メソポタミア神話に登場する神々の中で、最も美しく、激しく、魅力的な存在といえば――
それは「イナンナ(Inanna)」、またの名を「イシュタル(Ishtar)」です。
この女神は、愛・性愛・豊穣・戦争・星(特に金星)など、たくさんの面を持っています。
この記事では、そんなイナンナ/イシュタルの魅力を分かりやすく紹介します!
名前の意味

- 「イナンナ(Inanna)」= 「天の女婦人」
- 「イシュタル(Ishtar)」= アッカド語名。「金星」を意味する
どちらにしろ天空に関連のある名前。。
系譜(かぞく)
イナンナは、天空の家系に生まれた名門の神です。
- 父:ナンナ(月の神)
- 母:ニンガル(夜と母性の女神)
- 兄弟:ウトゥ(太陽神)、エレシュキガル(冥界の女王)
- 夫:タンムーズ(ドゥムジ)
イナンナは「月と太陽と冥界」という天のサイクルの中心に生まれた、”金星の女神”として重要な役割を果たしています。
また、エレシュキガルとの姉妹仲がめちゃくちゃ悪いことでも有名。
姿・見た目

イナンナ/イシュタルの姿は、多くのレリーフや詩に登場し、次のように表現されています。
- 美しい女性の姿
- 戦の装備(剣、弓、甲冑)を身につけていることも
- ライオンや猛獣を従えていることも多い
イシュタルはライオンや八芒星と関連深い。
神格・神性
イナンナの神性は、とても多面的(たくさんの顔を持つ)なのが特徴です。
- 愛の女神
- 戦争の女神
- 豊穣の女神
- 金星の女神
神話でのエピソード
ここから神話でのエピソードを紹介していく。
『イナンナの冥界下り』

イナンナは妹エレシュキガルの支配する冥界へ向かい、自らの力をさらに強めようとします。
- 冥界の7つの門を通るたびに、持ち物や衣を1つずつ脱がされていく
- 最後には完全な裸となり、エレシュキガルの死の眼差しで殺される
- その後、神エンキの助けで復活・復帰する
- 地上に戻るために、夫・タンムーズを身代わりにする
『ギルガメッシュ叙事詩』

鬼フンババを倒したギルガメシュに、女神イシュタルが結婚を申し込むが、過去の愛人たちを不幸にしたことを理由に拒絶される。
怒ったイシュタルは天に駆け上がり、父アヌに「天の雄牛グガランナ」を地上に送るよう迫り、拒否すれば「死者を甦らせて地上を混乱させる」と脅す。
アヌは要求を受け入れ、天の雄牛がウルクに降り立ち、多くの命を奪うが、ギルガメシュとエンキドゥはこれを打ち倒す。
イシュタルは城壁からギルガメシュを呪おうとし、エンキドゥはその怒りに雄牛のもも肉を投げ返す冒涜的な行為で応じる。
これが原因で、後にエンキドゥは神罰として死を迎える。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
名前の意味 | 天の女王 |
別名 | イシュタル(アッカド語名、金星を意味する) |
神格 | 愛・戦争・豊穣・金星 |
家族構成 | 月の神ナンナの娘、太陽神ウトゥとエレシュキガルの兄弟(姉妹) |
有名な神話 | 冥界下り、ギルガメッシュ叙事詩 |
コメント