バンコクの正式名称は世界一長い!意味や由来、現地での呼び方を解説

「タイの首都は?」と聞かれたら、ほとんどの人が「バンコク」と答えるだろう。
しかし、実は「バンコク」は正式名称ではない。

バンコクには、世界一長い都市名としてギネス世界記録に登録されている正式名称が存在する。
その長さは、カタカナで121文字、英語で168文字にも及ぶ。

本記事では、バンコクの正式名称の全文、その意味や由来、なぜこれほど長いのか、そして現地の人々が実際にどう呼んでいるのかを詳しく解説する。

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バンコクの正式名称【全文】

タイ国政府観光庁によると、バンコクの正式名称は以下の通りだ。

カタカナ表記

クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット

タイ語表記

กรุงเทพมหานคร อมรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยา มหาดิลกภพ นพรัตนราชธานีบูรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์มหาสถาน อมรพิมานอวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์

英語表記

Krung Thep Mahanakhon Amon Rattanakosin Mahinthara Ayuthaya Mahadilok Phop Noppharat Ratchathani Burirom Udomratchaniwet Mahasathan Amon Piman Awatan Sathit Sakkathattiya Witsanukam Prasit

タイ語で11単語、カタカナで121文字、英語で168文字(スペースを含む)という長大な名前だ。
これは世界で最も長い首都名として、ギネス世界記録に登録されている。

正式名称の意味【日本語訳】

この長い名称には、美しい詩的な意味が込められている。
タイ国政府観光庁による日本語訳は以下の通りだ。

天使の都
雄大な都城
帝釈天の不壊の宝玉
帝釈天の戦争なき平和な都
偉大にして最高の土地
九種の宝玉の如き心楽しき都
数々の大王宮に富み
神が権化して住みたもう
帝釈天が建築神ヴィシュカルマをして造り終えられし都

この名称は、都の美しさ、繁栄、神聖さをたたえた内容となっている。
仏教とヒンドゥー教の神々への言及が多く、タイの宗教観が反映されている。

なぜこんなに長い名前なのか【歴史的背景】

バンコクの正式名称がこれほど長いのには、歴史的な理由がある。

1782年の遷都とラーマ1世

1782年、チャクリー王朝(ラッタナコーシン王朝)の初代国王であるラーマ1世が、それまでの首都トンブリーからチャオプラヤー川の対岸に遷都した。

ラーマ1世が遷都を決めた理由は、トンブリーがチャオプラヤー川の西岸にあり、当時勢力を拡大していたビルマ(現ミャンマー)の侵入に対して防衛しにくかったためだ。

王が詠んだ詩が正式名称に

新しい都に遷都する際、ラーマ1世は新都への思いを込めて長い詩を詠んだ。
その詩が、そのまま都の正式名称となったのだ。

王朝を建国し、新しい首都を建設するという歴史的な瞬間。
ラーマ1世は、都の繁栄への願いと、神々の加護を祈る気持ちを詩に込めた。

この正式名称は、単なる地名ではなく、タイの歴史・文化・宗教を象徴する重要な意味を持っている。

後の王による修正

当初はラーマ1世によって名付けられたが、後のラーマ4世(モンクット王)の時代に一部が修正された。

「ボーウォーンラッタナコーシン(イン神の卓越した宝石)」の部分が「アモーンラッタナコーシン(イン神の不滅の宝石)」に変更されている。

タイの人々は何と呼んでいるのか

正式名称は非常に長いため、日常生活でこの長い名前を使うタイ人はほとんどいない。

「クルンテープ」が一般的

タイの人々は通常、首都を「クルンテープ(กรุงเทพฯ)」と呼ぶ。
これは正式名称の冒頭部分「クルンテープ・マハーナコーン」を短縮したものだ。

「クルンテープ」は「天使の都」という意味を持つ。
「クルン」は「都、首都」、「テープ」は「神、天使」を意味する言葉だ。

発音のコツは、「クンテー」という感じで、ルやプはほとんど発音せず、テーの音を高く言うとタイ人に通じやすい。

より正式な場面では「クルンテープ・マハーナコーン」

公式文書や車のナンバープレートなどでは、「クルンテープ・マハーナコーン(กรุงเทพมหานคร)」という表記が使われることもある。

これは正式名称の最初の2語で、「天使の都、大都市」という意味だ。

タイ人でも正式名称を覚えている人は少ない

多くのタイ人も、この長い正式名称を暗記している人は少ない。
格式ある儀式や伝統行事など、特別な場面でのみ用いられる名称だからだ。

ただし、中には全て覚えている人もいる。
特に、後述する歌で覚えた人も多い。

「バンコク」という名前の由来

では、なぜ国際的には「バンコク(Bangkok)」と呼ばれているのだろうか。

「バーンマコーク」が語源

「バンコク」の名前の由来は諸説あるが、最も有力なのは「バーンマコーク」という言葉が訛って変化したという説だ。

「バーン(บาง)」はタイ語で「水辺の村」を意味する。
「マコーク」は「アムラタマゴノキ」というオリーブに似た植物の名前だ。

つまり、「バーンマコーク」は「アムラタマゴノキが生い茂る水辺の村」という意味になる。

外国人による誤用が定着

アユタヤ王朝時代、トンブリー(現在のバンコク対岸)にある要塞に駐屯していたポルトガル傭兵団が、この地の地名を現地人に尋ねた。
その際に返ってきた「バーンコーク」という答えを、外国人が「バンコク」と聞き違えて広めたとされる。

また、別の説では、17世紀のフランスの外交官が、本当の名前を外国人から隠すためにわざとバンコクという名を用いていたという記録もある。

いずれにせよ、外国人がこの地を「バンコク」と呼ぶことが定着し、国際的な名称となった。

正式名称を覚えるための歌がある

バンコクの正式名称を覚えるために、タイには有名な歌が存在する。

「アサニー・ワサン」の楽曲

1989年、タイの人気ロックバンド「アサニー・ワサン(อัสนี-วสันต์)」が『クルンテープ・マハーナコーン』という楽曲をリリースした。

この曲の歌詞は、バンコクの正式名称をそのまま延々と繰り返すだけという、非常にユニークな内容だ。
独特の中毒性があり、この曲を聞いて正式名称を覚えたというタイ人も多い。

Apple MusicやSpotifyなどの音楽配信サービスでも聴くことができる。
興味がある人はぜひ検索してみてほしい。

2022年の英語表記変更

2022年2月、タイ政府の閣議で、バンコクの英語表記を変更する草案が承認された。

変更内容

従来の表記:「Krung Thep Maha Nakhon; Bangkok」
変更後の表記:「Krung Thep Maha Nakhon; (Bangkok)」

バンコクが丸かっこで囲まれる形になり、「クルンテープ・マハナコーン」が正式表記として前面に出る形となった。

「バンコク」も引き続き使用可能

この発表を受けて、「もうバンコクと呼んではいけないのか?」という混乱が広がった。

しかし、タイ政府は「両方とも使用できる」と説明している。
国際的に認知度が高い「バンコク」の名称を完全に変更するのは混乱を招くため、併記という形がとられた。

バンコクの正式名称に関する豆知識

ギネス世界記録に登録

バンコクの正式名称は、「世界で最も長い地名」としてギネス世界記録に登録されている。

英語表記で168文字(スペースを含む)という長さは、他の都市名を圧倒している。

グッズやお土産にもなっている

バンコクでは、この長い正式名称をデザインしたTシャツなどのグッズが販売されている。
旅行のお土産として購入すると、面白い話のネタになるだろう。

また、アソークの老舗ホテル「ロングテーブル」のバーカウンターには、この長い正式名称が彫られているという。

漢字表記もある

日本語では、バンコクの漢字表記として「曼谷(まんこく)」または「盤谷(ばんこく)」の2通りがある。

これは中国語の表記を日本語読みしたものだ。

タイの首都の歴史を知る

バンコクが首都となる以前、タイには別の首都が存在していた。

アユタヤ王朝(1350年〜1767年)

1350年から1767年まで続いたアユタヤ王朝の首都は、アユタヤだった。
アユタヤは国際交易港として繁栄したが、1767年にビルマの侵略を受けて陥落した。

トンブリー王朝(1767年〜1782年)

アユタヤ陥落後、タークシン王がトンブリーを首都として王朝を開いた。
しかし、タークシン王が晩年に精神錯乱状態となり、1782年に処刑された。

チャクリー王朝(1782年〜現在)

タークシン王の処刑後、将軍であったラーマ1世が王位に就き、チャクリー王朝を開いた。
そして、防衛上の理由からトンブリーの対岸に新しい首都を建設したのが、現在のバンコクだ。

チャクリー王朝は現在まで続いており、バンコクは240年以上にわたってタイの首都として機能している。

タイ旅行で使える豆知識

バンコクを訪れる際、この知識を活用してみよう。

タイ人に「クルンテープ」と言ってみる

タイ人と会話する際、「バンコク」というところを「クルンテープ」と言ってみると、タイ人は喜ぶことが多い。

愛国心の強いタイ人にとって、外国人が自分たちの呼び方を使ってくれることは嬉しいことだ。

正式名称を知っていることを話のネタに

正式名称の意味や由来を知っていることを話題にすると、タイの歴史や文化を理解していると思われ、会話のきっかけになる。

ただし、ほとんどのタイ人も正式名称を全て言えるわけではないので、無理に全文を暗記する必要はない。

地方では「バンコク」が通じないことも

興味深いことに、タイの地方では「バンコク」という呼び方が通じず、「クルンテープ」と言って初めて通じたという事例もある。

特に年配の人や地方の人ほど、「クルンテープ」という呼び方を好む傾向がある。

まとめ

バンコクの正式名称は、カタカナで121文字、英語で168文字という世界一長い都市名だ。

1782年にラーマ1世が遷都した際に詠んだ詩が、そのまま正式名称となった。
この名称には、都の繁栄と神々の加護を祈る意味が込められている。

タイの人々は日常的に「クルンテープ(天使の都)」と呼び、正式名称を全て使うことはほとんどない。
国際的には「バンコク」という名前が定着しているが、これは「バーンマコーク(アムラタマゴノキが生い茂る水辺の村)」という言葉が語源とされる。

2022年には英語表記が変更されたが、「バンコク」も引き続き使用可能だ。

バンコクを訪れた際には、この長い正式名称の存在を思い出してほしい。
そして、タイ人に「クルンテープ」と話しかけてみると、会話が弾むかもしれない。

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