「コマンドプロンプトが使いにくい」
「PowerShellをもっと便利にしたい」
「Linuxも同じアプリで使えたらいいのに」
そんな悩みを解決してくれるのが、Windows Terminal(ウィンドウズターミナル)です。
Windows 10以降に標準で搭載されたこのアプリは、PowerShell・コマンドプロンプト・WSL(Linux)などを一つのアプリでまとめて使える、とても便利でパワフルなツールです。
でも、最初の状態のままだと「使いにくい」「見づらい」と感じる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、Windows Terminalをもっと使いやすく、そして見やすくするための設定方法やおすすめカスタマイズについて、初心者でもわかるように丁寧に説明します。
Windows Terminalってなに?

Windows Terminalとは
Windows Terminalは、Microsoftが開発した現代的なターミナルアプリです。
従来のコマンドプロンプトやPowerShellの進化版として、2019年にリリースされました。
主な特徴
- 複数のシェル(PowerShell、コマンドプロンプト、WSLなど)を一つのアプリで管理
- タブ機能で複数の作業を同時実行
- 美しい見た目とカスタマイズ性
- 高速で安定した動作
- Unicode文字や絵文字にも対応
従来のツールとの違い
従来のコマンドプロンプト
- 見た目が古い
- 機能が限定的
- タブ機能なし
Windows Terminal
- モダンで美しいデザイン
- 豊富なカスタマイズ機能
- 複数タブで効率的な作業
- 最新の技術に対応
どんな人におすすめ?
こんな方にぴったり
- プログラミングを学んでいる
- サーバー管理をしている
- 開発作業をしている
- 効率的なパソコン操作をしたい
- コマンドラインツールをよく使う
基本設定のやり方

設定画面の開き方
方法1:メニューから開く
- Windows Terminalを起動
- 画面上部にある「下向き矢印(▼)」をクリック
- メニューから「設定」をクリック
方法2:ショートカットキーで開く
- 「Ctrl + ,」(コントロール + カンマ)を同時押し
方法3:右クリックメニューから
- タブバーを右クリック→「設定」を選択
設定画面の構成
設定画面を開くと、左側にメニューが表示されます:
主要なメニュー項目
- スタートアップ:起動時の動作設定
- 相互作用:マウスやキーボードの動作
- 外観:全体的な見た目の設定
- 色の設定:配色テーマの管理
- レンダリング:表示性能の調整
- アクション:ショートカットキーの設定
- プロファイル:各シェル(PowerShell、コマンドプロンプトなど)の個別設定
設定の反映
- 設定変更は自動で保存される
- 一部の設定はターミナル再起動が必要
- 設定画面を閉じれば変更が適用される
初心者向けの設定順序
おすすめの設定順序
- 外観(テーマ、フォント)
- スタートアップ(既定のプロファイル)
- プロファイル個別設定
- ショートカットキー(慣れてから)
見た目のカスタマイズ

テーマの設定
ダークテーマとライトテーマ
- 設定画面の「外観」をクリック
- 「アプリケーションのテーマ」で選択
- ダークテーマ:目に優しく、長時間作業に最適
- ライトテーマ:明るい環境での作業に適している
- システム設定を使用:Windowsの設定に合わせる
おすすめはダークテーマ
- 目の疲れを軽減
- 集中力が向上
- モダンでプロフェッショナルな印象
フォントの設定
プロファイル別フォント設定
- 設定画面で「プロファイル」を選択
- 設定したいプロファイル(例:PowerShell)をクリック
- 「外観」タブを選択
- 「フォントフェイス」でフォントを選択
おすすめフォント
- Cascadia Code:Windows Terminal専用に開発されたフォント
- Cascadia Mono:Cascadia Codeの等幅版
- Fira Code:プログラミング向けの美しいフォント
- JetBrains Mono:読みやすさを重視したフォント
フォントサイズの調整
- 「フォントサイズ」で数値を変更
- 推奨サイズ:10-14pt
- 画面サイズに応じて調整
配色テーマの設定
既存のテーマを使う
- プロファイルの「外観」タブ
- 「配色」で好みのテーマを選択
人気の配色テーマ
- Campbell:Windows Terminal標準
- One Half Dark:落ち着いたダークテーマ
- Solarized Dark:目に優しい配色
- Dracula:紫系の美しいテーマ
背景と透明度の設定
背景画像の設定
- プロファイル設定の「外観」タブ
- 「背景画像のパス」に画像ファイルのパスを入力
- 「背景画像の不透明度」で画像の濃さを調整
透明度(アクリル効果)の設定
- 「アクリル素材を使用する」をオンにする
- 「不透明度」のスライダーで調整(0-100%)
- おすすめは70-90%(適度な透明感)
実際の設定例
テーマ:ダークテーマ
フォント:Cascadia Code, 12pt
配色:One Half Dark
透明度:80%(アクリル効果オン)
動作のカスタマイズ

起動時の設定
既定のプロファイル設定
- 設定画面の「スタートアップ」をクリック
- 「既定のプロファイル」で最初に開くシェルを選択
選択肢と用途
- PowerShell:Windows管理、スクリプト実行
- コマンドプロンプト:従来のWindowsコマンド
- Ubuntu(WSL):Linux環境、開発作業
- Azure Cloud Shell:クラウド管理
起動時のサイズと位置
- 「起動サイズ」で初期ウィンドウサイズを設定
- 「起動位置」で画面上の表示位置を設定
タブの動作設定
新しいタブの動作
- 設定画面の「相互作用」をクリック
- 「自動的にタブタイトルを更新する」:現在のディレクトリ表示
- 「タブを閉じる際に確認する」:誤操作防止
タブの基本操作
- 新しいタブ:Ctrl + Shift + T
- タブを閉じる:Ctrl + Shift + W
- タブ切り替え:Ctrl + Tab
- 特定タブに移動:Ctrl + Alt + 数字
ウィンドウの動作
ウィンドウ管理
- 「起動時に最大化する」:大画面での作業に便利
- 「タブバーを常に表示」:タブが1つでも表示
- 「ウィンドウを最前面に表示」:他のアプリの上に表示
実用的な設定例
- 起動時に最大化:オン
- タブバーを常に表示:オン
- 自動タイトル更新:オン
プロファイルの個別設定

プロファイルとは
プロファイルとは、各シェル(PowerShell、コマンドプロンプトなど)の個別設定のことです。シェルごとに異なる見た目や動作を設定できます。
新しいプロファイルの追加
手順
- 設定画面の「プロファイル」をクリック
- 「新しいプロファイルを追加」をクリック
- 「新しい空のプロファイル」を選択
- プロファイル名と実行ファイルパスを設定
カスタムプロファイル例
- Git Bash専用プロファイル
- Python開発用環境
- 特定プロジェクト用設定
プロファイル別のカスタマイズ
個別に設定できる項目
- フォントとサイズ
- 配色テーマ
- 背景画像
- カーソルの形状
- 起動ディレクトリ
- 環境変数
PowerShell用のおすすめ設定
名前:PowerShell 7
フォント:Cascadia Code, 12pt
配色:Campbell PowerShell
起動ディレクトリ:C:\Users\[ユーザー名]
WSL Ubuntu用のおすすめ設定
名前:Ubuntu
フォント:Cascadia Code, 11pt
配色:One Half Dark
アイコン:Linuxペンギン
ショートカットキーとアクション

基本的なショートカットキー
タブ操作
- 新しいタブ:Ctrl + Shift + T
- タブを閉じる:Ctrl + Shift + W
- 次のタブ:Ctrl + Tab
- 前のタブ:Ctrl + Shift + Tab
- タブ1-9に移動:Ctrl + Alt + 1-9
ペイン(画面分割)操作
- 縦分割:Alt + Shift + +
- 横分割:Alt + Shift + –
- ペインを閉じる:Ctrl + Shift + W
- ペイン間移動:Alt + 矢印キー
表示操作
- フォントサイズ拡大:Ctrl + +
- フォントサイズ縮小:Ctrl + –
- フォントサイズリセット:Ctrl + 0
- 全画面表示:F11
カスタムショートカットの設定
アクション設定画面
- 設定の「アクション」をクリック
- 「新しいアクションを追加」をクリック
- 動作とキーの組み合わせを設定
便利なカスタムアクション例
Ctrl + Shift + L:WSL Ubuntu起動
Ctrl + Shift + P:PowerShell 7起動
Ctrl + Shift + C:コマンドプロンプト起動
Alt + Enter:全画面切り替え
応用設定とJSON編集
JSON設定ファイル
Windows Terminalの設定は、内部的にはJSON形式で保存されています。
上級者は、このファイルを直接編集することで、より細かい設定が可能です。
JSON設定ファイルを開く方法
- 設定画面左下の「JSONファイルを開く」をクリック
- テキストエディタ(通常はメモ帳)でファイルが開く
注意点
- 編集前に必ずバックアップを取る
- JSON文法を間違えると設定が壊れる可能性
- 初心者はGUI設定を推奨
高度なカスタマイズ例
カスタム配色テーマの作成
{
"name": "My Custom Theme",
"foreground": "#FFFFFF",
"background": "#1E1E1E",
"cursorColor": "#FFFFFF",
"black": "#000000",
"red": "#FF6B6B",
"green": "#51CF66",
"yellow": "#FFE066",
"blue": "#74C0FC",
"purple": "#DA77F2",
"cyan": "#66D9EF",
"white": "#FFFFFF"
}
起動時の複数タブ設定
{
"startupActions": "new-tab --profile PowerShell ; new-tab --profile Ubuntu"
}
設定のバックアップと復元
バックアップ方法
- 設定ファイルの場所:
%LOCALAPPDATA%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState
settings.json
ファイルをコピーして保存
復元方法
- バックアップした
settings.json
を元の場所に戻す - Windows Terminalを再起動
よくある問題と解決方法

トラブルシューティング
問題1:フォントが正しく表示されない
- 原因:指定フォントがインストールされていない
- 解決法:フォントをインストールするか、別のフォントに変更
問題2:日本語が文字化けする
- 原因:エンコーディング設定の問題
- 解決法:
chcp 65001
コマンドでUTF-8に設定
問題3:設定が反映されない
- 原因:JSON文法エラーまたはアプリの不具合
- 解決法:設定をデフォルトに戻すか、アプリを再インストール
問題4:起動が遅い
- 原因:多すぎるスタートアップ設定や重い背景画像
- 解決法:不要な設定を削除し、軽量化
パフォーマンス最適化
高速化のコツ
- 背景画像は軽量なものを選ぶ
- アクリル効果の透明度を上げすぎない
- 不要なプロファイルは削除
- スタートアップ動作をシンプルに
実践的な設定例
開発者向け設定
Web開発者におすすめ
プロファイル:
1. PowerShell(Node.js用)
2. WSL Ubuntu(サーバー開発用)
3. Git Bash(バージョン管理用)
配色:One Half Dark
フォント:Fira Code, 12pt
ショートカット:
- Ctrl + 1:PowerShell
- Ctrl + 2:Ubuntu
- Ctrl + 3:Git Bash
一般ユーザー向け設定
日常的なPC管理用
プロファイル:
1. PowerShell(メイン)
2. コマンドプロンプト(互換性用)
配色:Campbell
フォント:Cascadia Code, 11pt
透明度:85%
タブ設定:自動更新オン
システム管理者向け設定
サーバー管理用
プロファイル:
1. PowerShell 7
2. Azure Cloud Shell
3. SSH接続用
配色:Solarized Dark
フォント:Cascadia Mono, 10pt
ログ機能:オン
セキュリティ:確認ダイアログ有効
よくある質問と答え
Q: Windows Terminalはどこからインストールできますか?
A: Microsoft Storeから無料でインストールできます。Windows 11では標準インストール済みです。
Q: 設定を間違えてしまい、元に戻したいのですが?
A: 設定画面で「既定値にリセット」を選ぶか、%LOCALAPPDATA%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState
からsettings.json
を削除してください。
Q: WSL(Linux)を使うには別途設定が必要ですか?
A: はい、事前にWSLをWindowsの機能として有効にし、Linuxディストリビューションをインストールする必要があります。
Q: 従来のコマンドプロンプトとの違いは何ですか?
A: Windows Terminalは複数タブ、美しい見た目、豊富なカスタマイズ、Unicode対応など、多くの現代的機能を持っています。
まとめ
Windows Terminalは、設定してこそ本領を発揮する強力なツールです。最初の状態でも使えますが、少し手を加えるだけで格段に使いやすくなります。
この記事で覚えておきたいポイント
- 基本設定:設定画面(Ctrl + ,)から簡単にアクセス
- 見た目の重要性:ダークテーマ + 適切なフォントで作業効率アップ
- プロファイル活用:用途別に複数の環境を使い分け
- ショートカット:キーボード操作で素早いタブ切り替え
- 段階的カスタマイズ:基本から始めて徐々に高度な設定へ
初心者におすすめの進め方
- まずは外観設定(テーマ、フォント)から始める
- 起動時プロファイルを自分がよく使うものに設定
- 基本ショートカットを覚える
- 慣れてきたらプロファイル個別設定にチャレンジ
コメント