「Motorolaのスマホが調子悪いから初期化したい」
「売却前にデータを完全に消去したい」
そんなときに必要なのが工場出荷時リセット(初期化)です。
この記事では、Motorolaスマートフォンを安全に初期化する方法を、状況別にわかりやすく解説します。
初期化(工場出荷時リセット)とは?

初期化の意味
初期化とは、スマートフォンを購入時の状態に戻すことです。以下のデータがすべて削除されます:
削除されるデータ
- 個人ファイル:写真、動画、音楽、文書
- アプリとアプリデータ:ダウンロードしたアプリとその設定
- 連絡先:電話帳のデータ
- メッセージ:SMS、LINE、メールなど
- 設定情報:Wi-Fi、Bluetooth、画面設定など
- アカウント情報:ログイン状態
残るもの
- システムソフトウェア:Android OSと基本アプリ
- SIMカード情報:電話番号(物理的にSIMカードに保存)
初期化が必要な場面
動作不良の解決
- アプリが頻繁にクラッシュする
- 動作が異常に遅い
- 画面がフリーズする
- 原因不明の不具合
セキュリティ対策
- スマホを売却・譲渡する前
- 個人情報を完全に削除したい
- ウイルス感染の疑いがある
設定のリセット
- 設定を間違えて元に戻せない
- 複数のアカウントを整理したい
- 新しいユーザーとして使い始めたい
⚠️ 初期化前の重要な準備

初期化を実行する前に、以下の準備を必ず行ってください。
準備を怠ると、大切なデータを失ったり、初期化後に使えなくなったりする可能性があります。
バッテリー残量の確認
必要な残量:25%以上
初期化作業中に電源が切れると、スマホが故障する可能性があります。
確認方法
- 画面上部のバッテリーアイコンを確認
- 25%未満の場合は充電してから実行
- 可能であれば充電器に接続した状態で作業
Googleアカウント情報の確認
Device Protection(端末保護機能)対策
Android 5.0以降の端末では、初期化後に元のGoogleアカウントでのログインが必要です。
事前に確認すべき情報
- Googleアカウントのメールアドレス
- パスワード
- 2段階認証の設定(設定している場合)
確認方法
- 「設定」→「アカウント」→**「Google」**をタップ
- 現在ログインしているアカウントを確認
- パスワードを忘れている場合は事前にリセット
データのバックアップ
Googleバックアップの有効化
- 「設定」→「システム」→**「バックアップ」**をタップ
- **「Googleドライブへのバックアップ」**をオンにする
- **「今すぐバックアップ」**をタップして手動実行
バックアップされるデータ
- アプリの設定とデータ
- 通話履歴
- 端末の設定
- SMS(機種により異なる)
個別にバックアップが必要なデータ
写真・動画
- Googleフォトへの自動バックアップを確認
- 手動でGoogleドライブやクラウドストレージに保存
連絡先
- Googleアカウントと同期されているか確認
- 「連絡帳」アプリ→「設定」→**「エクスポート」**で手動保存
重要なアプリのデータ
- LINE:トーク履歴のバックアップ
- ゲームアプリ:アカウント連携の確認
- 認証アプリ:バックアップキーの保存
SIMカードとSDカードの取り扱い
SIMカード
- 初期化してもSIMカード自体は影響を受けない
- 電話番号や通信契約は維持される
SDカード(対応機種の場合)
- 事前に取り外すことを推奨
- SDカード内のデータは通常は削除されないが、安全のため外しておく
方法1:設定アプリからの標準初期化

スマホが正常に動作している場合は、この方法が最も安全で確実です。
手順
ステップ1:設定アプリを開く
- ホーム画面で**「設定」アプリ**をタップ
- 歯車のアイコンが目印です
ステップ2:リセット項目を探す
- **「システム」**をタップ
- **「リセット オプション」**をタップ
機種によって項目名が異なる場合
- 「バックアップとリセット」
- 「プライバシー」→「ファクトリデータリセット」
- 「端末管理」→「リセット」
ステップ3:工場出荷時リセットを選択
- **「全データを消去(出荷時リセット)」**をタップ
- **「電話をリセット」または「すべてのデータを消去」**をタップ
ステップ4:認証と確認
- 画面ロックの解除(PIN、パターン、指紋など)
- Googleアカウントのパスワード入力(機種により)
- 最終確認画面で「削除」または「リセット」をタップ
ステップ5:初期化の実行
- 初期化が開始される(数分から30分程度)
- 自動的に再起動される
- 初期設定画面が表示されれば完了
初期化中の注意点
絶対にしてはいけないこと
- 電源ボタンを押さない
- バッテリーを抜かない
- アプリを操作しない
正常な動作
- 画面が真っ黒になることがある
- Androidロボットのアニメーションが表示される
- 「消去中」「初期化中」などのメッセージ
方法2:リカバリーモードからの強制初期化

スマホが正常に動作しない場合や、設定アプリが開けない場合の最終手段です。
リカバリーモードとは?
リカバリーモードとは、Androidの基本システムとは別の、修復用の特別な環境です。通常のAndroid画面が表示されなくても、この環境なら操作できることがあります。
手順
ステップ1:完全に電源を切る
- 電源ボタンを長押しして電源メニューを表示
- **「電源を切る」**をタップ
- 完全に電源が切れるまで待つ(約10秒)
ステップ2:ブートローダーモードに入る
- 音量下ボタン + 電源ボタンを同時に長押し
- 約10〜15秒間押し続ける
- Motorolaロゴが表示されたら指を離す
- ブートローダー画面が表示される
ブートローダー画面の特徴
- 黒い背景に白い文字
- 「Bootloader」や「Fastboot Mode」の表示
- 複数の選択肢が表示される
ステップ3:リカバリーモードを選択
- 音量下ボタンで「Recovery mode」に移動
- 電源ボタンで選択・決定
- Androidロボットが表示される
ステップ4:リカバリーメニューを表示
- **「No command」**というメッセージが表示される
- 電源ボタン + 音量上ボタンを同時に長押し
- 2〜3秒押し続ける
- リカバリーメニューが表示される
ステップ5:工場出荷時リセットを実行
- 音量ボタンで「wipe data/factory reset」に移動
- 電源ボタンで選択
- 音量ボタンで「Yes — delete all user data」に移動
- 電源ボタンで選択・実行
ステップ6:リセット完了と再起動
- 初期化が実行される(数分程度)
- **「Reboot system now」**が選択肢に表示される
- 電源ボタンで選択して再起動
リカバリーモード操作の注意点
操作方法
- タッチ操作は使えません
- 音量ボタンで項目移動
- 電源ボタンで選択・決定
間違った選択をした場合
- 音量ボタンで「reboot system now」に移動
- 電源ボタンで選択して通常起動に戻る
機種別の詳細手順
Motorolaの主要機種での細かい違いを説明します。
Moto G シリーズ
設定からの初期化
- 「設定」→「システム」→「詳細設定」→「リセット オプション」
リカバリーモード
- 音量下 + 電源でブートローダー
- 一部の新しいモデルでは音量上 + 電源の場合もあり
Moto E シリーズ
設定からの初期化
- 「設定」→「システム」→「リセット オプション」
リカバリーモード
- 基本的な手順は同じ
- 古いモデルでは表示が異なる場合あり
Edge シリーズ
設定からの初期化
- 「設定」→「システム」→「リセット オプション」
- より新しいAndroidバージョンのため、項目名が最新
リカバリーモード
- 音量下 + 電源で共通
- 画面表示がより洗練されている
初期化後の初期設定
初期化が完了すると、購入時と同じ初期設定画面が表示されます。
基本的な設定手順
ステップ1:言語とWi-Fi設定
- 日本語を選択
- Wi-Fiネットワークに接続
ステップ2:Googleアカウントでログイン
- 初期化前に使用していたGoogleアカウントでログイン
- パスワードと2段階認証を入力
- Device Protectionにより、他のアカウントではログインできません
ステップ3:データの復元
- **「アプリとデータを復元しますか?」**の画面
- **「復元」**を選択すると、バックアップからアプリが自動インストール
- **「新しい端末として設定」**を選択すると、まっさらな状態
ステップ4:セキュリティ設定
- 画面ロックの設定(PIN、パターン、指紋など)
- 位置情報の使用許可
- Googleサービスの利用規約に同意
データ復元の確認
自動復元されるデータ
- アプリの一覧(再インストールが必要)
- 基本的な設定
- Wi-Fiパスワード
- 連絡先(Googleと同期済みの場合)
手動で復元が必要なデータ
- 写真・動画:Googleフォトから復元
- 音楽ファイル:再同期が必要
- アプリ内データ:アプリごとに復元手順が異なる
トラブル対処法

初期化でよくある問題と解決方法を説明します。
初期化が途中で止まった場合
症状:初期化中に画面がフリーズ、進行しない
対処法
- 30分程度は待つ(大容量データの場合時間がかかる)
- それでも進まない場合は強制再起動
- 音量下 + 電源を10秒以上長押し
- 再起動後、再度リカバリーモードから初期化
Googleアカウントでログインできない
症状:初期化後にGoogleアカウントが認識されない
原因と対処法
パスワードを忘れた場合
- 別の端末でGoogleアカウント復旧ページにアクセス
- 本人確認を完了してパスワードをリセット
- 新しいパスワードでログイン
2段階認証で問題が起きた場合
- バックアップコードを使用
- 別の認証端末で認証
- SMS認証が利用可能か確認
Device Protection が解除できない
症状:「この端末はリセットされました」と表示される
対処法
- 元のGoogleアカウントで必ずログイン
- 24時間待つ(セキュリティのため時間制限あり)
- インターネット接続を確認
- それでも解決しない場合はGoogleサポートに連絡
リカバリーモードに入れない
症状:ボタン操作してもリカバリーモードが起動しない
対処法
別のボタン組み合わせを試す
- 音量上 + 電源
- 音量下 + 音量上 + 電源
- 電源ボタンのみ長押し(約30秒)
バッテリーを完全に消耗させる
- 電源が切れるまで放置
- 30分程度充電
- 再度ボタン操作を試す
初期化以外の解決方法
完全初期化を行う前に、以下の軽度な方法も検討してみてください。
キャッシュのクリア
個別アプリのキャッシュクリア
- 「設定」→「アプリ」
- 問題のあるアプリを選択
- 「ストレージ」→「キャッシュを削除」
システムキャッシュのクリア
- リカバリーモードに入る
- **「wipe cache partition」**を選択
- 再起動
セーフモードでの起動
セーフモードとは
- サードパーティアプリを無効化した状態
- 基本機能のみで動作確認
セーフモード起動方法
- 電源ボタン長押しで電源メニュー表示
- 「電源を切る」を長押し
- **「セーフモード」**をタップ
アプリの無効化
プリインストールアプリが原因の場合
- 「設定」→「アプリ」
- 問題のあるアプリを選択
- 「無効にする」をタップ
まとめ
Motorolaスマートフォンの初期化について、重要なポイントをまとめると:
事前準備の重要性
- バッテリー25%以上を確保
- Googleアカウント情報を確認
- データのバックアップを完了
- SIMカード・SDカードの取り扱い確認
初期化方法の選択
- 正常動作時:設定アプリからの標準初期化
- 動作不良時:リカバリーモードからの強制初期化
- いずれも確実にデータが削除される
安全な実行のために
- 途中で電源を切らない
- 充電器接続状態で実行
- 操作手順を正確に実行
- 焦らず時間をかけて作業
初期化後の注意点
- Device Protectionにより元のアカウントが必要
- データ復元は段階的に実行
- アプリの再設定が必要
コメント