「毎日同じExcel作業の繰り返しで疲れる」
「もっと効率的にデータ処理をしたい」
「Excelでボタンを作って操作を簡単にしたい」
そんな悩みを解決してくれるのが、Excelの開発タブです。
開発タブには、マクロやVBAといった自動化機能や、便利なボタンを作る機能がまとまっています。
「開発って名前がついているから難しそう…」と思うかもしれませんが、実は簡単な操作から始められるとても便利な機能なんです。
この記事では、開発タブの表示方法から実際の使い方まで、初心者でもわかるように詳しく説明します。読み終わる頃には、あなたのExcel作業がぐっと楽になっているはずです!
開発タブって何?なぜ便利なの?

開発タブとは
開発タブは:
- Excelの隠れた便利機能がまとまったタブ
- 普段は表示されていない特別なメニュー
- 自動化やカスタマイズのための機能が豊富
- プログラミング知識がなくても使える機能も多数
例えて言うなら: Excelの「パワーアップキット」や「裏技集」のようなもの
開発タブでできること
1. 作業の自動化
- 毎日の定型作業をボタン一つで実行
- 複雑な計算を一瞬で処理
- データの整理を自動化
2. 便利なボタン作成
- 「印刷」ボタンをシートに配置
- 「データクリア」ボタンで一括削除
- 「グラフ作成」ボタンでワンクリック作成
3. 高度なデータ処理
- 大量データの一括処理
- 複雑な条件での検索・置換
- 他のファイルとの連携
なぜ最初は隠されているの?
理由:
- 専門的な機能が多いため
- 誤操作を防ぐため
- シンプルな画面を保つため
- セキュリティを考慮して
開発タブを表示する方法

とても簡単です!一度設定すれば、ずっと使えます。
Excel 2016/2019/2021/Microsoft 365 の場合
Step 1: ファイルタブを開く
- Excelを起動
- 画面左上の**「ファイル」**をクリック
- 青い画面に変わります
Step 2: オプションを開く
- 左側のメニューで**「オプション」**をクリック
- **「Excelのオプション」**ダイアログが開きます
Step 3: リボンの設定を変更
- 左側で**「リボンのユーザー設定」**をクリック
- 右側に**「メインタブ」**のリストが表示される
- **「開発」**の項目を探してチェックボックスにチェック
- **「OK」**をクリック
Step 4: 確認
リボンに「開発」タブが追加されているか確認してください。
Excel 2013 の場合
- 「ファイル」 → 「オプション」
- **「リボンのユーザー設定」**を選択
- 右側の**「開発」にチェック**
- **「OK」**で完了
Excel 2010 の場合
- 「ファイル」 → 「オプション」
- **「リボンのユーザー設定」**を選択
- **「開発」**にチェックを入れる
- **「OK」**で設定完了
Excel for Mac の場合
- 「Excel」メニュー → 「環境設定」
- **「リボンとツールバー」**をクリック
- **「リボンタブ」で「開発」**にチェック
- 保存して完了
開発タブの機能を詳しく見てみよう

開発タブが表示されたら、どんな機能があるか確認してみましょう。
コード グループ【自動化の中心】
Visual Basic
- VBAエディタを開く
- プログラムコードを書いて編集
- 高度な自動化が可能
こんなときに使う:
- 複雑な処理を自動化したい
- 他のアプリと連携したい
- カスタム関数を作りたい
マクロ
- 既存のマクロを実行・編集・削除
- マクロ一覧を表示
- マクロの管理
マクロの記録
- 操作を記録してマクロを作成
- プログラミング知識不要
- 最も簡単な自動化方法
実際の使い方例:
毎月の売上レポート作成を自動化
1. マクロ記録開始
2. データを整理
3. グラフを作成
4. 印刷設定
5. マクロ記録停止
→ 次回からボタン一つで完了!
マクロのセキュリティ
- マクロの実行設定を変更
- 信頼できるファイルの設定
- セキュリティレベルの調整
コントロール グループ【便利なパーツ】
挿入
フォームコントロールとActiveXコントロールの2種類があります。
フォームコントロール(初心者におすすめ):
- ボタン – クリックでマクロ実行
- チェックボックス – オン/オフの選択
- リストボックス – 選択肢から選ぶ
- スピンボタン – 数値を上下に調整
ActiveXコントロール(上級者向け):
- より高度な設定が可能
- VBAでの詳細な制御
- より多くのイベント対応
デザインモード
- コントロールの編集モード
- ボタンやチェックボックスの設定を変更
- オン/オフで切り替え
プロパティ
- コントロールの詳細設定
- 色、サイズ、動作などを調整
- 高度なカスタマイズが可能
XML グループ【データ連携】
ソース
- XMLデータの管理
- 外部データとの連携
- Webサービスとの接続
拡張
- XMLマップの管理
- データの構造化
- 他システムとの連携
アドイン グループ【機能拡張】
アドイン
- Excel拡張機能の管理
- 便利なツールの追加
- サードパーティ製ツールの利用
COM アドイン
- 外部プログラムとの連携
- 企業システムとの接続
- 高度な機能拡張
実際に使ってみよう【初心者向け】

1. 簡単なボタンを作ってみる
「こんにちは」と表示するボタンを作ってみましょう。
Step 1: ボタンを挿入
- 開発タブ → 挿入 → ボタン(フォームコントロール)
- マウスカーソルが十字になる
- シート上でドラッグしてボタンを作成
Step 2: マクロを作成
- **「マクロの登録」**ダイアログが開く
- **「新規作成」**をクリック
- VBAエディタが開く
Step 3: 簡単なコードを入力
Sub ボタン1_Click()
MsgBox "こんにちは!"
End Sub
Step 4: 保存とテスト
- Ctrl + Sで保存
- VBAエディタを閉じる
- ボタンをクリックしてテスト
成功すると「こんにちは!」のメッセージが表示されます。
2. 印刷ボタンを作る
「印刷」ボタンで現在のシートを印刷
Sub 印刷ボタン_Click()
ActiveSheet.PrintOut
End Sub
3. データクリアボタンを作る
特定の範囲をクリアするボタン
Sub データクリア_Click()
Range("A1:D10").ClearContents
MsgBox "データをクリアしました"
End Sub
マクロの記録を使った自動化

プログラミングがわからなくても大丈夫!操作を記録するだけです。
基本的な手順
Step 1: マクロ記録開始
- 開発タブ → マクロの記録
- マクロ名を入力(例:月次レポート作成)
- 説明を入力(省略可)
- OKをクリック
Step 2: 作業を実行
普段通りの操作をしてください:
- データを選択
- グラフを作成
- 書式を設定
- 印刷設定
- その他の作業
Step 3: 記録停止
- 開発タブ → 記録終了
- マクロが完成
Step 4: マクロの実行
- 開発タブ → マクロ
- 作成したマクロを選択
- 実行をクリック
記録した作業が自動で実行されます!
マクロ記録のコツ
効果的な記録方法
準備:
- サンプルデータで練習
- 手順を事前に整理
- 不要な操作は避ける
記録中:
- ゆっくり確実に操作
- ミスをしても記録停止せず最後まで
- 範囲選択はキーボードを使う
記録後:
- 動作確認をしっかり行う
- 不要な部分は削除
- ボタンに割り当てて使いやすく
セキュリティの注意点

マクロは便利ですが、セキュリティに注意が必要です。
マクロのセキュリティ設定
推奨設定
- 開発タブ → マクロのセキュリティ
- **「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」**を選択
- 信頼できるファイルのみ有効化
信頼できる場所の設定
- ファイル → オプション → セキュリティセンター
- **「セキュリティセンターの設定」**をクリック
- **「信頼できる場所」**を設定
- 自分のマクロファイル専用フォルダを追加
安全な使い方
やって良いこと
- 自分で作ったマクロの実行
- 信頼できる同僚から受け取ったマクロ
- 公式サイトからダウンロードしたマクロ
やってはいけないこと
- 出所不明のマクロファイルを実行
- メール添付のマクロファイルを安易に実行
- セキュリティを完全無効にする
よくある問題と解決方法

開発タブが表示されない
原因と対処法:
症状 | 原因 | 解決方法 |
---|---|---|
チェックを入れても表示されない | Excelの再起動が必要 | Excelを一度閉じて再起動 |
オプション画面が違う | Excelのバージョンが古い | バージョンに応じた手順を確認 |
リボンのユーザー設定がない | 権限不足 | 管理者権限でExcelを起動 |
マクロが実行できない
チェックポイント:
- [ ] マクロのセキュリティ設定は適切か
- [ ] ファイルがマクロ有効形式(.xlsm)で保存されているか
- [ ] 信頼できる場所に保存されているか
- [ ] VBAエディタでエラーが出ていないか
ボタンが動かない
確認事項:
- [ ] デザインモードがオフになっているか
- [ ] マクロが正しく設定されているか
- [ ] コードにエラーがないか
応用例:実際の業務での活用
1. 売上レポート自動作成
毎月の売上データから自動でレポート作成
Sub 売上レポート作成()
' データ範囲を自動選択
Range("A1").CurrentRegion.Select
' グラフ作成
Charts.Add
ActiveChart.ChartType = xlColumnClustered
' 印刷設定
ActiveSheet.PageSetup.Orientation = xlLandscape
MsgBox "売上レポートが完成しました"
End Sub
2. データ入力チェック
入力漏れや間違いを自動チェック
Sub データチェック()
Dim エラー件数 As Integer
エラー件数 = 0
' A列の空白チェック
For i = 2 To 100
If Range("A" & i).Value = "" And Range("B" & i).Value <> "" Then
Range("A" & i).Interior.Color = RGB(255, 0, 0)
エラー件数 = エラー件数 + 1
End If
Next i
MsgBox エラー件数 & "件のエラーが見つかりました"
End Sub
3. メール送信自動化
Outlookと連携してメール送信
Sub メール送信()
Dim OutlookApp As Object
Dim メール As Object
Set OutlookApp = CreateObject("Outlook.Application")
Set メール = OutlookApp.CreateItem(0)
With メール
.To = "送信先@example.com"
.Subject = "月次レポート"
.Body = "お疲れさまです。月次レポートを送付いたします。"
.Attachments.Add ThisWorkbook.FullName
.Send
End With
MsgBox "メールを送信しました"
End Sub
よくある質問

基本的な疑問
Q: プログラミング経験がなくても使える?
A: はい。マクロの記録機能を使えば、プログラミング知識なしでも自動化できます。
Q: どのくらい学習時間が必要?
A: 基本的な使い方なら1〜2週間、VBAプログラミングなら1〜3ヶ月程度が目安です。
Q: 会社のパソコンで使っても大丈夫?
A: 会社のセキュリティポリシーを確認してから使用してください。
トラブル対応
Q: マクロを削除したい
A: 開発タブ → マクロ → 削除したいマクロを選択 → 削除
Q: ボタンを削除したい
A: 右クリック → 削除、またはDeleteキー
Q: VBAエディタが開かない
A: セキュリティ設定を確認し、必要に応じて管理者権限で実行
応用
Q: 他のOfficeアプリと連携できる?
A: はい。Word、PowerPoint、Outlookなどと連携できます。
Q: Webのデータを取得できる?
A: はい。Web APIやWebスクレイピングの機能があります。
まとめ
Excelの開発タブで、作業効率を劇的に向上させよう!
今日から始められること
初心者レベル(今すぐできる):
- 開発タブを表示する
- 簡単なボタンを作ってみる
- マクロの記録で作業を自動化
中級レベル(1ヶ月後の目標):
- VBAの基本文法を覚える
- 実務の小さな作業を自動化
- エラー処理を含むマクロ作成
上級レベル(3ヶ月後の目標):
- 複雑な業務処理の自動化
- 他のアプリとの連携
- ユーザーフォームの作成
ポイント
- 小さく始めて少しずつ拡張
- 実際の業務で使いながら学習
- エラーを恐れずトライ&エラー
- コミュニティを活用して情報収集
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