「Macで内部音声(システム音)を録音したい!」という方に向けた完全ガイドです。
この記事を読めば、必要な準備、設定、アプリ別の操作方法、トラブル対応までマスターできます。
音楽制作、ゲーム実況、オンライン会議の録音、語学学習など、様々な場面で活用できる知識をお伝えします。
初心者の方でも安心して進められるよう、手順を詳しく解説していきます。
なぜMacで内部音を録れないの?仕組みと制限を理解しよう

macOSのセキュリティ仕様
macOSではセキュリティ強化のため、アプリが直接音声出力を取り込むことは許されていません。
これは、悪意のあるソフトウェアが無断で音声を盗聴することを防ぐための仕組みです。
解決方法:仮想オーディオデバイスを活用
そのため、仮想オーディオデバイスを使い、音声を迂回させる必要があります。
この方法により、システム音声を安全に録音することが可能になります。
WindowsのStereo Mixに相当する機能を、サードパーティ製ツールで実現するイメージです。
一度設定すれば、様々なアプリで内部音声録音が利用できるようになります。
基本準備:仮想オーディオドライバーをインストールしよう
おすすめの無料ツール
BlackHole
- 高性能・低レイテンシーを実現
- M1/M2 Macでも安定動作
- アクティブに開発が続けられている
- GitHub からの無料ダウンロードが可能
Soundflower
- 古参の定番ツール
- 多くの解説記事やチュートリアルが存在
- 最新OSでは許可設定が必要
- 更新頻度は BlackHole より低め
Audio MIDI Setupで「Multi-Output Device」を作成する手順
Step 1:Audio MIDI Setup を開く
- Finderで「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「Audio MIDI Setup」を起動
- または Spotlight 検索(Command + Space)で「Audio MIDI Setup」と入力
Step 2:Multi-Output Device を作成
- 左下の「+」ボタンをクリック
- 「Create Multi-Output Device」を選択
- 新しいデバイスが左側のリストに表示される
Step 3:出力先を設定
- 「Built-in Output(内蔵スピーカー)」にチェック
- 「BlackHole 2ch」(または Soundflower)にチェック
- 必要に応じて音量バランスを調整
Step 4:システム出力を変更
- Mac画面右上の音量アイコンをクリック
- 作成した Multi-Output Device を選択
- これで音を聞きながら録音可能な状態になります
この設定により、スピーカーから音が出力されると同時に、仮想デバイスにも音声が送られるため、録音アプリで内部音声をキャプチャできるようになります。
アプリ別・状況別録音方法を詳しく解説

QuickTime Player での録音
内部音声のみを録音する場合
- QuickTime Player を起動
- 「ファイル」→「新規オーディオ録音」を選択
- 録音ボタン横の矢印をクリック
- マイク欄で「BlackHole 2ch」を選択
- 録音ボタンを押してスタート
画面+内部音声を同時録画する場合
Command + Shift + 5
でスクリーンショットツールを起動- 「画面全体を収録」または「選択部分を収録」を選択
- 「オプション」でマイクを「BlackHole」に設定
- 「収録」ボタンでスタート
QuickTime は Mac標準アプリのため、追加インストールが不要で手軽に利用できます。
OBS Studio を使う高度な録音
OBS Studio の設定手順
- OBS Studio をダウンロード・インストール
- 「ソース」エリアで「+」ボタンをクリック
- 「音声入力キャプチャ」を選択
- デバイスで「BlackHole 2ch」を指定
- 音声レベルメーターで入力を確認
OBS Studio のメリット
- 高音質での録音が可能
- ライブ配信にも対応
- 複数音源のミキシングが可能
- 無料で全機能が利用できる
Background Music や Audio Hijack の活用
Background Music の特徴
- 仮想デバイス不要でアプリ単位の録音が可能
- 音量を個別にコントロールできる
- 軽量で動作が安定している
- オープンソースで無料利用可能
Audio Hijack(Rogue Amoeba製)の特徴
- 音声キャプチャに特化した有料アプリ
- 直感的なルーティング設定が可能
- プロレベルの音質と機能を提供
- 複雑な音声処理にも対応
市販の簡単録音アプリ
EaseUS RecExperts
- 内部音声対応の録画機能を搭載
- 初心者でも使いやすいインターフェース
- ワンクリックで録音開始
- 無料版でも基本機能が利用可能
Movavi Screen Recorder
- 高品質な画面録画と音声録音
- 編集機能も内蔵
- 多様な出力フォーマットに対応
AppGeeker Screen Recorder
- シンプルな操作性を重視
- 予約録音機能を搭載
- リアルタイム描画機能あり
これらのアプリは設定が簡単で、技術的な知識がなくても内部音声録音ができる点が魅力です。
権限設定とトラブル対策を押さえよう

macOS のセキュリティ権限設定
macOS Monterey 以降の重要な変更点 macOS Monterey、Ventura、Sonoma では「画面収録」のほかに**「システムオーディオ録音のみ」権限**も許可が必要になりました。
権限許可の手順
- 「システム設定」(古いバージョンでは「システム環境設定」)を開く
- 「プライバシーとセキュリティ」をクリック
- 「画面収録」セクションで録音アプリをONにする
- 「システムオーディオ録音」セクションでも同様にONにする
よくあるトラブルと対処法
音声が録音されない場合
- 権限設定を再確認する
- アプリを完全に終了させてから再起動
- Mac自体を再起動する
- TCC(Transparency, Consent, and Control)キャッシュをリセット
音質が悪い・ノイズが入る場合
- Audio MIDI Setup で音質設定を確認
- 他のアプリが音声デバイスを占有していないかチェック
- Bluetooth オーディオデバイスとの干渉を疑う
動作が重くなる場合
- 仮想オーディオデバイスのバッファサイズを調整
- 不要なバックグラウンドアプリを終了
- Activity Monitor でCPU使用率を確認
許可を忘れると音声が録れません。設定後は必ずテスト録音を行い、正常に動作することを確認しましょう。
手順のまとめ:内部音声録音までの完全ガイド

5ステップで完了する設定手順
Step 1:仮想オーディオドライバーのインストール
- BlackHole または Soundflower をダウンロード
- インストーラーを実行して標準インストール
- 必要に応じてMacを再起動
Step 2:Audio MIDI Setup での設定
- Multi-Output Device を作成
- Built-in Output と BlackHole を両方選択
- システム出力を作成したデバイスに変更
Step 3:録音アプリでの音源設定
- QuickTime、OBS、その他のアプリを起動
- 音声入力源を「BlackHole 2ch」に指定
- 音声レベルを確認してテスト録音
Step 4:システム権限の確認と許可
- プライバシーとセキュリティ設定を開く
- 画面収録とシステムオーディオ録音を許可
- 設定変更後はアプリを再起動
Step 5:録音の実行とテスト
- 音楽やビデオを再生してテスト
- 録音品質と音声レベルを確認
- 必要に応じて設定を微調整
用途別おすすめ構成を選ぼう

シーン別の最適な組み合わせ
用途 | おすすめ構成 | メリット |
---|---|---|
画面+内部音声収録 | QuickTime + BlackHole | 標準アプリで手軽、高品質 |
ゲーム実況・配信 | OBS + BlackHole | 高機能、配信対応 |
アプリ単位の音声録音 | Background Music / Audio Hijack | 細かい制御が可能 |
シンプルに録画だけ | EaseUS RecExperts など | 設定不要、初心者向け |
音楽制作・編集 | Logic Pro + BlackHole | プロレベルの音質 |
目的に応じた選び方のポイント
初心者の方
- 設定が簡単な市販アプリから始める
- QuickTime + BlackHole の組み合わせも手軽
中級者以上の方
- OBS Studio で本格的な録音・配信環境を構築
- Audio Hijack で高度な音声ルーティング
プロ・セミプロの方
- Logic Pro や Pro Tools との連携
- 複数の仮想デバイスを使い分け
まとめ:Mac内部音声録音をマスターしよう
重要なポイントの再確認
技術的な理解
- macOSでは直接内部音声を録れない
- 仮想デバイス経由でシステム音をキャプチャ
- セキュリティ権限設定が必須
実践的な活用
- 利用用途に合わせた録音構成を選ぶ
- 定期的なテスト録音で品質を確認
- トラブル時は権限設定から見直す
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