Macを使っていて、こんな困った経験はありませんか?
「Wi-Fiがよく切れて不安定」
「家のプリンターが急に認識されなくなった」
「NASにアクセスできない時がある」
「ポート開放がうまくいかない」
実は、これらの問題の多くはIPアドレスの設定を見直すことで解決できるかもしれません。
この記事では、IPアドレスとは何か?から始まり、MacでのIPアドレスの設定手順、固定するメリットや注意点まで、ネットワークに詳しくない方でも安心して理解できるように、やさしく解説します。
IPアドレスって何?なぜ設定が必要なの?

IPアドレスとは
IPアドレスは、ネットワーク上でMacなどの機器を識別するための住所のようなものです。
身近な例で理解すると:
- 現実世界:家の住所「東京都○○区○○1-2-3」
- インターネット:IPアドレス「192.168.1.15」
この番号があることで、データが正しい機器に届くようになっています。
自動割り当て(DHCP)と手動設定の違い
方法 | 仕組み | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
自動割り当て(DHCP) | ルーターが自動で番号を決める | 設定が楽、初心者向け | IPアドレスが変わることがある |
手動設定(固定IP) | 自分で番号を決める | アドレスが変わらない、安定 | 設定が必要、知識が必要 |
通常はルーターが自動で割り当てしてくれますが、一部の機器(NAS、プリンター、開発環境など)では手動で固定IPを設定した方が安定します。
なぜ固定IPが必要な場合があるの?
問題が起こる例:
- プリンターのIPアドレス:192.168.1.10
- Macがプリンターの場所を覚える
- 次の日、ルーターがプリンターに192.168.1.20を割り当て
- Macは古い192.168.1.10を探してプリンターが見つからない
固定IPなら: プリンターのIPアドレスが常に同じなので、いつでも確実に接続できます。
Macで現在のIPアドレスを確認する方法
まず、今のMacのIPアドレスを確認してみましょう。
設定画面から確認
手順:
- 画面左上のAppleマーク🍎をクリック
- 「システム設定」を選択
- 左側の「ネットワーク」をクリック
- 使っている接続方法(Wi-FiまたはEthernet)を選択
- 接続中のネットワーク名をクリック
すると、以下のような情報が表示されます:
- IPアドレス:192.168.1.15(例)
- サブネットマスク:255.255.255.0
- ルーター:192.168.1.1
コマンドで確認(上級者向け)
ターミナルを開いて以下のコマンドも使えます:
ifconfig | grep inet
ここで確認した情報は、後の設定で参考にします。
MacでIPアドレスを手動設定(固定IP化)する方法

事前準備
固定IPを設定する前に、以下を確認しておきましょう:
- 現在のIPアドレス(上記の方法で確認)
- ルーターのIPアドレス(通常は192.168.1.1または192.168.0.1)
- 使用可能なIPアドレス範囲
固定IPの設定手順(macOS Ventura以降)
Step 1:ネットワーク設定を開く
- Appleマーク🍎→「システム設定」
- 左側の「ネットワーク」をクリック
Step 2:対象のネットワークを選択
- Wi-FiまたはEthernetを選択
- 接続中のネットワーク名をクリック
- 「詳細…」ボタンをクリック
Step 3:TCP/IP設定を変更
- 「TCP/IP」タブを選択
- 「構成」のプルダウンメニューを「手入力」に変更
Step 4:IPアドレス情報を入力
以下の項目を設定します:
項目 | 例 | 説明 |
---|---|---|
IPアドレス | 192.168.1.50 | 他の機器と重複しない番号を選ぶ |
サブネットマスク | 255.255.255.0 | 通常はこの値 |
ルーター | 192.168.1.1 | ルーターのIPアドレス |
Step 5:DNS設定(必要に応じて)
- 「DNS」タブをクリック
- 「DNSサーバ」に以下を追加(推奨):
- 8.8.8.8(Google)
- 1.1.1.1(Cloudflare)
Step 6:設定を保存
- 「OK」をクリック
- 「適用」をクリック
古いmacOS(Monterey以前)の場合
- 「システム環境設定」→「ネットワーク」
- 対象のネットワークを選択
- 「詳細…」をクリック
- 「TCP/IP」タブで「IPv4の構成」を「手入力」に変更
- 必要な情報を入力して「OK」
適切な固定IPアドレスの選び方
安全なIPアドレスの範囲
一般的な家庭用ルーターでは、以下の範囲が使われます:
ルーターメーカー | よくある範囲 | おすすめ固定IP |
---|---|---|
一般的 | 192.168.1.1〜192.168.1.254 | 192.168.1.50〜192.168.1.100 |
Buffalo | 192.168.11.1〜192.168.11.254 | 192.168.11.50〜192.168.11.100 |
一部メーカー | 192.168.0.1〜192.168.0.254 | 192.168.0.50〜192.168.0.100 |
重複を避けるコツ
安全な選び方:
- ルーターの管理画面で「接続機器一覧」を確認
- 使われていない番号を選ぶ
- 50番以降など、大きめの番号を使う(DHCPの自動割り当て範囲を避けるため)
固定IPの活用例

1. プリンターの接続安定化
問題:「昨日まで印刷できたのに、今日は認識しない」
解決:プリンターに固定IPを設定することで、常に同じアドレスでアクセス可能
2. NAS(ネットワークストレージ)の利用
問題:「ファイルサーバーに時々接続できない」
解決:NASに固定IPを割り当てることで、確実にアクセス可能
3. ポートフォワーディング(ポート開放)
問題:「外部から自宅サーバーにアクセスしたいけど、IPが変わる」
解決:サーバーに固定IPを設定して、ルーターで特定ポートを転送
4. 開発環境での利用
問題:「ローカル開発サーバーのアドレスが変わって混乱」
解決:開発用Macに固定IPを設定して、チーム内で共有
固定IP設定時の注意点
1. IPアドレスの重複に注意
危険な例:
- 他のデバイスが既に192.168.1.50を使用中
- 同じアドレスを設定するとネットワーク障害が発生
対策:
- 事前に使用中のIPアドレスを確認
- 大きめの番号(50以降など)を使用
2. ネットワークの違いに注意
問題:
- 自宅:192.168.1.xxx
- 会社:192.168.10.xxx
- カフェ:10.0.0.xxx
対策:
- 外出先では自動設定(DHCP)に戻す
- または、ネットワーク別に設定を保存
3. 公共Wi-Fiでの固定IP設定は避ける
なぜ危険?
- 他の利用者と重複する可能性
- ネットワーク管理者の設定と衝突
- セキュリティリスクが高まる
推奨: 会社や公共Wi-Fiでは必ず自動設定を使用
4. DNS設定も忘れずに
IPアドレスを固定すると、DNS設定も手動になります。
おすすめDNSサーバー:
- 8.8.8.8, 8.8.4.4(Google Public DNS)
- 1.1.1.1, 1.0.0.1(Cloudflare)
- 9.9.9.9(Quad9)
トラブルシューティング

よくある問題と解決法
問題1:インターネットに接続できない
原因と対策:
- ルーターのIPアドレスが間違っている → 正しいゲートウェイを設定
- DNS設定が空 → 8.8.8.8などを設定
- IPアドレスが重複 → 他のデバイスと重複しない番号に変更
問題2:一部のサイトが開けない
原因と対策:
- DNS設定の問題 → 複数のDNSサーバーを設定
- サブネットマスクが間違っている → 通常は255.255.255.0
問題3:設定が保存されない
原因と対策:
- 管理者権限が必要 → システム設定で管理者パスワードを入力
- ネットワーク設定が書き込み禁止 → 管理者に相談
よくある質問
Q1. 会社のWi-Fiでも固定IPは使える?
A. 会社のネットワーク管理者に確認してから使用してください。勝手に設定すると、ネットワーク障害の原因になる可能性があります。
Q2. Wi-Fiと有線で異なる固定IPを設定できる?
A. はい、可能です。Wi-FiとEthernetは別々に設定できるので、それぞれ異なる固定IPを割り当てられます。
Q3. 固定IPを設定すると通信速度は変わる?
A. IPアドレスの設定方法自体は通信速度に影響しません。ただし、DNSサーバーの選択によって、サイトの表示速度が変わることがあります。
Q4. IPv6も固定できる?
A. はい、できます。「TCP/IP」タブで「IPv6の構成」を「手入力」に変更して設定できます。ただし、通常はIPv4の設定で十分です。
Q5. 設定を元に戻したい場合は?
A. 「構成」を「DHCPサーバを使用」に変更するだけで、自動設定に戻ります。
まとめ
IPアドレスを手動で設定することで、Macのネットワーク接続がより安定・柔軟になります。特に家庭内ネットワークや開発環境では、固定IPの活用がトラブル防止に大いに役立ちます。
この記事の重要なポイント:
- IPアドレスは機器をネットワーク上で識別するための住所のようなもの
- Macでは「システム設定 > ネットワーク」からIPアドレスの手動設定が可能
- 固定IP化でNASやプリンターなどの接続トラブルを予防できる
- 他の機器とアドレスが重複しないように注意が必要
- 公共Wi-Fiでは固定IP設定を避ける
初心者の方へのアドバイス:
- 最初は自宅のネットワークで練習してみましょう
- 設定前に現在のIPアドレスをメモしておきましょう
- 問題が起きたら、すぐに自動設定(DHCP)に戻せます
- 分からないことがあったら、ネットワーク管理者に相談しましょう
覚えておくべき基本設定:
- IPアドレス:192.168.1.50(例)
- サブネットマスク:255.255.255.0
- ルーター:192.168.1.1(例)
- DNS:8.8.8.8, 1.1.1.1
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