「世界で一番すごいコンピュータって何?」
そんな素朴な疑問を持ったこと、ありませんか?
実は、世界中のスーパーコンピュータの性能を競うランキングが存在します。
年に2回更新されるこのランキング、見てみるとアメリカが圧倒的に強いんです。
この記事では、2025年11月時点の最新ランキングをもとに、世界最強のコンピュータを紹介します。
結論:世界最強は「El Capitan(エルキャピタン)」
いきなり答えを言っちゃいますね。
2025年11月時点で世界最強のコンピュータは、アメリカの「El Capitan(エルキャピタン)」です。
カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所に設置されていて、計算速度は毎秒約1.809エクサフロップス。
これは毎秒約180京9000兆回の計算ができるということです。
……ちょっと数字が大きすぎてピンときませんよね。
「エクサフロップス」ってどのくらいすごいの?
コンピュータの計算速度は「FLOPS(フロップス)」という単位で測ります。
「1秒間に何回の計算ができるか」を表す数字ですね。
段階を追って見ていくと、こんな感じです。
- テラ(10^12):1兆回/秒
- ペタ(10^15):1000兆回/秒
- エクサ(10^18):100京回/秒
エルキャピタンは「エクサ」の領域に達しています。
毎秒100京回を超える計算ができるコンピュータを「エクサスケール」と呼ぶんですが、これを達成したのは世界でまだ4台しかありません。
ちなみに、もし人間が1秒に1回計算したとして、1エクサフロップスに追いつくには約317億年かかります。
宇宙の年齢(約138億年)の2倍以上ですね。
なぜエルキャピタンは作られたのか
エルキャピタンの主な目的は、アメリカの核兵器の安全性を検証することです。
「えっ、核兵器?」と思うかもしれませんが、これには歴史的な背景があります。
アメリカは1992年を最後に核実験を行っていません。
しかし、核兵器は数千発も保有しているわけで、それらが「ちゃんと安全か」「経年劣化していないか」を確認する必要があります。
そこで登場するのがスーパーコンピュータ。
核爆発を実際に起こさなくても、3Dシミュレーションで核兵器の状態を検証できるんです。
以前のスーパーコンピュータでは数カ月かかっていたシミュレーションが、エルキャピタンなら数日で終わるとのこと。
建設費は約6億ドル(約900億円)ですが、国家安全保障のためなら納得の投資かもしれません。
TOP500ランキング:上位10台を紹介
スーパーコンピュータの世界ランキング「TOP500」は、1993年から続く歴史あるランキングです。
毎年6月と11月の2回更新されています。
2025年11月時点の上位10台を見てみましょう。
| 順位 | 名称 | 設置国 | 計算速度(FLOPS) |
|---|---|---|---|
| 1 | El Capitan | アメリカ | 1.809エクサ |
| 2 | Frontier | アメリカ | 1.353エクサ |
| 3 | Aurora | アメリカ | 1.012エクサ |
| 4 | JUPITER | ドイツ | 1.000エクサ |
| 5 | Eagle | アメリカ | 561ペタ |
| 6 | HPC6 | イタリア | 478ペタ |
| 7 | 富岳 | 日本 | 442ペタ |
| 8 | Alps | スイス | 435ペタ |
| 9 | LUMI | フィンランド | 380ペタ |
| 10 | Leonardo | イタリア | 239ペタ |
注目すべきは、上位3台がすべてアメリカという点。
しかも4位のドイツ「JUPITER」も2025年にエクサスケールを達成し、欧州初のエクサスケールマシンとして話題になりました。
日本の「富岳」はどうなった?
「富岳」の名前を聞いたことがある方も多いでしょう。
2020年から2022年にかけて、4期連続で世界1位に輝いた日本のスーパーコンピュータです。
現在の順位は7位。
「落ちた」と感じるかもしれませんが、実は富岳が弱くなったわけではありません。
エクサスケールという新しい次元のマシンが次々と登場しただけなんです。
富岳の計算速度は毎秒約442ペタフロップス。
1位のエルキャピタンと比べると約4分の1ですが、それでも世界トップクラスであることに変わりありません。
さらに、富岳はGraph500というランキングでは11期連続1位を維持しています。
これはビッグデータ解析の性能を測るもので、計算速度だけでは測れない「実用的な強さ」を持っているということですね。
よくある誤解:「計算速度が速い=最強」とは限らない
「TOP500で1位=最強」と思いがちですが、実はそう単純でもありません。
TOP500は「HPL」という特定のベンチマークテストで測った結果です。
これは数学的な行列計算の速度を測るものなんですが、実際のアプリケーションではまた違った結果になることもあります。
例えば、AIや機械学習に特化した処理では、違う指標が使われます。
「HPL-MxP」という混合精度の計算速度を測るベンチマークでは、エルキャピタンは毎秒16.7エクサフロップスという驚異的な数値を叩き出しています。
また、エネルギー効率を競う「Green500」というランキングもあります。
こちらでは、フランスの「KAIROS」というマシンが1位。
必ずしも「計算速度が速い=すべてにおいて最強」ではないんですね。
スーパーコンピュータは何に使われているの?
核兵器のシミュレーション以外にも、スーパーコンピュータは様々な分野で活躍しています。
主な用途
- 気象予報・気候変動のシミュレーション
- 新薬の開発(分子レベルの解析)
- 宇宙の成り立ちの研究
- 核融合エネルギーの研究
- AIモデルの学習
- 地震シミュレーション
- 新素材の開発
特に最近はAIとの関係が深くなっています。
大規模な言語モデル(ChatGPTのようなもの)を学習させるには、膨大な計算資源が必要。
スーパーコンピュータとAIは、今後ますます密接な関係になっていくでしょう。
次世代:「ゼタスケール」はいつ来る?
エクサの次は「ゼタ」です。
1ゼタフロップスは1000エクサフロップス、つまり毎秒10垓(がい)回の計算。
中国の研究者は「2035年頃にゼタスケールが実現する」と予測しています。
しかし、これには大きな課題があります。
消費電力です。
現在のエルキャピタンでも約30メガワットの電力を消費します。
これは中規模の都市が使う電力に匹敵する量。
ゼタスケールになると、さらに膨大な電力が必要になるため、省エネ技術の革新が不可欠です。
また、量子コンピュータというまったく別のアプローチも注目されています。
特定の計算では、量子コンピュータがスーパーコンピュータを圧倒する可能性も。
2030年代の「最強のコンピュータ」は、今とは全く違う姿かもしれませんね。
まとめ
- 2025年11月時点で世界最強のコンピュータはアメリカの「El Capitan(エルキャピタン)」
- 計算速度は毎秒約1.809エクサフロップス(約180京9000兆回)
- 主な用途は核兵器の安全性シミュレーション
- エクサスケールを達成したのは世界で4台のみ(El Capitan、Frontier、Aurora、JUPITER)
- 日本の「富岳」は7位だが、Graph500では11期連続1位
- 「計算速度が速い=すべてにおいて最強」とは限らない
- 次世代の「ゼタスケール」は2035年頃に実現する可能性
一覧表:TOP500上位10台の詳細
| 順位 | 名称 | 設置機関 | 国 | 計算速度 | 製造元 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | El Capitan | ローレンス・リバモア国立研究所 | アメリカ | 1.809エクサ | HPE/AMD | 核兵器シミュレーション用、世界最速 |
| 2 | Frontier | オークリッジ国立研究所 | アメリカ | 1.353エクサ | HPE/AMD | 世界初のエクサスケールマシン(2022年) |
| 3 | Aurora | アルゴンヌ国立研究所 | アメリカ | 1.012エクサ | Intel/HPE | 脳科学・宇宙研究などに活用 |
| 4 | JUPITER | ユーリッヒスーパーコンピューティングセンター | ドイツ | 1.000エクサ | Eviden | 欧州初のエクサスケールマシン |
| 5 | Eagle | Microsoft Azure | アメリカ | 561ペタ | Microsoft | クラウド系で最高順位 |
| 6 | HPC6 | Eni社 | イタリア | 478ペタ | HPE/AMD | エネルギー企業が運用 |
| 7 | 富岳 | 理化学研究所 | 日本 | 442ペタ | 富士通 | Graph500で11期連続1位 |
| 8 | Alps | スイス国立スーパーコンピューティングセンター | スイス | 435ペタ | HPE/NVIDIA | 欧州の研究拠点 |
| 9 | LUMI | CSC(フィンランド) | フィンランド | 380ペタ | HPE/AMD | EuroHPCプロジェクトの一環 |
| 10 | Leonardo | CINECA | イタリア | 239ペタ | Atos/NVIDIA | 欧州の汎用スパコン |
参考情報
- TOP500公式サイト – 2025年11月版ランキング
- 理化学研究所 計算科学研究センター – 富岳の公式情報
- ローレンス・リバモア国立研究所 – El Capitanの公式発表


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