はじめに:オオヤマツミってどんな神様?
「オオヤマツミ(大山津見神)」は、日本神話に登場する”山の神”です。
彼は、「山に住む神」ではなく、“山そのもの”をつかさどる神様なんです。
山を守り、自然を見守る存在―― オオヤマツミは、日本の自然信仰の中核をになう重要な神様なんです。
名前の意味:「大きな山に宿る神」

「オオヤマツミ」という名前は、次のような意味が込められています。
言葉 | 意味 |
---|---|
オオ(大) | 偉大さ・力の強さ |
ヤマ(山) | 山そのもの。自然の象徴 |
ミ | 「神霊」という意味の古語。 |
つまり… 「大いなる山の神霊」という意味になります。
日本は国土の約7割が山地という山国です。
そのため古来より、山は特別な存在として崇められてきました。
オオヤマツミはそんな日本人の山への畏怖と敬意が神格化された存在とも言えるでしょう。
系譜:イザナギとイザナミの子ども
オオヤマツミは、『古事記』『日本書紀』に登場する自然神のひとりで、『神生み』で誕生の場面も描かれています。
- 父神:イザナギノミコト
- 母神:イザナミノミコト
- 兄弟神:
- ククノチノカミ(木の神)
- カヤノヒメ(草の神)
- シナツヒコ(風の神)
- ワクムスビ(若産巣日神)=食物の神
- オオワタツミ(海の神)
- カグツチ(火の神)
山・木・草・風などの自然神たちはみんな兄弟!
オオヤマツミはその中でも、山の総大将的存在です。
神格:山の神としての多彩な顔

以下は、オオヤマツミの主な神格(役割)。
- 山の神 – 山そのものの神格化
- 海の神 – 海や川の元を辿ると山頂になるから
- 酒造の神
- 武神 – 山で生業を営む人々の守り神
”山”から海、武士の信仰が広まり武神としても崇められました。
神話での登場:娘たちとの神縁も深い!

オオヤマツミには、有名な娘神たちがいます。特に登場頻度が高いのがこのふたり!
有名な娘神たち
- コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)
- 火の中でも子どもを産んだ、富士山の女神として有名
- ニニギノミコト(天照大神の孫)と結婚し、天皇家の祖母に
- イワナガヒメ(磐長姫)
- 姉のはずなのに拒まれてしまい、「人の命が短くなった」という神話を生む
- 名前の「イワナガ(磐長)」は「石のように長く続く」の意
ニニギノミコトとの縁談
天照大神の孫のニニギノミコトが天孫降臨した際、オオヤマツミの娘たちとの神話が生まれます:
- オオヤマツミは二人の娘(コノハナサクヤヒメとイワナガヒメ)をニニギに差し出す
- ニニギは美しいコノハナサクヤヒメだけを妻とし、姉のイワナガヒメは断る
- 怒ったオオヤマツミは「イワナガヒメを受け入れていれば、天皇家は石のように長く続いただろう」と告げる
- これによりニニギの子孫(天皇家)の寿命は短くなったとされる
オオヤマツミは、天皇家に命のつながりをもたらした神の祖父でもあるんですね。
信仰と神社:オオヤマツミに会える場所

オオヤマツミは、山にかかわる神社でまつられていることが多く、「山の神」や「三島神(みしまのかみ)」として知られています。
- 大山祇神社(全国)
- 三島神社(全体)
他にも山神の神社で祀られている。
ご利益
オオヤマツミには、次のご利益がある。
- 農業
- 工業
- 山林
- 漁業
- 航海守護
- 商工業発展
- 安産
- 厄除け
- 商売繁盛
彼の神徳は幅広い。
まとめ:オオヤマツミは”山という大自然の神”
最後に、この記事のまとめです!
ご利益は「山」「商工業」「漁業」など幅広い
名前の意味は「大いなる山の神霊」
イザナギとイザナミの子として生まれた自然神
木・草・風などの自然神たちの兄弟
娘は富士山の女神・コノハナサクヤヒメ
全国の大山祇神社や三嶋神社でまつられている
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