「PCがうまく起動しない」
「原因不明のトラブルが発生した」
そんなとき、Windowsの「セーフモード」は強力なトラブルシューティングツールとなります。
セーフモードは、パソコンの調子が悪いときの「お医者さんの診察」のようなものです。
問題の原因を見つけて、解決するための大切な機能です。
この記事では、セーフモードとは何か、どんな時に使うのか、そして実際の起動手順を、パソコンが苦手な方にもわかりやすく解説します。
セーフモードとは?

セーフモードの基本的な意味
セーフモードとは、必要最小限の機能だけでWindowsを起動する特殊なモードです。
なぜ「セーフ(安全)」なの?:
- 問題を起こしやすい機能を使わない
- 最低限の機能だけで動く
- トラブルの原因を特定しやすくなる
セーフモードで何ができるの?
セーフモードの特徴:
- 画面の解像度が低い(粗い表示)
- 音が出ない場合が多い
- インターネットが使えない場合がある(種類による)
- 一部のソフトが動かない
- システムの修復作業ができる
セーフモードはどんな時に使うの?
こんな症状があるときに使おう
パソコンの調子が悪い症状:
1. 起動トラブル
- Windowsが途中で止まってしまう
- ブルースクリーン(青い画面)が出る
- 起動に異常に時間がかかる
- 無限に再起動を繰り返す
2. 動作トラブル
- 画面が真っ黒になる
- マウスやキーボードが反応しない
- 異常に動作が重い
- 頻繁にフリーズする
3. ソフトウェアの問題
- 新しくインストールしたソフトが原因で調子が悪い
- ウイルス感染の疑いがある
- ドライバーの更新後に問題が起きた
セーフモードで解決できること
主な用途:
1. 問題の原因特定
- 普通の起動では動かない
- セーフモードでは動く
- → 新しくインストールしたソフトやドライバーが原因
2. ウイルス・マルウェアの除去
- セーフモードではウイルスが動きにくい
- セキュリティソフトでスキャンしやすい
- 安全にウイルス除去ができる
3. 問題のあるソフトやドライバーの削除
- トラブルの原因となるソフトをアンインストール
- 古いドライバーを削除して正常なものに戻す
4. システムの修復
- システムの復元を実行
- 重要なファイルの修復
- レジストリの修正
セーフモードの種類
Windows には3つのセーフモードがあります。
セーフモード | ネットワーク | 用途 |
---|---|---|
セーフモード | ❌ 使えない | 基本的なトラブル対応 |
セーフモード(ネットワーク有効) | ⭕ 使える | ウイルス対策、ドライバー更新 |
セーフモード(コマンドプロンプト) | ❌ 使えない | 上級者向け、CUI操作 |
どれを選ぶ?:
- 迷ったら「セーフモード(ネットワーク有効)」
- インターネットが使えるので便利
- ウイルス定義の更新やドライバーのダウンロードが可能
セーフモードの起動方法

【方法1】Windowsが正常に起動する場合
この方法が使える状況:
- Windowsにログインできる
- 動作は重いが何とか操作できる
- 設定画面を開くことができる
手順:
ステップ1:設定画面を開く
- スタートボタンをクリック
- 設定(歯車マーク)をクリック
- 「更新とセキュリティ」をクリック
ステップ2:回復オプションを選ぶ
- 左側のメニューから「回復」をクリック
- 「PCの起動をカスタマイズする」という項目を見つける
- その下にある「今すぐ再起動」ボタンをクリック
ステップ3:オプション選択
- パソコンが再起動して青い画面が表示される
- 「トラブルシューティング」をクリック
- 「詳細オプション」をクリック
- 「スタートアップ設定」をクリック
- 「再起動」ボタンをクリック
ステップ4:セーフモード選択
- 再起動後、番号付きのオプション一覧が表示される
- キーボードで以下の番号を押す:
- 「4」:セーフモード
- 「5」:セーフモード(ネットワーク有効)
- 「6」:セーフモード(コマンドプロンプト)
所要時間:約5~10分
【方法2】起動時にShift+再起動(簡単な方法)
この方法が使える状況:
- ログイン画面まで進める
- Windowsは起動するが調子が悪い
手順:
- ログイン画面で電源ボタンをクリック
- Shiftキーを押しながら「再起動」をクリック
- そのまま方法1のステップ3から続ける
ポイント:
- Shiftキーを押し続けることが重要
- この方法が一番簡単
【方法3】強制シャットダウンによる自動修復(緊急時)
この方法が使える状況:
- Windowsが全く起動しない
- ログイン画面まで進まない
- 他の方法が使えない
⚠️ 注意:
- データが失われる可能性があります
- 他の方法を試してからにしましょう
手順:
- 電源ボタンを長押し(約10秒)してパソコンを強制終了
- 再び電源を入れる
- Windowsのロゴが表示されたら、すぐに再び電源ボタン長押しで強制終了
- この操作を3回繰り返す
- 4回目の起動時に「自動修復」画面が表示される
- 「詳細オプション」をクリック
- 方法1のステップ3から続ける
【方法4】Windows回復ドライブを使用(事前準備必要)
事前準備:
- USBメモリ(8GB以上)
- 正常に動いているときに作成
回復ドライブから起動:
- 回復ドライブをパソコンに接続
- パソコンを起動してF12キー(メーカーにより異なる)を押す
- ブートメニューからUSBを選択
- 「キーボードレイアウトの選択」で日本語を選択
- 「トラブルシューティング」をクリック
- 方法1のステップ3から続ける
セーフモードでの作業内容

基本的な確認作業
セーフモードで起動したら:
1. 動作確認
- マウスやキーボードが正常に動くか
- 画面表示に問題はないか
- 基本的な操作ができるか
2. 最近の変更を思い出す
- 新しいソフトをインストールした
- ドライバーを更新した
- Windows Update を実行した
- ハードウェアを追加した
具体的な修復作業
作業例:
1. 問題のあるソフトのアンインストール
コントロールパネル → プログラムと機能 → 問題のあるソフトを選択 → アンインストール
2. デバイスドライバーの削除
デバイスマネージャー → 問題のあるデバイス → 右クリック → デバイスのアンインストール
3. システムの復元
コントロールパネル → システム → システムの保護 → システムの復元
4. ウイルススキャン
セキュリティソフトを起動 → フルスキャン実行
セーフモード使用時の注意点と制限
できないこと・制限されること
表示の制限:
- 画面解像度が低い(800×600程度)
- 色数が少ない(16色程度)
- 画面が粗く見える
音声の制限:
- 音が出ない場合が多い
- スピーカーやヘッドフォンが使えない
ネットワークの制限:
- セーフモード:インターネット使用不可
- ネットワーク有効:インターネット使用可能
ソフトウェアの制限:
- 一部のソフトが起動しない
- Microsoft Office などの一部機能が制限
- ゲームやマルチメディアソフトは動かない場合が多い
作業時の注意点
1. 目的を明確にする
- 何を調べたいのか
- どんな修復作業をするのか
- 作業前に計画を立てる
2. 変更は慎重に
- 重要なファイルは削除しない
- システム設定の変更は慎重に
- わからないことは調べてから実行
3. 作業記録を取る
- 何をしたかメモする
- 元に戻す方法を確認
- エラーメッセージがあれば記録
4. 完了後は通常モードに戻る
- 作業が終わったら必ず再起動
- 通常モードで正常に動作するか確認
よくある質問と解決方法

Q1:セーフモードに入れない場合は?
A1:試してみること
- 別の方法を試す:強制シャットダウン方法
- キーボードの確認:正しいキーを押しているか
- 回復ドライブの作成:別のパソコンで作成
- 専門業者に相談:ハードウェア故障の可能性
Q2:セーフモードから元に戻らない場合は?
A2:対処方法
- 再起動:通常は自動で通常モードに戻る
- システム構成の確認:
「msconfig」を実行 → 「全般」タブ → 「通常スタートアップ」を選択
- 強制的に通常モードで起動:電源を入れ直す
Q3:セーフモードでも問題が解決しない場合は?
A3:次のステップ
- システムの復元を試す
- 回復オプションを使用
- Windows の再インストールを検討
- ハードウェア診断を実行
- 専門業者に依頼
Q4:セーフモードで何をすればいいかわからない
A4:基本的なチェック項目
- 最近の変更を元に戻す
- ウイルススキャンを実行
- 不要なスタートアップアプリを停止
- ディスクのエラーチェック
- システムファイルの修復
セーフモード以外のトラブル対応
システムの復元
どんな機能?:
- パソコンを過去の正常な状態に戻す
- 設定やソフトは元に戻るが、個人ファイルは保持
使用場面:
- 新しいソフトをインストール後に問題発生
- Windows Update 後の不具合
Windows回復環境(WinRE)
機能:
- Windowsが起動しないときの修復ツール
- 自動修復、システムの復元、初期化などが可能
初期化(リセット)
最終手段:
- Windowsを工場出荷状態に戻す
- データのバックアップが重要
- 他の方法で解決しない場合の最後の選択肢
まとめ
Windowsのセーフモードは、パソコンのトラブルに対応するための基本かつ強力なツールです。
覚えておきたいポイント:
- セーフモードは最小限の機能で起動する診断モード
- トラブルの原因特定に最適
- 3つの起動方法があり、状況に応じて選択
- ネットワーク有効版が便利
- 作業後は必ず通常モードに戻る
起動方法の選び方:
- Windowsが起動する:設定画面から
- ログイン画面まで進む:Shift+再起動
- 全く起動しない:強制シャットダウン3回
セーフモードでできること:
- 問題のあるソフトやドライバーの削除
- ウイルススキャンの実行
- システムの復元
- 基本的なシステム修復
重要な注意点:
- 目的を明確にして使用
- 慎重に作業を進める
- 不明な点は調べてから実行
- 解決しない場合は専門家に相談
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