Linuxを始めると、必ずと言っていいほど出会うコマンドが「cat」です。
でも、「どう使うの?」「何ができるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、catコマンドの基本的な使い方から便利な応用技、注意点までをやさしく解説していきます。
初心者でもすぐに使いこなせるよう、実例も交えて丁寧に紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
catコマンドとは?名前の由来から理解しよう

catの正体
cat
は「concatenate(連結する)」という英単語の略称です。
つまり、ファイルの中身を表示したり、複数のファイルをつなげるためのコマンドなんです。
catで何ができるの?
catコマンドの主な用途は次の通りです:
- ファイル内容の表示 – テキストファイルの中身をターミナルに出力
- 複数ファイルの結合 – いくつかのファイルをひとつにまとめる
- 新規ファイルの作成 – キーボードから入力してファイルを作る
- パイプ処理 – 他のコマンドと組み合わせて使う
catは「見る」「つなぐ」「作る」ことができる、シンプルながら多用途なコマンドです。
名前の由来を知ると、その機能も覚えやすくなりますね。
次は、実際にcatを使ってみましょう。
catコマンドの基本的な使い方
ファイルの中身を表示する
これがcatの最も基本的な使い方です。
cat ファイル名.txt
実際の例:
cat sample.txt
このコマンドを実行すると、sample.txt
の中身がターミナルに表示されます。
複数ファイルを同時に表示する
cat file1.txt file2.txt
この場合、file1.txt
の内容の後に、続けてfile2.txt
の内容が表示されます。
ファイルを結合して新しいファイルに保存する
cat file1.txt file2.txt > merged.txt
>
記号(リダイレクト)を使うことで、file1.txt
とfile2.txt
の内容を連結してmerged.txt
という新しいファイルに保存できます。
catはシンプルに「中身を表示」するだけでなく、ファイル結合にも対応しています。
リダイレクトと組み合わせると、さらに便利に使えますよ。
次は、知っておくと役立つオプションを紹介します。
覚えておきたいcatの便利オプション

catコマンドには、表示を見やすくするオプションがいくつか用意されています。
主要なオプション一覧
オプション | 機能 | 使用例 |
---|---|---|
-n | 行番号を付けて表示 | cat -n sample.txt |
-b | 空白行を除いて行番号を表示 | cat -b sample.txt |
-s | 連続する空行を1行にまとめる | cat -s sample.txt |
-T | タブ文字を ^I として表示 | cat -T sample.txt |
-E | 各行の末尾に $ を表示 | cat -E sample.txt |
実際に使ってみよう
行番号付きで表示
cat -n sample.txt
出力例:
1 これは1行目です
2 これは2行目です
3
4 これは4行目です
catのオプションを使えば、より見やすく整った出力が可能になります。
特に-n
オプションは、長いファイルを確認するときに重宝しますよ。
次は、実際の作業で使える応用例を見ていきましょう。
実務で使えるcatコマンドの活用例
ログファイルの確認(他のコマンドと組み合わせ)
cat /var/log/syslog | tail -n 20
これは、システムログの最後の20行だけを表示する方法です。パイプ(|)を使って、catの出力をtailコマンドに渡しています。
複数の設定ファイルを1つにまとめる
cat config1.conf config2.conf > combined.conf
設定ファイルを統合したいときに便利です。
簡単なファイル作成(手入力)
cat > memo.txt
こんにちは
これはテストです
今日の作業メモ
入力が終わったら「Ctrl + D」を押すとファイルが保存されます。
ファイルに内容を追加する
cat >> existing.txt
追加したい内容
>>
を使うと、既存のファイルの末尾に内容を追加できます。
最後に、使用時の注意点を確認しておきましょう。
catコマンド使用時の注意点と安全な使い方
catは便利なコマンドですが、いくつか注意すべき点があります。
主な注意点
上書きリスクに注意
cat file1.txt > important.txt
>
を使うと、important.txt
の元の内容は完全に消えてしまいます。内容を追加したい場合は>>
を使いましょう。
大きなファイルは重くなる
catは一度にファイル全体を表示するため、サイズが大きなファイル(数GB以上)では動作が重くなったり、ターミナルが固まったりする可能性があります。
大きなファイルには以下のコマンドがおすすめ:
less
– ページ単位で表示head
– 最初の数行だけ表示tail
– 最後の数行だけ表示
権限エラーについて
cat /etc/shadow
このような重要なシステムファイルは、一般ユーザーでは読めません。Permission denied
というエラーが出た場合は、sudo
を使うか、そもそも読む必要があるかを検討しましょう。
安全な使い方のコツ
- 上書き前の確認:重要なファイルを扱うときは、事前にバックアップを取る
- ファイルサイズの確認:
ls -lh
でファイルサイズを確認してからcatを実行 - 権限の確認:
ls -la
でファイルの権限を確認
便利なcatですが、上書き操作や大容量ファイルには注意が必要です。
まとめ
cat
コマンドは、Linuxにおける最も基本的で重要なコマンドのひとつです。
ファイルの中身確認から、複数ファイルの連結、さらにはファイル作成まで対応可能。
オプションや他のコマンドと組み合わせることで、作業の幅が広がり、スクリプト処理やログ管理にも大活躍します。
catコマンドのポイント
- 基本機能:ファイル表示、連結、作成
- 便利オプション:行番号表示(
-n
)など - 応用技:パイプやリダイレクトとの組み合わせ
- 注意点:上書きリスクと大容量ファイル
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