「三角関数って、むずかしそう…」
「何に使うの?」
そんなイメージを持っていませんか?
高校数学や大学入試でも登場し、プログラミングや物理学でも活用される三角関数。
実は、波や回転、くり返しの現象をシンプルに表現できる、とても便利な道具なんです。
この記事では、三角関数の基本からグラフ、公式、実用例までをやさしく解説します
三角関数とは?まずはイメージから理解しよう

三角関数の正体を知ろう
三角関数とは、角度をもとに「比率」を教えてくれる関数です。次の3つが基本になります:
- sin(サイン):高さの比率
- cos(コサイン):横幅の比率
- tan(タンジェント):かたむき(高さ ÷ 横幅)
直角三角形の中で、各辺の長さの比から求めることができます。
身近な例で考えてみよう
- はしごを壁にかけたとき、どのくらいの高さまで届くか?
- 山の頂上まで、どのくらいの距離があるか?
- 時計の針が作る角度は?
こんな「角度と長さの関係」を数式で表せるのが三角関数なんです。
単位円って何?
単位円とは、半径が1の円のことです。
この円を使うことで、三角関数をすべての角度に広げて使えるようになります。
単位円では、いつでも次のルールが成り立ちます:
- x座標 = cos θ(コサイン シータ)
- y座標 = sin θ(サイン シータ)
θ(シータ)は角度を表すギリシャ文字です。
三角関数の基本公式を覚えよう

それぞれの定義
関数 | 直角三角形での定義 | 単位円での意味 | 覚え方 |
---|---|---|---|
sin θ | 対辺 ÷ 斜辺 | y座標 | 高さ |
cos θ | 隣辺 ÷ 斜辺 | x座標 | 横幅 |
tan θ | 対辺 ÷ 隣辺 | 傾き | 高さ ÷ 横幅 |
用語の説明
- 対辺:角度θの向かい側にある辺
- 隣辺:角度θの隣にある辺(短い方)
- 斜辺:直角三角形で一番長い辺
絶対に覚えたい基本の式
三平方の定理から生まれた式
sin² θ + cos² θ = 1
タンジェントの正体
tan θ = sin θ ÷ cos θ
これらは三角関数の「核」となる関係式です。どんな問題でも、この2つの式が基本になります。
グラフで見る三角関数の特徴

sin と cos のグラフ
sin θ と cos θ のグラフは波の形になります:
- 正弦波(サインカーブ):sin θ のグラフ
- 余弦波(コサインカーブ):cos θ のグラフ
- どちらも周期は360°(2π ラジアン)でくり返します
- 値は -1 から 1 のあいだを行ったり来たりします
身近な例
- 音の波
- 心電図の波形
- 潮の満ち引き
tan のグラフ
tan θ のグラフは特別です:
- 周期は180°(π ラジアン)
- cos θ = 0 になる角度(90°、270°など)で無限大になります
- まっすぐな線が何本も並んだような形
よく使う角度の値を覚えよう
重要な角度の一覧表
角度(°) | ラジアン | sin θ | cos θ | tan θ |
---|---|---|---|---|
0° | 0 | 0 | 1 | 0 |
30° | π/6 | 1/2 | √3/2 | 1/√3 |
45° | π/4 | √2/2 | √2/2 | 1 |
60° | π/3 | √3/2 | 1/2 | √3 |
90° | π/2 | 1 | 0 | 定義なし |
覚えるコツ
30°、45°、60°はセットで覚える
- これらの角度は入試でもよく出ます
- 「正弦は高さ、余弦は幅、タンジェントは傾き」と覚える
- 45°では sin と cos が同じ値になることを覚える
ラジアンって何? ラジアンは角度の別の表し方です。円周の長さを使って角度を表します:
- 180° = π ラジアン
- 90° = π/2 ラジアン
三角関数はこんなところで使われている

数学・物理の世界
振り子の動き
- ブランコや時計の振り子
- 地震の揺れの分析
波の研究
- 音の波の高さや周期
- 光の色や明るさ
- 電波の強さ
プログラミング・ゲーム開発
キャラクターの動き
- ゲームでキャラクターを回転させる
- 円を描くような動き
- ボールが跳ね返る角度の計算
アニメーション
- なめらかな動きを作る
- 光の効果や影の計算
建築・測量の現場
高さや距離の測定
- 建物の高さを地面から測る
- 山の高さを計算する
- 橋の長さを設計する
角度の計算
- 屋根の傾斜角
- 階段の勾配
- 道路のカーブ
よくある間違いと注意点
度数法とラジアンの混同
度数法:360°で一周
ラジアン:2π で一周
計算機やプログラムでは、どちらを使っているか確認しましょう。
tan の定義域
tan θ は cos θ = 0 のとき(90°、270°など)計算できません。
この点を「特異点」と呼びます。
マイナスの角度
マイナスの角度や180°を超える角度でも、単位円を使えば簡単に計算できます。
角度は何周してもOKです。
実際の問題にチャレンジ
基本問題
問題1:sin 30° の値は?
答え:1/2
問題2:cos 60° の値は?
答え:1/2
応用問題
問題3:高さ10mのビルを、地面から30m離れた場所から見上げた時の角度は?
ヒント:tan θ = 高さ ÷ 距離 を使います
まとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
三角関数とは? | 角度から比率を計算する便利な道具 |
基本の3つ | sin(高さ)、cos(横幅)、tan(傾き) |
理解のコツ | 単位円と直角三角形で図解して覚える |
グラフの特徴 | 波の形で周期的にくり返す |
実用性 | 自然現象、IT、建築など幅広い分野で活用 |
三角関数は「むずかしそう」に見えますが、単位円とグラフのイメージをつかめば、ぐっと理解しやすくなります。
コメント