PHPはウェブ開発や簡易サーバー構築に広く使われているプログラミング言語です。
MacでPHPを使おうとしたとき、「どこにあるの?」「どうやってインストールするの?」と戸惑った経験はありませんか?
PHPを使う場面:
- WordPressのカスタマイズ
- Laravelなどのフレームワーク開発
- 簡単なウェブアプリケーション作成
- ローカル開発環境の構築
この記事では、初心者でも簡単にMacにPHPをインストールする手順と、インストール後の確認・バージョン管理の方法を分かりやすく解説します。
第1章:PHPインストールに必要なもの【前提準備】
必要な前提環境
PHPをインストールするには、以下のツールが必要です:
1. Homebrew(ホームブルー)
- Mac用のパッケージマネージャ
- PHPを含む様々な開発ツールを簡単にインストールできる
2. ターミナルの基本操作
- コマンドを入力する作業が中心
- 難しい操作はありませんが、コピー&ペーストができれば十分
Homebrewのインストール確認
現在の状態を確認:
brew --version
正常な場合の出力例:
Homebrew 4.2.15
バージョンが表示されればHomebrewは既にインストール済みです。
Homebrewがインストールされていない場合
以下のコマンドでインストール:
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
インストール手順:
- 上記コマンドをターミナルに貼り付けて実行
- パスワードの入力を求められたら、Macのログインパスワードを入力
- インストールには5-10分程度かかります
- 完了後、ターミナルを再起動
Apple Siliconの場合の追加設定: M1/M2 Macを使用している場合は、以下のコマンドも実行:
echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
source ~/.zprofile
ターミナルの基本操作
ターミナルの開き方:
- Spotlight検索(Cmd + Space)で「ターミナル」と入力
- またはアプリケーション → ユーティリティ → ターミナル
基本的なコマンド:
pwd # 現在の場所を確認
ls # ファイル一覧を表示
cd ~ # ホームディレクトリに移動
第2章:PHPをHomebrewでインストールする手順
最新版のPHPをインストール
基本的なインストールコマンド:
brew install php
このコマンドで最新の安定版PHPがインストールされます(通常はPHP 8.3系)。
インストール中の表示例:
==> Downloading https://ghcr.io/v2/homebrew/core/php/...
==> Installing php
==> Summary
? /opt/homebrew/Cellar/php/8.3.6: 2,xxx files, xxxMB
インストール後の確認
PHPのバージョン確認:
php --version
正常な場合の出力例:
PHP 8.3.6 (cli) (built: May 20 2025 10:30:45) ( NTS )
Copyright (c) The PHP Group
Zend Engine v4.3.6, Copyright (c) Zend Technologies
with Zend OPcache v8.3.6, Copyright (c) The PHP Group
特定のバージョンをインストールする場合
PHP 8.2をインストール:
brew install php@8.2
PHP 8.1をインストール:
brew install php@8.1
利用可能なPHPバージョンを確認:
brew search php
複数バージョンの管理
インストール済みのPHPバージョンを確認:
brew list | grep php
出力例:
php
php@8.2
php@8.1
第3章:PHPのパス設定とバージョン切り替え
なぜパス設定が必要?
複数のPHPバージョンが存在する場合、macOSがどのPHPを使うかを明示する必要があります。
適切なパス設定をしないと、古いバージョンが使われたり、PHPが見つからないエラーが発生します。
使用するシェルの確認
現在のシェルを確認:
echo $SHELL
結果に応じて設定ファイルを選択:
/bin/zsh
→~/.zshrc
または~/.zprofile
/bin/bash
→~/.bash_profile
または~/.bashrc
現在のMacはデフォルトでzshを使用しているため、~/.zprofile
を使用します。
パス設定の方法
最新版PHP(デフォルト)の場合:
echo 'export PATH="/opt/homebrew/bin:$PATH"' >> ~/.zprofile
source ~/.zprofile
特定バージョン(例:PHP 8.2)を使う場合:
echo 'export PATH="/opt/homebrew/opt/php@8.2/bin:$PATH"' >> ~/.zprofile
source ~/.zprofile
Intel Macの場合:
echo 'export PATH="/usr/local/opt/php@8.2/bin:$PATH"' >> ~/.zprofile
source ~/.zprofile
バージョン切り替えの方法
現在アクティブなPHPを確認:
brew list --formula | grep php
brew link --dry-run php@8.2
バージョンを切り替える:
# 現在のリンクを解除
brew unlink php
# 使いたいバージョンをリンク
brew link --overwrite --force php@8.2
切り替え確認:
php --version
which php
パス設定の確認
現在のPATHを確認:
echo $PATH
PHPの場所を確認:
which php
期待される出力例:
/opt/homebrew/opt/php@8.2/bin/php
第4章:PHPの動作確認とトラブル対策
簡単なPHPテスト
1. テストファイルの作成:
echo "<?php phpinfo(); ?>" > test.php
2. PHPビルトインサーバーの起動:
php -S localhost:8000
起動成功時の表示:
PHP 8.3.6 Development Server (http://localhost:8000) started
3. ブラウザでアクセス:
- ブラウザで
http://localhost:8000/test.php
にアクセス - PHP情報ページが表示されれば成功!
4. サーバーの停止:
- ターミナルで
Ctrl + C
を押す
より詳細なテスト
コマンドラインでPHPコードを実行:
php -r "echo 'Hello, PHP!' . PHP_EOL;"
PHPの設定情報を確認:
php --ini
インストール済みの拡張モジュールを確認:
php -m
よくあるトラブルと解決法
1. php: command not found
エラー
原因: PHPのパスが正しく設定されていない
解決方法:
# パス設定を再実行
echo 'export PATH="/opt/homebrew/bin:$PATH"' >> ~/.zprofile
source ~/.zprofile
# または、ターミナルを再起動
2. 古いバージョンのPHPが表示される
原因: バージョンの切り替えが正しく行われていない
解決方法:
# 現在のリンクを確認
brew list --versions php
# 正しいバージョンにリンク
brew unlink php
brew link --overwrite --force php@8.2
3. ビルトインサーバーが起動しない
原因: ポートが既に使用されている
解決方法:
# 別のポートを使用
php -S localhost:8001
# または、使用中のプロセスを確認
lsof -i :8000
4. Permission denied
エラー
原因: ファイルの権限やHomebrewの権限問題
解決方法:
# Homebrewの権限を修正
sudo chown -R $(whoami) /opt/homebrew/
# または、Homebrewを再インストール
5. Apple SiliconでPATHが通らない
解決方法:
# 正しいパスを設定
echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
echo 'export PATH="/opt/homebrew/bin:$PATH"' >> ~/.zprofile
source ~/.zprofile
トラブルシューティングのチェックリスト
問題が発生した場合の確認手順:
- Homebrewの状態確認:
brew doctor
- PHPのインストール状態確認:
brew list | grep php
- パス設定の確認:
echo $PATH which php
- 設定ファイルの確認:
cat ~/.zprofile
- ターミナルの再起動
第5章:PHP開発環境の完成とNext Steps
Composerのインストール(推奨)
PHPの依存関係管理ツールComposerもインストールしておくと便利です:
brew install composer
確認:
composer --version
開発に便利な拡張機能
よく使われるPHP拡張を確認:
php -m | grep -E "(mysqli|pdo|gd|curl|mbstring)"
不足している場合の追加インストール例:
# 通常はHomebrew版PHPには主要な拡張が含まれています
brew reinstall php --with-pear
設定ファイルの場所
php.iniファイルの場所を確認:
php --ini
設定変更の例:
# php.iniファイルをコピーして編集
cp /opt/homebrew/etc/php/8.3/php.ini.default /opt/homebrew/etc/php/8.3/php.ini
VSCodeとの連携
VS Codeに便利な拡張機能:
- PHP Extension Pack
- PHP Intelephense
- PHP Debug
今後のバージョン管理
定期的なアップデート:
brew update
brew upgrade php
特定バージョンの維持:
brew pin php@8.2 # バージョン固定
brew unpin php@8.2 # 固定解除
まとめ
PHPをMacにインストールするには、Homebrewの活用とパス設定がカギになります。
この記事の手順に従えば、PHPの開発環境が数分で整えられます。
重要なポイントまとめ
インストール手順:
- Homebrewをインストール(未インストールの場合)
brew install php
でPHPをインストール- パス設定を行う(
~/.zprofile
に追記) php --version
で動作確認
よく使うコマンド:
brew install php # PHPをインストール
php --version # バージョン確認
php -S localhost:8000 # ビルトインサーバー起動
brew upgrade php # PHPをアップデート
トラブル時の対処:
- パス設定の再確認
- ターミナルの再起動
brew doctor
で問題をチェック
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