「Macに登録されているユーザーって、どこで確認できるの?」
「ターミナルでユーザーの一覧を見たいけど、方法がわからない…」
「会社のMacに不要なユーザーがいないかチェックしたい」
そんな疑問を持つMacユーザーに向けて、この記事ではターミナルを使ってユーザー一覧を確認する方法を詳しく紹介します。
家庭でも会社でも、システム管理やセキュリティ対策に役立つ知識です。
この記事で学べること
- ターミナルでユーザー一覧を表示する基本コマンド
- システムユーザーと一般ユーザーの違い
- 実用的な絞り込み表示方法
- GUIでの確認方法
- ユーザー管理のセキュリティ対策
Macのユーザーアカウントについて知ろう

ユーザーアカウントとは?
Macでは、複数のユーザーアカウントを作成して、それぞれに独立した環境設定やファイル管理ができます。
これにより、1台のMacを複数の人が安全に使い分けることができます。
ユーザーの種類
管理者ユーザー(Administrator)
- システムの設定変更が可能
- 他のユーザーアカウントの作成・削除ができる
- ソフトウェアのインストール権限がある
- パスワードの変更や重要な設定の変更が可能
標準ユーザー(Standard User)
- 自分のファイルやフォルダにのみアクセス可能
- システム設定の変更には管理者パスワードが必要
- ソフトウェアのインストールに制限がある
- 安全性が高く、日常使いに適している
ゲストユーザー(Guest User)
- 一時的な利用者向けのアカウント
- ログアウト時にデータが自動削除される
- システムへの影響を最小限に抑える
実際の使用例
家庭での使い分け
- お父さん:管理者アカウント(システム管理用)
- お母さん:標準ユーザー(日常使い)
- 子供:標準ユーザー(制限付きアクセス)
会社での使い分け
- システム管理者:管理者アカウント
- 一般社員:標準ユーザー
- 来客用:ゲストユーザー
ユーザー管理を理解することは、セキュリティ強化の第一歩です。
次に、実際にユーザーを確認する方法を見ていきましょう。
ターミナルでユーザー一覧を表示する基本コマンド
ターミナルの開き方
まず、ターミナルを開きましょう。
方法1:Spotlightを使う
⌘ + スペース
でSpotlightを開く- 「ターミナル」と入力
- Enterキーで起動
方法2:アプリケーションフォルダから
- Finderで「アプリケーション」フォルダを開く
- 「ユーティリティ」フォルダをダブルクリック
- 「ターミナル」をダブルクリック
基本コマンド:dsclを使う方法
すべてのユーザーを表示
dscl . list /Users
このコマンドの説明
dscl
:Directory Service Command Line(ディレクトリサービスコマンドライン).
:ローカルのディレクトリサービスlist
:一覧表示する/Users
:ユーザーの情報が保存されている場所
実際の表示例
このコマンドを実行すると、以下のような結果が表示されます:
_amavisd
_appinstalld
_appowner
_appserver
_ard
_assetcache
_astris
_atsserver
_avbdeviced
_calendar
_ces
_clamav
_coreaudiod
_coremedia
_coreml
_cvmsroot
daemon
guest
nobody
root
tanaka
suzuki
yamada
表示される内容の解説
アンダースコア(_)で始まるユーザー これらはシステムユーザーと呼ばれ、macOSの内部処理で使用されます:
_appinstalld
:アプリのインストール処理_coreaudiod
:音声処理_coreml
:機械学習処理
特別なユーザー
root
:システム管理者(通常は無効)daemon
:システムサービス用nobody
:権限のない処理用guest
:ゲストユーザー
一般ユーザー
tanaka
、suzuki
、yamada
:実際の利用者アカウント
すべてのユーザーが表示されるので、実際に使われているアカウントだけを見たい場合は、絞り込みが必要です。
実用的な絞り込み表示方法

ログイン可能なユーザーだけを表示
実際に人間が使用するアカウントだけを確認したい場合は、以下のコマンドを使います:
dscl . -list /Users UniqueID | awk '$2 >= 500 { print $1 }'
このコマンドの詳しい説明
dscl . -list /Users UniqueID
:ユーザー名とUID(ユーザーID番号)を表示awk '$2 >= 500 { print $1 }'
:UIDが500以上のユーザー名だけを抽出
UIDについて理解しよう
UID(User ID)とは? 各ユーザーに割り当てられる一意の番号です。
UIDの規則
- 0番:rootユーザー(システム管理者)
- 1~499番:システムユーザー(macOSが内部処理で使用)
- 500番以上:一般ユーザー(人間が実際に使用)
より詳しい情報を表示
ユーザー名とUIDを一緒に表示
dscl . -list /Users UniqueID | sort -k2 -n
実際の表示例
root 0
daemon 1
_uucp 4
_taskgated 13
_networkd 24
_installassistant 25
_lp 26
_postfix 27
_scsd 31
_ces 32
_appstore 33
_mcxalr 54
_appleevents 55
_geod 56
_devdocs 59
_sandbox 60
guest 201
tanaka 501
suzuki 502
yamada 503
この表示から、実際のユーザーは「tanaka」「suzuki」「yamada」の3人だとわかります。
特定のユーザー情報を詳しく確認
個別ユーザーの詳細情報
特定のユーザーについて詳しく知りたい場合は、以下のコマンドを使います:
dscl . -read /Users/ユーザー名
例:tanakaユーザーの情報を確認
dscl . -read /Users/tanaka
表示される情報
- ユーザーID(UID)
- グループID(GID)
- フルネーム
- ホームディレクトリの場所
- ログインシェル
- 最後にパスワードを変更した日時
管理者権限があるユーザーを確認
管理者グループのメンバーを表示
dscl . -read /Groups/admin GroupMembership
実際の表示例
GroupMembership: tanaka suzuki
この例では、「tanaka」と「suzuki」が管理者権限を持っていることがわかります。
オンラインユーザーを確認
現在ログインしているユーザーを表示
who
より詳しい情報を表示
w
表示される情報
- 現在ログインしているユーザー名
- ログイン時刻
- アイドル時間(最後に操作してからの時間)
- 実行中のプロセス
GUIでの確認方法(補足)

システム設定での確認
コマンド操作が苦手な方は、システム設定からも確認できます。
手順
- 画面左上のアップルメニューをクリック
- 「システム設定」を選択
- 「ユーザーとグループ」をクリック
- 左側にすべてのユーザーアカウントが表示される
各ユーザーの詳細を確認
ユーザー情報の確認方法
- 確認したいユーザーをクリック
- 右側に以下の情報が表示される:
- ユーザーの種類(管理者/標準/その他)
- フルネーム
- アカウント名
- 連絡先情報
- ログイン項目
パスワード設定の確認
パスワードの状態を確認
- ユーザーを選択
- 「パスワード」タブをクリック
- パスワードの設定状況や変更オプションを確認
セキュリティ対策としてのユーザー管理
不要なアカウントをチェック
定期的に確認すべきポイント
- 退職した社員のアカウントが残っていないか
- 使われていないゲストアカウントがないか
- 不明なユーザーアカウントがないか
管理者権限の見直し
管理者権限を持つユーザーの確認
dscl . -read /Groups/admin GroupMembership
見直しのポイント
- 管理者権限は必要最小限にする
- 退職者の管理者権限は即座に削除
- 一時的な作業のために付与した権限は作業後に削除
パスワードポリシーの確認
強力なパスワードが設定されているかチェック
- 8文字以上の長さ
- 大文字・小文字・数字・記号の組み合わせ
- 定期的な変更
よくある質問と解決方法
ターミナルが開けない・コマンドが動かない
考えられる原因と対処法
- ターミナルが見つからない
- Spotlightで「ターミナル」と検索
- 英語環境の場合は「Terminal」で検索
- コマンドを入力しても何も起こらない
- コマンドの最後でEnterキーを押したか確認
- コマンドのスペルミスがないか確認
- アクセス権限のエラーが出る
- 管理者権限が必要な場合は、コマンドの前に
sudo
を付ける - 例:
sudo dscl . list /Users
- 管理者権限が必要な場合は、コマンドの前に
システムユーザーと一般ユーザーの区別がつかない
見分け方のコツ
- アンダースコア(_)で始まるのはシステムユーザー
- UIDが500未満はシステムユーザー
- 人の名前っぽいものは一般ユーザー
コマンドの結果が多すぎて見づらい
結果を見やすくする方法
# ページごとに表示
dscl . list /Users | less
# ファイルに保存
dscl . list /Users > userlist.txt
まとめ
Macユーザー管理の基本
覚えておきたいコマンド
dscl . list /Users
:すべてのユーザーを表示dscl . -list /Users UniqueID | awk '$2 >= 500 { print $1 }'
:一般ユーザーのみ表示dscl . -read /Groups/admin GroupMembership
:管理者ユーザーを確認
セキュリティ強化のポイント
重要な考え方
- 最小権限の原則:必要最小限の権限のみ付与
- 定期的な見直し:アカウントの棚卸しを定期実行
- 記録の保持:ユーザーの作成・削除・変更履歴を記録
継続的な改善
- 新しいユーザー作成時のルール策定
- パスワードポリシーの強化
- 多要素認証の導入検討
最後に
Macを複数人で使っていたり、会社でMacを管理している場合、ユーザー一覧の確認は非常に重要な操作です。
今回紹介したコマンドを使って、定期的にユーザーアカウントをチェックすることで、セキュリティの向上と適切な管理ができるようになります。
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