「PHPを学びたいけど、最初に何を覚えればいいかわからない」
「HTMLとの違いがよく分からない」
── そんな方にまず知ってほしいのが、PHPの基本構文(書き方のルール)です。
この記事では、PHPの構文の決まりごとを、例文とは切り離して明確に説明したうえで、実際の使用例を紹介します。
PHPの基本構文【ルール編】

PHPコードの書き始めと終わり
基本ルール:
- PHPは
<?php
で開始し、?>
で終了します - HTMLと混ぜて書くことができますが、PHPコードはこのタグの中に書く必要があります
書き方:
<?php
// PHPのコードはここに書く
?>
なぜこのルールがあるの?
- HTMLとPHPを区別するため
- サーバーがどこからどこまでがPHPコードかを判断するため
1.2 文の終わりには「セミコロン ;」が必須
基本ルール:
- PHPの各命令文の最後には
;
を付けて終了を示します - 複数行のコードがある場合でも、それぞれに必ずセミコロンが必要です
良い例:
<?php
echo "Hello"; // セミコロンあり
echo "World"; // セミコロンあり
?>
悪い例:
<?php
echo "Hello" // セミコロンなし - エラーになる
echo "World" // セミコロンなし - エラーになる
?>
コメントの書き方
基本ルール:
- 一行コメント:
// コメント
- 複数行コメント:
/* コメント */
使い方:
<?php
// これは一行のコメント
/*
これは複数行の
コメントです
*/
echo "Hello"; // この部分も一行コメント
?>
コメントは何のため?
- 自分や他の人がコードを理解しやすくする
- 一時的にコードを無効にしたいとき
変数の宣言
基本ルール:
- PHPでは、変数の前に ドル記号
$
を付けて宣言します - 代入には
=
を使います - 変数名は英数字とアンダースコアが使用でき、数字で始めることはできません
変数名の例:
<?php
$name = "田中"; // 良い例
$age = 15; // 良い例
$user_name = "太郎"; // 良い例(アンダースコア使用)
// $1name = "花子"; // 悪い例:数字で始まっている
// $na-me = "次郎"; // 悪い例:ハイフンは使えない
?>
出力には「echo」を使う
基本ルール:
echo
:画面に文字や値を表示するprint
:echo
とほぼ同じだが、使い方が少し違う(通常はecho
を使う)
基本的な書き方:
<?php
echo "こんにちは";
?>
データの種類(データ型)
PHPで扱えるデータの種類:
データ型 | 何を保存? | 例 |
---|---|---|
文字列(string) | 文字や文章 | “こんにちは”、”田中太郎” |
数値(整数) | 整数 | 15、100、-5 |
数値(小数) | 小数点を含む数 | 3.14、-2.5 |
論理型(boolean) | 真偽(正しいか間違いか) | true、false |
配列(array) | 複数の値をまとめて保存 | [“りんご”, “バナナ”] |
重要なポイント: PHPは自動で型を判断してくれるので、「これは文字列です」と明示的に指定する必要がありません。
制御構文(処理の流れを制御)
条件分岐(if文):
- 条件によって処理を変える
- 「もし〜なら〜をする」という仕組み
繰り返し(ループ):
- 同じ処理を何度も実行する
- 「〜を◯回繰り返す」という仕組み
- for文やwhile文を使用
PHPの基本構文【具体例編】

例1:Hello Worldを表示
何をするコード? 画面に「Hello, World!」と表示する最もシンプルな例
<?php
echo "Hello, World!";
?>
実行結果:
Hello, World!
例2:変数の定義と出力
何をするコード? 名前を変数に保存して、あいさつ文を表示する
<?php
$name = "山田";
echo "こんにちは、" . $name . "さん!";
?>
実行結果:
こんにちは、山田さん!
ポイント:
.
は文字列をつなげる記号- 変数
$name
の中身が「山田」に置き換わって表示される
例3:条件分岐
何をするコード? 点数によって「合格」か「不合格」かを判定する
<?php
$score = 85;
if ($score >= 80) {
echo "合格";
} else {
echo "不合格";
}
?>
実行結果:
合格
仕組みの説明:
$score
に85を代入- 85は80以上なので、
if
の条件が真(true) - 「合格」が表示される
条件を変えてみると:
<?php
$score = 75; // 点数を75に変更
if ($score >= 80) {
echo "合格";
} else {
echo "不合格"; // こちらが実行される
}
?>
例4:繰り返し処理(for文)
何をするコード? 1から5まで数えて表示する
<?php
for ($i = 1; $i <= 5; $i++) {
echo "カウント: $i<br>";
}
?>
実行結果:
カウント: 1
カウント: 2
カウント: 3
カウント: 4
カウント: 5
仕組みの説明:
$i = 1
:変数iを1で始める$i <= 5
:iが5以下の間は繰り返す$i++
:1回ごとにiを1増やす<br>
:HTMLの改行タグ
例5:配列とforeach
何をするコード? 果物のリストを作って、一つずつ表示する
<?php
$fruits = ["りんご", "バナナ", "みかん"];
foreach ($fruits as $fruit) {
echo $fruit . "<br>";
}
?>
実行結果:
りんご
バナナ
みかん
仕組みの説明:
$fruits
:3つの果物名を保存した配列foreach
:配列の中身を一つずつ取り出す$fruit
:取り出した一つの果物名が入る変数- 配列の中身がなくなるまで繰り返す
よくある間違いと対処法

間違い1:セミコロンを忘れる
間違った書き方:
<?php
echo "Hello" // セミコロンがない
?>
正しい書き方:
<?php
echo "Hello"; // セミコロンを追加
?>
間違い2:変数の$マークを忘れる
間違った書き方:
<?php
name = "田中"; // $がない
echo name; // $がない
?>
正しい書き方:
<?php
$name = "田中"; // $を追加
echo $name; // $を追加
?>
間違い3:PHPタグを忘れる
間違った書き方:
echo "Hello"; // <?php がない
正しい書き方:
<?php
echo "Hello";
?>
実際に試してみよう
自分で練習できる例
例1:自己紹介プログラム
<?php
$name = "あなたの名前";
$age = 15;
$hobby = "読書";
echo "私の名前は" . $name . "です。<br>";
echo "年齢は" . $age . "歳です。<br>";
echo "趣味は" . $hobby . "です。<br>";
?>
例2:簡単な計算プログラム
<?php
$a = 10;
$b = 5;
echo $a . " + " . $b . " = " . ($a + $b) . "<br>";
echo $a . " - " . $b . " = " . ($a - $b) . "<br>";
echo $a . " × " . $b . " = " . ($a * $b) . "<br>";
echo $a . " ÷ " . $b . " = " . ($a / $b) . "<br>";
?>
HTMLとPHPを組み合わせる
基本的な組み合わせ方
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>PHPテスト</title>
</head>
<body>
<h1>今日の天気</h1>
<?php
$weather = "晴れ";
$temperature = 25;
echo "<p>今日の天気は" . $weather . "です。</p>";
echo "<p>気温は" . $temperature . "度です。</p>";
?>
<p>良い一日をお過ごしください!</p>
</body>
</html>
ポイント:
- HTMLとPHPを自由に混ぜて書ける
- PHPの部分だけ
<?php ?>
で囲む - 動的(変化する)な部分はPHPで、固定部分はHTMLで書く
まとめ
PHPの構文は、ルールさえ理解すればとてもシンプルです。まずは「PHPタグ」「変数」「出力」「条件分岐」「ループ」などの基礎を覚えることで、動的なWebページ制作の第一歩を踏み出せます。
この記事のポイント
- PHPコードは
<?php ?>
タグ内に記述 - 文の終わりにはセミコロンが必要
$変数
を使ってデータを保持echo
で画面に出力、if
やfor
で処理を制御- 基本構文をマスターすれば、HTMLと組み合わせて実用的なページが作れる
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