温度の単位って、意外といろいろあるんですよね。日本では「℃(摂氏)」が当たり前ですが、アメリカのドラマを見ていると「華氏100度超え!」なんて言葉が出てきて、「え、100度って沸騰してない?」と混乱した経験はありませんか?
今回は、温度換算について誰でも理解できるよう、基本から実践的な計算方法まで詳しく解説していきます。
温度の単位には種類がある

世界で使われている温度の単位は、主に3つあります。それぞれ特徴や使われる場面が異なるんです。
摂氏(セルシウス度)- ℃
日本を含む世界のほとんどの国で使われている温度単位です。スウェーデンの天文学者アンデルス・セルシウスが1742年に考案しました。
特徴:
- 水が凍る温度を0℃に設定
- 水が沸騰する温度を100℃に設定
- この間を100等分した温度を1度としている
日常生活で最もなじみ深い単位ですね。天気予報で「明日の最高気温は25℃」と聞けば、すぐにどのくらいの暑さかイメージできるはずです。
ちなみに、人間の平熱は約36.8℃とされています。
華氏(ファーレンハイト度)- ℉
アメリカやバハマなど、一部の国で今でも使われている温度単位です。ドイツ生まれの物理学者ダニエル・ファーレンハイトが1724年に開発しました。
特徴:
- 水が凍る温度を32℉に設定
- 水が沸騰する温度を212℉に設定
- この間を180等分した温度を1度としている
アメリカの天気予報やレシピを見ると、この華氏が使われています。「華氏100度の猛暑!」と聞いても、日本人にはピンときませんよね。
華氏100度は摂氏に換算すると約37.8℃。つまり体温よりちょっと高いくらいの暑さということになります。
ケルビン(絶対温度)- K
主に科学の分野で使われる温度単位です。イギリスの物理学者ウィリアム・トムソン(後のケルビン卿)が1848年に提案しました。
特徴:
- これ以上温度が下がらない「絶対零度」を0Kに設定
- 1Kの温度差は1℃の温度差と同じ
- 度(°)の記号を付けずに「K」だけで表記
絶対零度とは、原子や分子の動きが完全に止まる理論上の最低温度のこと。摂氏に換算すると-273.15℃になります。
理科の授業や科学論文では、このケルビンが標準的に使われるんです。摂氏0℃は273.15Kということになります。
温度換算の計算式
それぞれの温度単位を変換する方法を見ていきましょう。計算式さえ覚えれば、簡単に換算できます。
摂氏と華氏の換算
摂氏から華氏への換算:
℉ = ℃ × 9/5 + 32
具体例:
摂氏20℃を華氏に変換すると?
℉ = 20 × 9/5 + 32
℉ = 20 × 1.8 + 32
℉ = 36 + 32
℉ = 68
答え: 華氏68度
華氏から摂氏への換算:
℃ = (℉ – 32) × 5/9
具体例:
華氏100度を摂氏に変換すると?
℃ = (100 – 32) × 5/9
℃ = 68 × 5/9
℃ = 37.8
答え: 摂氏37.8度
摂氏とケルビンの換算
摂氏とケルビンの換算は、華氏よりもずっとシンプルです。
摂氏からケルビンへの換算:
K = ℃ + 273.15
具体例:
摂氏25℃をケルビンに変換すると?
K = 25 + 273.15
K = 298.15
答え: 298.15K
ケルビンから摂氏への換算:
℃ = K – 273.15
具体例:
300Kを摂氏に変換すると?
℃ = 300 – 273.15
℃ = 26.85
答え: 摂氏26.85度
華氏とケルビンの換算
華氏とケルビンの直接変換も可能です。
華氏からケルビンへの換算:
K = (℉ – 32) × 5/9 + 273.15
具体例:
華氏113度をケルビンに変換すると?
K = (113 – 32) × 5/9 + 273.15
K = 81 × 5/9 + 273.15
K = 45 + 273.15
K = 318.15
答え: 318.15K
ケルビンから華氏への換算:
℉ = (K – 273.15) × 9/5 + 32
具体例:
290Kを華氏に変換すると?
℉ = (290 – 273.15) × 9/5 + 32
℉ = 16.85 × 9/5 + 32
℉ = 30.33 + 32
℉ = 62.33
答え: 華氏62.33度
覚えておくと便利な温度の基準点
温度換算をより直感的に理解するために、いくつかの基準となる温度を覚えておくと便利です。
水の凍る温度:
- 摂氏: 0℃
- 華氏: 32℉
- ケルビン: 273.15K
水の沸騰する温度:
- 摂氏: 100℃
- 華氏: 212℉
- ケルビン: 373.15K
人間の平熱:
- 摂氏: 約36.8℃
- 華氏: 約98.2℉
- ケルビン: 約310K
絶対零度:
- 摂氏: -273.15℃
- 華氏: -459.67℉
- ケルビン: 0K
室温(快適な温度):
- 摂氏: 約20〜25℃
- 華氏: 約68〜77℉
- ケルビン: 約293〜298K
簡易的な換算テクニック

正確な計算式を使わなくても、おおよその温度を素早く換算する方法もあります。
摂氏から華氏への簡易換算
摂氏の温度を2倍して30を足すと、おおよその華氏温度になります。
例:
摂氏20℃の場合
20 × 2 + 30 = 70℉
(正確には68℉なので、近い値が出ていますね)
この方法は完璧ではありませんが、旅行先などでパッと計算したいときには役立ちます。
華氏から摂氏への簡易換算
華氏から30を引いて2で割ると、おおよその摂氏温度になります。
例:
華氏70度の場合
(70 – 30) ÷ 2 = 20℃
(正確には21.1℃なので、十分使える近似値です)
各温度単位が使われる場面
それぞれの温度単位には、使われる主な場面があります。
摂氏が使われる場面
- 日常生活: 天気予報、気温表示
- 料理: オーブンの温度設定(日本やヨーロッパ)
- 医療: 体温計の表示
- 教育: 理科の授業(基礎的な内容)
- 工業: 製造現場の温度管理
世界的に最も広く使われている温度単位なので、国際的なコミュニケーションでも摂氏が標準になっています。
華氏が使われる場面
- アメリカの日常生活: 天気予報、気温表示
- 料理: アメリカのレシピ
- 工業: アメリカの一部の工場
- 気象学: アメリカ国内の気象情報
アメリカ以外では使用が減ってきていますが、アメリカ文化の影響力が強いため、知っておくと便利な場面は多いです。
ケルビンが使われる場面
- 物理学: 熱力学の計算
- 化学: 気体の状態方程式
- 天文学: 宇宙の温度測定
- 工学: エネルギー計算
- 科学研究: 国際的な学術論文
科学の世界では国際標準の温度単位として確立されています。絶対零度を基準にしているため、熱エネルギーの計算に都合がいいんです。
温度換算でよくある間違い
温度換算をする際に、陥りがちなミスをいくつか紹介します。
間違い1: 温度差の換算を誤解する
温度そのものの換算と、温度差の換算は異なります。
温度そのものの換算:
摂氏10℃ = 華氏50℉
温度差の換算:
摂氏で10度上がる = 華氏で18度上がる(10 × 9/5 = 18)
温度差を換算する場合は、定数部分(+32など)を加えません。
間違い2: ケルビンに度(°)を付ける
ケルビンは「K」だけで表記し、「°K」とは書きません。これは国際的な取り決めです。
正しい表記: 300K
誤った表記: 300°K
間違い3: 簡易換算を過信する
先ほど紹介した簡易換算法は便利ですが、あくまで近似値です。正確な値が必要な場合は、必ず正しい計算式を使いましょう。
実生活での温度換算の活用例
温度換算が役立つ実際の場面を見てみましょう。
海外旅行での気温確認
アメリカに旅行する際、現地の天気予報は華氏で表示されます。
例:
天気予報で「Tomorrow’s high: 85°F」と表示されている場合
(85 – 32) × 5/9 = 29.4℃
「明日は約30℃の暑さだな」と判断できます。
海外レシピでの調理
アメリカのレシピで「Preheat oven to 350°F」と書かれている場合
(350 – 32) × 5/9 = 176.7℃
オーブンを約177℃に予熱すればいいとわかります。
科学実験のレポート作成
理科の実験で測定した摂氏の温度を、レポートでケルビンに換算する場合
実験室温度: 25℃
25 + 273.15 = 298.15K
「実験は298.15Kの環境下で実施した」と記載できます。
まとめ
温度換算は、一見難しそうに見えますが、基本的な計算式さえ覚えてしまえば誰でもできます。
重要ポイント:
- 摂氏(℃)は日本や世界の多くの国で使われる標準的な単位
- 華氏(℉)は主にアメリカで使用される単位
- ケルビン(K)は科学分野で使われる絶対温度の単位
換算の基本式:
- ℉ = ℃ × 9/5 + 32
- ℃ = (℉ – 32) × 5/9
- K = ℃ + 273.15
- ℃ = K – 273.15
海外旅行や外国のレシピを見る機会があれば、ぜひこの知識を活用してみてください。最初は計算が面倒に感じるかもしれませんが、何度か使ううちに自然と感覚がつかめてきますよ。
スマートフォンの計算機アプリや、オンラインの温度換算ツールを使えば、さらに簡単に変換できます。でも、仕組みを理解しておくことで、数字の意味がより深く分かるようになるはずです。


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