PCをスリープ状態にしたのに、いつの間にか勝手に起動している経験はありませんか。
ノートPCをカバンに入れたら中で熱くなっていた、夜中にデスクトップPCが突然起動してモニターが点灯した、というトラブルは意外と多く発生しています。
この記事では、PCが勝手にスリープ解除される原因と、その対処法を詳しく解説します。
スリープが勝手に解除される主な原因
PCが勝手にスリープ解除される原因は、大きく分けて以下の6つです。
- スリープ解除タイマー(Windows UpdateやタスクスケジューラによるWake-up)
- マウス・キーボードなどの周辺機器の誤動作
- 自動メンテナンス機能
- ネットワークアダプター(Wake On LAN機能)
- Windows Updateの自動更新
- モダンスタンバイの問題(最近のノートPC)
それぞれの原因と対処法を順番に見ていきましょう。
スリープ解除の原因を特定する方法
まず、何がPCをスリープから起こしているのか原因を特定することが重要です。
Windowsには、原因を調べるための便利なコマンドが用意されています。
コマンドプロンプトで原因を調べる
手順:
- スタートメニューで「cmd」と検索
- 「コマンドプロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選択
- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す
主要なコマンド:
powercfg -lastwake
最後にスリープを解除したデバイスやイベントを表示します。
powercfg -devicequery wake_armed
スリープ解除が許可されているデバイスの一覧を表示します。
powercfg -waketimers
スケジュールされたWake-upタイマーを表示します。
イベントビューアで詳細を確認する
イベントビューアを使うと、より詳しい情報を確認できます。
手順:
- スタートメニューを右クリックし、「イベントビューアー」を選択
- 左側から「Windowsログ」→「システム」をクリック
- 右側の「現在のログをフィルター」をクリック
- イベントソースのドロップダウンから「Power-Troubleshooter」を選択
- スリープが解除された時刻のログを探して、詳細を確認
ログの見方:
- 「スリープ状態の解除元: デバイス -Intel(R) USB 3.0…」→ USBデバイスが原因
- 「スリープ状態の解除元: タイマー – Windows Update」→ Windows Updateが原因
- 「スリープ状態の解除元が不明」→ さらに詳しい調査が必要
対処法1: スリープ解除タイマーを無効化する
Windows UpdateやタスクスケジューラがスリープからPCを起動する設定になっていることがあります。
これを無効化することで、勝手にスリープ解除される問題を解決できる場合が多いです。
電源オプションから設定する
Windows 11の場合:
- スタートメニューで「コントロールパネル」と検索して開く
- 「ハードウェアとサウンド」をクリック
- 「電源オプション」の「電源プランの編集」をクリック
- 「詳細な電源設定の変更」をクリック
- 「スリープ」の「+」をクリックして展開
- 「スリープ解除タイマーの許可」を展開
- 「電源に接続」と「バッテリ駆動」の両方を「無効」に設定
- 「適用」→「OK」をクリック
Windows 10の場合:
- 「設定」→「システム」→「電源とスリープ」を開く
- 「電源の追加設定」をクリック
- 「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」をクリック
- 上記と同様の手順で「スリープ解除タイマーの許可」を無効化
注意点
スリープ解除タイマーを無効にすると、以下の機能が使えなくなる場合があります。
- テレビ番組の録画予約(スリープ中の自動起動)
- バックアップソフトの自動実行
- その他、スリープ中に実行されるタスク
これらの機能を使っている場合は、注意が必要です。
対処法2: マウスやキーボードの設定を変更する
マウスやキーボードが原因でスリープが解除されることは非常に多いです。
特に光学マウスは、周囲の光の微かな変化を動きとして検出し、スリープを解除してしまうことがあります。
デバイスマネージャーから設定する
手順:
- スタートメニューを右クリックし、「デバイスマネージャー」を選択
- 原因と思われるデバイスのカテゴリを展開
- 「マウスとそのほかのポインティングデバイス」
- 「キーボード」
- 「ネットワークアダプター」
- 該当デバイスをダブルクリック
- 「電源の管理」タブをクリック
- 「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
対象デバイスの例:
- HID準拠マウス
- HIDキーボードデバイス
- ゲームコントローラー
- タッチパッド
注意点
マウスやキーボードのスリープ解除を無効にすると、これらのデバイスでスリープから復帰できなくなります。
その場合は、電源ボタンを押してスリープから復帰する必要があります。
対処法3: 自動メンテナンスの設定を変更する
Windowsの自動メンテナンス機能は、デフォルトでスリープ中でもPCを起動して実行されるように設定されています。
自動メンテナンスを無効化する
手順:
- スタートメニューで「コントロールパネル」と検索して開く
- 「システムとセキュリティ」をクリック
- 「セキュリティとメンテナンス」をクリック
- 「メンテナンス」をクリックして展開
- 「メンテナンス設定の変更」をクリック
- 「スケジュールされたメンテナンスによるコンピューターのスリープ解除を許可する」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
これで、自動メンテナンスによるスリープ解除が無効になります。
対処法4: ネットワークアダプターの設定を変更する
ネットワークアダプターの「Wake On LAN」機能が有効になっていると、ネットワーク経由でPCが起動してしまうことがあります。
特に有線LANケーブルで接続している場合、ネットワーク上のノイズなどでスリープが解除されることがあります。
Wake On LANを無効化する
手順:
- デバイスマネージャーを開く
- 「ネットワークアダプター」を展開
- 該当のアダプター(例: Intel(R) Ethernet Connection、Realtek PCIe GBE Family Controllerなど)をダブルクリック
- 「電源の管理」タブをクリック
- 以下の項目のチェックを外す
- 「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」
- 「Magic Packetでのみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」
- 「詳細設定」タブをクリック
- 「Wake on Pattern Match」や「Wake on Magic Packet」を「無効」に設定
- 「OK」をクリック
Wi-Fiアダプターの場合
Wi-Fiアダプターも同様に、電源の管理タブから「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」のチェックを外してください。
対処法5: Windows Updateの設定を変更する
Windows Updateがスリープ中にPCを起動してアップデートをインストールすることがあります。
Windows 11での設定
- 「設定」→「Windows Update」を開く
- 「詳細オプション」をクリック
- 「アクティブ時間」を設定し、PC使用中に再起動されないようにする
- 必要に応じて「更新プログラムのダウンロード」の設定を調整
タスクスケジューラから設定する
手順:
- スタートメニューで「タスクスケジューラ」と検索して開く
- 左側のツリーから「タスクスケジューラライブラリ」→「Microsoft」→「Windows」→「UpdateOrchestrator」を展開
- 「Reboot」をダブルクリック
- 「条件」タブをクリック
- 「タスクを実行するためにスリープ状態を解除する」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
対処法6: モダンスタンバイの問題(高度な設定)
最近のノートPCの多くは「モダンスタンバイ」という新しいスリープ方式を採用しています。
モダンスタンバイは、スマートフォンのように素早く起動できる反面、勝手にスリープ解除される問題が起きやすいという欠点があります。
モダンスタンバイかどうか確認する方法
コマンドプロンプトで以下を実行:
powercfg /a
「スタンバイ(S0低電力アイドル)」と表示される場合、モダンスタンバイが有効です。
BIOSで従来のスリープに変更する(一部機種のみ)
一部のPCでは、BIOS設定で従来のスリープ(S3スタンバイ)に変更できます。
例: ThinkPadシリーズ:
- BIOS設定画面を開く(起動時にF1またはF2キーを押す)
- 「Config」→「Power」→「Sleep State」を開く
- 「Windows and Linux」から「Linux S3」に変更
- 設定を保存して再起動
この方法は、すべてのPCで使えるわけではありません。
メーカーや機種によって設定項目が異なるため、マニュアルを確認してください。
対処法7: 高速スタートアップを無効化する
高速スタートアップ機能が原因で、スリープ関連のトラブルが起きることがあります。
手順:
- 「コントロールパネル」→「電源オプション」を開く
- 左側の「電源ボタンの動作を選択する」をクリック
- 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリック
- 「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外す
- 「変更の保存」をクリック
よくある具体的なケースと対処法
ケース1: 光学マウスが原因で頻繁にスリープ解除される
症状:
スリープに入れた直後や数分後に勝手に復帰してしまう。
対処法:
デバイスマネージャーから、HID準拠マウスの電源管理で「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」のチェックを外す。
または、マウスを裏返しにして光センサーが反応しないようにする。
ケース2: 有線LANで接続していると勝手にスリープ解除される
症状:
特定の時間帯や不定期にスリープから復帰する。
対処法:
ネットワークアダプターの電源管理とWake On LAN設定を無効化する。
または、スリープ時にLANケーブルを抜く。
ケース3: 夜中の決まった時間にスリープ解除される
症状:
毎日同じ時刻(例: 午前3時)にスリープから復帰する。
対処法:
自動メンテナンス機能が原因の可能性が高いです。
自動メンテナンスの「スリープ解除を許可する」設定を無効化してください。
ケース4: ノートPCをカバンに入れたら中で熱くなっている
症状:
スリープしたはずのノートPCが、カバン内で起動してバッテリーを消費し、熱を持っている。
対処法:
モダンスタンバイの問題、またはマウスやキーボードの誤動作が原因の可能性があります。
できればカバンに入れる前に「休止状態」を使用することをおすすめします。
休止状態は、スリープと異なり完全に電源が切れた状態になるため、勝手に起動することはありません。
ケース5: 何をやっても解決しない(理由50)
症状:
すべての対処法を試しても、依然としてスリープが勝手に解除される。
イベントビューアーで「理由50」(理由不明)と表示される。
対処法:
この場合、以下の方法を試してください。
- すべての周辺機器を外してテストする
- クリーンブートで起動して、サードパーティ製ソフトウェアが原因でないか確認
- Windowsを最新バージョンにアップデート
- デバイスドライバーを最新版に更新
- 最終手段として、Windowsのクリーンインストール
スリープと休止状態の使い分け
スリープが不安定な場合、「休止状態」の使用を検討しましょう。
スリープと休止状態の違い
スリープ:
- メモリに状態を保存し、低電力状態を維持
- 復帰が高速(数秒)
- わずかに電力を消費し続ける
- 勝手に復帰する可能性がある
休止状態:
- メモリの内容をハードディスクに保存し、完全に電源を切る
- 復帰に時間がかかる(数十秒〜1分程度)
- 電力をまったく消費しない
- 勝手に復帰することはない
休止状態を有効化する方法
Windows 11では、休止状態がデフォルトで無効になっていることがあります。
有効化する手順:
- 管理者としてコマンドプロンプトを開く
- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す
powercfg /hibernate on
- 「電源オプション」→「電源ボタンの動作を選択する」を開く
- 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリック
- 「休止状態」にチェックを入れる
- 「変更の保存」をクリック
これで、スタートメニューの電源オプションから「休止状態」を選べるようになります。
トラブルシューティングの順序
どこから対処すればよいか迷った場合は、以下の順番で試してみてください。
powercfg -lastwakeで原因を特定- 原因がわかった場合、該当デバイスの設定を変更
- スリープ解除タイマーを無効化
- マウス・キーボードのスリープ解除を無効化
- ネットワークアダプターの設定を変更
- 自動メンテナンスを無効化
- 高速スタートアップを無効化
- Windows Updateのタスクを確認
- それでも解決しない場合は休止状態の使用を検討
まとめ
PCが勝手にスリープ解除される問題は、原因が多岐にわたるため、一つ一つ確認していく必要があります。
最も多い原因は、スリープ解除タイマー、マウス・キーボード、ネットワークアダプター、自動メンテナンスの4つです。
まずはpowercfg -lastwakeコマンドで原因を特定し、該当する設定を変更することで、多くの場合は解決できます。
それでも解決しない場合は、休止状態の使用を検討しましょう。
ノートPCを持ち運ぶ際は、スリープではなく休止状態を使うことで、カバンの中で勝手に起動してバッテリーを消費する問題を確実に防ぐことができます。

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