スマートフォンを使っていて、こんな困った状況に遭遇したことはありませんか?
- 「画面が真っ暗でタッチしても反応しない…」
- 「パスコードを忘れてロック解除ができない」
- 「アプリが固まって何も操作できない」
そんなときの最後の頼みの綱が「リカバリーモードからの初期化」です。
この記事では、Android端末をリカバリーモードで安全に初期化する方法を、注意点とともにわかりやすく解説します。
リカバリーモードって何?

Androidの「緊急時メニュー」
リカバリーモードとは、Android端末が通常起動できないときに使える特別な操作モードです。
普段は見ることのない「緊急時メニュー」のような機能と考えるとわかりやすいでしょう。
リカバリーモードでできること
- 端末の完全初期化(工場出荷状態に戻す)
- システムアップデートの適用
- キャッシュデータの削除
- システム修復の実行
なぜ通常の設定ではなくリカバリーモードを使うの?
通常の初期化が使えない場面
- 画面タッチが効かない
- パスコードやパターンロックを忘れた
- アプリが固まって設定画面を開けない
- 起動ループに陥っている
リカバリーモードの利点
- 物理ボタンだけで操作できる
- システムが不安定でも使える
- 画面タッチが効かなくても操作可能
- 最も確実な初期化方法
初期化する前に絶対確認すべきこと

重要な注意点を理解する
リカバリーモードでの初期化はデータが完全に消える強力な処理です。
実行前に以下の点を必ず確認してください。
1. Googleアカウント情報を覚えているか
FRP(盗難防止機能)について Android 5.0以降の端末には「Factory Reset Protection」という機能があります。
これは初期化後に、元々ログインしていたGoogleアカウントでの認証を求める仕組みです。
確認すべき情報
- Googleアカウントのメールアドレス
- パスワード
- 二段階認証の設定(設定している場合)
注意: この情報を忘れていると、初期化しても端末が使えなくなってしまいます。
2. バックアップは取れているか
消去されるデータ
- 写真・動画・音楽ファイル
- 連絡先・メッセージ
- アプリとアプリ内データ
- 設定・パスワード
- ダウンロードしたファイル
バックアップ方法(まだ操作できる場合)
設定 → システム → バックアップ → 今すぐバックアップ
Googleアカウントに自動バックアップされるもの
- 連絡先
- カレンダー
- Gmail
- Google フォトにアップロードした写真(設定による)
3. microSDカードの取り扱い
重要なファイルを保護するために
- microSDカードを使っている場合は、可能なら事前に取り出す
- 内部ストレージとして使用している場合は一緒に初期化される可能性
- 外部ストレージとして認識されていれば基本的に影響なし
リカバリーモードへの入り方

基本的な手順
リカバリーモードへの入り方は機種によって異なりますが、基本的なパターンは共通しています。
Step 1: 完全に電源を切る
- 電源ボタンの長押しでシャットダウン
- 電池が取り外せる機種なら、一度電池を外してから入れ直す
- 完全に電源が切れるまで待つ
Step 2: 特定のボタンを同時押し
主要メーカー別のボタン組み合わせ:
メーカー | ボタン組み合わせ | 備考 |
---|---|---|
Samsung | 音量上 + 電源 | Galaxy シリーズ |
Sony | 音量下 + 電源 | Xperia シリーズ |
LG | 音量下 + 電源 | 一部機種は音量上 |
HTC | 音量下 + 電源 | 一部機種はホームボタンも |
Huawei | 音量上 + 電源 | Honor シリーズも同様 |
音量下 + 電源 | Pixel シリーズ |
Step 3: リカバリーモード画面の確認 正しく操作できていれば、以下のような画面が表示されます:
- Android のロボットマーク
- 「Recovery mode」などの文字
- メニュー項目の一覧
うまく入れない場合の対処法
ボタンの押し方のコツ
- ボタンを同時に押し始める
- 5〜10秒間しっかりと押し続ける
- 画面に何か表示されるまで離さない
よくある失敗パターン
- ボタンを押すタイミングがずれている
- 押している時間が短すぎる
- 電源が完全に切れていない状態で実行している
初期化の実行手順
リカバリーモードでの操作方法
リカバリーモードでは、タッチ操作ではなく物理ボタンで操作します。
基本的な操作方法
- 音量上/下ボタン: メニューの移動(カーソルの上下)
- 電源ボタン: 選択・決定
- 音量上+電源: 戻る(一部機種)
詳細な初期化手順
Step 1: メニューから「Wipe data/factory reset」を選ぶ
- 音量ボタンでカーソルを移動
- 「Wipe data/factory reset」または類似の項目を選択
- 電源ボタンで決定
Step 2: 確認画面で「Yes」を選択
- 「Yes — delete all user data」のような項目を選択
- この操作で実際の初期化が始まります
- 処理には数分かかる場合があります
Step 3: 初期化完了後の再起動
- 初期化が完了すると、再びメニューが表示されます
- 「Reboot system now」を選択
- 端末が再起動され、初期設定画面が表示されます
初期化中の注意点
絶対にやってはいけないこと
- 初期化処理中に電源を切る
- ボタンを押して処理を中断する
- 充電ケーブルを抜く
推奨される環境
- バッテリー残量50%以上
- 安定した場所での作業
- 時間に余裕がある状況
初期化後のセットアップ

最初の設定画面
初期化が完了すると、新品のスマートフォンと同じセットアップ画面が表示されます。
基本的なセットアップ手順
- 言語とキーボードの選択
- Wi-Fiネットワークの接続
- Googleアカウントでのログイン
- 利用規約への同意
- 基本設定の選択
FRP認証への対処
元のGoogleアカウントでログイン
- 初期化前に使用していたGoogleアカウントを入力
- パスワードを正確に入力
- 二段階認証が設定されている場合は、認証コードも必要
ログインできない場合
- パスワードリセットを試す(別デバイスから)
- 復旧用の電話番号やメールアドレスを使用
- Googleアカウントのサポートに問い合わせ
バックアップからの復元
Googleバックアップからの復元
- セットアップ中に「バックアップから復元」を選択
- 利用可能なバックアップ一覧から選択
- 復元したいデータの種類を選択
- 復元処理の完了を待つ
復元される主なデータ
- アプリ一覧(アプリ内データは除く)
- 連絡先
- カレンダーの予定
- 設定の一部
復元されないもの
- LINEのトーク履歴
- ゲームのセーブデータ
- アプリ内のログイン状態
- ローカルに保存された写真・動画
よくあるトラブルと解決方法
リカバリーモードに入れない場合
原因1: ボタンの組み合わせが間違っている
- 機種別の正しい組み合わせを確認
- メーカーの公式サイトでマニュアルを確認
原因2: タイミングが合っていない
- 完全に電源を切ってから実行
- ボタンを同時に押し始める
- 十分な時間(10秒程度)押し続ける
原因3: ハードウェアの故障
- 物理ボタンが故障している可能性
- 修理店やメーカーサポートに相談
初期化後にGoogleアカウントでログインできない
対処法1: パスワードの確認
- パスワードを別のデバイスで確認
- 大文字・小文字・記号の入力ミスがないか確認
対処法2: アカウント復旧の実行
- Googleの「アカウント復旧」ページを利用
- 復旧用メールアドレスや電話番号での認証
対処法3: 時間を置いて再試行
- 24時間程度時間を置く
- Google側の一時的な制限の可能性
バックアップが見つからない場合
確認すべきポイント
- 正しいGoogleアカウントでログインしているか
- バックアップが有効になっていたか
- 最新のバックアップがいつ作成されたか
代替手段
- microSDカードからのデータ復旧
- パソコンに保存していたデータの活用
- クラウドサービス(Dropbox、OneDriveなど)の確認
予防策と今後の対策
定期的なバックアップの設定
自動バックアップの有効化
設定 → システム → バックアップ → Googleドライブへのバックアップ → ON
バックアップされる項目の確認
- アプリデータ
- 通話履歴
- 端末の設定
- SMS(テキストメッセージ)
重要データの別途保存
クラウドストレージの活用
- Google フォト(写真・動画)
- Google ドライブ(ドキュメント)
- 各アプリのクラウド同期機能
物理的な保存
- microSDカードへのデータ保存
- パソコンへの定期的なデータ移行
セキュリティ設定の見直し
適切なロック設定
- 覚えやすく、他人に推測されにくいパスワード
- 指紋認証や顔認証の併用
- パターンロックは避ける(推測されやすいため)
Googleアカウントの管理
- パスワードの定期的な変更
- 二段階認証の設定
- 復旧用連絡先の更新
まとめ
Androidのリカバリーモードからの初期化は、端末が操作不能になったときの強力な解決手段です。
重要なポイントの再確認
実行前の必須確認事項
- Googleアカウント情報を正確に覚えている
- 重要データのバックアップが取れている
- 十分な時間と落ち着いた環境で実行する
安全な実行のために
- 機種別の正しいボタン組み合わせを確認
- バッテリー残量が十分にある状態で実行
- 処理中は絶対に電源を切らない
初期化後の対応
- 元のGoogleアカウントで必ずログイン
- バックアップからの復元を実行
- セキュリティ設定を再度確認
予防が最も重要
日頃から心がけること
- 定期的なバックアップの習慣
- Googleアカウント情報の安全な管理
- 複数のデータ保存場所の確保
リカバリーモードでの初期化は「最後の手段」です。
普段からバックアップを取る習慣を身につけて、万が一の時に備えておくことが最も重要です。
コメント