ヒンドゥー教や仏教などのインド起源の宗教に登場する神秘的な蛇の存在ナーガについて、わかりやすく解説します。
自然と精神世界の架け橋となる、興味深い蛇神の世界に迫ります。
名前の意味
「ナーガ」という名前はサンスクリット語で「蛇」を意味します。
一説では、英語の「Snake(スネーク)」と語源が同じだとされる。
起源と種族

ナーガは神と蛇のあいだのような存在で、個体ではなく一族または種族として登場します。
ナーガの系譜:
- 起源:賢者カシャヤパとナーガマタ・カドゥルー(蛇の母)の子孫とされる
- 種族:多くのナーガが存在(ナーガラージャ=蛇王など)
- 代表格:アナンタ/シェーシャ(世界を支える蛇)、ヴァースキ(乳海攪拌に協力した蛇など)
- 対になる存在:ガルダ(鳥の神)- ナーガの天敵であるとされることもある
ナーガは「大地の下に住む霊的な守護者」として描かれることが多いです。
姿と特徴

ナーガは蛇と人間が合わさったような神秘的な姿で描かれます。
特徴的な姿:
- 下半身は蛇、上半身が人間の姿(男女どちらのナーガも存在)
- 頭が複数ある蛇(特に7頭)
ナーガはしばしば複数の頭を持った蛇や、人間の上半身と蛇の下半身を持つ姿で表現されます。
人間の部位がなく、蛇そのものの場合もある。
有名な神話
有名な神話についてもいくつか紹介します。
シェーシャ:宇宙を支えるナーガ

最も有名なナーガの1体、シェーシャ(またはアナンタ)は、ヴィシュヌ神が眠るときの”寝台”になっている大蛇です。
- 千の頭を持つ蛇王
- 宇宙が破壊と再生をくり返す中、変わらず宇宙を支える存在
ヴァースキ:神々とアスラの橋渡し役
神々とアスラ(悪魔)が「乳海攪拌(にゅうかいかくはん)」という宇宙の海をかき混ぜる伝説で、ナーガの王ヴァースキが”ロープ”役になりました。
- 宇宙の乳海をかき混ぜ、アムリタ(不死の霊薬)を生む伝説
- ヴァースキはあまりの苦しさに毒を吐いてしまう
ヴァースキが吐いた毒で危うく世界が滅亡しかけるのですが、シヴァが毒を全て飲み込んでなんとかなりました。
また、その毒の影響でシヴァの喉が青黒くなりました。
天敵ガルーダ
ナーガたちの天敵は、ガルーダ。
- カドゥルーとその子供ナーガたちが、ガルーダの母を奴隷としてこき扱う
- ガルーダは母を解放するために天界からアムリタを取ってきて、その帰りにヴィシュヌからナーガを食べる許可を得る
- それからガルーダはナーガを食糧にしている
カドゥルーはズルをしてガルーダの母を貶めたので、自業自得ではある。
他文化との関係

ナーガはヒンドゥー教だけでなく、仏教・ジャイナ教・東南アジアの民間信仰でも重要な存在です。
比較文化的視点:
- 仏教:釈迦を守る龍王(ムチリンダ)として登場
- 日本(密教):「龍神」として発展
ナーガはインド発の神霊でありながら、アジア各地で”龍神”として信仰されています。
まとめ
ナーガは、ただの蛇ではありません。
ポイントまとめ:
- 名前の意味は「蛇」
- 有名なナーガにはシェーシャ(アナンタ)、ヴァースキなどがいる
- 天敵はガルーダ
- 仏教や東南アジアでも龍神として信仰されている
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