ガロン: アメリカとイギリスで違う!? 知っておきたい体積の単位

ライフハック

海外のスーパーで大きな牛乳のボトルを見かけたことはありませんか? また、アメリカでガソリンを入れるとき、聞き慣れない単位に戸惑った経験は? そんなときに登場するのが「ガロン」という単位です。

実はこのガロン、国によって大きさが違うという、なかなか厄介な単位なんです。今回は、ガロンの定義、歴史、換算方法、そして実生活での使われ方まで、詳しく解説していきます。

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ガロンとは? まずは基本から

定義

ガロン(gallon)は、主に英語圏の国々で使われている体積(容積)の単位です。記号は「gal」で表されます。

液体の量を測るために使われ、特に:

  • ガソリンなどの燃料
  • 牛乳やジュースなどの飲料
  • 石油製品
  • その他の液体

といったものの計量に広く用いられています。

最大の特徴: 国によって違う!

ガロンの最も厄介な点は、同じ「ガロン」という名前でも、アメリカとイギリスでは容量が異なるということです。

主に使われているのは以下の3種類:

  1. 米液量ガロン(US liquid gallon): 約3.785リットル
  2. 英ガロン(Imperial gallon): 約4.546リットル
  3. 米乾量ガロン(US dry gallon): 約4.404リットル(ほとんど使われない)

つまり、アメリカとイギリスでは、同じ「1ガロン」でも約20%も容量が違うんです!

各種ガロンの詳細

米液量ガロン(US liquid gallon)

アメリカで一般的に使われているガロンです。

1米液量ガロン = 3.785411784リットル

より正確には:

  • 231立方インチと定義されている
  • 約3.785リットル
  • 日本の計量法で認められているのはこのガロンのみ(3.785412リットルと定義)

アメリカのスーパーでよく見かける、取っ手のついた大きな牛乳ボトルが1ガロン(約3.8リットル)です。

英ガロン(Imperial gallon)

イギリスおよび一部の英連邦諸国で使われているガロンです。

1英ガロン = 4.54609リットル

  • イギリス、カナダ、一部のカリブ海諸国で使用
  • 米液量ガロンより約20%大きい
  • 元々は「62°F(約16.7°C)の水10ポンドの体積」として定義されていた
  • 現在は正確に4.54609リットルと定義

米乾量ガロン(US dry gallon)

穀物などの乾燥物を量るためのガロンですが、現在はほとんど使われていません。

1米乾量ガロン = 4.40488377086リットル

  • 268.8025立方インチ
  • 実用上はほぼ廃れている

3つのガロンの比較

比率で表すと、おおよそ:
英ガロン : 米乾量ガロン : 米液量ガロン = 66 : 64 : 55

つまり:

  • 英ガロンが最も大きい
  • 米液量ガロンが最も小さい
  • その差は約20%

ガロンの歴史: なぜ国によって違うの?

中世ヨーロッパの混乱

ガロンの語源は、古フランス語の「galon」や「galun」に遡ります。

中世のイギリスでは、実は3種類の異なるガロンが併存していました:

  1. ワインガロン(Wine gallon): 231立方インチ ≈ 3.785リットル
  2. エールガロン(Ale gallon): 282立方インチ ≈ 4.62リットル
  3. コーンガロン(Corn gallon): 穀物用

同じイギリス国内でも、ワインを量るときとビールを量るときで違う「ガロン」を使っていたんです。これでは混乱しますよね!

1824年: イギリスの統一

この混乱を解消するため、1824年にイギリスはエールガロンを基準とした統一ガロンを制定しました。

新しい定義:

  • 10ポンドの水の体積を1ガロンとする
  • これが現在の「英ガロン(Imperial gallon)」の起源

より正確には、「水銀柱30インチ、華氏62度の大気中で黄銅製分銅で測った10ポンドの蒸留水の体積」と定義されました。

1963年には、さらに精密な再定義が行われ、現在の4.54609リットルという値になりました。

アメリカの独自路線

一方、アメリカはイギリスの統一に従わず、植民地時代から使っていたワインガロンをそのまま使い続けました。

これが現在の「米液量ガロン(US liquid gallon)」です。

つまり:

  • 英ガロン: 1824年の新基準(エールガロンベース)
  • 米液量ガロン: 古いワインガロンをそのまま維持

これが、両国でガロンの大きさが違う理由です。

リットルとの換算方法

米液量ガロン → リットル

1米液量ガロン = 3.785412リットル

換算式:
リットル = ガロン × 3.785412

例題1: 5ガロンは何リットル?

5 × 3.785412 = 18.92706リットル
18.9リットル

リットル → 米液量ガロン

1リットル = 0.264172ガロン

換算式:
ガロン = リットル ÷ 3.785412
または
ガロン = リットル × 0.264172

例題2: 20リットルは何ガロン?

20 ÷ 3.785412 = 5.28344ガロン
5.3ガロン

英ガロン → リットル

1英ガロン = 4.54609リットル

換算式:
リットル = 英ガロン × 4.54609

例題3: 3英ガロンは何リットル?

3 × 4.54609 = 13.63827リットル
13.6リットル

覚えやすい近似値

正確な計算が不要な場合、以下の近似値が便利です:

  • 1米液量ガロン ≈ 約4リットル(正確には3.8リットル)
  • 1英ガロン ≈ 約4.5リットル

日常的な目安としては、「ガロンは4リットルくらい」と覚えておけばOKです。

ガロンの下位単位

ガロンは、さらに細かい単位に分割されます。

クォート(Quart)

1ガロン = 4クォート

記号: qt

  • 1米液量クォート = 0.946353リットル(約1リットル)
  • 1英クォート = 1.13652リットル

アメリカでは、牛乳などが1クォート(約1リットル)パックで売られていることがよくあります。

パイント(Pint)

1クォート = 2パイント
1ガロン = 8パイント

記号: pt

  • 1米液量パイント = 0.473176リットル(約473ml)
  • 1英パイント = 0.568261リットル(約568ml)

イギリスやアメリカのパブで「A pint of beer, please.(ビールを1パイントください)」と注文するときの単位がこれです。

パイントグラスは、ちょうど1パイント入るグラスのことです。

オンス(Fluid ounce)

液体を量るための液量オンスです。

1米液量ガロン = 128液量オンス
1英ガロン = 160液量オンス

  • 1米液量オンス ≈ 29.5735ml
  • 1英液量オンス ≈ 28.4131ml

単位の階層構造

まとめると:

アメリカ(米液量):

  • 1ガロン = 4クォート = 8パイント = 128液量オンス

イギリス(英):

  • 1ガロン = 4クォート = 8パイント = 160液量オンス

面白いことに、液量オンスの大きさは米の方が大きいのに、ガロンの大きさは英の方が大きいんです。

バレル: ガロンより大きな単位

ガロンより大きな体積を表す単位に「バレル(barrel)」があります。

石油用バレル

国際的な原油取引で使われる標準単位です。

1バレル = 42米液量ガロン = 約159リットル

正確には: 158.987リットル

なぜ42ガロン?

昔、石油の運搬には酒樽(50ガロン)が使われていました。しかし、輸送中の漏れや蒸発で、届くころには約42ガロンになっていたため、1バレル = 42ガロンと定められたと言われています。

その他のバレル

実は、バレルも用途によって大きさが異なります:

  • 米液体用バレル: 31.5ガロン(約119リットル)
  • 米ビール用バレル: 31ガロン(約117リットル)
  • 英ビール用バレル: 36英ガロン(約164リットル)

日本での扱い

計量法での定義

日本の計量法では、米液量ガロンのみが使用を認められています。

1ガロン = 3.785412リットル(計量単位令 別表第7)

これは、米国の定義値(3.785411784リットル)の小数第7桁を四捨五入した値です。

使用が認められる範囲

日本国内では、ガロンは一般的には使われません。

使用が認められているのは:

  • 航空機関係
  • 輸出入取引

つまり、国際的な取引や特殊な業界でのみ例外的に使用できます。

コストコでの表記

会員制スーパーのコストコでは、アメリカ本社の影響でガロン容量の商品が販売されていますが、ラベルには「3.78L」のようにリットル換算で表記されています。

実生活での使われ方

アメリカでの日常

ガソリンスタンド

  • 価格表示: 「$3.50 per gallon(1ガロンあたり3.5ドル)」
  • 日本の「リットルあたり」に相当

スーパーマーケット

  • 牛乳: 1ガロン(約3.8リットル)ボトル
  • ジュース: ハーフガロン(約1.9リットル)パック
  • アイスクリーム: ハーフガロンタブ

燃費表記

  • MPG(Miles Per Gallon): 1ガロンで何マイル走れるか
  • 日本の「km/L」に相当

イギリスでの日常

パブ

  • ビールの注文: 「A pint, please.」
  • 1パイント = 英パイント = 約568ml

ガソリン

  • かつては英ガロンで販売
  • 現在は多くの国がリットルに移行

カリブ海諸国

  • 一部の島嶼国では現在も英ガロンを使用:
  • アンギラ、英領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、モントセラト
  • アンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントルシア

価格の換算: ガロンとリットル

海外でガソリンを入れるとき、価格を日本円/リットルに換算したい場合の計算方法です。

アメリカのガソリン価格を日本式に換算

: アメリカで1ガロン3.5ドル、1ドル150円の場合

ステップ1: ドル/ガロン → 円/ガロン
3.5ドル/gal × 150円/ドル = 525円/gal

ステップ2: 円/ガロン → 円/リットル
525円/gal ÷ 3.785 = 約138.7円/L

答え: 日本の感覚では約139円/リットル

簡易計算式

円/L = (ドル/gal) × (為替レート) ÷ 3.785

または、概算で:

円/L ≈ (ドル/gal) × (為替レート) ÷ 4

ガロンに関する豆知識

「10ガロンハット」は10ガロン入らない!

西部劇でおなじみのカウボーイハット「10ガロンハット(Ten-gallon hat)」。

実は、このハットには10ガロンの水は入りません!

「10ガロン」の語源は、スペイン語の「galón(編み紐、飾り)」から来ていると言われています。帽子の周りの装飾的な編み紐を指していたんですね。

世界最大のスムージー

2011年、アメリカのキャボット・クリーマリー・コーポラティブが作った巨大スムージーは:

1514.15リットル = 400米液量ガロン = 333英ガロン

バナナ3200本を使い、自転車でミキサーを動かして作られたそうです!

最も高価な液体

世界で最も高価な液体は、サソリの毒(scorpion venom)だと言われています。

価格は1ガロンあたり約3886万ドル(1リットルあたり約1027万ドル)!

もちろん、実際に1ガロン単位で販売されることはありませんが…

まとめ: ガロンを理解するポイント

ガロンについて、重要なポイントをまとめます。

基本事項:

  • ガロンは英語圏で使われる体積の単位
  • 記号はgal
  • 主に液体の計量に使用

3つの種類:

  1. 米液量ガロン: 3.785リットル(最も一般的)
  2. 英ガロン: 4.546リットル(約20%大きい)
  3. 米乾量ガロン: 4.404リットル(ほとんど使われない)

歴史:

  • 中世イギリスには複数のガロンが存在
  • 1824年にイギリスが統一(英ガロン)
  • アメリカは古いワインガロンを維持(米液量ガロン)

リットル換算:

  • 1米液量ガロン = 3.785リットル ≈ 約4リットル
  • 1英ガロン = 4.546リットル ≈ 約4.5リットル
  • 1リットル = 0.264米液量ガロン

関連単位:

  • 1ガロン = 4クォート = 8パイント
  • 1バレル(石油) = 42ガロン = 159リットル

日本での扱い:

  • 計量法では米液量ガロンのみ認定(3.785412リットル)
  • 航空機関係と輸出入でのみ使用可能
  • 一般にはリットルを使用

実用上の注意:

  • アメリカとイギリスで「ガロン」の大きさが違う
  • 海外でガソリン価格などを見るときは注意
  • 「約4リットル」と覚えておくと便利

ガロンは、グローバル化が進んだ現代でも英語圏を中心に広く使われている単位です。海外旅行や国際取引の際には、この知識が役立つはずです。特に「アメリカとイギリスでは違う」という点を覚えておけば、混乱を避けられますよ!

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