「珍味」と聞いて、何を思い浮かべますか?
高級レストランで出てくるキャビアやフォアグラ?それとも、お酒のお供に欠かせないからすみやこのわた?実は世界には、アザラシの中に海鳥を詰めて発酵させる料理や、猛毒のフグの卵巣を食べられるようにしたものまで、想像を超える珍味が存在します。
この記事では、世界三大珍味から日本や中国の三大珍味、さらには各地のユニークな珍味まで、一覧でご紹介します。
珍味とは?

珍味とは、希少で珍しい食材や、独特の風味を持つ美味しい食べ物のこと。「山海の珍味」「珍味佳肴」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ただ、何を珍味と呼ぶかは文化によってバラバラです。ある国では「ごちそう」でも、別の国から見たら「え、そんなもの食べるの?」と驚かれることも。つまり珍味というのは、その土地の歴史や環境、知恵が詰まった食文化の結晶なんですね。
世界三大珍味
世界三大珍味といえば、トリュフ、キャビア、フォアグラ。どれも高級レストランの定番で、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
トリュフ
「黒いダイヤモンド」とも呼ばれるトリュフは、地中深くに育つキノコです。面白いのは、人間が自力で見つけるのがほぼ不可能なこと。豚や訓練された犬の嗅覚を頼りに探すしかありません。
香りは芳醇で独特。料理の主役というより、薄くスライスしてパスタやリゾットに振りかける使い方が主流です。ほんの少し加えるだけで、料理が一気に高級感を帯びるのが不思議ですね。
キャビア
チョウザメの卵を塩漬けにしたキャビア。ロシアやイランが有名な産地で、特にベルーガ種のキャビアは「黒い真珠」と呼ばれる最高級品です。
チョウザメ自体が希少なうえ、卵を採るのに10年以上かかることもあり、値段が跳ね上がります。プチプチとした食感と、濃厚な旨味が特徴。クラッカーに乗せたり、冷たいウォッカと合わせるのが定番です。
フォアグラ
ガチョウやカモの肝臓を肥大化させたフォアグラ。フランス料理の代表格ですが、その製法から動物愛護の観点で議論になることもあります。
口の中でとろけるような食感と濃厚な味わいが魅力。ソテーにしたり、パテにしたり、バルサミコソースと合わせたりと、調理法もさまざまです。
日本三大珍味
日本の三大珍味は、江戸時代から「天下の三珍」として知られる、このわた、からすみ、うにです。
このわた(海鼠腸)
ナマコの内臓を塩漬けにした「このわた」。三河(愛知県)のものが特に有名です。
見た目はちょっとグロテスクですが、味は絶品。磯の香りと独特の旨味があり、日本酒との相性は抜群。少量を熱燗に溶かして飲む「このわた酒」は、通の楽しみ方として知られています。
からすみ
ボラの卵巣を塩漬けにして天日干しした「からすみ」。長崎県の野母崎が名産地です。
名前の由来は、見た目が中国の墨「唐墨(からすみ)」に似ているから。ねっとりとした食感はまるでチーズのよう。薄くスライスして日本酒と合わせるのが定番ですが、パスタに絡めても美味しいですよ。
うに(塩うに)
寿司ネタでおなじみのうにも、塩漬けにすると珍味になります。越前(福井県)の「越前うに」は、バフンウニを塩だけで漬け込んだ贅沢品。
生うにとは違った濃厚さがあり、ご飯に少し乗せるだけで最高のおかずに。ただし、寿司で食べる生うにとは別物なので注意してくださいね。
中国三大珍味
中国三大珍味は、フカヒレ、アワビ、ツバメの巣。どれも中華料理の宴席で出されると「格式が高い」とされる高級食材です。
フカヒレ
サメのヒレを乾燥させたフカヒレ。意外なことに、世界的に見ても日本の気仙沼産が最高級品として評価されています。
フカヒレ自体にはほとんど味がなく、コラーゲンのプルプルした食感を楽しむもの。スープで煮込むことで、出汁の旨味を吸って美味しくなります。
アワビ
中国では「軟黄金(柔らかい黄金)」と呼ばれるアワビ。特に「干しアワビ」は、乾燥させることで旨味が凝縮された高級食材です。
生のアワビはコリコリした食感が魅力ですが、干しアワビは戻して煮込むことで、とろけるような柔らかさに変わります。この違いを楽しめるのも珍味ならではですね。
ツバメの巣
「ツバメの巣って、泥や枯れ葉でできてるんじゃないの?」と思った方、半分正解で半分不正解。中華料理で使うのは、アナツバメという種類のツバメの巣。この巣はなんと、ほぼ100%ツバメの唾液でできています。
味はほとんどなく、プルプルした食感とゼラチン質の舌触りが特徴。美容効果があるとされ、かの西太后も毎日食べていたとか。デザートとして甘いシロップで煮るのが主流です。
世界の驚き珍味
世界には、三大珍味だけでは語り尽くせないユニークな珍味がたくさんあります。
シュールストレミング(スウェーデン)
「世界一臭い食べ物」の称号を持つニシンの缶詰。缶の中で発酵を続けるため、開けた瞬間に強烈な臭いが襲ってきます。
臭いの強さを示す数値は、なんと8,070Au(アラバスター単位)。日本のくさやが1,267Auですから、その約6倍という桁違いの臭さです。ただ、現地の人いわく「皮を外して、クリームチーズと一緒に食べれば美味しい」のだとか。
キビヤック(グリーンランド)
インパクトでは負けていないのがキビヤック。海鳥をアザラシのお腹に詰め込み、地中で数ヶ月から数年発酵させる伝統食です。
作り方だけでも驚きですが、食べ方もすごい。羽をむしって肉を食べ、発酵して液状になった内臓をすするのだそう。冒険家の植村直己さんは「エスキモーの食生活の中で最高のもの」と絶賛したとか。極寒の地でビタミンを摂取するための、生きる知恵が詰まった珍味です。
バロット(フィリピン)
孵化しかけのアヒルの卵を茹でたバロット。殻を割ると、中には羽が生えかけたヒナが…。
見た目のインパクトは強烈ですが、味はゆで卵と鶏肉を足したような感じで、現地では屋台の定番スナックとして親しまれています。
カース・マルツゥ(イタリア・サルデーニャ島)
羊のチーズにウジ虫を発生させて発酵を促進させた、文字通り「虫入りチーズ」。EUの衛生基準では販売禁止になっていますが、現地では今でも伝統的に作られています。
食べるときはウジ虫ごといただくのが通。虫が跳ねて目に入らないよう、ゴーグルをつけて食べる人もいるとか。
河豚の卵巣の糠漬け(日本・石川県)
日本にも、世界に誇れる「謎の珍味」があります。それが石川県の河豚の卵巣の糠漬け。フグの卵巣には猛毒のテトロドトキシンが含まれていますが、3年ほど糠漬けにすることで無毒化されます。
驚くべきは、なぜ無毒化されるのか科学的に解明されていないこと。
江戸時代から食べられてきた経験則で「安全」とされ、地域限定で製造・販売が許可されています。
世界と日本の珍味一覧表

| 名前 | 地域 | 説明 |
|---|---|---|
| トリュフ | フランス・イタリア | 地中に育つ芳醇な香りのキノコ。世界三大珍味の一つ |
| キャビア | ロシア・イラン | チョウザメの卵の塩漬け。世界三大珍味の一つ |
| フォアグラ | フランス | ガチョウ・カモの肥大化させた肝臓。世界三大珍味の一つ |
| このわた | 日本(三河) | ナマコの内臓の塩辛。日本三大珍味の一つ |
| からすみ | 日本(長崎) | ボラの卵巣の塩漬け。日本三大珍味の一つ |
| うに(塩うに) | 日本(越前) | ウニを塩漬けにしたもの。日本三大珍味の一つ |
| フカヒレ | 中国 | サメのヒレを乾燥させたもの。中国三大珍味の一つ |
| アワビ(干しアワビ) | 中国 | アワビを乾燥させた高級食材。中国三大珍味の一つ |
| ツバメの巣 | 中国・東南アジア | アナツバメの唾液でできた巣。中国三大珍味の一つ |
| シュールストレミング | スウェーデン | 塩漬けニシンの缶詰。世界一臭い食べ物として有名 |
| キビヤック | グリーンランド | 海鳥をアザラシに詰めて発酵させた保存食 |
| ハカール | アイスランド | サメの肉を発酵させた伝統食 |
| ホンオフェ | 韓国 | エイを発酵させた刺身。強烈なアンモニア臭が特徴 |
| バロット | フィリピン | 孵化しかけのアヒルの卵を茹でたもの |
| カース・マルツゥ | イタリア | ウジ虫で発酵させた羊のチーズ |
| サンナクチ | 韓国 | 生きたタコを切って食べる料理 |
| コピ・ルアク | インドネシア | ジャコウネコの糞から採取したコーヒー豆 |
| 河豚の卵巣の糠漬け | 日本(石川県) | 猛毒のフグ卵巣を糠漬けで無毒化した珍味 |
| くさや | 日本(伊豆諸島) | 魚をくさや液に漬けた干物。強い臭いで有名 |
| 鮒寿司 | 日本(滋賀県) | フナを米と塩で発酵させた熟れ寿司 |
| はちのこ | 日本(中部山岳地帯) | クロスズメバチの幼虫。甘露煮などで食べる |
| ざざむし | 日本(長野県) | カワゲラなどの水生昆虫の幼虫。伊那谷の名物 |
| うるか | 日本(岐阜県) | アユの内臓の塩辛。西日本では三大珍味に数えることも |
| くちこ | 日本(能登) | ナマコの卵巣を干したもの |
| めふん | 日本(北海道) | サケの腎臓の塩辛 |
| 松前漬け | 日本(北海道) | 数の子、昆布、スルメを漬け込んだ郷土料理 |
| ワラスボ | 日本(佐賀県) | 有明海に生息する奇妙な魚。干物にして食べる |
| へしこ | 日本(若狭地方) | サバを塩と糠で漬け込んだ保存食 |
| センジガラ | 日本(広島県) | 豚の胃袋を揚げたおつまみ |
| ギニアピッグ(クイ) | ペルー | モルモットの丸焼き。アンデス地方の伝統料理 |
| タランチュラの素揚げ | カンボジア | 巨大な蜘蛛を揚げたストリートフード |
| ウィチェティ・グラブ | オーストラリア | 蛾の幼虫。アボリジニの伝統食 |
| 蚕の蛹 | 韓国・中国 | カイコのサナギを調理したもの |
| エスカモーレ | メキシコ | アリの卵。「メキシコのキャビア」とも呼ばれる |
| ワケノシンノス | 日本(有明海沿岸) | イソギンチャクの一種。味噌煮や唐揚げで食べる |
| メダカの佃煮 | 日本(新潟県) | ヒメダカを甘辛く煮たもの |
| ピータン | 中国 | アヒルの卵をアルカリ性の泥で包んで熟成させたもの |
| 臭豆腐 | 中国・台湾 | 発酵液に漬けた強烈な臭いの豆腐 |
| パフィン | アイスランド | ツノメドリの肉。燻製やグリルで食べる |
まとめ
世界と日本の珍味を一覧で紹介しました。
- 世界三大珍味:トリュフ、キャビア、フォアグラ
- 日本三大珍味:このわた、からすみ、うに(塩うに)
- 中国三大珍味:フカヒレ、アワビ、ツバメの巣
- 驚きの珍味:シュールストレミング、キビヤック、河豚の卵巣の糠漬けなど
珍味は、その土地の歴史や環境、人々の知恵が詰まった「食の文化遺産」とも言えます。見た目や製法に驚くものも多いですが、長い年月をかけて愛されてきたのには、それだけの理由があるのでしょう。
機会があれば、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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