「スマホで2つの電話番号を使いたい」「仕事とプライベートで回線を分けたい」「海外旅行でも日本の番号を残したい」…。そんなとき便利なのが、デュアルSIM機能です。
デュアルSIMとは、1台のスマホで2つのSIMカード(回線)を同時に使える機能のこと。主回線と副回線を切り替えることで、1台のスマホで2台分の使い方ができます。
この記事では、主回線と副回線の切り替え方法を、iPhoneとAndroid別にわかりやすく解説します。
デュアルSIMとは

デュアルSIMとは、1台のスマホに2枚のSIMカード(または2つの回線情報)を設定して、2つの電話番号や通信プランを同時に使える機能です。
デュアルSIMでできること
基本的な機能:
- 2つの電話番号で着信を受けられる
- 発信するときに回線を選べる
- データ通信に使う回線を選べる
- SMSをどちらの回線で送るか選べる
具体的な使い方の例:
- 仕事用とプライベート用で番号を分ける
- 大手キャリアと格安SIMを併用して料金を節約
- 海外旅行中も日本の番号を維持したまま現地SIMを使う
- 通話は大手キャリア、データ通信は格安SIMという使い分け
- 通信障害に備えて異なるキャリアの回線を用意
デュアルSIMの種類
SIMの形態による分類
物理SIM(nanoSIM):
- カード型のSIMカード
- スマホのスロットに差し込んで使う
- キャリア変更時にSIMカードを交換する必要がある
eSIM(イーシム):
- スマホ本体に内蔵された電子的なSIM
- QRコードを読み取るだけで開通できる
- 物理的なカードの差し替えが不要
デュアルSIMの組み合わせパターン:
- 物理SIM × 物理SIM(2枚のnanoSIMスロット)
- 物理SIM × eSIM(最も一般的)
- eSIM × eSIM(iPhone 13以降、一部Android)
機能による分類
1. DSSS(デュアルSIMシングルスタンバイ)
- 古い方式
- 2枚のSIMのうち1枚しか有効にできない
- 現在はほとんど使われていない
2. DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)
- 現在の主流
- 2枚のSIMが両方とも待ち受け状態
- どちらの番号にも着信できる
- 制限:データ通信は1つのSIMでのみ可能
- 通話中は、もう一方のSIMでデータ通信ができない
3. DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)
- DSDSの進化版
- 両方のSIMで4G/VoLTE通話が可能
- 高音質通話に対応
4. DSDA(デュアルSIMデュアルアクティブ)
- 最高性能
- 2つのSIMで同時に通話とデータ通信が可能
- 対応機種が少ない
主回線と副回線の違い
主回線(デフォルト回線)
主回線として設定した回線は、以下のデフォルト動作に使われます。
主回線の役割:
- 優先的にデータ通信に使われる
- デフォルトで発信に使われる
- iMessageやFaceTimeで使われる(iPhone)
- SMSのデフォルト送信に使われる
副回線(セカンダリ回線)
副回線は、主回線を補完する役割を果たします。
副回線の役割:
- 着信は受けられる
- 手動で選択すれば発信にも使える
- 主回線が圏外のときの予備回線
- 海外旅行時の現地SIMとして利用
重要なポイント:
どちらを「主」「副」にするかは自由に設定できます。また、用途によって切り替えることも可能です。
【iPhone】主回線と副回線の切り替え方法
設定できる項目
iPhoneでは、以下の3つをそれぞれ別の回線に設定できます。
- デフォルトの音声回線(電話とSMS)
- モバイルデータ通信(インターネット)
- iMessageとFaceTime
音声回線(電話・SMS)を切り替える方法
手順:
- 設定アプリを開く
- 「モバイル通信」をタップ
- 「デフォルトの音声回線」をタップ
- 使いたい回線(主回線または副回線)を選択
これで、電話の発信とSMSの送信に使われる回線が変更されます。
モバイルデータ通信を切り替える方法
手順:
- 設定アプリを開く
- 「モバイル通信」をタップ
- 「モバイルデータ通信」をタップ
- 使いたい回線を選択
便利な設定:モバイルデータ通信の切り替えを許可
- 設定→モバイル通信→モバイルデータ通信の切り替えを許可
- オンにすると、主回線が圏外のときに自動で副回線に切り替わる
回線ごとにオン/オフを切り替える方法
一時的にどちらかの回線を無効にしたい場合:
手順:
- 設定アプリを開く
- 「モバイル通信」をタップ
- 無効にしたい回線をタップ
- 「この回線をオンにする」をオフにする
電話発信時に回線を選ぶ方法
通常の発信:
設定した「デフォルトの音声回線」で発信されます。
発信時に手動で選択:
- 電話アプリで番号を入力
- 発信ボタンの下に表示される「主回線」または「副回線」をタップして選択
- 発信する
連絡先ごとに優先回線を設定:
- 連絡先アプリを開く
- 該当する連絡先を選択
- 「優先回線」を設定
回線の名称を変更する方法
「主回線」「副回線」という名前をわかりやすく変更できます。
手順:
- 設定アプリを開く
- 「モバイル通信」をタップ
- 変更したい回線をタップ
- 「モバイル通信プランの名称」をタップ
- 「カスタム名称」で好きな名前に変更(例:仕事、プライベート、楽天など)
【Android】主回線と副回線の切り替え方法

Androidは機種によって操作方法が異なりますが、基本的な流れは共通しています。
設定できる項目
- デフォルトの通話回線
- デフォルトのSMS回線
- モバイルデータ通信の回線
基本的な切り替え方法
手順:
- 設定アプリを開く
- 「ネットワークとインターネット」をタップ
- 「SIM」または「デュアルSIM」をタップ
- 切り替えたい項目(通話、SMS、モバイルデータ)を選択
- 使いたいSIMを選択
Google Pixelの場合
モバイルデータ通信の切り替え:
- 設定→ネットワークとインターネット
- 「SIM」をタップ
- 使いたいSIMをタップ
- 「モバイルデータ」をオンにする
デフォルトの通話回線:
- 設定→ネットワークとインターネット
- 「SIM」をタップ
- 使いたいSIMをタップ
- 「通話」をオンにする
Samsung Galaxyの場合
手順:
- 設定→接続
- 「SIMカードマネージャー」をタップ
- 「通話」「SMS」「モバイルデータ」それぞれで優先SIMを選択
クイック設定パネルから切り替え:
一部の機種では、通知パネルから「SIM切り替え」のトグルを追加できます。
Xperiaの場合
手順:
- 設定→ネットワークとインターネット
- 「モバイルネットワーク」をタップ
- 「詳細設定」をタップ
- 各項目(通話、SMS、モバイルデータ)で優先SIMを選択
便利なアプリ:SIM切り替えツール
mineoアプリ:
- mineo契約者なら、アプリから簡単にSIM切り替えができる
- ウィジェットにも対応
SIM Switch Quick Settings:
- Android 13以降で便利なサードパーティアプリ
- クイック設定パネルからワンタップで切り替え可能
デュアルSIMのメリット
メリット1:スマホ2台持ちが不要
従来の問題:
- 仕事用とプライベート用で2台持ち
- バッグが重い、充電が2倍必要
デュアルSIMの解決策:
- 1台で2つの番号を管理
- 荷物が減る、充電も1回で済む
メリット2:通信費を大幅に節約できる
おすすめの組み合わせ例:
パターン1:通話 × データ通信
- 主回線:大手キャリア(通話かけ放題プラン)
- 副回線:格安SIM(データ専用プラン)
- 節約額:月2,000〜3,000円
パターン2:大容量 × 小容量
- 主回線:楽天モバイル(データ無制限)
- 副回線:LINEMO(3GB・月990円)
- 節約額:大手キャリア単独より月4,000円以上
メリット3:海外旅行が便利
使い方:
- 主回線:日本のキャリア(通話とSMS用に維持)
- 副回線:現地のeSIM(データ通信用)
メリット:
- 日本からの着信を受けられる
- 現地の格安データプランが使える
- SIMカードの差し替え不要
メリット4:通信障害への備え
2022年7月のKDDI通信障害の教訓:
- 1つのキャリアに依存するリスク
デュアルSIMでの対策:
- 主回線:docomo系
- 副回線:au系またはSoftBank系
- どちらかが使えれば連絡可能
メリット5:仕事とプライベートを分けられる
活用例:
- 主回線:会社支給の番号
- 副回線:個人の番号
- 連絡先ごとに優先回線を設定して使い分け
デュアルSIMのデメリット
デメリット1:バッテリー消費が増える
理由:
2つの回線を同時に待ち受けるため、通常より電力を消費します。
対策:
- 使わない回線は一時的にオフにする
- モバイルバッテリーを携帯する
デメリット2:通話中はデータ通信できない場合がある
DSDS方式の制限:
- 主回線で通話中、副回線でデータ通信ができない
- 逆も同様
対処法:
- LINE通話などデータ通信を使った通話なら問題なし
- 同じ回線で通話とデータ通信を使えばOK
デメリット3:設定がやや複雑
初心者には難しい点:
- APN設定が必要な場合がある
- どの回線で何をするか管理が必要
- 間違った回線で発信してしまうことも
対策:
- 回線に分かりやすい名前をつける
- 連絡先ごとに優先回線を設定する
デメリット4:対応機種が限られる
確認が必要:
- すべてのスマホがデュアルSIMに対応しているわけではない
- 特に古い機種は非対応
デメリット5:データ通信は1つのSIMのみ
制限:
- 同時に2つのSIMでデータ通信はできない
- どちらか1つを選択する必要がある
おすすめのデュアルSIM組み合わせ

組み合わせ1:楽天モバイル × LINEMO
主回線:楽天モバイル
- データ無制限(月3,278円)
- 通話かけ放題(Rakuten Link使用)
- 楽天ポイントが貯まる
副回線:LINEMO
- ミニプラン3GB(月990円)
- ソフトバンク回線で安定
- 通信障害時の予備
合計:月4,268円
向いている人:データ通信をたくさん使う人、楽天経済圏の人
組み合わせ2:ahamo × IIJmio
主回線:ahamo
- 20GB(月2,970円)
- 5分かけ放題込み
- ドコモ回線で高品質
副回線:IIJmio
- 2GB(月850円)
- au回線で冗長性確保
- データ通信の予備
合計:月3,820円
向いている人:通話もデータも平均的に使う人
組み合わせ3:大手キャリア × 格安SIM
主回線:docomo/au/SoftBank
- 家族割適用プラン
- キャリアメールを維持
- 高品質な通話
副回線:mineo/IIJmio
- データ専用プラン
- データ通信のみ格安SIMで
向いている人:キャリアメールや家族割を維持したい人
組み合わせ4:海外旅行用
主回線:日本のキャリア
- 通話とSMS受信用
- 最小限のプランに変更
副回線:現地eSIM(Airalo、Holaflyなど)
- 現地データ通信専用
- 到着前にアプリで購入・設定
向いている人:頻繁に海外に行く人
よくある質問(FAQ)
Q1. デュアルSIMを使うのに追加料金はかかる?
A. スマホの機能としては無料です。ただし、2つのSIMカード(回線)をそれぞれ契約する必要があるため、その契約料金はかかります。
Q2. 主回線と副回線、どちらをメインにすべき?
A. 使い方次第です。データ通信をよく使う回線を主回線にすると便利ですが、いつでも切り替えられるので状況に応じて変更できます。
Q3. 電話がかかってきたとき、どちらの回線か分かる?
A. はい、分かります。着信画面に「主回線」「副回線」(または設定した名称)が表示されます。
Q4. LINEはどちらの電話番号で認証できる?
A. LINEは1つのアカウントで1つの電話番号のみ認証できます。どちらの番号でも認証可能ですが、認証後に番号を変更すると、前の認証が無効になります。
Q5. eSIMと物理SIMはどちらがおすすめ?
A. 海外旅行が多い人はeSIMが便利です。QRコードを読み取るだけで開通でき、帰国後も簡単に元に戻せます。国内のみ使用なら物理SIMでも問題ありません。
Q6. 古いiPhoneでもデュアルSIMは使える?
A. iPhone XS、XS Max、XR以降でデュアルSIM(物理SIM + eSIM)が使えます。それより古い機種は非対応です。
Q7. 副回線を一時的にオフにできる?
A. はい、できます。設定から簡単にオン/オフを切り替えられます。使わないときはオフにしてバッテリーを節約できます。
Q8. 通信速度は遅くなる?
A. いいえ、デュアルSIMだからといって通信速度が遅くなることはありません。各SIMの契約プランの速度がそのまま出ます。
まとめ
デュアルSIMを使えば、1台のスマホで2つの電話番号や通信プランを使い分けられるので、料金の節約や利便性の向上が期待できます。
主回線と副回線の切り替え方法:
iPhone:
- 設定→モバイル通信
- デフォルトの音声回線またはモバイルデータ通信を選択
- 使いたい回線を選ぶ
Android:
- 設定→ネットワークとインターネット→SIM
- 通話、SMS、モバイルデータそれぞれで回線を選択
デュアルSIMのメリット:
- スマホ2台持ちが不要になる
- 通信費を大幅に節約できる(月2,000〜4,000円)
- 海外旅行が便利(SIM差し替え不要)
- 通信障害への備えになる
- 仕事とプライベートを分けられる
注意点:
- バッテリー消費が増える
- 通話中はデータ通信できない場合がある(DSDS方式)
- 設定がやや複雑
- データ通信は1つのSIMのみ
おすすめの組み合わせ:
- 楽天モバイル × LINEMO(データ使い放題+予備回線)
- ahamo × IIJmio(バランス型)
- 大手キャリア × 格安SIM(キャリアメール維持)
デュアルSIMは、使いこなせば非常に便利な機能です。自分の使い方に合った組み合わせを見つけて、快適なスマホライフを送りましょう!


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