レポートや資料を作成していて、「もう少し文字を詰めて、ページ数を減らしたい」と思ったことはありませんか?
Wordでは簡単な操作で文書全体の行間を狭くして、見た目をすっきりさせることができます。
この記事では、初心者にもわかりやすく、効果的な行間調整の方法をご紹介します。
行間調整の基本知識

行間とは何か
行間とは、文章の行と行の間にある空白のことです。
適切な行間は文書の読みやすさに大きく影響します。
行間の種類:
- 行の高さ:文字そのものの高さ
- 行間隔:行と行の間の空白部分
- 段落間隔:段落と段落の間の空白
行間を詰める理由と効果
行間を調整することで、以下のような効果が期待できます:
実用的な効果:
- ページ数の削減
- 用紙の節約
- 情報の集約
- 印刷コストの削減
見た目の効果:
- すっきりとした印象
- 情報密度の向上
- 統一感のある文書
- プロフェッショナルな仕上がり
行間調整の注意点
行間を詰めすぎると以下のような問題が生じる可能性があります:
- 文字が重なって読みにくくなる
- 目が疲れやすくなる
- 印刷時に文字がつぶれる可能性
- 読み手にストレスを与える
適度な調整を心がけることが重要です。
段落設定による詳細な行間調整

基本的な調整手順
最も正確で詳細な行間調整ができる方法です。
手順1:文書全体の選択
- キーボードで
Ctrl + A
を押す - または「ホーム」タブの「選択」から「すべて選択」をクリック
- 文書全体が青い背景で選択されたことを確認
手順2:段落設定画面を開く
- 「ホーム」タブをクリック
- 「段落」グループの右下にある小さな矢印(↘)をクリック
- 「段落」ダイアログボックスが表示される
手順3:行間の詳細設定
- 「インデントと行間隔」タブが選択されていることを確認
- 「行間」のドロップダウンメニューをクリック
- 適切な設定を選択(詳細は後述)
- 「間隔」の数値を調整
- 「OK」ボタンで設定を確定
行間の設定方式の種類
固定値:
- 行の高さを固定の数値で指定
- 文字サイズに関係なく一定の間隔
- 最も正確な制御が可能
- 推奨設定:12〜16ポイント
最小値:
- 指定した値以上の間隔を保証
- 大きな文字があっても調整される
- 柔軟性がある設定
- 推奨設定:10〜14ポイント
倍数:
- 標準行間の倍率で指定
- 1.0倍、1.15倍、1.5倍など
- 文字サイズに応じて自動調整
- 推奨設定:0.9〜1.1倍
具体的な設定例
標準的な詰め設定:
行間:固定値
間隔:14ポイント
(10.5ポイントの文字に対して適度に詰まった印象)
やや詰め気味の設定:
行間:固定値
間隔:12ポイント
(しっかりと詰まった印象、読みやすさは維持)
最小限の設定:
行間:固定値
間隔:10ポイント
(かなり詰まった印象、注意が必要)
プリセットを使った簡単な調整

行間プリセットの活用
手軽に行間を変更したい場合は、Wordの標準プリセットが便利です。
操作手順:
- 文書の選択
Ctrl + A
で文書全体を選択
- 行間ボタンのクリック
- 「ホーム」タブの「段落」グループにある
- 上下に矢印があるアイコン「行と段落の間隔」をクリック
- プリセット値の選択
- 表示されるメニューから適切な値を選択
各プリセットの特徴
1.0(シングル):
- 最も詰まった標準設定
- 文字サイズに応じた最小限の行間
- レポートや論文に適している
1.15:
- Wordの初期設定
- 読みやすさと詰まり具合のバランス
- 一般的な文書に最適
1.5:
- やや広めの行間
- 読みやすさを重視
- プレゼン資料や掲示物向け
2.0(ダブル):
- 非常に広い行間
- 手書きでの注釈スペース確保
- 下書きや校正用
カスタム値の設定
プリセット以外の値を使いたい場合:
- 行間ボタンから「行間のオプション」を選択
- 段落ダイアログが表示される
- 「倍数」を選択して任意の数値を入力
- 例:0.9、1.1、1.3 など細かい調整が可能
スタイル変更による統一的な設定
スタイル機能の活用
新規文書でも同じ設定を使いたい場合は、スタイルの変更が効果的です。
標準スタイルの変更手順:
- スタイルギャラリーにアクセス
- 「ホーム」タブの「スタイル」グループを確認
- 「標準」スタイルを右クリック
- 変更メニューの選択
- コンテキストメニューから「変更」を選択
- 「スタイルの変更」ダイアログが表示
- 段落設定の変更
- 「書式」ボタンをクリック
- 「段落」を選択
- 行間設定を調整
- 適用範囲の設定
- 「このテンプレートに基づく新規文書」にチェック
- 今後作成する文書にも適用される
- 「OK」で設定完了
カスタムスタイルの作成
特定の用途向けの専用スタイルを作成することも可能です:
新しいスタイルの作成:
- スタイルギャラリーの右下「その他」をクリック
- 「スタイルの作成」を選択
- 名前を入力(例:「詰め行間」)
- 段落設定で行間を調整
- 保存して今後も利用可能
段落間隔の調整

段落前後の空白設定
行間だけでなく、段落間の空白も調整することで、より効果的に文書を詰めることができます。
段落間隔の設定:
- 文書全体を選択(
Ctrl + A
) - 段落ダイアログを開く
- 「段落前」「段落後」の数値を調整
- 通常は「0pt」または「6pt」程度に設定
自動調整機能の活用
同じスタイル間の調整:
- 「同じスタイルの段落の間隔を自動調整する」にチェック
- 同じレベルの見出しや本文で一貫した間隔
- 自動的に最適化される
文字サイズとの関係
バランスの取れた設定
行間は文字サイズとのバランスが重要です。
推奨される組み合わせ:
文字サイズ | 固定値行間 | 倍数行間 |
---|---|---|
9pt | 10-11pt | 0.9-1.0 |
10.5pt | 12-14pt | 1.0-1.1 |
12pt | 14-16pt | 1.0-1.2 |
14pt | 16-18pt | 1.1-1.3 |
読みやすさの確保
最低限の基準:
- 文字サイズ + 2pt以上の行間を推奨
- 例:10.5ptの文字なら12.5pt以上の行間
- 可読性を損なわない範囲での調整
よくある問題と解決方法
文字が重なって表示される
原因:
- 行間が文字サイズより小さく設定されている
- 上付き・下付き文字が含まれている
- 特殊なフォントを使用している
解決方法:
- 行間を「最小値」に変更
- 数値を文字サイズ以上に設定
- フォントを標準的なものに変更
一部の段落だけ行間が異なる
原因:
- 個別に行間設定が適用されている
- 異なるスタイルが混在している
- コピー&ペーストで書式が混入
解決方法:
- 該当部分を選択
- 「ホーム」→「書式のクリア」を実行
- 再度、統一的な行間設定を適用
表や図の周りの間隔が不適切
対処法:
- 表や図を選択
- 右クリック→「レイアウト」タブ
- 「文字列の折り返し」で調整
- 「詳細設定」で細かい間隔を調整
より高度な調整テクニック

セクション別の設定
異なる部分ごとの調整:
- セクション区切りを挿入
- 各セクションで個別に行間設定
- 目次は広め、本文は詰めるなど使い分け
条件付き書式の活用
見出しと本文の自動調整:
- 見出しスタイルの行間を個別設定
- 本文スタイルの行間を別設定
- 自動的に適切な間隔が適用される
マクロによる自動化
繰り返し作業の場合は、マクロで自動化も可能:
Sub 行間調整()
Selection.WholeStory
With Selection.ParagraphFormat
.LineSpacingRule = wdLineSpaceExactly
.LineSpacing = 14
.SpaceBefore = 0
.SpaceAfter = 0
End With
End Sub
まとめ
Wordでの行間調整について、重要なポイントをまとめます:
3つの主要な方法:
- 段落設定:最も詳細で正確な調整が可能
- プリセット:手軽で迅速な調整
- スタイル変更:統一性と再利用性を重視
推奨される調整手順:
- まず文書全体を選択(
Ctrl + A
) - 用途に応じて適切な方法を選択
- 設定後は必ずプレビューで確認
- 読みやすさを最優先に微調整
注意すべきポイント:
- 文字サイズとの適切なバランス
- 読み手の負担を考慮
- 印刷時の見え方も確認
- 文書の用途に応じた調整
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