エレシュキガルとは?メソポタミア神話の冥界を支配する女王

神話・歴史・伝承

「人は死んだらどこへ行くのか?」

メソポタミアの人々は、地下にある”冥界”に行くと信じていました。

その冥界を支配していたのが、恐れられ、同時に尊敬もされた女神「エレシュキガル」です。

この記事では、冥界の女王エレシュキガルの正体に迫ります!

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名前の意味

「エレシュキガル(Ereshkigal)」は、アッカド語で「冥界の女王」を意味します。

つまり、名前自体が彼女の地位と役割を表しています。

また、エレシュキガルは「イルカルラ」とも呼ばれる。

系譜(かぞく)

エレシュキガルは、神々の中でもかなり重要な血筋に生まれています。

  • 父:アヌ(アン/天空神)
  • 妹:イナンナ(イシュタル/愛と戦の女神)
  • 夫:ネルガル(疫病と死の神/冥界の王)

天空神アヌの息子であり、イナンナ(イシュタル)の姉。
姉妹で生と死という対極を司っていたり、立場の差も大きかったことから姉妹仲は良くなかった。

神格・性格

エレシュキガルは、冥界の女王の神格を有している。

彼女の神格は、夫・ネルガルに影響を与えることになる。

神話でのエピソード

神話でのエピソードをいくつか紹介する。

『イナンナの冥界下り』

エレシュキガルが登場する最も有名な神話は、妹であるイナンナが冥界に降りる物語です。

あらすじ:

  1. イナンナは冥界の権力を手に入れようと、地下世界へおもむく
  2. エレシュキガルはそれを侵入とみなし、怒りをあらわにする
  3. イナンナが冥界の7つの門を通るたびに衣服を1枚ずつ剥ぎ取られる
  4. エレシュキガルの元に辿り着いたイナンナは全裸で捕えられる
  5. エレシュキガルはイナンナを死の眼差しで殺し、全裸の彼女を吊し上げる
  6. エンキの力でイナンナは蘇る
  7. 地上に帰るために、イナンナは夫・ドゥムジを身代わりにすることになる

この話で姉妹仲がとんでもなく悪かったということが分かる。

イナンナと同一視されるイシュタルにも似たような神話が残されている。

イシュタルの方は殺されなかったが、病を浴びせられ身動きを取れなくされた。

『ネルガルとエレシュキガル』

天界の神アヌは冥界女神エレシュキガルへの使者としてナムタルを地上に送るが、戦と疫病の神ネルガルが彼を侮辱。

問題解決のため、知恵の神エアはネルガルを冥界へ送る。

ネルガルはエアの忠告を守るが、沐浴中のエレシュキガルに魅了され6日間の情事にふける。
その後、何も告げず地上へ帰還。

エレシュキガルはネルガルへの愛情から激しく嘆き、三大神に「ネルガルを戻さなければ死者を蘇らせる」と脅迫。

ネルガルは再び冥界へ赴き、武力で門を突破しエレシュキガルを征服するが、彼女の涙に心を動かされ、夫婦となる。

2人の間には医術の神ニンアズが生まれた。

6. まとめ

項目内容
名前の意味冥界の女王
家族構成天空神アヌの娘、イナンナの姉、ネルガルの妻
神格冥界の女王
有名な神話イナンナの冥界下り、ネルガルとの冥界神話

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