プログラミングを始めたり、MacやLinuxを使ったりしていると、どうしても出会うのが「黒い画面」。これがターミナルやコマンドラインと呼ばれるものですね。
「UNIXコマンドって難しそう…」
「何から覚えたらいいか分からない」
「間違えたらパソコンが壊れそうで怖い」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
でも安心してください!実は、UNIXコマンドは基本的なものを10個ほど覚えるだけで、日常的な作業がスムーズにできるようになるんです。
この記事では、プログラミング初心者の方でも分かるように、UNIXコマンドの基本を優しく説明していきます。
MacでもLinuxでも、WindowsのWSL(Windows Subsystem for Linux)でも使える、本当に役立つコマンドばかりを厳選しました。
そもそもUNIXって何?なぜコマンドを覚える必要があるの?

まず、UNIXについて簡単に説明しておきますね。
UNIXとは、コンピューターを動かすためのシステム(オペレーティングシステム)の一つです。
長い歴史があり、現在のLinuxやmacOSのベースにもなっています。
なぜコマンドを覚えるの?
普段はマウスでクリックして操作することが多いと思いますが、コマンドを使うとこんなメリットがあります:
- 作業が早い:マウスでポチポチするより断然速い
- 自動化できる:同じ作業を繰り返すとき便利
- プログラミングに必須:開発環境で必ず使う
- サーバー操作:リモートのサーバーはコマンドが基本
「でも覚えるのが大変そう…」と思うかもしれませんが、実際によく使うコマンドはそんなに多くありません。(開発などしない限りは)
しかも一度覚えれば、どのシステム(Mac、Linux、Windows)でも同じように使えるんです。
UNIXコマンドは作業効率アップの強い味方。次は、実際に覚えるべき基本コマンドを見ていきましょう。
絶対に覚えたい!基本のUNIXコマンド10選

それでは、初心者の方が最初に覚えるべきコマンドを、使用頻度の高い順に紹介していきます。
どれも短くて覚えやすいものばかりです。
ls – 「今ここに何があるか見る」
ls
何をするコマンド? 今いる場所(フォルダ)の中身を一覧で表示します。
どんなときに使う?
- フォルダの中に何があるか確認したいとき
- ファイル名を思い出したいとき
便利なオプション:
ls -l
:詳しい情報も一緒に表示ls -a
:隠れているファイルも表示
実際の例:
ls
# → Documents Pictures Downloads などが表示される
cd – 「場所を移動する」
cd フォルダ名
何をするコマンド? 別のフォルダに移動します。「change directory」の略ですね。
どんなときに使う?
- 作業したいフォルダに移動するとき
- ファイルを探しているとき
便利な使い方:
cd ..
:一つ上のフォルダに戻るcd ~
:ホーム(自分の家)に戻るcd
:何も付けないでもホームに戻る
実際の例:
cd Documents
# → Documentsフォルダに移動
cd ..
# → 一つ上のフォルダに戻る
pwd – 「今どこにいるか確認する」
pwd
何をするコマンド? 今いる場所の完全な住所(パス)を表示します。「print working directory」の略です。
どんなときに使う?
- 迷子になったとき
- 正確な場所を確認したいとき
実際の例:
pwd
# → /Users/yamada/Documents のような表示
この3つ(ls、cd、pwd)が移動と確認の基本。次はファイル作成のコマンドを覚えましょう。
touch – 「空のファイルを作る」
touch ファイル名
何をするコマンド? 新しい空のファイルを作成します。
どんなときに使う?
- 新しいテキストファイルを作りたいとき
- プログラムのファイルを作りたいとき
実際の例:
touch memo.txt
# → memo.txtという空のファイルができる
touch script.py
# → Pythonファイルを作成
mkdir – 「新しいフォルダを作る」
mkdir フォルダ名
何をするコマンド? 新しいフォルダ(ディレクトリ)を作成します。「make directory」の略です。
実際の例:
mkdir work
# → workという名前のフォルダができる
mkdir -p project/data
# → projectフォルダの中にdataフォルダも一緒に作る
cat – 「ファイルの中身を見る」

cat ファイル名
何をするコマンド? ファイルの中身をそのまま表示します。
どんなときに使う?
- テキストファイルの内容を確認したいとき
- プログラムの中身をチェックしたいとき
実際の例:
cat memo.txt
# → memo.txtの中身が表示される
章のまとめ:作成と確認のコマンドを覚えました。次は移動とコピーの方法を学びましょう。
cp – 「ファイルをコピーする」
cp コピー元 コピー先
何をするコマンド? ファイルやフォルダをコピーします。「copy」の略です。
実際の例:
cp memo.txt backup.txt
# → memo.txtをコピーしてbackup.txtを作る
cp -r work backup_work
# → workフォルダ全体をbackup_workとしてコピー
注意点:フォルダをコピーするときは -r
を付けることを忘れずに!
mv – 「ファイルを移動・名前変更する」
mv 元の名前 新しい名前
何をするコマンド? ファイルを移動したり、名前を変更したりします。「move」の略です。
実際の例:
mv memo.txt note.txt
# → memo.txtの名前をnote.txtに変更
mv note.txt Documents/
# → note.txtをDocumentsフォルダに移動
rm – 「ファイルを削除する」
rm ファイル名
何をするコマンド? ファイルやフォルダを削除します。「remove」の略です。
重要な注意点:
- 削除したファイルは元に戻せません!
- 慎重に使いましょう
実際の例:
rm old_file.txt
# → old_file.txtを削除
rm -r old_folder
# → old_folderフォルダを中身ごと削除
rm -i important.txt
# → 削除前に確認メッセージが出る(推奨)
man – 「コマンドの説明書を見る」
man コマンド名
何をするコマンド? 各コマンドの詳しい使い方を表示します。「manual」の略です。
実際の例:
man ls
# → lsコマンドの詳しい説明が表示される
使い方のコツ:
q
を押すと説明から抜けられます- 分からないコマンドがあったら、まずmanで調べる習慣を付けましょう
章のまとめ:基本の10コマンドを覚えました。次は、さらに便利なコマンドも見てみましょう。
プラスアルファ:覚えておくと便利なコマンド
基本の10個に加えて、知っていると作業が楽になるコマンドもご紹介します。
clear – 画面をきれいにする
clear
ターミナルの画面がごちゃごちゃしてきたときに、画面をすっきりさせることができます。
history – 過去のコマンドを確認
history
今まで打ったコマンドの履歴が見られます。「あのコマンド、なんだったっけ?」というときに便利です。
echo – 文字や変数を表示
echo "こんにちは"
# → こんにちは と表示される
echo $HOME
# → ホームディレクトリのパスが表示される
プログラムをテストするときやデバッグで重宝します。
便利なコマンドも覚えたので、次は実際に練習できる環境について確認しましょう。
UNIXコマンドを練習できる環境

「コマンドを覚えたいけど、どこで練習すればいいの?」という疑問にお答えします。
Mac の場合
ターミナルアプリを使う
- Launchpadを開く
- 「ユーティリティ」フォルダを開く
- 「ターミナル」をクリック
これだけで、すぐにUNIXコマンドが使えます。
Macは最初からUNIX系のシステムなので、特別な設定は必要ありません。
Windows の場合
WSL(Windows Subsystem for Linux)を使う
- Microsoft StoreでUbuntuをインストール
- インストール後に起動
- 初期設定を完了
これで、WindowsでもLinuxのコマンドが使えるようになります。
練習環境が分かったので、最後によくある疑問を解決しましょう。
初心者がよく困る疑問と解決方法
UNIXコマンドを使い始めると、必ずといっていいほど出てくる疑問をまとめました。
Q1. 大文字と小文字は区別されるの?
答え:はい、厳密に区別されます。
# これらは全部違うファイルとして扱われます
MyFile.txt
myfile.txt
MYFILE.TXT
myFile.txt
ファイル名は小文字で統一すると間違いが少なくなります。
Q2. スペースが入ったファイル名はどうするの?
答え:クォート(””)で囲むか、バックスラッシュ(\)を使います。
# ファイル名に空白がある場合
cat "my document.txt"
# または
cat my\ document.txt
コツ:ファイル名にはスペースを使わず、アンダーバー(_)やハイフン(-)を使うのがおすすめです。
Q3. 間違えてファイルを削除してしまったら?
答え:残念ながら、基本的には復元できません。
対策:
- 重要なファイルは事前にバックアップを取る
rm -i
で削除前に確認する習慣を付ける- ゴミ箱に移動するコマンド(trash)を使う
# 安全な削除方法
rm -i important_file.txt
# → 本当に削除しますか?と聞かれる
Q4. コマンドが途中で止まらなくなったら?
答え:Ctrl + C で強制終了できます。
長時間動作するコマンドや、無限ループに入ってしまったときは、Ctrl + C
を押せば止まります。
Q5. タブキーって何に使うの?
答え:自動補完機能です。とても便利!
# 例:Doまで入力してTabキーを押すと...
cd Do[Tab]
# → cd Documents/ と自動で補完される
コツ:タブキーを積極的に使うと、タイプミスが減って作業が早くなります。
まとめ:UNIXコマンドは怖くない!基本をマスターしよう
お疲れさまでした!UNIXコマンドの基本について、一通り学ぶことができました。
基本コマンド
基本コマンド10選:
ls
– ファイル一覧を見るcd
– フォルダを移動pwd
– 現在地を確認touch
– 空ファイル作成mkdir
– フォルダ作成cat
– ファイル内容を表示cp
– コピーmv
– 移動・名前変更rm
– 削除(注意!)man
– マニュアル表示
覚えておくべきこと:
- 大文字小文字は区別される
rm
で削除したファイルは元に戻らないTab
キーで自動補完ができる- 困ったときは
man
コマンドで調べる
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