iPhoneの「メモ」アプリは、買い物リストやアイデアメモなどを記録するだけでなく、他の人とメモを共有したり、リアルタイムで共同編集したりすることもできます。
仕事のプロジェクト管理、家族の予定共有、友人との旅行計画など、様々な場面で活用できる便利な機能です。
この記事では、iPhoneでメモを共有する2つの方法(コピーを送信・共同作業)、権限設定、フォルダの共有、共有の解除方法、トラブルシューティングまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
メモ共有の2つの方法

iPhoneのメモアプリには、2種類の共有方法があります。目的に応じて使い分けましょう。
方法1:コピーを送信
特徴:
- メモの静的なコピーを送信
- 送信後に元のメモを編集しても、相手には反映されない
- 相手は閲覧のみ(編集不可)
- iCloudアカウント不要
用途:
- 情報を一方的に伝えたいとき
- 編集されたくない情報を共有
- メモの内容を記録として残したいとき
- 参考情報として送りたいとき
方法2:共同作業(コラボレーション)
特徴:
- リアルタイムで共同編集できる
- 誰かが編集すると、すべての参加者に即座に反映
- 最大100人まで参加可能
- 参加者全員がiCloudアカウント必須
用途:
- プロジェクトの進捗管理
- チームでのアイデアブレインストーミング
- 家族の買い物リスト
- イベントの準備リスト
- 会議の議事録作成
事前準備:iCloud設定の確認
メモを共同作業するには、iCloudの設定が必要です。
iCloud設定の確認手順
ステップ1:設定アプリを開く
- iPhoneのホーム画面から「設定」をタップ
- 画面上部の自分の名前をタップ
ステップ2:iCloudの確認
- 「iCloud」をタップ
- 「すべてを表示」をタップ(iOS 18以降)
- iOS 17以前の場合:「iCloudを使用しているApp」から探す
ステップ3:メモの同期設定
- 「メモ」をタップ
- 「このiPhoneを同期」がオン(緑色)になっているか確認
- オフの場合はタップしてオンにする
注意点:
- 共同作業する相手も同様の設定が必要
- 「このiPhone」フォルダのメモは共有できない(iCloudフォルダのみ)
方法1:コピーを送信する手順
静的なコピーを送る方法を解説します。
手順
ステップ1:メモを開く
- 「メモ」アプリを起動
- 共有したいメモをタップして開く
ステップ2:共有メニューを開く
- 画面右上の「共有」ボタン(四角と上向き矢印)をタップ
- メモのタイトル下にある「▼」をタップ
- 「コピーを送信」を選択
ステップ3:送信方法を選択
以下のいずれかの方法で送信できます:
メッセージ:
- iMessageまたはSMSで送信
- 連絡先から相手を選択
- 送信ボタンをタップ
メール:
- メールアプリで送信
- 宛先にメールアドレスを入力
- 送信
LINE:
- LINEアプリを選択
- 送りたい友だちまたはグループを選択
- 転送ボタンをタップ
AirDrop:
- 近くのAppleデバイスに送信
- 表示された相手の名前をタップ
- 相手が「受け取る」を選択すると送信完了
その他:
- WhatsApp、Slack、Facebookメッセンジャーなど
- インストールされているアプリが表示される
注意点
- 送信後に元のメモを編集しても、送った相手には反映されない
- 相手は閲覧のみで、編集はできない
- 別のメモとして保存される
方法2:共同作業する手順
リアルタイムで編集できる共有方法を解説します。
手順
ステップ1:iCloudフォルダのメモを開く
- 「メモ」アプリを起動
- 「iCloud」フォルダ内のメモを開く
- 「このiPhone」フォルダのメモは共有できません
注意:
- フォルダ一覧で「iCloud」と表示されているフォルダを確認
- 新しくメモを作成する場合は、必ずiCloudフォルダ内で作成
ステップ2:共有ボタンをタップ
- 画面右上の「共有」ボタンをタップ
- 「共同作業」を選択
- iOS 15以前:「ユーザーを追加」と表示されている場合もある
ステップ3:共有オプションを設定
「共有オプション」または「編集可能なユーザー」をタップして設定:
アクセス権:
「招待されたユーザーのみ」
- 招待した人だけがアクセス可能
- より安全でプライベート
- ビジネス用途におすすめ
「リンクを知っている人は誰でも」
- リンクさえあれば誰でもアクセス可能
- 招待の手間が省ける
- 不特定多数と共有する場合に便利
権限:
「変更可能」
- 参加者がメモを編集できる
- 追加・削除・変更すべて可能
- 共同作業に最適
「表示のみ」
- 参加者は閲覧のみ
- 編集はできない
- 情報共有のみの場合に使用
他のユーザーの招待を許可:
オン:
- 参加者が別の人を招待できる
- プロジェクトが拡大しやすい
オフ:
- 自分だけが招待できる
- メンバー管理がしやすい
設定後、「完了」をタップ
ステップ4:招待を送信
メッセージで送信:
- 「メッセージ」をタップ
- 相手の名前または電話番号を入力
- 送信ボタンをタップ
特徴:
- 共有メモに変更があると、メッセージで通知が届く
- 通知をタップすると直接メモを開ける
メールで送信:
- 「メール」をタップ
- 宛先にメールアドレスを入力
- 必要に応じてメッセージを追加
- 送信
リンクをコピー:
- 「リンクをコピー」をタップ
- クリップボードにリンクがコピーされる
- LINEやSlackなど、任意のアプリでリンクを貼り付けて送信
ステップ5:相手が参加
招待された側の操作:
- メッセージ、メール、またはLINEで届いたリンクをタップ
- 「共有メモを開く」をタップ
- 「開く」をタップして参加を承諾
メモアプリで共有メモが開き、編集可能になります。
共同作業中の機能
リアルタイム同期:
- 誰かが編集すると、すべての参加者に即座に反映
- 複数人が同時に編集可能
編集者の確認:
- 画面上部に参加者のアイコンが表示される
- 誰が編集しているかがわかる
変更履歴の確認:
- メモを開く
- 画面右上の「アクティビティ」ボタン(人型アイコン)をタップ
- 以下のオプションから選択:
「すべてのアクティビティを表示」
- これまでの全変更履歴を表示
「お知らせを表示」
- 前回開いた後の変更のみ表示
「ハイライトを表示」
- 各参加者が編集した部分をハイライト表示
メンション機能(iOS 15以降):
- メモ内で「@」を入力
- 参加者の名前を入力
- 候補から選択
メンションされた人に通知が届きます。重要な変更や質問を特定の人に伝えたい時に便利です。
フォルダ全体を共有する方法

個別のメモではなく、フォルダごと共有することもできます。
フォルダ共有のメリット
- フォルダ内のすべてのメモが共有される
- サブフォルダも共有される
- 新しくメモを作成しても自動的に共有される
- プロジェクト全体の管理に便利
手順
方法1:スワイプで共有
- 「メモ」アプリでフォルダ一覧を表示
- 共有したいフォルダを左にスワイプ
- 「フォルダを共有」ボタン(人型アイコン)をタップ
方法2:フォルダを開いて共有
- 共有したいフォルダを開く
- 画面右上の「…」(その他)をタップ
- 「フォルダを共有」をタップ
その後の手順:
- メモの共同作業と同じ
- 共有オプションを設定
- メッセージ、メール、またはリンクで招待
注意点
- ロックされたメモが含まれるフォルダは共有できない
- フォルダ内のすべてのメモが参加者に見られる
共有メモの管理
共有したメモやフォルダは、後から設定を変更できます。
参加者を追加する
手順:
- 共有メモまたはフォルダを開く
- 画面上部の参加者アイコンをタップ
- 「共有メモを管理」または「共有フォルダを管理」をタップ
- 「さらにほかの人と共有」をタップ
- 招待方法を選択して送信
参加者を削除する
オーナー(共有した人)の操作:
- 共有メモまたはフォルダを開く
- 画面上部の参加者アイコンをタップ
- 「共有メモを管理」をタップ
- 削除したい参加者の名前を左にスワイプ
- 「削除」をタップ
参加者自身が抜ける:
- 共有メモを開く
- 参加者アイコンをタップ
- 「共有メモを管理」をタップ
- 自分の名前をタップ
- 「アクセス権を削除」をタップ
注意:
- 削除された参加者のデバイスにも、メモのコピーが残る場合がある
- 完全に削除したい場合は、共有を停止する
権限を変更する
手順:
- 共有メモを開く
- 参加者アイコンをタップ
- 「共有メモを管理」をタップ
- 変更したい参加者の名前をタップ
- 「変更可能」または「表示のみ」を選択
共有を停止する
手順:
- 共有メモまたはフォルダを開く
- 参加者アイコンをタップ
- 「共有メモを管理」をタップ
- 「共有を停止」をタップ
- 確認画面で「共有を停止」をタップ
結果:
- すべての参加者のデバイスから共有メモが削除される
- 自分のデバイスには残る
- 共有を停止できるのはオーナーのみ
トラブルシューティング
メモが共有できない場合の対処法を紹介します。
1. iCloud設定を確認
症状:
- 「共同作業」ボタンが表示されない
- 共有メニューに「コピーを送信」しか表示されない
原因:
- iCloudでメモの同期がオフになっている
- メモが「このiPhone」フォルダにある
対策:
iCloud設定の確認:
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」
- 「すべてを表示」→「メモ」
- 「このiPhoneを同期」をオンにする
メモの移動:
- 「このiPhone」フォルダのメモは共有できない
- メモを開く
- 長押しして「メモを移動」を選択
- 「iCloud」フォルダに移動
2. iOS・iPadOSを最新版にアップデート
症状:
- 共有メモが同期されない
- 変更が反映されない
原因:
古いバージョンのiOSを使用している
対策:
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」
- アップデートがあれば「ダウンロードしてインストール」
- 共有相手も最新版にアップデートする必要がある
3. iCloudストレージの容量を確認
症状:
- 共有メモが作成できない
- 同期されない
原因:
iCloudストレージの容量が不足している
対策:
容量の確認:
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」
- 使用済み容量と空き容量を確認
容量を増やす方法:
不要なデータを削除:
- 写真・動画を削除
- 古いバックアップを削除
- 不要なメモを削除
iCloud+にアップグレード:
- 50GB:月額130円
- 200GB:月額400円
- 2TB:月額1,300円
注意:
- 共有相手もストレージの空きが必要
4. ロックを解除する
症状:
- 「共同作業」ボタンがグレー表示で選択できない
原因:
メモにロックがかかっている
対策:
- メモを開く
- 画面右上の「鍵」アイコンをタップ
- パスワード、Face ID、またはTouch IDで認証
- 「ロックを削除」をタップ
ロック解除後、共有できるようになります。
5. インターネット接続を確認
症状:
- 共有メモが同期されない
- リアルタイム更新されない
原因:
インターネット接続が不安定
対策:
Wi-Fi接続の確認:
- Wi-Fiをオフ→オンにする
- 別のWi-Fiネットワークに接続
- ルーターを再起動
モバイルデータ通信の確認:
- 「設定」→「モバイル通信」
- 「メモ」がオンになっているか確認
6. メモアプリを再起動
症状:
- 共有メモが表示されない
- アプリの動作が不安定
対策:
アプリを完全に終了:
- ホームボタンを2回押す(またはホーム画面で下から上にスワイプ)
- メモアプリを上にスワイプして終了
- もう一度メモアプリを起動
iPhoneを再起動:
- iPhone X以降:サイドボタン+音量ボタンを長押し→スライドで電源オフ
- iPhone 8以前:トップボタン(またはサイドボタン)を長押し→スライドで電源オフ
7. Apple IDを確認
症状:
- 招待を受け取っても共有メモが開けない
原因:
- Apple IDでサインインしていない
- 異なるApple IDでサインインしている
対策:
- 「設定」→画面上部を確認
- 正しいApple IDでサインインしているか確認
- サインアウトして、正しいApple IDでサインイン
8. 参加者の上限を確認
症状:
- 新しい参加者を招待できない
原因:
すでに100人の上限に達している
対策:
- 不要な参加者を削除してから新しい人を招待
- または新しい共有メモを作成
AndroidやWindowsユーザーとの共有
iPhoneのメモは、Apple製品以外とも共有できます。
Gmailを使った同期方法
iPhoneでの設定:
ステップ1:Googleアカウントを追加
- 「設定」アプリを開く
- 「アプリ」→「メモ」→「アカウント」をタップ
- iOS 14以前:「パスワードとアカウント」→「アカウントを追加」
- 「Google」を選択
- Googleアカウントでサインイン
ステップ2:メモの同期をオン
- 「メモ」をオン(緑色)にする
- 「保存」をタップ
ステップ3:Gmailフォルダでメモを作成
- メモアプリを開く
- フォルダ一覧に「Gmail」フォルダが追加されている
- Gmailフォルダ内でメモを作成
WindowsまたはAndroidでの確認:
ブラウザからアクセス:
- Gmailにログイン
- 画面左下の「Notes」をクリック
- iPhoneで作成したメモが表示される
メリット:
- Apple製品を持っていない人とも共有できる
- ブラウザからアクセス可能
- 追加のアプリ不要
デメリット:
- リアルタイム共同編集はできない
- iCloudメモほど機能が豊富ではない
よくある質問
Q1. メモを共有すると、相手に自分のすべてのメモが見られますか?
A. いいえ、見られません。共有したメモやフォルダのみが相手に表示されます。他のメモやフォルダは完全にプライベートのままです。個別に共有したメモだけがアクセス可能になるので、安心して使用できます。
Q2. 共有メモは誰が編集したかわかりますか?
A. はい、わかります。共有メモを開いて、画面上部の参加者アイコンをタップすると、「アクティビティを表示」から誰がいつ編集したかを確認できます。また、「ハイライトを表示」を選択すると、各参加者が編集した部分が色分けして表示されます。iOS 15以降では、メモ一覧でオレンジ色のドットが表示されているメモは、前回開いた後に誰かが編集したことを示しています。
Q3. 共有メモは何人まで招待できますか?
A. 最大100人まで共同作業に招待できます。ただし、参加者が多いほど、編集の競合やストレージ容量の使用が増える可能性があります。小規模なチームやプロジェクトでは、10人以下が管理しやすいでしょう。
Q4. 共有を停止したら、相手のデバイスからメモは削除されますか?
A. はい、共有を停止すると、共有メモまたはフォルダはすべての参加者のデバイスから削除されます。ただし、参加者が共有メモの内容をコピーしていた場合、そのコピーは削除されません。機密情報を共有する際は、この点に注意してください。
Q5. 「このiPhone」フォルダのメモを共有できますか?
A. いいえ、「このiPhone」フォルダのメモは共有できません。共有するには、メモを「iCloud」フォルダに移動する必要があります。メモを長押しして「メモを移動」を選択し、iCloudフォルダに移動してから共有してください。今後、共有する可能性があるメモは、最初からiCloudフォルダに保存することをおすすめします。
Q6. 共有メモの内容をダウンロードして保存できますか?
A. はい、できます。共有メモを開いて、共有ボタンをタップし、「コピーを送信」を選択します。その後、「ファイルに保存」を選択すると、PDF形式でiPhoneに保存できます。また、メールで自分宛に送信することで、バックアップとして保存することもできます。
Q7. 共有メモを間違って削除してしまいました。復元できますか?
A. はい、30日以内であれば復元できる可能性があります。メモアプリの「最近削除した項目」フォルダを確認してください。このフォルダに削除したメモがあれば、タップして「復元」を選択することで元に戻せます。ただし、30日を過ぎると完全に削除されるので注意が必要です。
Q8. AndroidユーザーとiPhoneのメモを共同編集できますか?
A. 直接的な共同編集はできません。iPhoneのメモの共同作業機能は、Apple製品(iPhone、iPad、Mac)を使用しているユーザー間でのみ機能します。ただし、Gmailを使った同期機能を使えば、Androidユーザーもブラウザからメモにアクセスして閲覧・編集できます。リアルタイム編集ではありませんが、情報共有は可能です。
まとめ
iPhoneでメモを共有する方法をまとめます。
2つの共有方法:
1. コピーを送信
- 静的なコピーを送る
- 相手は閲覧のみ
- iCloudアカウント不要
- 情報伝達に最適
2. 共同作業
- リアルタイムで共同編集
- 最大100人まで参加可能
- iCloudアカウント必須
- プロジェクト管理に最適
事前準備:
- iCloudでメモの同期をオンにする
- 共有相手も同様の設定が必要
- iCloudフォルダにメモを保存
共有手順:
- メモを開く
- 共有ボタンをタップ
- 「共同作業」または「コピーを送信」を選択
- 共有オプションを設定(権限、アクセス権)
- メッセージ、メール、またはリンクで招待
管理機能:
- 参加者の追加・削除
- 権限の変更(編集可能・表示のみ)
- 変更履歴の確認
- メンション機能(@で通知)
- 共有の停止
フォルダ共有:
- フォルダ全体を共有可能
- サブフォルダも含まれる
- 新しいメモも自動的に共有される
トラブルシューティング:
- iCloud設定を確認
- iOSを最新版にアップデート
- ストレージ容量を確認
- ロックを解除
- インターネット接続を確認
他のプラットフォームとの共有:
- Gmailアカウントを追加
- Gmailフォルダでメモを作成
- AndroidやWindowsからブラウザでアクセス
iPhoneのメモ共有機能を活用することで、チームワークがより円滑になり、情報共有が簡単になります。仕事、家族、友人との連絡に、ぜひ活用してみてください。
共有設定を適切に管理し、権限を使い分けることで、安全かつ効率的にメモを共有できます。まずは身近な人との簡単な共有から始めて、徐々に活用の幅を広げていきましょう!

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