu
- バージョン:22.04.4 LTS
- グラフィック:Intel Graphics
- プロセッサ:Intel Core i5
- メモリ:8 GB
Ubuntuのバージョン表記について
- 「22.04」:2022年4月にリリースされたバージョン
- 「LTS」:Long Term Support(長期サポート版)の意味
- 「.4」:マイナーアップデートの回数
アプリケーション情報からの確認
手順
- アプリケーション一覧を開く
- 「Ubuntuについて」または「システム情報」を探す
- クリックして詳細情報を表示
この方法でも、同じようにバージョン情報を確認できます。
ファイルマネージャーでの確認
手順
- ファイルマネージャー(Nautilus)を開く
- 左側の「コンピューター」をクリック
- 「プロパティ」を選択
- システム情報が表示される
どの方法でも同じ情報が確認できるので、使いやすい方法を選んでください。
コマンドでバージョンを確認する方法
ターミナル(コマンドライン)を使った確認方法は、慣れると画面操作よりも早くて便利です。
プログラマーやシステム管理者は、ほとんどがこの方法を使っています。
基本的なコマンド:lsb_release
最もよく使われるコマンド
lsb_release -a
実行結果の例
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description: Ubuntu 22.04.4 LTS
Release: 22.04
Codename: jammy
各項目の意味
- Distributor ID:ディストリビューション名(Ubuntu)
- Description:詳細な説明
- Release:リリース番号
- Codename:開発コードネーム(jemmyは22.04のコードネーム)
オプションを使った確認
# バージョン番号のみ表示
lsb_release -r
# 説明文のみ表示
lsb_release -d
# コードネームのみ表示
lsb_release -c
システム情報ファイルの確認
os-releaseファイルの確認
cat /etc/os-release
実行結果の例
PRETTY_NAME="Ubuntu 22.04.4 LTS"
NAME="Ubuntu"
VERSION_ID="22.04"
VERSION="22.04.4 LTS (Jammy Jellyfish)"
VERSION_CODENAME=jammy
ID=ubuntu
ID_LIKE=debian
HOME_URL="https://www.ubuntu.com/"
SUPPORT_URL="https://help.ubuntu.com/"
BUG_REPORT_URL="https://bugs.launchpad.net/ubuntu/"
PRIVACY_POLICY_URL="https://www.ubuntu.com/legal/terms-and-policies/privacy-policy"
UBUNTU_CODENAME=jammy
この方法では、より詳しい情報が表示されます。公式サイトのURLやサポート情報なども確認できます。
カーネル情報の確認
unameコマンドの使用
uname -a
実行結果の例
Linux ubuntu-desktop 5.15.0-91-generic #101-Ubuntu SMP Tue Nov 14 13:30:08 UTC 2023 x86_64 x86_64 x86_64 GNU/Linux
uname -aで分かること
- Linux:オペレーティングシステム名
- ubuntu-desktop:ホスト名
- 5.15.0-91-generic:カーネルバージョン
- x86_64:アーキテクチャ(64ビット)
個別情報の確認
# カーネルバージョンのみ
uname -r
# システムアーキテクチャのみ
uname -m
# すべての情報を見やすく表示
uname -a | tr ' ' '\n'
systemdの情報確認
hostnamectlコマンド
hostnamectl
実行結果の例
Static hostname: ubuntu-desktop
Icon name: computer-desktop
Chassis: desktop
Machine ID: a1b2c3d4e5f6g7h8i9j0k1l2m3n4o5p6
Boot ID: z9y8x7w6v5u4t3s2r1q0p9o8n7m6l5k4
Operating System: Ubuntu 22.04.4 LTS
Kernel: Linux 5.15.0-91-generic
Architecture: x86-64
このコマンドでは、ホスト名やマシンIDなど、システム全体の情報が分かります。
より詳しい情報を確認する方法
基本的なバージョン確認に加えて、より詳細な情報を調べる方法も紹介します。
ハードウェア情報の確認
CPUの情報
# CPU詳細情報
cat /proc/cpuinfo | head -20
# CPUのコア数確認
nproc
メモリ情報
# メモリ使用状況
free -h
# メモリの詳細情報
cat /proc/meminfo | head -10
ディスク情報
# ディスク使用量
df -h
# ディスクの詳細情報
lsblk
インストールされているソフトウェアの確認
パッケージマネージャーのバージョン
# aptのバージョン
apt --version
# snapのバージョン
snap --version
デスクトップ環境の確認
# デスクトップ環境の種類
echo $XDG_CURRENT_DESKTOP
# GNOMEのバージョン(GNOME使用時)
gnome-shell --version
システムの稼働状況
システムの起動時間
uptime
システムの起動ログ
# 最新の起動ログ
journalctl -b
# システムの起動時間詳細
systemd-analyze
バージョン情報の活用方法
確認したバージョン情報を、実際にどのように活用すればよいかを説明します。
ソフトウェアの互換性確認
インストール前の確認ポイント
- そのソフトがUbuntuに対応しているか
- 自分のUbuntuバージョンで動作するか
- 必要なシステム要件を満たしているか
確認方法
- ソフトウェアの公式サイトで対応OS一覧を確認
- パッケージマネージャーで検索してみる
- Ubuntu公式リポジトリで提供状況を確認
アップグレードの判断
LTS版の確認
- 現在使用中:20.04 LTS → 22.04 LTSへの移行を検討
- 現在使用中:22.04 LTS → まだ最新版なので様子見
- 現在使用中:21.10など → LTS版への移行を強く推奨
アップグレード前のチェック
# アップグレード可能なパッケージの確認
apt list --upgradable
# 利用可能な新しいリリースの確認
sudo do-release-upgrade -c
トラブルシューティングでの活用
問題を報告するときに必要な情報
- Ubuntuのバージョン(lsb_release -a)
- カーネルバージョン(uname -r)
- ハードウェア情報(lshw -short)
- エラーメッセージ
情報をまとめて出力
# システム情報を一括出力
echo "=== Ubuntu Version ===" && lsb_release -a && \
echo "=== Kernel Version ===" && uname -r && \
echo "=== Hardware Info ===" && lshw -short
コマンドが使えない場合の対処法
稀に、標準コマンドが使えない状況もあります。そんなときの代替方法を紹介します。
lsb_releaseが見つからない場合
エラーメッセージ例
bash: lsb_release: command not found
解決方法
# パッケージをインストール
sudo apt update
sudo apt install lsb-release
代替確認方法
# /etc/issueファイルの確認
cat /etc/issue
# /etc/debian_versionの確認(Debianベースの情報)
cat /etc/debian_version
最小インストール環境での確認
サーバー版など、最小限のパッケージしかインストールされていない環境では、以下の方法が確実です:
# 確実に存在するファイルでの確認
cat /proc/version
# カーネル情報から推測
uname -a
セキュリティと更新状況の確認
バージョン確認と併せて、セキュリティの状況も確認しておきましょう。
セキュリティアップデートの確認
利用可能な更新の確認
# パッケージリストの更新
sudo apt update
# アップグレード可能なパッケージ一覧
apt list --upgradable
# セキュリティアップデートのみ表示
apt list --upgradable | grep security
自動更新の設定確認
# 自動更新の設定状況
sudo systemctl status unattended-upgrades
# 設定ファイルの確認
cat /etc/apt/apt.conf.d/50unattended-upgrades
サポート期限の確認
Ubuntu LTSのサポート期間
- 20.04 LTS:2025年4月まで
- 22.04 LTS:2027年4月まで
- 24.04 LTS:2029年4月まで
サポート状況の確認方法
# EOL(End of Life)の確認
ubuntu-support-status
よくある質問と回答
Q1: 複数の確認方法で結果が違う場合は?
A1: 通常は同じ結果になりますが、以下の場合に違いが生じることがあります:
- システムが部分的にアップグレードされている
- 開発版やテスト版を使用している
- カスタムカーネルを使用している
最も信頼できるのはlsb_release -a
の結果です。
Q2: バージョン確認後、何をすればよい?
A2: 確認したバージョンに応じて以下を検討してください:
- 古いバージョン:アップグレードの計画を立てる
- 最新版:定期的な更新を継続
- LTS版:安定性を重視して使い続ける
Q3: コマンドでの確認が怖い…
A3: 今回紹介したコマンドは、すべて「確認のみ」でシステムを変更しません。安心して実行してください。心配な場合は、まずGUIでの確認から始めましょう。
まとめ
Ubuntuのバージョン確認は、システム管理の基本中の基本です。
この記事で紹介した方法を活用して、いつでも必要な情報を確認できるようになりましょう。
重要なポイントの振り返り
GUI(画面操作)での確認
- 設定画面の「詳細」から簡単に確認
- マウス操作だけで完結
- 初心者にもやさしい方法
コマンドでの確認
lsb_release -a
:最も基本的で確実cat /etc/os-release
:詳細情報が豊富uname -a
:カーネル情報も含めて確認hostnamectl
:システム全体の情報
活用場面
- ソフトウェアのインストール前
- システムアップグレードの判断
- トラブル時の情報共有
- セキュリティ状況の確認
覚えておきたいコマンド
# 基本のバージョン確認
lsb_release -a
# システム情報の詳細確認
cat /etc/os-release
# カーネル情報の確認
uname -r
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