iPhoneのカメラは高性能ですが、デフォルトの設定のままでは、その実力を十分に発揮できていないかもしれません。
「もっときれいに撮りたい」「夜景がうまく撮れない」「容量が足りない」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、iPhoneカメラの設定を徹底解説します。基本設定から知られざる便利機能まで、写真の質を劇的に向上させる方法をお伝えしていきます。
iPhoneカメラの基本設定を確認しよう

まずは、設定アプリからカメラの基本設定を見ていきましょう。
カメラ設定画面の開き方
手順:
- 設定アプリを開く
- 下にスクロールして「カメラ」をタップ
ここに、カメラに関するすべての設定が集まっています。
写真のフォーマット設定
高効率と互換性優先の違い
設定→カメラ→フォーマット
ここで2つの選択肢があります。
高効率(HEIF/HEVC)
- 容量が小さい(約半分のサイズ)
- 画質は変わらない
- iPhone・Mac間での共有に最適
- Windowsなど一部環境で開けない場合がある
互換性優先(JPEG/H.264)
- 容量が大きい
- どのデバイスでも開ける
- 古いPCやカメラとの互換性が高い
おすすめ設定:
普段はiPhoneやMacを使っている→高効率
Windowsユーザーや他の人と共有が多い→互換性優先
写真の解像度とビデオの解像度
写真の解像度設定
最新のiPhoneでは、ProRAW形式での撮影も選べます。
設定→カメラ→フォーマット
- ProRAW:プロ向けの高画質形式、編集の自由度が高い(容量大)
- HEIF:標準的な高画質形式
ビデオの解像度設定
設定→カメラ→ビデオ撮影
選択肢:
- 720p HD/30fps
- 1080p HD/30fps
- 1080p HD/60fps
- 4K/24fps
- 4K/30fps
- 4K/60fps
数字が大きいほど高画質ですが、容量も増えます。
おすすめ設定:
- 日常使い:1080p HD/30fps
- きれいに残したい:4K/30fps
- 動きが激しいもの:4K/60fps
HDR(ハイダイナミックレンジ)の設定
HDRとは?
明るい部分と暗い部分を自動調整して、バランスの良い写真にする機能です。
設定→カメラ
- スマートHDR:自動でHDR撮影(おすすめ)
- 写真のHDRビューをオン:撮影時にHDR効果をプレビュー表示
設定のポイント:
スマートHDRは基本的にオンのままがおすすめです。逆光や明暗差が大きい場面で威力を発揮します。
グリッド表示
グリッドとは?
撮影画面に格子線を表示する機能です。構図を整えるのに便利です。
設定→カメラ→グリッド
オンにするメリット:
- 水平が取りやすい
- 三分割法で構図を整えられる
- 建物の傾きを確認できる
初心者の方は、オンにしておくことを強くおすすめします。
設定を保持
設定を保持とは?
前回使ったカメラモードや設定を記憶しておく機能です。
設定→カメラ→設定を保持
以下の項目を選べます:
- カメラモード:前回使ったモード(写真、ビデオなど)を記憶
- クリエイティブコントロール:露出やフィルターの設定を記憶
- 露出調整:明るさ調整の設定を記憶
- ナイトモード:夜間モードの設定を記憶
- ポートレートズーム:ポートレートモードのズーム設定を記憶
- Live Photos:Live Photosのオン・オフ状態を記憶
おすすめ設定:
よく使う設定は「保持」をオンにしておくと、毎回設定し直す手間が省けます。
QRコードのスキャン
設定→カメラ→QRコードをスキャン
オンにすると、カメラを向けるだけでQRコードを読み取れます。
カメラアプリ内の便利な設定と機能
露出(明るさ)の調整
撮影画面で、明るくしたり暗くしたりできます。
調整方法:
- カメラアプリを開く
- 画面をタップしてピントを合わせる
- 太陽のアイコン(露出調整スライダー)が表示される
- 上下にスワイプして明るさを調整
暗い場所では上にスワイプ、明るすぎる場合は下にスワイプします。
AE/AFロック(露出とピントを固定)
AE/AFロックとは?
明るさとピントを固定する機能です。
使い方:
- ピントを合わせたい場所を長押し
- 「AE/AFロック」と表示される
- 構図を変えても明るさとピントが固定される
- 画面をタップすると解除
活用シーン:
- 被写体が動く時
- 構図を変えたいけどピントは変えたくない時
Live Photos(動く写真)
Live Photosとは?
シャッターを押す前後1.5秒ずつ、合計3秒間を動画として記録する機能です。
オン・オフの切り替え:
カメラ画面の上部にある「◎」アイコンをタップします。
- 黄色:Live Photosオン
- 白い斜線:Live Photosオフ
メリット:
- 決定的瞬間を逃さない
- 後から最高の1枚を選べる
- SNSで動く写真として投稿できる
デメリット:
- 容量が通常の写真より大きい
フラッシュの設定
画面左上の稲妻アイコンをタップして設定できます。
選択肢:
- 自動:暗い場所で自動的に発光
- オン:常に発光
- オフ:発光しない
おすすめ:
基本的には「自動」または「オフ」がおすすめです。フラッシュを使うと、不自然な明るさになることがあります。
タイマー撮影
画面上部の時計アイコンをタップします。
選択肢:
- オフ
- 3秒
- 10秒
活用シーン:
- 集合写真で自分も写りたい時
- 手ブレを防ぎたい時(三脚と併用)
フィルター機能
画面右上の3つの丸が重なったアイコンをタップすると、フィルターを選べます。
主なフィルター:
- ビビッド:色を鮮やかに
- ドラマチック:コントラストを強調
- モノ:白黒写真
- シルバートーン:銀色の白黒
- ノアール:黒が強い白黒
撮影前にも撮影後にも適用できます。
各撮影モードの使い方と設定
写真モード
最も基本的なモードです。
撮影のコツ:
- グリッドをオンにして構図を意識
- HDRを活用して明暗差を調整
- タップしてピントを合わせる
ポートレートモード
背景をぼかして、被写体を際立たせるモードです。
使い方:
- カメラアプリで「ポートレート」を選択
- 被写体まで60cm〜2.5m程度の距離を取る
- 「被写界深度エフェクト」の表示を確認
- シャッターを押す
ポートレートライティング:
撮影時または編集時に、照明効果を選べます。
- 自然光:標準
- スタジオ照明:顔を明るく
- 輪郭強調照明:影を強調
- ステージ照明:背景を真っ黒に
- ステージ照明(モノ):白黒で背景を真っ黒に
- ハイキー照明(モノ):白背景の白黒
ポートレートモードの調整:
撮影後、写真アプリで「編集」をタップすると、ぼかしの強さ(f値)を調整できます。
ナイトモード
暗い場所で明るくきれいに撮れるモードです。
使い方:
暗い場所でカメラを向けると、自動的に月のアイコンが表示されます。
- 月アイコンをタップ
- 露光時間(秒数)を選択
- iPhoneをしっかり固定
- シャッターを押す
- 指定された秒数、動かずに待つ
撮影のコツ:
- 三脚を使うとより鮮明に
- 手持ちの場合、壁やテーブルで固定
- 露光時間が長いほど明るくなるが、ブレやすい
ビデオモード
動画を撮影するモードです。
撮影中にできること:
- ピンチイン・アウトでズーム
- タップしてピント変更
- 白い丸ボタンをタップして写真も撮影
QuickTakeビデオ:
写真モードのまま、シャッターボタンを長押しすると、素早くビデオ撮影を開始できます。
スローモーション
通常の1/4または1/8の速度で再生される動画を撮影します。
使い方:
- 「スロー」モードを選択
- 撮影ボタンを押す
- もう一度押して停止
設定変更:
設定→カメラ→スローモーション撮影
- 1080p/120fps
- 1080p/240fps
240fpsの方がよりスローになります。
タイムラプス
長時間の変化を短い動画にするモードです。
活用シーン:
- 日の出・日の入り
- 雲の動き
- 花が咲く様子
- 人通りの多い場所
撮影のコツ:
- 三脚必須
- 長時間撮影するので充電を確認
- 1時間の撮影で約30秒の動画になる
パノラマ
広い範囲を1枚の写真に収めるモードです。
使い方:
- 「パノラマ」を選択
- シャッターを押す
- 矢印の方向にゆっくりiPhoneを動かす
- 矢印が水平線上を保つように調整
- 撮り終わったら停止ボタンをタップ
撮影のコツ:
- なるべくゆっくり動かす
- 水平を保つ
- 動いている被写体がいると歪む
シネマティックモード(iPhone 13以降)
動画でもポートレートのような背景ぼかしができるモードです。
特徴:
- 自動的にピント送りをしてくれる
- 撮影後にピント位置を変更できる
- 映画のような雰囲気に
使い方:
- 「シネマティック」を選択
- 被写体を画面に収める
- 撮影開始
- 後から編集で被写界深度を調整可能
マクロ撮影(iPhone 13 Pro以降)

超接写できる機能です。
マクロモードの使い方
被写体に2cm程度まで近づくと、自動的にマクロモードに切り替わります。
マクロ撮影のコツ:
- 明るい場所で撮影
- 手ブレに注意
- 小さな被写体(花、虫、食べ物など)に最適
マクロ自動切り替えのオン・オフ
設定→カメラ→マクロコントロール
オンにすると、マクロモードへの自動切り替えを手動で制御できるようになります。
ProRAWとProRes(iPhone 12 Pro以降)
ProRAW撮影
プロ向けの写真形式で、編集の自由度が非常に高くなります。
有効にする方法:
設定→カメラ→フォーマット→Apple ProRAW
オンにすると、カメラアプリに「RAW」アイコンが表示されます。
メリット:
- 編集時の色調整の幅が広い
- ノイズ除去の性能が高い
- プロ並みの編集が可能
デメリット:
- 1枚あたり25〜30MB程度(通常の写真の約10倍)
- 対応アプリが必要
ProRes撮影(iPhone 13 Pro以降)
プロ向けの動画形式です。
有効にする方法:
設定→カメラ→フォーマット→Apple ProRes
オンにすると、ビデオ撮影時に「ProRes」を選択できます。
注意点:
- 容量が非常に大きい(1分で約1〜6GB)
- 編集の自由度が高い
- プロの映像制作向け
カメラの便利なショートカット
ロック画面からすぐに起動
方法1:スワイプ
ロック画面で左にスワイプするとカメラが起動します。
方法2:長押し(iPhone X以降)
ロック画面でカメラアイコンを長押しします。
コントロールセンターから起動
画面右上から下にスワイプ(ホームボタンがある機種は下から上にスワイプ)して、カメラアイコンをタップします。
音量ボタンでシャッター
カメラアプリを開いている状態で、音量ボタン(上または下)を押すとシャッターを切れます。
連写したい場合は、押し続けます。
イヤホンのボタンでシャッター
有線イヤホンやBluetoothイヤホンの音量ボタンでもシャッターを切れます。
自撮りや三脚使用時に便利です。
カメラの性能を最大限引き出すコツ
レンズを清潔に保つ
日頃のケア:
- マイクロファイバークロスでこまめに拭く
- ケースがレンズを塞いでいないか確認
- レンズに傷がないかチェック
光を意識する
撮影のポイント:
- 順光(太陽が背後):被写体が明るく写る
- 逆光(太陽が前):HDRやフラッシュで補正
- 自然光が最もきれい(窓際など)
構図を工夫する
三分割法:
グリッドを使って、被写体を線の交点に配置すると、バランスの良い写真になります。
視線誘導:
道路や川など、奥に向かうラインを入れると、奥行きのある写真に。
撮影後の編集も活用
写真アプリの「編集」機能で、撮影後に調整できます。
- 明るさ
- コントラスト
- 彩度
- シャープネス
- トリミング
ストレージ節約のカメラ設定
高効率フォーマットを使う
設定→カメラ→フォーマット→高効率
容量を約半分に削減できます。
ビデオ解像度を下げる
設定→カメラ→ビデオ撮影
日常使いなら1080p/30fpsで十分です。
Live Photosをオフ
カメラアプリで「◎」アイコンをタップしてオフにします。
または
設定→カメラ→設定を保持→Live Photos(オフを保持)
撮影後すぐに不要な写真を削除
撮影したら、すぐに確認して失敗写真を削除する習慣をつけましょう。
よくあるカメラのトラブルと対処法
ピントが合わない
対処法:
- レンズを拭く
- 被写体をタップしてピントを合わせ直す
- 明るい場所で撮影する
- カメラアプリを再起動
写真がぼやける
対処法:
- 手ブレを防ぐ(両手でしっかり持つ)
- 明るい場所で撮影
- HDRをオンにする
- タップしてピントを確認
夜景がきれいに撮れない
対処法:
- ナイトモードを使う
- 三脚で固定する
- フラッシュはオフ
- 露光時間を長めに設定
カメラアプリが起動しない
対処法:
- iPhoneを再起動
- ストレージ容量を確認(空きを確保)
- iOSを最新版にアップデート
- カメラアプリを強制終了して再起動
撮影した写真が見つからない
対処法:
- 写真アプリの「最近の項目」を確認
- 「非表示」アルバムを確認
- 「最近削除した項目」を確認
- iCloudフォトライブラリの同期状態を確認
まとめ:設定を見直して最高の写真を撮ろう
iPhoneのカメラは、設定次第でさらに高品質な写真が撮れます。
まず設定すべき基本項目
- グリッド:オンにして構図を整える
- フォーマット:高効率で容量節約
- HDR:スマートHDRをオンのまま
- 設定を保持:よく使う設定を記憶
シーン別おすすめ設定
- 日常撮影:写真モード、HDRオン、グリッド表示
- 人物撮影:ポートレートモード、自然光
- 夜景撮影:ナイトモード、三脚使用、フラッシュオフ
- 動画撮影:1080p/30fps(容量重視)または4K/60fps(画質重視)
撮影テクニック
- レンズは常に清潔に
- 光を意識する
- 構図を工夫する(三分割法)
- 露出調整を活用
- 撮影後の編集も活用
容量節約の設定
- 高効率フォーマット
- ビデオ解像度を控えめに
- Live Photosは必要な時だけ
- 不要な写真はこまめに削除
これらの設定と使い方を身につければ、プロ級の写真が撮れるようになります。
まずは気になった設定から試してみて、自分に合ったカメラの使い方を見つけてください。iPhoneのカメラは、使いこなせばどんなカメラにも負けない素晴らしい写真が撮れますよ。

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