ヒンドゥー教において深く信仰されている川の女神ガンガーについて、わかりやすく解説します。
インドの精神性と文化の象徴とも言える、流れゆく水の神聖さに迫ります。
名前の意味

「ガンガー」という名前は、インドの大河ガンジス川のサンスクリット名です。
もともとは川そのものを神格化した存在であることを意味しています。
系譜(家族関係)

ガンガーはヒンドゥー教において、水の神であり、浄化と再生を司る女神です。
同時に、神格化された”母なる川”として、インド全土で深く信仰されています。
系譜:
- 父:ヒマヴァン(ヒマラヤ山の神)- 山の神の娘であり、自然と深く結びつく
- 姉妹神:パールヴァティー- 同じくヒマヴァンの娘。シヴァの妃
- 夫:シヴァ/シャーンタヌ – 地上に降りる前にシヴァの髪に受け止められた/人間の王と結婚した伝説も(マハーバーラタ)
- 息子:
姿と特徴

ガンガーの姿は、優雅で美しい水の女神として描かれます。
特徴的な姿:
- 美しい女性
- 壺を手に持つ
- マカラ(神聖な水棲動物)に乗っている (基本はワニに乗っている)
- シヴァの髪から流れ落ちる川の流れとして描かれることも
ガンガーの見た目は”川そのもの”を映すような、清らかで美しい姿をしています。
有名な神話

最も有名なガンガーの神話は、天界から地上へと降りてきた物語です。
王子バギーラタは、呪われてしまった先祖の魂を救うため、天界を流れる川ガンガーを地上に引き下ろす祈りをささげました。
厳しい苦行の末、ガンガーは願いを聞き入れますが、問題がありました。
あまりに勢いの強い川の流れは、大地を破壊してしまうおそれがあったのです。
そこでシヴァ神がその長い髪で川を受け止め、優しく流すことでガンガーは人間界に降りることができました。
バギーラタが先祖の眠る場所まで導き、ついに先祖の魂は浄化されました。
信仰と文化

ガンガー(ガンジス川)は、かなり重要な聖地として、インド人にとって特別な意味を持っています。
信仰の形:
- 朝もしくは夕方(仕事終わり)にガンガーで沐浴する – 心身の浄化
- 亡くなった人の遺灰を流す – 死者への最大の敬意
有名な聖地:
- イラーハーバード
- ハリドワール
- ナーシク
- ウッジャイン
ガンガーは「川そのものが神」であり、神殿に行かずとも”川に触れること”が祈りとなります。
7. まとめ
ガンガーはただの川ではなく、”浄化の象徴”そのものなのです。
ポイントまとめ:
- サンスクリット語で「ガンジス川」を指す
- 天から地上にシヴァを通して降りてきた神聖な川
- 沐浴や葬送などで日常的に信仰されている
ガンガーの教えは「すべての命は流れ、流れの中で清められる」と言えるでしょう。彼女は私たちに、常に前に進み、過去の苦しみを流し去る水の知恵を教えてくれる女神なのです。
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