Linuxではファイル削除にrm
コマンドがよく使われますが、一度消すと復元できないのが最大の弱点です。
「間違って削除してしまった…」というリスクを避けたい方におすすめなのが、trash-cli
というツールです。
この記事では、Ubuntuにtrash-cliをインストールして、コマンドラインからごみ箱機能を使う方法をわかりやすく解説します。
trash-cliとは?rmとの違い

trash-cli
は、コマンドラインからファイルやディレクトリをゴミ箱に移動できるツールです。
通常のrm
コマンドとは以下のような違いがあります:
項目 | rm | trash-cli |
---|---|---|
削除後の復元 | 不可能 | ごみ箱から復元可能 |
削除の安全性 | 低い(即消える) | 高い(仮削除) |
GUIとの連携 | なし | UbuntuのGUIごみ箱と共通 |
trash-cli
を使うと、コマンドラインでもGUIと同じ「ごみ箱」に送ることができます。
これにより、誤って重要なファイルを削除してしまった場合でも、簡単に復元できます。
rm
コマンドは強力ですが、取り返しがつかないミスにつながることがあります。
特にrm -rf
などの再帰的な削除は注意が必要です。一方、trash-cli
なら安全にファイルを「削除」できます。
Ubuntuへのインストール手順
Ubuntu公式リポジトリから簡単にインストールできます:
sudo apt update
sudo apt install trash-cli -y
インストールが完了したら、以下のコマンドでインストールされたことを確認できます:
trash --version
正しくインストールされていれば、バージョン情報が表示されます。
基本的な使い方

ファイルをごみ箱に移動する
trash ファイル名
例えば、古いドキュメントをごみ箱に移動するには:
trash old_document.txt
複数のファイルを一度に移動することもできます:
trash file1.txt file2.txt file3.txt
ワイルドカードも使用可能です:
trash *.tmp
ごみ箱の中身を確認する
ごみ箱に入っているファイルの一覧を表示するには:
trash-list
この表示では、削除日時とファイルのオリジナルのパスも確認できます。
ごみ箱からファイルを復元する
ごみ箱からファイルを元の場所に戻すには:
trash-restore
このコマンドを実行すると、ごみ箱の中身とそれぞれに対応した番号が表示されます。
復元したいファイルの番号を入力するだけで元の場所に戻ります。
特定のパスを指定して復元することも可能です:
trash-restore /path/to/original/location
ごみ箱を空にする
ごみ箱のすべての内容を完全に削除するには:
trash-empty
これは取り消せない操作なので注意が必要です。
古いファイルだけ削除したい場合は、日数を指定できます:
trash-empty 30 # 30日以上前に削除したファイルのみを完全削除
よく使うコマンドまとめ

コマンド | 内容 |
---|---|
trash ファイル | ファイルをごみ箱へ移動する |
trash-list | ごみ箱の中身を表示する |
trash-restore | ごみ箱からファイルを復元する |
trash-empty | ごみ箱を完全に空にする |
trash-empty 数字 | 指定した日数より古いファイルだけを完全削除する |
trash-rm パターン | パターンに一致するごみ箱内のファイルを完全削除する |
trash-put ファイル | trash と同じ、ファイルをごみ箱へ移動する |
ごみ箱の中身の保存先と注意点

保存場所
Ubuntuでは、ごみ箱の内容は以下のディレクトリに保存されています:
~/.local/share/Trash/
この中には主に2つのディレクトリがあります:
files/
:実際に削除されたファイルの内容info/
:ファイルの元の場所や削除日時などのメタ情報
これらのファイルは、GUIのごみ箱とも共有されています。つまり、trash-cli
で削除したファイルはデスクトップのごみ箱アイコンからも見ることができ、逆もまた同様です。
注意点
- ディスク容量: ごみ箱に大量のファイルを入れると、ディスク容量を圧迫する可能性があります。定期的に
trash-empty
を実行することをおすすめします。 - 自動削除されない: 通常のファイルシステムと同様、ごみ箱は自動的に空になることはありません。長期間使用していると、知らないうちに大きくなっていることがあります。
- 他のファイルシステム: 別のファイルシステム(外付けドライブなど)にあるファイルを削除する場合、その場所に
.Trash
ディレクトリが作成されることがあります。 sudo
との併用:trash-cli
は通常ユーザー権限で実行するため、sudo trash
としても正常に動作しない場合があります。
まとめ
trash-cli
を使えば、Linuxでもコマンドラインで安全にファイルを削除し、必要に応じて復元することができます。
ポイント:
rm
より安全に使えるコマンドラインごみ箱sudo apt install trash-cli
ですぐ導入できる- 削除・確認・復元・完全削除まで一通りの操作が可能
- GUIのごみ箱と統合されているので操作がシンプル
Linux操作に慣れていても、誤操作の防止策として非常に有効なので、ぜひ導入してみてください!
特に重要なファイルを扱う場合や、Linuxを学習中の方にとって、安全なファイル操作環境を構築するのに役立ちます。
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